「うーん……」  
 
まだ大学を出たばかりの新米教師、沢城千夏は、教員用トイレの扉の前で  
ひとり唸っていた。  
原因はひとつ、扉に貼り付けられた『使用禁止』の張り紙である。  
放課後すぐのときは、たしかになかった。  
これが昼間ならばすぐ別の女子トイレに向かうのだが、時計の短針は9時を  
回っていて、同僚の姿はすでにない。  
人気のない校舎は存外に不気味なものだった。  
 
「やっぱりテスト作りなんて家でやればよかったかしら……」  
 
肩まで伸びた淡い栗色の髪を手で弄りつつ、まだ幼い印象を残す猫目をしばたかせる。  
……ここ、私立蘭央高校は古い伝統を持つ学校で、住宅街を見下ろす小高い丘の上に建っている。  
都市部の喧騒からは隔絶されているものの、夜になれば野鳥の鳴き声までが鮮明に聞こえ、  
若い女にはどうも不気味で仕方なかった。  
 
「おしっこだし……流さなければ問題ない、かな」  
 
千夏はジリジリとこみ上げてくる尿意に従い、ドアを開けた。  
白々とした蛍光灯の明かりに照らされた女子トイレはいつもと変わらず清潔で、  
なにも変わった様子はない。  
千夏はホッと胸をなでおろし、個室に入る。  
 
ガチャ  
 
鍵をかける乾いた音が、妙に大きく聞こえた。  
 
「ん……しょっ、と」  
 
スカートとショーツを下ろし、多少蒸れた陰部を外気にさらすと、  
心地よい開放感に身をゆだねた。  
小水とともに息を大きく吐きながら、ふと自分の境涯を考えたりする。  
大学の教育課程を修了したときに思い浮かべていた理想像には及ばないものの、  
自分としてはそれなりによくやっていると思う。  
机上と実地のギャップを少しずつ埋めながら、毎日を懸命に過ごしている。  
つい先日まで学生であったこともあり、女子生徒の気持ちにはすぐに共感できた。  
年頃の女の子たちが持つ悩みに相談に乗ったりすることも多い。  
しかし蘭央高校は共学であり、もちろん男子生徒も存在する。  
女子高、女子大育ちの千夏にとって、思春期の男性に囲まれた環境というのに、  
いまだに馴染めないでいる。  
 
(普段は女の子よりずっと子供なのに、たまに……あんな目をするのよね)  
 
本当に些細なことだ。  
落ちたチョークを拾う瞬間、階段を上っている途中、薄手のブラウスを着ているとき、  
ふと視線を感じて振り向いてみると、男子が鋭い視線で食い入るようにこちらを見つめていたりする。  
そのあとすぐに慌てて目をそらすものの、もし周囲に誰もいない、まったくの密室だったらと考えると、  
背筋にぞわりとしたものが走るのだ。  
そんな戸惑いを見透かされたのか、ある大人びた女子からは『先生はいい体してるんだから、  
気をつけないと怖い目にあうよ』などと茶化された経験もある。  
事実、千夏の肉体は同姓から見ても羨ましく、異性にとっては悩ましいほどのプロポーションだった。  
すらり伸びた手足にキュッとくびれたウエスト、しかしながら胸や臀部といった女性を象徴する  
部分にはたっぷりと柔肉が乗った、どこか西洋人じみた肢体なのだ。  
男子生徒の間では生徒会長、神薙美鈴と双璧をなす、蘭央を代表する美女のひとりに数えられていた。  
 
(ふう……若いのだから気持ちはわかるけど、あんな露骨に見られると……)  
 
とうに放尿は終わっているのに、なぜか物思いにふけってしまった。  
身持ちの硬い千夏だったが、さすがに処女ではない。  
しかし大学時代に唯一付き合っていた男と上京を機に別れ、それからというもの、  
セックスにはご無沙汰だった。  
男性と違い、誰でも良いというわけにはいかなかったが、熟れきった肉体はどうしても『雄』に感応してしまう。  
教壇に立ちながら、あろうことか机に座る男子の性器を想像してしまうこともあった。  
やはりアレは肉体に比例して大きくなるのだろうか。  
それとも小柄な生徒に不釣合いなほどたくましいペニスだったりするのだろうか……と。  
 
