「ん……ッ、は…ぁ……」
シャワーの音に紛れて、押し殺した、けれど明らかに快楽の色を滲ませた荒い息遣いが浴室に満ちていた。
黒崎にクリトリスの根元を押さえつけられ、剥き出しになったその部分に、シャワーが当てられているのだ。
ただでさえぷくりと膨らんでいたクリトリスは、シャワーに打たれてますます赤く勃ち上がっている。
シャワーのヘッド部分を小刻みに動かすと、たまにイイところに当たるらしく、真由香は黒崎の胸に後頭部をすりつけてすすり泣くような声を漏らした。
黒崎としては、本当はもっとイイところをひたすら責めたいのだが、自分の腕と指が影をつくってしまい、クリトリスがよく見えない。
「真由香」
耳元で囁くと、真由香は涙目で振り向いてきた。
「…なに…?」
「自分で押さえてて。ココ」
「…え?……やっ、ちょ、何言って」
「出来るだろ、ホラ、でないと…」
皮を固定していた指をずらして、クリトリスを強くこすりあげる。強すぎたらしく、真由香は「痛!」と本気の悲鳴をあげた。
「いっ、分かったわよ!やめてっ痛いっ」
「じゃあ、ほら早く」
急かされて、渋々といった調子で真由香は自分の股間に手を伸ばす。
(うわ)
羞恥で顔を赤らめながら、自分でクリトリスの皮を剥きあげる真由香に、依頼したのは自分だというのに黒崎は興奮した。
エロい。これはエロい。
ほっそりした指に押されて飛び出したクリトリスが、あますところなく黒崎の前にさらけ出されている。
「エロい」
「…あんたが言ったんでしょー…?」
「指、離しちゃダメだからね」
「ん、あっ!!」
シャワーを近づける。
シャワーとクリトリスの間に、黒崎の視界をジャマするものはなにもない。
赤く熟れたクリトリスの上に水が弾けると、真由香の内腿がひくひくと震えた。
一筋の水流がクリトリスを直撃するように角度を変えると、「あん!」とひときわ高い嬌声が浴室に響く。
「ああ、これが気持ちいいんだ?」
「うん…っあ、ふぁ、んっ」
クリトリスを嘗め回すように、一筋の水流を浴びせ続ける。
「も、だめ…ぁ、や…!」
黒崎はカランに手を伸ばすと、シャワーの勢いを最大にした。
ジャアアアアアアア!!!!
「あああっ!!だめっ強……っっ!!!」
飛沫でクリトリスが見えなくなったが、真由香の態度で、クリトリスへの刺激がどれほどだったのかはよく分かる。
がくがくと腰を震わせ、それでも硬直してしまったのか、指はクリトリスを剥き出しに固定したまま、真由香は絶頂を迎えた。
と同時に、飛沫の中に黄色いものが混じってすぐに排水口へと流れていった。
一瞬だけ鼻腔を突き刺した、アンモニア臭。
「(;゚д゚)ァ.... …やだあぁ……もぉ…ごめ……」
失禁したらしい。
金縛りが解けたかのように、ぱっと両足を閉じると、真由香は両手で顔を覆って項垂れてしまった。
「やだもう…」
すんすんと鼻を鳴らし始める。泣きそうだ。
黒崎は慌ててシャワーを置くと、真由香の両肩を抱いて宥める。
「いいよ気にしなくて、そんだけ気持ちよかったってだけだから!ごめん、俺も調子に乗った、もう風呂でようか!な!」
やらしい気持ち抜きで真由香にシャワーをかけて、黒崎は浴室を出た。
バスタオルに真由香を包みながら、ベッドのサイドテーブルに置いておいたいかがわしい感じのジェルのことを考える。
アレを真由香のクリトリスに塗って楽しもうと思ったのだが、今日はやめておくべきだろうか。
いやでも、折角のクリスマスだし…。
ふわふわと優しくバスタオルで水滴を拭われて、わりと簡単に機嫌を直した真由香は、第3ラウンドの可能性などこれっぽちも危惧していない。
黒崎が寝室に入ると、先に戻っていた真由香が、疲れきったようにベッドに倒れこんでいた。
疲れきった「ように」というか、実際、疲れきっているのだろうが。
もしかしたら寝てしまっているのかと近づくと、真由香は意外とぱっちりと目を開いた。
「…エロ崎」
「寝たのかと思った」
「もう寝るよぅ…なんなの今日、変態みたい」
「変態ぃぃ?違うだろ、真由香が約束すっぽかしたから、そのおしおきしてるんだろ」
そう、そもそもクリ責め三昧になったきっかけは、イブの夜、レストランで食事を、という約束を当日の夕方になって真由香がキャンセルしたことだ。
「仕方ないじゃないのー。毎月24日は、給料の準備で忙しいって知ってるくせに」
ちいさな会社の経理事務を担当している真由香は、毎月24,25日は忙しい。それはもちろん、黒崎も知っている。
知っていて、少し無理な約束をしたのは、まあ、わざとだ。
