「お兄ちゃん、本当にこれ全部食べていいの?」  
 ミキちゃんは満面の笑みで俺を見上げた。  
 膝の上にちょこんと乗っかっている体がほんの少し重心をずらし、甘えるようにもたれかかってくる。上目遣いの瞳はこぼれ落ちそうなほど大きく、ピンクの唇からは唾液に濡れた舌先が我慢できないとばかりにちょっぴりはみ出している。  
 目の前の机には色とりどりのショートケーキ。定番のイチゴショートに、表面に光沢のあるチーズケーキ。茶色い粉のかかったチョコケーキに、こんもりと山盛りになったモンブラン。  
 特に記念日というわけではない。買い物帰りにふとケーキ店に目がいって、ミキちゃんにプレゼントしたくなったのだ。  
 少し買いすぎたかとも思ったが、ミキちゃんはまるでお菓子の家でも見たかのように飛び上がって喜んでくれた。  
「イチゴのも、チョコのも食べていいの? これ、全部ミキのケーキ?」  
 嬉しくてたまらないといった様子で繰り返し聞いてくるので、ついつい俺も締まりのない顔になる。  
「いいよ。全部ミキちゃんのために買ってきたんだから」  
「お兄ちゃん、ありがとう!」  
 ミキちゃんはくるりと体をこちらに向けて抱きついてきた。  
 膝の上で無造作に反転されても軽い体。力強く抱きついていてもか弱い感触。小さな全身でいっぱいに喜びを表現している様子は、なんてまっすぐで愛らしいんだろう。  
 俺はミキちゃんのつややかな髪に浮かんでいる天使の輪っかをそっとなでた。  
「はい、手を合わせて?」  
「いただきますっ!」  
 ミキちゃんは飛びつくようにフォークを取った。それからチョコレートとイチゴの間を二、三秒泳がせて、結局イチゴの脇の生クリームに突き刺した。  
 一つ一つの些細な動作でころころと表情が切り替わる。ケーキを頬ばる姿は本当に幸せそうで、ぷっくりした頬が小刻みに上下しているのを見ると、思わずなで回してしまいたくなる。  
 食べてる最中はやめてほしいと怒られたからやらないけれど、内心はミキちゃんのあまりの可愛らしさに悶絶しきり。手がわきわきと動いていた。  
 ミキちゃんは同じマンションに住んでいるという、ただそれだけの繋がりの子だ。  
 マンションの駐輪場で一人で遊んでいるところにたまたま出くわして以来、少しずつ仲良くなって今ではまるで本当の兄妹のような仲になった。  
 俺はずっと妹がほしくてたまらなかった。昔から大が十個以上付くくらいの子ども好きだった。  
 しかしなかなか環境に恵まれず、親戚連中もしわだらけ白髪だらけで小さな子どもなど一向に生まれてきそうになかった。  
 いっそ自分で産めないものかと本気で悩み初めていたところだ。  
 そんな俺にとって、ミキちゃんはまさに天使だった。  
 俺の膝の上で、俺の胸に背中を預け、俺の買ってきたケーキを幸せそうに食べる女の子……!  
