ぴんぽーん  
 
 亮太は、「柏木」というネームプレートのかかったドアのインターフォンを  
鳴らす。  
 すると、奥からとたとたと足音が近づいてきて、ギギイッという重い音を立  
ててドアが開いた。  
 「あら、お兄ちゃん、いらっしゃい」  
 愛らしい少女が笑顔で彼を迎えた。  
 彼と同じ団地に住んでいる小学生の柏木沙耶香だった。  
 「やあ、沙耶香ちゃん。今日もお兄ちゃんと遊ぼうよ」  
 亮太はにこやかな笑顔を浮かべながら言う。  
 「うん、いいよ。でも、今日はお母さんいないんだ」  
 「ああ、それをちゃんと知っていてわざわざ──げふんげふん、いやいや、  
それは残念だな」  
 彼は思わず本音を言いかかって、慌てて訂正した。  
 「そのうちお母さんも帰ってくると思うから、あがって遊んでよう」  
 
 沙耶香がドアを大きく開き、亮太は小学生しかいない柏木家へゆっくりと入  
っていった。  
 
 
 亮太は暇をもてあました、ぱっとしない大学生だ。  
 
 することもなく、ある日ぼうっと公園で寝ていた所、「昼間から、こんな所  
で何やってるの!」と叱りつけてくる少女があった。  
 「俺は大学生だから、講義のない時間には遊んでいてもいいんだよ」  
 と彼が言うと、  
 「大学生だったら、勉強しなくてもいいの?」  
 少女は至極もっともな疑問を口にした。  
 「うーん。しなくてもいいわけではないけど、試験前にはきちんとしている  
からいいんだよ。  
 それに、こうして道行く人や子供を遊ばせる主婦達の会話を聞いて社会勉強  
するのも大切なんだ」  
 亮太が適当なことを言うと、  
 「そうね。教科書で勉強できることばかりじゃないものね」  
 と、少女はあっさりと納得した。  
 この子は、こんなに人を疑うことを知らなくて世の中で生きていけるのだろ  
うか、と亮太は思った。  
 
 「お兄ちゃん、名前は?」  
 「亮太だよ」  
 「あたしの名前は柏木沙耶香。よろしくお願いします」  
 初対面ではそのように挨拶するよう躾けられているのか、沙耶香は礼儀正し  
く深々と頭を下げた。  
 「あ、こちらこそ。よろしくお願いします」  
 亮太もつられて挨拶する。  
 「──ねえお兄ちゃん、今暇なの?」  
 「まあ、暇かな」  
 「じゃあ、沙耶香が遊んであげるっ」  
 彼女は満面の笑みで得意げに言った。  
 「そ、そう?」  
 「うん! 友達がいなくて淋しそうにしてる子がいたら、遊んであげないと  
いけないんだよっ」  
 「……ちょっと待て」  
 亮太はいくつか訂正しようとしたが、少女は彼に物を言わせず、手を引いて  
砂場へと駆け出した。  
 自分の胸元くらいまでの身長しかない少女に引っ張られながら、  
 
 ──ま、こんなのも悪くないか。  
 
 と、彼は思った。  
 
 それが、亮太と柏木沙耶香の出会いだった。  
 
 時折公園で出会うたび、亮太はハイテンションな沙耶香に引きずられるよう  
にして砂遊びや鬼ごっこ、すべり台といった子供遊びに付き合った。  
 沙耶香はお節介焼きの傾向があるようだったが、とても優しい少女で、危険  
なまでに素直だった。  
 亮太はそんな沙耶香を好ましく思うようになっていた。  
 それに、彼女は子供であることを差し引いても、くりくりと大きな目の美少  
女だった。  
 いつの間にか彼は柏木家にお邪魔して、母親公認で遊んだりするようにもな  
っていた。  
 沙耶香の母は、育ちの良さそうなのんびりとした美人だった。ハイテンショ  
ンな沙耶香とは少し違うタイプに見えたが、不自由なく育ったお嬢様的な、隙  
のある感じがどこか共通していた。  
 