「んくぅ……は、あぅん」  
 
千夏は自分でも気づかぬ間に、豊かな乳肉に手を伸ばしていた。  
手のひら全体で乳房をこね回しつつ指先でカリカリと乳首を引っかくようにすると背筋がピンとはねた。  
 
「だめ……こんなところで、はぅっ」  
 
おかしい。  
オナニーは休みの前の日に定期的にやっていても、学校でこれほど催すようなことはなかった。  
にも関わらずさっきまでの心細さがうそのように溶解し、敏感な肉体は己の指をさらに求める。  
乳首はブラウス越しの刺激にさえすでに屈服しかけ、薄い布地を押し立てていた。  
 
「あぅ! く……ふぅっ」  
 
頬を高潮させ瑞々しい肌にうっすらと汗をにじませた千夏は教育者にあるまじき淫猥をまとっていた。  
次第に、うっすらと脂の乗った大腿が左右に開き始め、指は自然と股間に導かれていく。  
柔らかな秘裂に指を這わせた途端、千夏は白い喉を見せてのけぞった。  
 
「だ、だめなのに……学校で、こんなこと……んっ…」  
 
家でするよりもずっと強力な快感に、戸惑いよりも恐怖が先にたった。  
皮膚を一枚べろりと剥いてしまったかのような鋭い感覚に、脳さえもとろけて、  
あらぬ幻想を映し出す。  
教室で、トイレで、グラウンドで、プールで、校舎のあらゆる場所で男子生徒に  
輪姦される自分の姿が、そこにあった。  
男たちは全員違う顔だ。  
童貞を捨てようと千夏に覆いかぶさり、拙い腰使いでがむしゃらに突いてくる男。  
手馴れた様子で千夏の片足を抱え上げ、弱いところをねぶるように責めてくる男。  
ただ、どの妄想にも共通してしているのは喜悦に満ちた女の表情だった。  
口からはだらしなくよだれを垂らし、目には涙を浮かべ、狂おしくあえぐ雌に、  
次から次へと挑んでくる教え子たち。  
10代の最も生殖機能に優れた男たちは、女教師の子宮を苗床さながらに子種を注ぎ込む。  
 
「いいわっ…! きてっきてっ、もっと奥まで、突いてほしいのぉ!」  
 
若い肉棒の代わりに自らの指で濡れそばった膣口を責めると、絶頂の予感が脳髄をしびれさせる。  
やがて来るであろうクライマックスにこらえようとする女体の下で……便器に溜まった水がゆらりと波打った。  
 
ズドッ ブリュッ ギュル…  
 
「っう!……あぇ?」  
 
悦楽を貪ることに夢中だった心身が未知の衝撃に一時停止する。  
最初に思いついたのは、便意だった。  
腸内に突然大便が出現したようなその感覚が、しかしまったくの錯覚であることにはすぐに気づいた。  
 
「お…おしゅりのなか……はいって、る…?」  
 
ギュプ! ズビュ…ヌチッ  
 
「んっぁぁぁぁぁ……!」  
 
千夏の朦朧とした問いに答えるかのように、腸内に進入した異物がうごめきだす。  
途端に弛緩していた肉体がギュッと縮こまり、背は丸まって股はぴったりと閉ざされる。  
正体不明の侵入者を排泄しようとする生理現象であったに違いないが、それでも  
粘液にまみれたその物体は直腸を縦横無尽に暴れまわる。  
 
「はぐぅ! おぉぉぉぉぉぉ……!」  
 
括約筋の抵抗など意に介さずに千夏のアナルを蹂躙するナニか。  
立ち上がろうとしてもとても力が入らず、倒れようとしても腸の内部から  
ぐいぐい引っ張られるようで思うように体を動かせない。  
しかも不幸なことに、先ほどまで昂ぶっていた性感までが肛門からの刺激に目を覚ましはじめた。  
 
「はぅっ…なんで…おしりなんかでっ!」  
 
もはや千夏本人には思考さえできなかった。  
ただひたすら下腹部をかき乱される鈍い感覚に耐えながら、その火種が快楽中枢を  
焦がしていくことに身を震わせていた。  
異物は先端から崔淫効果のある体液を分泌しつつ、絶えずアナルを犯し続ける。  
 
ビピュッ ジュップ グリュ!  
 