 目の中に入れても痛くないどころか、入れたまま閉じこめてしまいたい。  
 実際には可哀想だからそんなことはしないが……。一心不乱にケーキをむさぼるミキちゃんを微笑ましいと思いながらも、次第にケーキが妬ましくなってくる。閉じこめたりしない代わりに少しは構ってもらおうと、俺はミキちゃんのお腹にそっと手を回した。  
 Tシャツとスカートの間から手を入れると、産着のように温かで陶器のようになめらかな肌がしっとりと吸い付いてくる。何度触ってもたまらない手触りにうっとりしながら、おへそを中心にさわさわとなでさすった。  
「こんなに小さなお腹のどこにケーキが入っているのかな?」  
 ミキちゃんはくすぐったそうに身をよじる。  
「まだ入るもん。邪魔しちゃダメ! 笑ったら食べられないよぉっ!」  
 フォークが皿に当たってガチャンと大きな音を立てたが、俺は構わずに気持ちのいいお腹をなで続けた。  
 くすぐったいのを我慢しながらそれでもケーキを食べ続けるミキちゃんは、犯罪的なまでに可愛らしい。ちょっといじめてみたくなる。  
「ミキちゃんが食べてる間お兄ちゃん暇だからね。ゲームしようか」  
 ミキちゃんはきょとんとした顔をして、フォークをくわえながら小首を傾げた。  
 俺はくすりと笑って手を動かす。  
 おへその両脇から左右対称に上を目指して、肋を押し包むようにしていくと、すぐにぽつんとした小さなつぼみに行き当たる。  
 まだ明らかな起伏はなくて、その部分だけがほっこりと隆起している。手のひら全体でもみほぐしてから、親指と人差し指でつまみ上げ、クリクリと緩くつねった。  
 ミキちゃんは顔をしかめた。  
「ゲームってこちょこちょ? やだよぉ。お兄ちゃんにこちょこちょされたら、ケーキ食べられなくなっちゃうよ!」  
 そう言いながら暴れようとはしない。ミキちゃんはこちょこちょされるのが大好きなのだ。  
 
「それをなんとかするのがゲームだろ?」  
 俺がにやりと笑ってみせると、うぅーっと不満そうにうなり声を上げる。しかし俺の膝から離れることはなく、フォークが離されることもなかった。  
 俺はミキちゃんの耳元でささやいた。  
「こちょこちょこちょこちょ……」  
 ふにふに。  
「こちょこちょこちょこちょ……」  
 クリクリ。  
「こちょこちょこちょこちょ……」  
 もみもみ。  
「んっ……ふぁぁぁ……っ!」  
 ミキちゃんが甘い声を上げて身じろぎする。フォークがぶるぶると震え出す。  
「ケーキ食べなくていいの? せっかくミキちゃんのために買ってきたのに」  
 そう言うと、怒ったように見上げてきた。  
「食べるもん。食べるけど……こちょこちょ、気持ちいいんだもん」  
「じゃあ、もっとしてあげるね」  
 俺はまたささやいた。  
「こちょこちょこちょこちょ……」  
 未発達なつぼみを育てるように、さんざんつまみ上げて固くしておいてから、先端をすりすりと擦り上げる。中心にあるはずの穴を探るように、指先をくい込ませてグリグリした。  
「んあぁん! 気持ちいいよぅ……っ」  
 ミキちゃんが喜んでくれると俺も嬉しい。それに、ミキちゃんのここも小さくて健気で可愛らしい。  
 親指と人差し指でちょんとつまんでから、ぎゅうぅっと引っぱる。  
「きゃふぅっ!」  
 とうとうフォークが投げ出された。  
「こうさーん! 降参だよぅ。お兄ちゃんのこちょこちょ、気持ちよすぎるよぉ!」  
 ミキちゃんの瞳は潤んでいて、口の端からはわずかによだれがこぼれていた。俺はそれを拭いてやりながら、「じゃあ、ケーキの残りはまた明日だね」と言って頭をなでた。  
 冷蔵庫に入れておけば明日まではもつだろう。悔しそうに頬をふくらませているミキちゃんは可愛いらしいし、明日もまたケーキに目を輝かせている様子を見ることができる。  
 ついでに今みたいに遊ぼうかな、と考えていると、ミキちゃんがうなりながら「明日は負けないもん……」とつぶやいた。  
 思わずくすりと笑ってしまう。  
「ミキちゃんは本当にこちょこちょに弱いね」  
「……いつもはこうじゃないもん。お兄ちゃんのこちょこちょだけなんか違うんだもん」  