 ある時、ふざけた沙耶香が亮太に水遊びを仕掛けた。  
 公園の水道の水をスプレー状にして彼にぶっかけたのだ。  
 「やったなー!」  
 と彼が応戦すると、沙耶香はキャッキャとはしゃぎながら水をかけられた。  
 亮太には初めいやらしい気持ちなど微塵もなかった。  
 だが、互いに水浸しになり、彼女がワンピースの裾を絞っている姿を見てし  
まった。  
 ぺったりと薄手の布地が肌に張り付いていた。  
 
 白い木綿地のパンツが濡れた布地を通して浮かびあがっているのを見て、亮  
太は胸の高鳴りを覚えた。  
 
 沙耶香のお尻に、どきどきしてしまったのだった。  
 
 
 「沙耶香ちゃん、今日はね。  
 
 ──お医者さんごっこをしたいんだ」  
 
 レースやぬいぐるみに包まれた沙耶香の部屋に通された亮太は、そう言った。  
 「お医者さんごっこ?」  
 沙耶香はきょとんとした。  
 「沙耶香、あんまりしたくないわ。もっと別のことがしたい」  
 「お兄ちゃんは、ぜひともしたいんだ」  
 亮太は、熱心に言う。  
 「ふーん。……なんで、そんなことしたいの?」  
 「……え゛」  
 無邪気な少女の非常に素朴な質問に対し、亮太は一瞬言葉につまる。  
 「それは……その……、お兄ちゃんは、お医者さんを目指しているからだ  
よ」  
 言うまでもないが、完全な口から出まかせだった。  
 だが、すぐに沙耶香は、  
 「あら、そうなの!?」  
 と顔を輝かせた。  
 「お兄ちゃんは、お医者さんになりたかったのね!?」  
 「お、おう。そうなんだよ。だから、学生のうちから練習をしておきたいん  
だよ」  
 冷や汗をびっしょりとかきながら言う亮太。  
 「わかったわ!! そういうことなら、沙耶香が患者さんになってあげ  
る!」  
 心の底から嬉しそうな無邪気少女を見ていると、どうにも胸が痛くなったが、  
それはそれ。  
 思い通りに事が進んで、亮太はほっとした。  
 
 
 「──では沙耶香ちゃん、今日はどうされましたか?」  
 
 模擬診察室となった沙耶香の部屋で、ふたりは向かい合う。  
 診療所で外来患者を迎えた医師を想定し、亮太はもっともらしく問診を始め  
た。  
 「はい。なんだかお腹が痛いんです」  
 沙耶香は、沈痛な面持ちを作って、腹部を両手で押さえた。  
 「それは大変ですね。お腹はどんな風に痛いんですか?」  
 「しくしく痛いです」  
 「下痢や便秘はしていませんか?」  
 「便秘です」  
 「ほう」  
 亮太の目が光った。  
 「では、まずお腹を見せてもらいましょう」  
 すると、初めて沙耶香は困ったような表情になった。  
 「え……、本当に見るの?」  
 「うん、そうさ。俺は本物の医者を目指しているんだからね。いやらしい気  
持ちなんて持ってないんだ」  
 すると、しばらく沙耶香は考えてから、  
 
 「そうね。お医者さんは誰もいやらしい気持ちなんてないものね」  
 
 と、純真そのものの目で言った。  
 
 未発達の美少女は、フレアスカートを自らふわりとまくり上げていく。  
 
 陶磁器のように白く滑らかな肌が露わになり、きわどく危険な純白パンツが  
姿を現していく。  
 それは輝くような白さで少女の危ない三角地帯を覆い、あろうことか頂点部  
分で少しだけ食い込んでいた。  
 ああ。一体どうしたことだろう。  
 食い込みはシワを形作り、シワは集まって無垢な少女の股間にありありと一  
本の縦筋を浮かび上がらせているのだった。  
 