約束通りレストランで食事が出来てもよし、約束が守れなかったら守られなかったで、後日「お仕置き」するのもよし、どっちに転んでも黒崎に損はない約束だったわけだ。
「だからって、約束やぶってもいいわけにはならないだろ。てか反省してる態度じゃないよなあ…?」
まだ「お仕置き」は終わってない、と悟った真由香が身を起こそうとするより先に、黒崎は真由香の上に乗りあがった。
「お、重い!」
呻く真由香を尻目に、ルームワンピースの裾をたくし上げる。下着はつけてない。
サイドテーブルに置いた小さな瓶から、白いジェルをすくって、クリトリスに塗りつけた。
「ひゃ!?なに!!なにしてんの!?」
もがく真由香の目の前に、小さな瓶のラベルが見えるように掲げた。
「これ塗った」
「え…?」
いかがわしいサイトで買ったいかがわしいジェル。その商品名は、単純明快すぎて、逆に口にするのが躊躇われたが、真由香は呆然とその商品名を読み上げた。
「…カユクナール」
「天然由来成分だから、敏感肌の人でも、安心して使えるらしいぞ」
「馬鹿だー!どこまで変態なの!?エロ崎!!エロ崎の変態!!」
悪態をつく真由香の表情が、劇的に変化する。
みるみる頬が赤くなり、眉根がきゅっと寄せられ、羞恥と困惑の色に染まる。
もぞもぞと太もも同士を擦り、腰が一瞬浮いた。
「効くの早いな」
「…やだぁ…」
「え?なに、聞こえない。どうしたのかなー?きちんと言えよ?」
「……っあ、薬が効いてきたのっ」
「薬ってなんの?どこに効いたの?どこがどうなってるの?」
「や、っだ、もう、…………あ、あ、あそこが、か、痒…」
消え入りそうな声で訴えるので、黒崎は膣口に指を差し込んだ。
「あそこって、ここ?」
「違っ…」
近い場所だが全然違う場所を刺激されて、余計に痒みが増したらしい。無意識に腰を動かして、クリトリスを黒崎の指に押し当てようとしたが、黒崎はあっさり指を引き抜いた。
「いやっ…!……く……クリトリスが痒いのっ!触って!!クリトリス触ってぇぇぇ…」
「そんなに触って欲しいんだ?」
こくこくと必死で頷く真由香に、黒崎は大きな満足感を得る。
よっこいせ、と我ながらオッサンくさい声をかけて真由香の身体から降り、M字開脚させた足の間に顔を近づける。
ジェルでとろりと光ってみえるクリトリスに、ふうっと息を吹き付ける。
「ひんっ」
「足閉じない」
「だめ…ちゃんと、さ、触って?」
なにこのエロい子!!!
もはや感動すら覚えつつ、黒崎はひとさし指でクリトリスを軽く押した。
「あっあっ!」
「…こんな感じ?」
「うんっ…」
ぷにっぷにっ。
小刻みにつっつくと、その度に真由香が嬌声を上げるのが面白い。
「んっ!んうっ!あ、あの…もっと…その…ちゃんと…」
腰が震えている。クリトリスから視線を外し、真由香の表情を窺うと、真由香はきつく目を閉じていた。
「ちゃんと?」
「っ、クリトリスもっとっ…擦る感じ…が、いい…」
恐る恐るといった様子で目を開いた真由香は、黒崎の表情をどう読んだのか、早口に言葉を重ねる。
「だってっ!か、痒いんだもんっていうか黒崎がっあっああっ!ああんっ!あんっ!」
人差し指と中指でクリトリスを擦り上げられて、真由香は盛大に嬌声を上げた。
ぷしゅっ、と飛沫が黒崎の指に飛んだので俯くと、潮を吹いていた。
「あ…だめ…!まだ痒いよう…!!」
イったのならと指を離しかけた黒崎に、ほとんど泣き顔の真由香が訴える。
「もっと触って欲しい?」
「うんっ…」
今度は親指と人差し指で、こねるようにクリトリスをつまむと、真由香は電気ショックを受けたかのように腰を跳ねさせた。
「ああっ!!イっちゃう…」
むにむに、こねこね、くにゅくにゅ。
黒崎も夢中になってクリトリスを弄り回す。
何度イっても、ジェルが残っているせいで痒みが収まらないらしい。
最終的にはクリトリスをねっとり嘗め回して、それで真由香は電池が切れたように気絶してしまった。
クリトリスばかり責めて、そういえば挿入もしないままだった、と黒崎は思い当たるが、不思議と黒崎もすっかり満足している。
たまにはこんなクリスマスもアリだ。
黒崎はごそごそと布団の中に潜ると、真由香の隣で目を閉じた。
股間につめたい感触がして、黒崎はびくりと目を開いた。
カーテンの向こうが明るい。朝だ。
「おはよう、エロ崎」
布団を引っ剥がした状態で、真由香がにっこりと笑いかけてきた。
「おは…え!?」
真由香の左手に『カユクナール』。真由香の右手は、黒崎の一物を優しくつかんでいる。
「…ちょ、おま、!?うわ!?」
「お前も苦しむがいいわー!」
「ぎゃあああああ!!?」
終われ。