「お兄ちゃんはミキちゃんが大好きだからね。痛くないよう丁寧にこちょこちょしてるんだよ」  
 そう、俺は子どもの頃親父にからかわれてさんざんくすぐり回されたことがあるが、あれはくすぐったいというよりもかなり痛かった。大人の力加減は子どもには倍以上に感じられる。子ども好きの俺は絶対にそんなことはするまいと強く思ったものだ。  
 子どもにはとにかく優しくして、全力で可愛がるのがいい。こんなに愛らしい生き物は他にいないのだから、大切に大切にしなければならない。  
 ミキちゃんは頬を淡く染めてはにかんだ。  
「えへへー。ミキもね、お兄ちゃん、大好きぃ!」  
 ああ、可愛い……。  
 俺は頬が緩むのを抑えきれなかった。  
 初めて出会ったとき、駐輪場で一人で遊んでいたときのミキちゃんは、とても寂しそうだった。ミキちゃんは一人っ子だし、母親はあまり社交的ではなく、一緒に遊んでやるよりも「外で友達を作りなさい」という方針らしい。  
 しかしこのマンションで子どもを見かけたことはない。ミキちゃんはいつも一人だったのだ。  
 ずっと、もしも妹ができたらあれもしてやる、これもしてやると思っていたことを、ミキちゃんには全部してあげたつもりだ。  
 子どもは大好きだが接した経験が少ない俺には毎日おっかなびっくりの連続だったが、こうして『大好き』という言葉を聞けるようになり、間違っていなかったのだと安心すると同時に途方もなく幸せな気分になる。  
「ありがとう、ミキちゃん。大好きだよ」  
 俺はもう一度、改めて言葉にした。  
 ミキちゃんは照れたように微笑んだ。  
 いつまでも幸せの余韻に浸っていたいが、そうもいかない。甘いものを食べさせた後は歯磨きをさせておかないと、綺麗な乳歯がすぐに黒くなってしまう。俺のせいで歯医者通いをさせるわけにはいかないのだ。  
「ミキちゃん、歯磨きしようか」  
「うん」  
 ミキちゃんはこくりとうなずいた。  
 洗面所にはミキちゃん専用の歯ブラシを常備してある。イチゴ味の歯磨き粉。うさぎのイラストが描かれたピンクのカップ。子どもならではのアイテムが小さな手に収まる光景はいつ見てもため息が出るほど愛らしい。  
 ミキちゃんは鏡を見つめながら真剣に歯を磨きだした。  
 
「はい、上の歯、下の歯。前歯、奥歯。全部ちゃーんと磨いてね?」  
「うん!」  
 俺の言葉にいちいち律儀にうなずくので、時々歯磨き粉を飲み込んで気持ち悪そうにしている。ミキちゃんには悪いけど、それが可愛いらしくてついつい何度も声をかけてしまう。  
「歯の裏側もしっかりと磨くんだよ?」  
 ミキちゃんはまたまた律儀にうなずいた。  
 ようやくまんべんなく磨き終わって、次はうがいをする番になった。ミキちゃんはまだ顔を上げてガラガラとやるうがいはできない。口の中でくちゅくちゅさせて、ぺっと吐き出す。  
 くちゅくちゅするときの頬の動きがリスがひまわりの種を頬ばっているようでとても可愛い。思わずふにふにとつつきたくなるが、一生懸命我慢する。  
 ミキちゃんは数回うがいをしてから俺を見上げた。  
「うん、じゃあよく磨けたかどうか確認するね」  
 俺はミキちゃんのふっくらとした頬を両手で包み、ちゅっと音を立てて口と口をくっつけた。二、三回そうしてから、舌を突き出してやわらかい唇を割っていく。ぷるぷるとした感触はなんとも言えず、俺はいつも食べてしまいたくなる衝動をなんとか抑えて舌を伸ばす。  
 歯列をなぞり、内壁をねぶり、かき回して、絡め取る。あふれる唾液がぴちゃぴちゃと音を立てる。  
 両手で包んでいる頬がかすかに震え、次第に息が熱くなる。  
「ん……っ、はぁぁぁ……」  
 くぐもった声が漏れだして、ミキちゃんの足はぶるぶると動いた。  
 もう一度口内をかき回してからゆっくりと唇を離すと、銀糸の橋がとろりとかかり、うっとりとした吐息に途切れてかき消えた。  
 ミキちゃんはうっすらと口を開いたまま、ぼんやりと俺を見ている。  
 俺はその頭をよしよしとなでた。  
「はい、綺麗に磨けたね。じゃあ次はトイレだね」  
「はぁーい!」  
 ミキちゃんは素直に返事をしてトイレに行った。  