 「じ、じゃあ、さ、触るよ、沙耶香ちゃん」  
 名実共に絵に描いたような性犯罪者となった亮太は、鼻息を荒くして沙耶香  
のすべすべの腹に手を伸ばす。  
 
     ぷにょっ  
 
 例えて言えば極上のマシュマロだろうか。できたての大福だろうか。  
 亮太は夢のような触り心地にぽうっとなった。  
 「押すと、痛い?」  
 彼は訊ねる。  
 「そうね、少し」  
 沙耶香は、スカートをまくり上げたまま、まっすぐに亮太を見て言った。  
 そんな風に本人に見つめられたまま、現代日本でもっとも危険な悪戯をして  
いると、亮太はこの上もなく興奮した。  
 こんな行為が表沙汰になれば、ワイドショーがやってくるに違いない。  
 そして亮太の経歴が晒され、身に覚えのない心の闇がでっちあげられ、親し  
くもない友人に「いやから、まさか彼がそんなことをするとは夢にも思ってい  
ませんでした。真面目で目立たない子だったんですけどね〜」と、異常に甲高  
いボイスでコメントされてしまう。  
 しかし、どうしたわけだろう。  
 それほどに危険な禁断の果実を盗み食らうことは、最高のエロスだと亮太は  
思ったのだ。  
 「どうやら」  
 と、彼は言った。  
 「便秘からくる腹痛のようですね」  
 「はい」  
 「これは治療が必要です。  
 
──肛門を見せてください」  
 
 亮太が言うと、さすがに沙耶香はたじろいだ。  
 「コーモンって……、おしりの穴?」  
 「うん、そうだよ。何事も直接見ないとわからないんだ。良い医者っていう  
のは、ちゃんと患者の話を聞いてよく見てくれる医者なんだよ」  
 亮太が熱心に言うと、果たして沙耶香は、  
 
 「うん、そうね」  
 
 と、あっさり納得した。  
 疑うことを知らない少女は立ち上がると亮太に背を向けて、するっと下着を  
滑り落としていく。魅惑の割れ目が姿を見せていった。  
 
 未完の美少女は、まだ青さの残る危うい魅力を発散させている。  
 まだ肉が豊満にのりきっておらず、少しほっそりとしている。  
 だが、肌があくまでも滑らかで、すらりとした手足はバンビのように鋭いバ  
ネを秘めていた。  
 そのほろ苦い肢体は四つ這いになり、今亮太に尻を突き出していた。  
 スカートはめくり上げられ、パンツは膝まで落ちている。  
 そして青い桃尻がぷりんと突き出され、その割れ目には大人の証の生え揃わ  
ない襞肉が花開いている。  
 その上には、くすんだ菊の花がひっそりと息づいていた。  
 
 
 亮太は、震える指を美少女の尻穴に近づけていった。  
 顔を限界まで寄せ、凝視する。  
 「ふひゃひゃ、お兄ちゃん、お尻の穴に息を吹きかけたらくすぐったいよ」  
 事の重大性をあまり認識していない風の沙耶香は、暢気に嬌声をあげる。彼  
女が笑うと、尻穴がひくひく収縮した。  
 亮太は、その姿のあまりのエロティックさに射精しそうになった。  
 
     ちゅぷ……っ  
 
 少女の肛門に人差し指を入れ、奥まで差し込んでいく。  
 沙耶香は背筋を弓なりに反らした。  
 今の自分を第三者の自分が見たとしたら、迷わず蹴りを入れて警察に通報す  
るだろうな、と亮太は思った。  
 心臓が早鐘のように打ち、知らずに息が荒くなってきている。  
 とても自分の醜態を鏡で見ることができない。  
 だが、そのヤバさが強烈な媚薬となって、いよいよ亮太を興奮させた。  
 
 「うひゃひゃ、そんなことしたら、おならが出ちゃうよ」  
 
 無邪気な沙耶香は、くすぐったさに身を捩りながら言う。  
 すると、その度に柔らかい尻がぷりぷりと左右に振られ、究極に扇情的だっ  
た。  
 亮太は少女の尻に誘われているような心持ちがして、性的興奮で気が遠くな  
りそうだった。  
 
