ジルがその感情を嫉妬と知ったのは、ルームメイトのエルが就寝してから  
のことだった。。  
エルとはジルを部屋を共有している竜型の青年で、痩身ながらもよく絞り込  
まれた体をしていて、週末になるといつもクラブへと通うような、活発さを  
持っていた  
対するジルはちょっとやせて居て少し引っ込みがちであり、容姿はむしろ可  
愛い、悪く言えば女性的な、こちらは馬型の青年であった。  
まあ、普段の学生生活であれば、何とも接点のなさそうな二人であったが、  
たまたま割り振られた部屋が同じであり、そんな生活の中ではなかなかに気  
が合う仲であった。  
それは、よくある何気ない会話である。  
ルームメイトのエルに1年ぶりにガールフレンドが出来たという話である。  
まあ、本当によくある話だ。そして、うらやましいとか、嫉ましいとか、そ  
んなことどうでもいいとか、そんな感情を抱くのも仕方ない事であろう。  
ジルに対し、エルも自慢げに「ジルも彼女つくりなよ」まあよく言ったもの  
だ。  
「ジルは可愛いから大丈夫だって」  
半ば本気もあったのだろうが、ジルはちょっとだけ拗ね、当番である夕食の  
後片付けをするためにキッチンに向かった。  
その日は、もう特にこれといった話題もなく、何となく悶々としながらシャ  
ワーを浴び、課題をこなすともう23時を少し過ぎていた。  
「じゃあ、先に寝るよ。おやすみ」といってエルがベッドに横になったのは  
それからすぐだった。おやすみと言い返し、レポートの最後のページを書き  
上げる。  
ぎりぎり日が変わらない内に仕上げたジルは、エルに倣ってすぐに横になっ  
た。が、寝れない。  
(彼女…ね)  
別に女の子と付き合った事が無いわけではないが、何となく合わずに段々逢  
わなくなって自然消滅する。といった事を数回繰り返す内に、最近は少し恋  
愛などには投げやりになっていたつもりだったが、自分に近しいものに、よ  
く合う彼女が出来たとか、そんな事を聞くとやはり少し凹む。  
(なんで僕じゃないんだろうな)  
そこであれと気がつく。僕じゃないとは何事だ。僕じゃないというのは、彼  
女が出来たのはなんで僕じゃないというのではなく、エルの彼女がなんで僕  
ではないのかという疑問だ。  
そこに至って、ジルはぎくりとした。  
ばかばかしいと一蹴するのはごく簡単に思われたが、果たしてそれで良いの  
だろうか。答えが出ないまま、ジルは眠りの海へと落ちていった。  
 
かのような出来事があって以来、ジルはエルを意識していることを明確に感  
じながら毎日を過ごす事になる。  
彼は、自分なりにそれは馬鹿げた事だと思いながらも、どうしても彼の彼女  
として居たいと思う事を、頭から切り離す事が出来ない。  
それは、エルの彼女に対する嫉妬である。  
そして幾日かが過ぎ、金曜になった。  
「Yoジル。あいむがなくらぶはうすとぅなーい。だから夕食つくんなくても  
いいよ。OK?」  
なんだかよく分からないライム風のノリでエルはそう告げると、いつものよ  
うにそそくさと部屋を出て行った。  
ジルはそんな様子にはもう慣れているので、行ってらっしゃいと言うと読み  
かけの本に目を落とした。  
そのままジルは本を読み続け、彼がふと時計を見ると、時間はすでに0時近  
くを指している。  
ああ、時間がもったいない!ジルはそう独りごちると、上着を脱いでベッド  
に転がった。  
リモコンで電気を消して目をつぶると、妙にエルの事が気にかかり始めた。  
(エル…)  
ジルは、自分より一回りほどおおきいエルから抱かれている事を想像し、ま  
たの割れ目をなぞった。数回なぞる内に、割れ目を押し広げるようにして、  
まだ一度も他人に触れられた経験のないサーモンピンクの陰茎がせり出して  
くる。少しだけ漏れた先走りを指ですくい、すくったその指をくわえる。  
かすかな自分の臭いと先走り独特のぬめりとを鼻と舌で感じながら、彼はし  
ばし自分を慰めた。  
 
土曜。エルが帰ってきたのは昼を少し回ってからだった。  
お帰りと出迎えると、かいだ事のない匂いをエルから感じ、そして直感した。  
これは…エルの彼女の匂いだ。  
やりきれない思いを抱きながら、その日の夕方、ジルはエルにそれとなく訪  
ねてみた。  
「ねぇエル?」  
「うん?」  
「なんか彼女と良い事した?」  
「あーいや、まあ、そう言う事自体初めてじゃないし」  
そこからは良く覚えていないが、とりあえず当たり障りのないやりとりが続  
いたのだろうとジルはそう思っていた。  
意外と女性経験が豊富だと聞き、嫉妬とともに、彼は初めての自分のことを  
リードしてくれるだろうかと考える。  
そう考えながら、ジルはある決心をついに固めた。  
 