 飲み食いした後はもよおすものだが、子どもは大人に比べてトイレが近い。気づいたときに行かせておかないと、おもらしをさせてしまうことになる。  
 おもらしするミキちゃんも恥ずかしくて泣いてしまうミキちゃんも怒られるかなと心配するミキちゃんも可愛いけれど、そう何度も悲しい顔をさせたくはないので、食事の後は必ず行かせるようにしていた。  
 トイレから出てきたミキちゃんは「ちゃんとしたよ!」とばかりに胸を張った。  
 俺はもう一度よしよしと頭をなでてウェットティッシュを取り出した。  
「じゃあ、下のお口も綺麗にしておこうね」  
「……うん」  
 ミキちゃんはうなずいて、ぴらりとスカートを持ち上げた。  
 純白の綿パンツ……のはずが、大事なところが少し黄色くなっている。  
 ミキちゃんはお尻は綺麗に拭けるが、おしっこの後はまだ上手に拭くことができなかった。お尻よりも柔らかくてぐにぐにしているので、どう拭けばいいかわからないらしいのだ。ティッシュを当てるだけ。時には拭かないこともあるらしい。  
 時折スカートの裾から手を入れてむずむずしているような仕草を見せたり、しゃがんで顔を近づけるとかすかにおしっこのにおいが漂ってきたりするので、ミキちゃんをトイレに行かせた後は俺が拭いてあげるようにしていた。  
 可愛らしいパンツをついっとずらすと、細い足をするすると滑り降りて床に落ちる。足と足の間に黄色く染まった股布がごまかしようもなく広がって、ミキちゃんは恥ずかしそうに目を背けた。  
「大丈夫。笑わないよ」  
 俺はミキちゃんの頬をそっとなでた。  
 ミキちゃんは何も言わなかったが、俺の手にすりすりと頬を寄せてきた。  
「うん、大丈夫だからね」  
 ミキちゃんの下腹部はつるつるしていて、付け根にわずかなくぼみがあるだけで、あとは特に何もない。毎回毎回いつかここに毛が生えてくるんだな、と思いながら、それらしい部分をなぞってみるのだが、今はまだ気配すらなかった。  
 ウェットティッシュをまとわせた指先をくぼみにゆっくりとくい込ませる。ミキちゃんがわずかに身をよじったが、ちょんちょんとつつくようにして進めていくと、次第に足が開きだした。  
 両手は口元を押さえて、何かを耐えるようにしている。か細い声が俺を呼んだ。  
「お兄ちゃん……」  
「うん、もうちょっと足を開いて?」  
 ミキちゃんはそろそろと、少しずつ足を拡げていく。以前はもっと無造作に開いていたのに、近頃は羞恥心が芽生えだしたらしい。頬を赤く染めて、わずかに潤んだ瞳で俺を見た。  
「笑わないって言っただろう?」  
 ミキちゃんはふるふると首を振った。  
「……違うもん。なんか最近……お兄ちゃんにここをキレイにしてもらうと、こちょこちょよりもっと気持ちいいんだもん……」  
「綺麗にして気持ちよくなるのは当たり前だよ」  
 
「ぅん……。でもぉ、ドキドキ、するんだもん……」  
 恥ずかしそうに、伏し目がちに、それでも潤んだ瞳に俺を映してそうつぶやいたミキちゃんは、可愛くて、とても……綺麗だった。  
 こんなにも素晴らしいものが俺の手でもたらされたのだと思うと、全身をすさまじい感動が駆け巡る。  
 小さな子どもってなんて素晴らしい存在なんだろう。ミキちゃんはどうしてこれほどに愛おしいんだろう。この行為がそれほど気持ちいいというなら、これからはさらに丁寧に、いっそう気持ちよくしてあげよう。  
「ミキちゃんがもっとドキドキしてくれると嬉しいな。だから、綺麗に綺麗にしてあげるね?」  
 そう言って微笑みかけると、ミキちゃんは真っ赤な顔をうつむかせた。  
「ミキちゃん、足を開いてくれる……?」  
「……うん」  
 ミキちゃんは小さくうなずいて、ゆっくりと、ちょうど肩幅くらいに足を開いた。  
 ほっそりとした足の間から上をのぞくと、ぷっくりとした肉を分ける線がまっすぐに引かれている。  
 俺は指をくい込ませて、クチクチとかき分けるようにそこを拭いた。温かくてやわらかい、そして張りのある弾力が伝わってくる。ぐりぐりと指を回して味わっていると、そのうちウェットティッシュがぬるぬるしたものをにじませてきた。  