 
 「沙耶香ちゃん。じゃあ、いよいよ便秘の治療をするよ」  
 彼が手にしたのは、イチジク浣腸。  
 「えーっ、沙耶香、浣腸は嫌い」  
 「便秘と言えば浣腸が一番なんだ。古いウンチは肛門近くで固まって蓋にな  
ってしまっているから、飲み薬だとお腹が痛くなるだけで腸から出ていかない  
んだ」  
 亮太がそう言うと沙耶香はあっさり、  
 
 「そうね。わかったわ」  
 
 と、騙している当人の亮太が心配になるほど簡単に説得されてしまう。  
 「じゃあ沙耶香ちゃん。自分でお尻の穴を開いてごらん」  
 「OK!!」  
 肛門を開いて見せてくれるには、あまりにも気安い返事で答える沙耶香。  
 彼女は左右から手を伸ばすと、初心な肛門を中の粘膜まで亮太に開陳してい  
く。  
 彼は、股間が勃起しすぎていかんともしがたい状況になる。  
 生唾をごっくんと飲む。  
 「さあいいよ、お兄ちゃん」  
 淫らな妖精が言った時、亮太は本能的にズボンをおろし、極太の白濁浣腸を  
突き刺そうとした。  
 
     がちゃん……。  
 
 その時、玄関の扉が開いた。  
 
 「沙耶香〜。ちゃんとお留守番してた?」  
 帰宅者は買い物のビニール袋の音を立て、靴を脱ぎ捨てた。  
 しかし、奥の部屋にいるふたりにはその音が聞こえていない。  
 
 
 「沙耶香〜? お兄ちゃんが遊びに来てるの?」  
 ドタドタ、と足音が廊下を近づいてくる。  
 
 
 亮太は、すっかりと少女の尻穴に目を奪われて、周囲への注意が欠けている。  
 
 
     かちゃっ  
 
 帰宅者が開いたのは居間のドア。  
 「沙耶香、どこにいるの?」  
 再び廊下を進む。  
 ふたりのいる沙耶香の部屋の前で立ち止まり、ドアノブに手をかける。  
 
 
     ガチャッ  
 
 「──ふたりとも、何をしているの?」  
 沙耶香の母親が言った。  
 
 
 「なにって……、トランプですよ」  
 ベッドの横にあぐらをかき、手元にカードを開いている亮太が言った。  
 その正面には、やはり床に女座りをしている沙耶香。  
 「あら、亮太さん。今日も沙耶香と遊んでくださっているのね。ありがと  
う」  
 買い物袋を提げた母親は微笑んで言った。  
 「今、お茶を淹れますね」  
 ドアが閉じ、足音が遠ざかっていく。  
 
 
 「はぁ……」  
 亮太は緊張を解いた。  
 ドアからベッドを挟んで死角になる股間部は丸裸で、ペニスがギンギンに勃  
起している。  
 急いで女座りをさせた沙耶香のスカートの中はもちろんノーパンだ。  
 間一髪セーフ。  
 
 しかし、もうひとつだけ問題が残っていた。  
 
 「──お兄ちゃん、どうしてお母さんが来たらそんなに慌てるの?」  
 沙耶香が可愛らしく首を傾げた。  
 「そ、それはね」  
 と亮太は答える。  
 「まだお医者さんになっていないのに、一生懸命練習している所を見られた  
ら恥ずかしいからだよ」  
 しばらく沙耶香は考え込み、  
 
 「わかったわ」  
 
 とあっさり騙された。  
 「じゃあ、お兄ちゃん。またお母さんに見られない時に沙耶香が患者役やっ  
てあげるね」  
 そう言う沙耶香の顔は無邪気な好意に満ちていて、まるで一点の曇りもない。  
 亮太はそんな無垢で初々しい彼女を見ていると、再びリスクを冒して禁断の  
果実に手を伸ばしたくて仕方が無くなるのであった。  
 
                         おわり  
 
 
 

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