「ふぎぃ! く……いぁぁぁぁッ」  
 
人間がひとりとそうでないものが一体、甘美な不協和音を夜の校舎に響かせている。  
そのうち音をあげたのは、むろん女のほうだった。  
 
「も、もうだめ! いくわ! わたし、イってやるんだからぁ!」  
 
わけもわからないまま、千夏は生物として最も安楽な選択を採った。  
便座を手でがっしりと押さえ、されるがままを卒業してみずから腰を振りたくる。  
はじめてのアナルを人外に奪われるという奇異な状況においてモラルや自制など  
あろうはずがなかった。  
犯したければ犯せばいい、こっちはこっちで楽しんでやる。  
そんな自暴自棄な気持ちが千夏を狂わせていく。  
 
「ふあッ! 硬くてぇ、熱くてぇ、とっても気持ちいいの〜!」  
 
それが唯一の抵抗であるかのように、恋人相手にもしたことのない激しいグラインドで  
侵入者を応対する。  
しかし千夏は致命的なことを忘れていた。  
白濁した本気汁を垂れ流す、もうひとつの肉穴の存在を……。  
 
ヌプ…ずりゅずりゅ…コツ  
 
「あ……」  
 
アナルを陵辱するものとは別のナニかが瞬く間に女淫を貫き、子宮口に到達する。  
腸よりも知覚神経に勝る膣が、圧倒的な質量と熱を誇るソレが脈動し、なにかを吐き出さんとするのがわかった。  
 
「待っ…」  
 
ビュルルルルル! ビシャッ  
 
嘆願が口を突く前に、濃厚な粘液が子宮に放たれた。  
下半身に熱が広がるよりも先に脳髄が沸騰した。  
 
「……………………!!!!!!!」  
 
全身の毛がゾワゾワと逆立つようなありえないほどの快美感。  
膣が、そして開発されたてのアナルが悦びのあまり痙攣しながら異形の肉塊を締め上げる。  
痴呆のように舌をだらしなく突き出し、焦点の合ってない目はこの世ならぬ彼岸を見つめているようだった。  
 
「……はぁ、はぁ…ふぁ」  
 
凄まじいまでのオーガズムが終わるのにたっぷり数分はかかった。  
そのあいだ、女の双穴を占拠したままの異物はたまに胴震いするだけで、新たな動きは見せなかった。  
疲れ果てた、というよりは、まるで征服者の余裕のように感じられた。  
 
「……なんなのよ、いったい…」  
 
いまだ夢遊病患者のような面持ちで、千夏はつぶやいた。  
するともう一本、不気味な肉棒が股のあいだから顔を出し、もぞもぞと千夏の服の隙間に侵入してきた。  
 
「ひっ…」  
 
息を呑む女教師の下腹から臍、そして双乳の豊かな谷間を通り、触手が千夏の眼前に姿を現す。  
生臭い異臭と表面に浮きだった幾筋もの血管、そして膨らんだ先端部分。  
それを直視した瞬間、千夏の回線がプツンと切れた。  
 
「あはは……そっか、オチンチン、だったんだあ」  
 
すでに瞳に正気はなく、どこかやさしげな表情となる。  
そしてなにを催促されるでもなく、やおら腕組みするように美巨乳を寄せてあげ、  
ムッチリとした太ももでやんわりと触手を挟みゆっくりと体を上下する。  
全身でおこなう『素股』だった。  
千夏の動きに連動するように、下半身の触手もヌチヌチと蠢きだす。  
 
「アハ! オマンコとおしりのほうも、また動いてくれるんだ……嬉しい」  
 
触手の亀頭に頬擦りをし、キスまでしながら、女教師は夜の闇に堕ちて行った……。  
 

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