「ミキちゃん、ここも開いてくれる……?」  
 ミキちゃんはおずおずと手を下ろし、人差し指と人差し指でゆっくりと割れ目を開いた。  
 ピンク色の粘膜がてらてらと輝いている。手前と奥の方にある小さな傷のような筋が、わずかな収縮を呼吸のように繰り返していた。  
 そこだけを見ても充分に愛らしくて綺麗だったが、やはりあちこちに恥垢がある。俺は一つ一つを羽根を拾うようにして取り除いた。  
「……んっ、あ……っ」  
 どこにどう触れてみても、俺が指を動かす度に、ミキちゃんの足がぶるぶると激しく反応を示す。ウェットティッシュはすっかりぬらつき、次から次へとあふれる粘液を吸い取りきれなくなっている。  
「ちょっと待ってて。そのままでいてね」  
 俺は手を伸ばしても取れないところにある新しいティッシュを取りに行った。  
 ミキちゃんは割れ目を拡げたまま突っ立っていて、ふとももの付け根がこぼれ出した粘液でてらてらと光り、徐々にその範囲を下に拡げようとしていた。  
 俺は慌ててそれを拭いた。ミキちゃんの割れ目の深いところにティッシュの端をねじり込む。  
「よし、これでしばらくこぼれない。ミキちゃん、寝転がってもう一度ここを拡げてくれるかな?」  
「うん……」  
 ミキちゃんは恥ずかしそうにうなずいた。  
「……あのね、ミキね、今のより、そっちの方が好きなの……。そっちの方がいっぱいキレイにしてもらえるんだもん」  
「そうか……、よし、わかった。これからはずっとこっちにするね」  
「うん……。あのね、あとね、いつも、拭いてくれた後になめなめしてくれるでしょ? ミキ、それが一番気持ちよくて大好きなのぉ……」  
 俺はミキちゃんの頭をなでなでした。  
「じゃあ、今日は指はもうおしまいにしていっぱい舐めてあげようか」  
「うん!」  
 ミキちゃんは嬉しそうに笑って、ごろんと勢いよく寝転がった。足を開いて膝を立て、急にもじもじとしてそうっと割れ目を開いていく。俺はその足をさらに持ち上げて、ミキちゃんの大事なところをじっと見つめた。  
 ぬらついた花びらは密やかに息づいている。ぱくぱくと何かを求めるような収縮はいっそう激しくなり、埋め込んだティッシュを合図のように揺らしている。にじみ出す蜜が早速また新たなぬかるみを生みだそうとしていた。  
 くまなく見つめてみたが、恥垢はすべて取り除けたようだった。鼻を近づけてくんくんとにおってみても、今はむしろ際限なくあふれ出す粘液の濃密な香りに満たされている。  
 すっかり湿ってしまったティッシュを一気に引きずり出すと、輝く糸がとろりと伸びた。このまま下着をはかせるわけにはいかないので、いつものように舌を伸ばす。  
 今までよりももっと気持ちよく……といっても、常に念入りにしていたのでこれ以上は具体的にどうすればいいのかわからない。とにかく丹念に、丁寧に、じっくりと舐めしゃぶることにした。  
 まずは舌先でチロチロと、全体を細かくなぞり上げていく。時々べろりと押し付けて、急につんつんとつついてみたり、たっぷりと唾液を含ませてレロレロとしゃぶってみたりする。  
「あ……っ! んぅ、ふわぁぁ……っ!」  
 視界の端で白い靴下が残像を描く。その動きがもっともっととおねだりをしているようで、俺はミキちゃんのふとももをしっかりと抱え込む。  
「ひゃぁぁんっ!」  
 こうすると力の逃げ場がなくなって、ありったけの快感だけを受け止めてくれるようになる。  
 
 そうしてさんざん表面をねぶってから、舌を尖らせて深いところをチロチロと舐めた。  
 ミキちゃんの穴はまだ小さくて、舌といえども強引に進めれば裂けてしまいそうな感じがする。……おそらく無用の心配なのだが、どこまでも優しくしてやりたかった。  
 少しずつ、少しずつ。  
「あっ、あっ、ふぁ……っ」  
 ゆっくり、ゆっくりと。  
「んっ、あっ、ひゃ……っ!」  
 拡げて、拡げて、拡げて、舌を突き刺す。  
「きゃぁん!」  
 一度くわえ込ませると後は離すものかとばかりにぐいぐい締めつけてくる。ぎゅうぎゅうと吸い付いて、強烈な力で引っぱられる。その中を無理やり押し広げ、あふれ出る蜜を飲み下し、さらに奥を開くために執拗にねぶり続ける。  