さらに数週間が過ぎた頃である。  
生活に変わりはないが、ジルはエルに対する妄想と執着心を段々と高めてい  
った。そしてついに決行の日が訪れる。  
 
「今日はなんか疲れてるのかな。今日はちょっと早く寝るけどいい?」  
「あ、うん。今日は僕が当番だし、いいよ。お休み」  
ジルはエルが眠った事を確認すると、バスルームでしばしの前準備を整え、  
エルのベッドのそばに寄った。  
食事に少しだ入れた睡眠薬の力で、エルは深い眠りの底に沈んでいる。  
「重い…」  
ジルはエルの上半身をはだけさせその胸板に頬ずりをすると、重いその半身  
を抱き起こした。  
そして、彼自身でも自己嫌悪するほど倒錯していると感じつつも、そのエル  
の上半身にSMなどで用いる男性主人が身につけるようなボンデージを装着  
していく。  
やっとその作業が終わり、次の作業に移るため、エルのベルトに手をかけた  
ジルはそれだけでもう爆発しそうになったが、何とかそれを押さえると、あ  
らわになった股間と、その間にあるスリットと肛門をまじまじと見つめた。  
ジルは、自分の陰茎が痛いほどに勃ち、その穂先をぬらしている事に顔を赤  
らめながら、エルの下半身にもボンデージを装着する。  
すっかり装着すると、ヒモで両の手をそれぞれベッドの支柱につなぎ、両足  
も同様に繋ぐ。  
これで大丈夫な事を確認すると、自分もボンデージ姿になりエルの下腹部に  
腰を落とした。  
「エル…」  
ジルはエルの口元を舐め、そのまま徐々に首筋から胸に舌を這わせ、胸板に  
再度頬ずりをした。  
ううとうなり、エルが起きたのはその頃だった。  
「じ、ジル!?」  
驚きのあまり、飛び起きようとするとが、両手両足の拘束がそれを許さない。  
「ゴメンね…エル。でも、僕はこうするしかもうないんだ」  
ジルはそう言うとエルに口づけをした。  
その時点で、エルはもう事の次第に気がついた。よく分からないが、ジルは  
自分とやるつもりらしい。そして、それはどうにも回避出来そうもない。  
「僕は、ずっとエルの事が好きだったんだ。エルに新しい彼女が出来たって  
言ったろ。それからもう耐えられなかった。」  
「でも、好きっていえなかった。だって男が男を好きになるなんて変だろ」  
エルは頷いた。  
「ああ、オレもジルが好きだ。だからこれを外してくれ」  
ジルはかぶりを降ってエルに無理矢理ギャグをはめると、自分の顔をエルの  
股間に埋めた。  
閉じたスリットを前にして、彼の心臓はわれ鐘のように脈打ち、このまま待  
たねばならないとしたら、そのまま悶死するかとも思われた。  
むうむうとうめくエルにかまわず、ジルはためらいがちにその部分の匂いを  
かぎ、そのあとその割れ目に舌を這わせ始める。  
シャワーを浴びていないせいか、エルのそこからは汗や尿の味や匂いを感じ  
るが、ジルは一心に舐め、綺麗にする。  
エルは奇妙な感覚を覚えていた。男同士が行うこのような行為。体中の鱗が  
ささくれたつ程おぞましい行為にも関わらず、心地がよい。  
しばらくすると、その割れ目から、エル自身が姿を現し始めた。  
 
