『アミガメ 1.5』  
 
「それじゃ、行ってくる」  
「……ん」  
「おとなしくしてろよ、風邪はひき始めが肝心なんだから」  
 こくり。  
「行ってきま〜す」  
 
 何のことはない、アミが風邪をひいただけだ。  
微熱と体のだるさ。まぁ、風邪だわな。  
そういえば、病院はどうすんだろ。保険証とかあるはずないし…  
 
  * * * *  
 
 なんで? なんでこんなことになってんの?  
『家に帰ったら、この世の終わりかという沈んだ顔で泣いているアミがいた』  
な、何を言っているのか自分でもわからねーが、とにかくそうなっていた。  
「おい、アミ、どうした、何があった?」  
 とりあえず、この状況の原因が知りたい。  
「ごめん、なさい…わ、私、洋と最期までいられ、ない……」  
 
え。  
 
「ちょっ、どういうことだよ!」  
 冗談じゃない。そんなことあってたまるか。  
「私、きっと…ひ、ひどい病気…なん、だ」  
 病気? 病気だって? 風邪だとナメていたら…っていうアレか?  
「な、何があったんだ」  
「洋には、黙って、たん…だけど、朝から、お腹が、い、痛くて」  
 この馬鹿。異常な腹痛はかなりヤバイじゃねえか。  
 
「それで、ト、トイレに行ったら」  
「行ったら?」  
「な、なんか変なのが、わた、私の…ア、アソコから…」  
ん?  
 
「ち、血も混じってたし」  
それって…  
 
「なんか、ドロッてしたの、が」  
ですよねー。  
 
「あー…アミ、とりあえず落ち着け」  
「で、でも…」  
「それな、生理って言って、人間の女には普通にあることなんだ」  
「ふぇ…?」  
「だから、別に病気でもなんでもない」  
「え……」  
 まあ、亀に生理はないよな。  
にしても、何もなくて本当によかった。  
 
 
 おまけ。  
「あの…ドロってしたの…何?」  
「あー、確か…赤ちゃんのもと、だっけか」  
「え」  
「妊娠中は生理は無くなる、って話だったような…」  
「………(目がキラキラ)」  
 その後、アミは生理の度に悲しそうな顔をするようになりましたとさ。  
 
 

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