「あぁぁぁん! お兄ちゃん! お兄ちゃぁん……っ!」  
 俺を呼ぶミキちゃんの声がどんどんと甘く、高くなるのが、粘ついた水音の中で聞こえてきた。  
 ミキちゃんのお汁は飲んでも飲んでも限りがなくて、飲んでも飲んでも飽きがこない。俺はほぐした穴に何度も舌を抜き刺しし、その度に掻き出される蜜を味わい、まるで蛸のように吸い付いて離れなかった。  
「お兄ちゃぁぁぁんっ!」  
 ミキちゃんの指が俺の頭をきゅうっとつかむ。声がいっそう高く響く。ずるずると舌を引き抜き、奥まで一気に入り込む。  
「ひあぁぁぁぁぁ……っ!」  
 甲高い泣き声と同時にぷしゃあぁぁぁっと激しい音がした。俺の顔は大量の飛沫でびしょびしょに濡れそぼった。  
 ミキちゃんはつま先までをピンと伸ばし、お腹をヒクヒクさせて小刻みに震えている。内壁はぎゅうっと締まって、徐々に力を抜いていった。  
 俺は完全に力が抜けるのを待ってから、ゆっくりと舌を引き抜いた。  
「これで全部出たね。じゃあ、次はから拭きだ」  
 俺の声が聞こえているのかいないのか、ミキちゃんはぼんやりと宙を見つめたまま動こうとしない。口元にうっすらと微笑をにじませて、酔いしれたように体を投げ出している。  
 俺はくすりと笑ってタオルを手にした。こうなったミキちゃんを綺麗にするにはティッシュじゃとても追いつかないので、スポーツタオルを使うことにしている。  
 足の先からゆっくりと包むように拭いていくと、ふとももの付け根に届いたところでミキちゃんの体がぴくりと揺れた。ヒクつきっぱなしの割れ目を見てどうしようかなと思ったが、このままでは体を冷やしてしまう。  
 タオルでやんわりとそこに触れた。  
「……あっ」  
 ミキちゃんの体がまたぴくりと動く。  
「……んんっ」  
 大陰唇、小陰唇、尿道口、クリトリス、そして膣口。拭きながら改めて眺めていると、ミキちゃんのそこは明らかに未発達で、つくづく壊れ物のように思えてきた。  
 壊さないように、痛くないように、丁寧に丁寧に拭くのだが、優しくすれば優しくするほどミキちゃんは猫が甘えるような声をもらす。  
「あ……んぅん」  
 もっと気持ちよくしてあげたいけれど、これ以上やるとすぐにまたびちょびちょになってしまう。  
 俺は内心でごめんね、と苦笑して、昨日洗濯したばかりのミキちゃんのパンツを取りに行った。ついでに今日の分を洗濯かごに入れておく。  
 ミキちゃんのパンツは白の無地ばかりなので、おしっこの汚れがなかなかとれず、洗濯したばかりでも黄色い染みがかすかに残ってしまっている。せっかく綺麗にしたのだから真っ白なのをはかせてあげたいが、これはこれで可愛いのでいいかと思う。  
 パンツを持って戻ってくると、ミキちゃんはまだぼんやりと寝そべったまま動かずにいた。  
 脱力している足を持ち上げて穴に通し、もう片方の足も同じにする。それから両足をまとめて持ち上げ、そのままするすると下に降ろす。  
 最初の頃はどうすればいいかわからなかったパンツのはかせ方も、今では流れるようにスムーズだ。初めての子を持った親が次第に子育てに慣れていくように、俺も段々ミキちゃんの面倒をしっかりと見られるようになってきたみたいでなんだか嬉しい。  
 満足感に浸りながら、ミキちゃんの頭をぽんと叩く。  
「ミキちゃん、起きて。終わったよ」  
「……ぅん」  
 ミキちゃんは小さく返事をしたが、それだけだった。両手がわずかに持ち上がるものの、それ以上は力が入らないのか、再びふらりと降ろされていく。  
 今日は噴き出した飛沫の量もかなり多かった。どうやらいつもより気持ちよくさせることができたみたいだ。  
「今度からは今日みたいにいっぱい舐めてあげるからね」  
 ミキちゃんはとろけるように微笑んだ。  
「うん……。お兄ちゃん、ミキ、すっごく気持ちよかったぁ……」  
 その笑顔があまりに可愛くて、俺はミキちゃんの頭を何度もなでた。そのうちそれでは足りなくなって、ミキちゃんを抱き起こしてそっと抱えた。  
 