ゆっくりと膨張し、硬くなっていく様はそれはそれは奇妙なものだ。ジル自  
身でそうなるのを、何度も見ているにも関わらず、視点を変えればこうも違  
うのかと新鮮な驚きがある。  
また、エルのペニスには、ジルには無いものが付いている事に気がついた。  
それにはリング状のピアスが先端に一つ、竿の部分に3つある。  
「エルは大人なんだね」  
そう言いながら、ジルはいとおしげにエルに奉仕する。  
奉仕の甲斐あって完全に姿を現したそのものは、ジルのものの倍ほどもあり、  
その様子にジルはゴクリと唾をのんだ。  
なおも奉仕をすると、自分でも舐めた事のある、独特のぬめりを舌先に感じ  
た。  
ふぐうとエルがうめき、思わず腰を引く。唯一拘束されていない太い尾がジ  
ルの背中を叩いた。  
「エルが濡れてる…」  
このままいかせることも可能だろうが、それで次ぎたたなくなる事があれば  
あまりにももったいない。  
ジルは、いつの間にか酷く濡れている自分のペニスから先走りを指ですくい  
取り、エルのペニスに塗りつけ、舐める。  
「ごめん。エル。でも自分に嘘はつき続けられない」  
今度ジルは、先ほど自分の背を叩いたエルの太いしっぽにまたがると、ギャ  
グで口をふさがれたエルが、むうむうとなにやら声を上げる。おそらく、貞  
操の危機を想像したのだろう。  
「心配しなくても良いよエル。僕は君の彼女になりたいんだ」  
エルの胸板の上にしなだれかかり、だからと言って、全く安心の出来ない事  
をささやきながら、ジルは自分よりも大きさなエルのペニスに自分のペニス  
をすりつける。互いの粘液と、ジルの唾液で濡れた二人の肉棒は、こすれあ  
ってにちゃにちゃと卑猥な音と快楽を生み出す。  
「あっ…」  
棒同士がつるりと滑って交差したとき、ジルは我慢しきれず匂い立つ白い粘  
液をたらりとにじませた。  
ジルはふうふうと息を吐きながら、これ以上出すまいとこらえ、どうにかそ  
の衝動を抑え込んだ。そして彼は、エルの下腹部にたれたその粘液を舐め取  
ると、少し躊躇したのち、屹立する肉棒の上に自分の入り口をあてがった。  
「今から、僕の処女をエルにあげるね」  
あてがったジルは、はぁと息を吐くとゆっくりと腰を落としていく。  
異様な異物感と拡張感。そして力が抜ける。引きずり出したいような、一気  
につき入れたいような、不思議な感触を味わう。  
これがエル…なんだ。  
息をはき、あえぎながら、ついにジルは、エルのペニスを根本まで飲み込む  
ことに成功した。  
それにしても拡張感がすごい。エルは、仕入れた知識でもって、自分の感じ  
る場所を探す。腰を浮かせ、落とし、くねらせ、前後に揺すって快楽の場所  
を絞り込んでいく。  
 
このどん欲な動作でついに、ジルは自分の感じる場所を探り当てた。  
エルの先端と、そこに付いたピアスを、探り当てたところにこすりつけ、腰  
を振り、ジルは狂った。先端が当たるたび、彼のペニスには、根本から先ま  
でジンジンとした快感が突き抜け、先端からはいけない粘液があふれ出る。  
一方のエルは、欲望のままにジルを突き上げたい衝動を必死でこらえていた。  
ここでそれに負けてしまえば、駄目な一線を容易に越えてしまう。  
それには、早く出して萎えてしまえば良いのだが、ジルの狙ったように緩急  
をつける動作でそれもままならない。  
そのような拷問がしばらく続いた後、ジルはエルを深く受け入れたまま、そ  
の腰の動きを止めた。そして、忍耐の汗と唾液に濡れるエルのマズルを両手  
で優しく包み言う。  
「エルもいきたいんでしょ?」  
女性用ボンデージをまとったジルにそう言われ、もう何が何だかわからない  
まま、エルは首をたてに振った  
怪しい笑みを浮かべながら、ジルはエルの口からギャグを取り外す。  
マズルとマズルが合わさり、並んだ牙同士が引っかかる。口の中では、細長  
い互いの舌が絡みあい、互いをむさぼり合う。手の拘束が外されると、エル  
は上半身を起こしてジルを抱き寄せると、ジルが壊れんばかりに猛然と腰を  
使い始めた。まだ足の拘束が解けていないが、そんな事はもう関係がない。  
湿った音と互いの息使いが部屋に響き、二人の匂いが部屋を満たす。  
「あ…あ…そこ…!」  
ジルが吐息とともに呻くと、彼のペニスの先端からは白い液がたらたらと流  
れ落ち始める。それは緩急をつけたエルのストロークに合わせ、止めどなく  
流れながら、かさなり合った鼠径部に溜まっていく。  
やがて、その色から濁りが無くなる頃、エルがついに絶頂を迎えた。  
エルは強くジルの腰を引き寄せると、ジルのなかに精を注ぎ込む。  
どくどくと脈動しながら射精は続き、その間二人はマズルを合わせ、舌を絡  
ませあい、互いをより強く感じていた。  
どれくらいそうしていただろうか。完全に事を済ませたエルのペニスがゆっ  
くりと彼の体内に引き込まれ、エルの中に溜まっていた精液がごぼりと音を  
たててあふれた。驚くほどの量だった。  
エルの胸に突っ伏していたジルは満足げに起き上がる、自分の漏らした後と、  
こぼれ落ちたエルの精液を丹念に舐め取り、続いてその割れ目を丁寧に舐め  
あげる。すっかり綺麗になったところで、彼はエルに並んで横になった。  
「…」  
「…ゴメンねエル」  
「ああ」  
性別という垣根はもう越えていた。男女という区別はなく、肉体と心がつな  
がった二人という認識があるだけだ。  
二人はマズルを寄せ合うと、お休みのキスをした。  
 

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