「そーよそーよ、どうせあたしは使えない奴ですよー!」  
 一人寂しく部屋で叫ぶ。ライバルの天使と喧嘩して、負けて、それが上の人たちに伝わったらしい。  
 ついさっきお偉い人に呼ばれて、おっしゃあたしもそろそろ昇格? なーんて思ったら待ってたのは説教。  
 最悪としか言いようがない。いっそのことあれだ、悪魔やめてやろうじゃないの、とか思ったけど後が怖い。  
「あー……こんな時に慰めてくれる知り合いもいないし……もう嫌……」  
 ベッドにダイブして、枕に顔を埋めてぼそぼそと呟く。やる気がなくなってきた。  
 ふ、と人の気配を感じる。さっきまであたしが居たはずの窓際には――  
「あははっ、いじけてやーんの。かっわいいなあお姉さん」  
 部屋の中に勝手に入ってきている(開きっぱなしだった窓から入ったと思われ)天使。  
 どうせ幻覚よ。苛々しすぎて嫌いな奴の幻覚が見えてるの。うん。そうよ。  
 ……声まで聞こえるとなると重症だろうけどね。  
「ちょ、お姉さん僕のこと無視? 酷いなあ。ほらほら、ねっ、みてよー」  
 ウザイ。本当に。  
 うろうろ周りを歩いたり飛んだりする若い天使。コイツにあたしが負けたなんて信じたくない。  
「……なによ」  
「あのねー、いいお知らせ持ってきたよ。僕ね、お姉さんのことが好きみたい」  
「――は?」  
 

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