 ミキちゃんが宝物にしている絵本のラストに、王子様がお姫様を横抱きにしているイラストがある。俺は王子様ではないけれど、こうしてあげるとミキちゃんは本物のお姫様になったみたいに喜んでくれる。  
 今も、とろけるような笑顔をいっそう甘くとろかして、うっとりと俺に身を寄せてきた。そのまますりすりと頬をなでつけ、上目遣いに「えへへ」とはにかむ。  
 可愛い。  
 とろかされているのは俺の方だ。  
 俺はミキちゃんを抱き上げたまま、頬と頬をくっつけたり、額にキスを贈ったり、「大好きだよ」と何度も耳元でささやいたりした。  
 しばらくの間ずっとそうしていたが、突然、ミキちゃんが驚いたように跳ね上がった。  
「あぁっ! もう時間になっちゃった!」  
 視線を追って時計を見る。時刻は十七時三十分。いつもならあと三十分は一緒にいられるはずだが、ミキちゃんはあわあわと暴れ出す。  
「お父さんが五時半には帰ってきなさいって言ってたの!」  
 俺は仕方なしにミキちゃんを降ろした。離れていく体温が切ないほど名残惜しく、軽くなった両腕はあまりにも所在ない。  
 仕方がない……。わかっている。わかっているが……。  
 別れは毎回つらいものだが、こうも突然だといっそう割り切れない気持ちが募る。  
「ミキちゃんが本当の妹だったら帰さずにすむのに……」  
 俺は思わずぽつりとしたつぶやきをもらしていた。  
 すると、ミキちゃんは憤然と眉をつり上げた。  
「ダメだよぉ! 兄妹は結婚できないってレーコちゃんが言ってたもん!」  
 ……それは、つまり……、ようするに……。  
 言葉が出ない。  
 呆けたように口を開いて立ちつくす俺の全身が、ビリビリとした衝撃に打ち震える。  
 ミキちゃんは本物の天使なんじゃないだろうか。こんなにも可愛い存在が人間で本当に許されるんだろうか。  
 俺は今、この瞬間を、一生忘れることはないだろう。例え数年後にはミキちゃんの記憶にまったく残っていないとしても、一生の宝物としてこの胸にしっかりと抱きしめていくだろう。  
 その、小さく尖った唇も、ぷっくりとふくらんだほっぺたも、拗ねたようにひそめられた眉も、まっすぐに俺を見つめる輝く瞳も。何もかもを。絶対に、忘れない……。  
「……ありがとう。すごく……嬉しいよ」  
 俺は何度も息を飲み込んで、なんとかそれだけを口にした。  
 ミキちゃんが胸を張って声高に宣言する。  
「お兄ちゃんはミキのなんだからっ! ずっとミキが一番なんだから、浮気しちゃ絶ー対にダメだからね!」  
 たまらない思いでうんうんとうなずくと、ミキちゃんは花がほころぶような笑顔になった。俺の顔もいっぱいにほころんでいる。幸せな空気が部屋中に広がっていく。  
 子どもはみんな大好きだ。その中でもミキちゃんが特に大好きだ。『大好き』なんて言葉じゃ収まりきらないくらい、特別な……大切な子だ。  
 これからも大事に大事にしよう。ミキちゃんのためにもっと色んなことをしてあげよう。思いっきり可愛がって、いっぱい幸せな気持ちにして、いつまでも一緒にいてもらえるように精いっぱい頑張ろう。  
 さっきまでの暗雲はどこへやら、俺は翼が生えたような気持ちで決意を新たにした。  
 ……そうだ、今日がダメでも、次の日になったらまた会える。過ぎていく時を惜しむよりも、毎日続いていく明日を見つめた方が、ミキちゃんとの未来を色鮮やかに描いていけるに違いない。  
「明日はもっと一緒にいられるよね?」  
 もちろん、元気な答を予想した。  
 ところが、ミキちゃんはゆっくりと首を横に振った。  
「んとね、お父さんがね、ダメだって言うの……」  
「どうして?」  
 俺は勢い込んで尋ねた。  
 連続して家族サービスか? それとも冠婚葬祭の何かがあるのか? 来客? まさか引っ越しの準備だなんてことは……。想像は果てしなく続いていく。  
 ミキちゃんは「えーっと、なんだったかなぁ?」とうんうんうなり、しばらくしてから、「あ、そうだった!」と手を叩いた。  
「最近遅くなると『ロリコン』っていうお化けが出るんだって!」  
「ああ、そうか……!」  
 俺はなるほど、と心から納得がいった。  
 ちょうど今朝のことだ。ニュースで幼い子どもが誘拐されたという事件が繰り返し報道されていた。痛ましい思いで聞いていたのに、引っ越しの可能性に気を取られて思いつきもしなかった。  
 事件があったのは違う県だが、幼い我が子が心配になるのはまったく当然のなりゆきと言える。外を出歩いているのならばともかく、俺の部屋で一緒にいるのだから危険は全然ないけれど、それでも不安が拭えないのが親心というやつだろう。  
 何しろミキちゃんはこんなにも愛らしいのだ。俺だったら門限どころか絶対に外に出さない。  
 
「……仕方ないね」  
 ご両親の気持ちは充分すぎるほどよくわかるので、俺は大人らしくうなずいた。  
 が、つい、ぽろりと本音が落ちた。  
「……でも、残念だな」  
 しまったと口を押さえてももう遅い。ミキちゃんと一緒にいるとこっちまで素直になってしまうようだ。こんなことを言ってもミキちゃんにはどうしようもないことなので、きっと困らせてしまうだろう。  
 と、思ったら、ミキちゃんは元気よく跳びはねた。  
「明日も遊びに来るよっ!」  
 俺は苦笑して頭を掻いた。  
 こんなに小さな子に慰められるなんて、ちょっと情けないかもしれない。でもなんだかくすぐったくて、幸せな気分だった。  
「……うん。そうだね。明日もずっと一緒にいよう」  
 ミキちゃんは力強くうなずいたが、すぐに心配そうな顔になった。  
「……ミキのケーキ、食べちゃダメだよ?」  
 だから、どうしてこんなにも可愛いのだろう。  
 俺はこみ上げる笑いを抑えきれずに、口元を隠して腹筋をぶるぶると振動させた。  
 ミキちゃんはしばらく首を傾げていたが、そのうち笑われていることに気づくとぷっくりと唇を尖らせた。  
 その様子がまた可愛いくて俺はますます笑ってしまい、次第にミキちゃんもつられたように笑い出した。  
 それから少しの間、二人でただ笑っていた。  
 
「お兄ちゃん、また明日ね!」  
 ミキちゃんは笑顔のまま家に帰って行った。  
 途端に部屋の中が寂しくなる。  
 冷蔵庫の音が静かに響き、ぬくもりをなくした空間がみるみる温度を下げていく。  
 俺の笑顔もすっかりと抜け落ちてしまった。  
 それでも、部屋のあちらこちらにミキちゃんの痕跡を見つける度に、くすりと小さな笑いがもれる。  
 俺はミキちゃんの大事なケーキを丁重に運んで冷蔵庫に収めた。  
 食器類を片付けて、ミキちゃんが遊んだオモチャやその他色々なものをそれぞれ元の位置に戻しておく。  
 最後に洗濯機の前に行き、スポーツタオルとミキちゃんのパンツを手に取った。  
 ミキちゃんのお汁をいっぱいに含んだ布地はまだまだじっとりと湿っていて、ミキちゃんのにおいをぷんぷん漂わせている。  
 両手で拡げて、顔を寄せる。そのまま鼻を埋め込んで、ゆっくりと深呼吸を繰り返す。  
 ――限界だった。  
 下半身に目をやると、パンパンにふくれあがって今にもはち切れそうな熱の塊が、ジーンズを突き破りそうに持ち上げていた。  
 俺は洗濯機の前に座り込んだ。  
 スポーツタオルをくんくんとかぐ。パンツの股布の部分を親指でなでる。ミキちゃんの声が、姿が、鮮やかに蘇る。  
 可愛い、可愛い、可愛い、ミキちゃん。今日も、とても、可愛かった……!  
 俺はいてもたってもいられずジーンズのチャックを降ろしだした。  
 もはやこれは日課になってしまっている。  
 大の子ども好きなのに子どもと接する機会に恵まれていなかった俺は、毎日を多大なストレスに埋もれながら過ごしていた。  
 ミキちゃんと出会って荒んだ生活から解放され、すべての問題はなくなったかのように思えた。  
 が、たった一つだけ新たに生じた問題がある。  
 ティッシュの消費量が二倍以上に増えたことだ。  
 もちろん、そんなことはミキちゃんの可愛らしさに比べたら取るに足らないほど些細な出来事にすぎない。おとなしくティッシュを買い貯めているが、時々、苦笑とともにこう思うのだ。  
 ……俺の子ども好きも相当だな、と。  
 
 
 
 おわり。  
 

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