その日和彦は朝から幼なじみのあゆ子の家に呼ばれてやって来た。  
なぜかあゆ子はとても上機嫌で、和彦の顔を見るなり喜びを押えきれないとばかりにはにかむ。  
「どうした? いつも以上に締まりの無い顔になってるぞ」  
「もお、からかわないでよぉ」  
そう言われても和彦にとってあゆ子をからかうのは子供の頃からの一番の楽しみだ。  
あゆ子の方も全然悪い気はしないようで、鼻歌まで歌いながら和彦を自室に通した。  
 
 あゆ子の部屋はいつもどおり綺麗に片付いていた。  
女の子の部屋としては少々殺風景だが、ずっと昔に和彦がプレゼントした  
くまのぬいぐるみを未だに飾ってあるのはいかにもあゆ子らしい。  
部屋に入るなりあゆ子は机の上の古びた冊子を取り上げて和彦に見せた。  
「昨日押し入れを整理してたらこんなの見つけちゃったんだ。なにかわかる?」  
「これって……幼稚園の文集か?」  
ボロボロの表紙には「ももぐみ みんなのえがお」と書かれている。  
かすかな記憶を頼りにすれば、それは幼稚園を卒園する時  
クラス全員のプロフィールをまとめた文集のはずだった。  
「あったりー! ね、懐かしいでしょ?」  
あゆ子はたいそう嬉しそうだが和彦は今ひとつ乗り気になれなかった。  
当時の自分がろくなことを書いているはずがない。  
「あのさ、おれの将来の夢って……」  
「ん? 見てみる?」  
パラパラとページをめくるあゆ子。  
案の定、そこには下手くそな字で「せかいせいふく」と書かれていた。  
見なきゃ良かったとおもいっきり思った。  
「えへへ、かずくんらしいよね」  
「勘弁してくれ……」  
溜息をつく和彦とは対照的にあゆ子の上機嫌はとどまるところを知らない。  
「ねえねえ、あたしのも読んで?」  
この幼なじみに頼まれるとどうにも嫌とは言えない和彦はしぶしぶページをめくる。  
もりしまあゆこと書かれたページ。  
その中の一文に和彦は呆気に取られた。  
 
  かずくんのおよめさんになりたい。  
 
「あゆ子、これって……」  
「あのねかずくん……あたしずっと同じ気持ちなんだ。  
 ずっとずっと、そう思ってたんだよ……」  
あゆ子は和彦の胸に頭をうずめそうつぶやいた。  
甘い香りと柔らかな感触が和彦の意識を包みこむ。  
「まったく、お前ってやつは……」  
和彦はあゆ子をそっと抱きしめ、己の幸せを噛みしめた。  
誰よりも大切な人にこんなにも一途に愛されているのだから。  
「大好きだよ、あゆ子」  
 
 しばらくそのまま言葉もなく抱きしめていると、  
和彦にちょっとしたいたずら心が生まれた。  
なにより彼は健康な男子だった。  
「ほんと、お前は昔から変わってないよな。  
 ……こっちはずいぶん成長したけど」  
邪な笑みを浮かべてセーターの上から幼なじみの胸を揉む。  
たっぷりとした、それでいてマシュマロのように柔らかい乳房が和彦の思うままに形を変える。  
「も、もう、何するの?」  
あゆ子は顔を真っ赤にしてすがるような目で和彦を見上げる。  
「だってあゆ子があんまり可愛いから」  
胸への愛撫に加えて耳を甘噛むとあゆ子はこらえ切れず吐息を漏らす。  
「あ……はうっ。だめだよぉ……」  
その反応が楽しくてさらに首筋や唇に舌をはわせる。  
あゆ子はすっかり抵抗する力をなくしてされるがままになっていた。  
「脱がすよ」  
答えを聞かず両腕を上げさせセーターをめくりあげると、  
シンプルな白いブラに包まれた胸が現れた。  
それも間違いなくクラスで一番大きいであろう巨乳だ。  
和彦は片手で器用にブラを外し、優しく乳首に口づけた。  
「どうしてこんなに大きくなったんだろうな……」  
「そ、それは、かずくんが、ひゃうっ、いっぱい揉んだからだよぅ」  
「その前から結構大きかったと思うけど……」  
実のところ理由なんてどうでもいいわけで、大切なのはこの魅力的な胸を  
自由にできるのは世界で和彦だけということだ。  
そして和彦はあゆ子の女体が何を望んでいるかを十分に熟知していた。  
例えば鎖骨が意外な性感帯だということ。  
時折互いの指を絡ませることがなかなかに重要だということ。  
乳首を吸いながら脇下や太ももを撫でると素晴らしい反応を返すことも体に染み付いている。  
そうして舌と手の平だけの決して激しいとは言えない愛撫でも  
あゆ子は何度も軽い絶頂に達してしまうのだった。  
 
「挿れるよ」  
すでに全裸にしていたあゆ子の脚を開き、正常位でゆっくりと肉棒を挿し込む。  
それだけであゆ子は大きな声を上げて背を反らし、最奥まで達した瞬間完全に達した。  
ただでさえ狭い膣は一層締まり、和彦の肉棒に極上の快楽を与える。  
何度交わってもこの感触だけは慣れるということがなかった。  
気を強く持たなければあっという間に射精してしまうだろう。  
すでに半分意識を飛ばしているあゆ子を見て、  
和彦は自分たちの桁外れの相性の良さが少し怖くなるほどだった。  
どう考えたってこの先他の女性と付き合うことはありえそうにない。  
自分たちは一生幼なじみである初恋の相手から逃れられないのだ。  
(幸せもんだよ、つくづく)  
苦笑いを浮かべて愛しい人の髪を撫でる。  
柔らかい頬に優しく口づけ、それを合図に和彦は大きな抽送を開始した。  
大きく引き、大きく打つ。  
最初はゆっくりと、次第に速く。  
そのたびあゆ子の反応も激しくなっていく。  
「ああっ、ああっ! もうだめっ、またイクっ、イクッ!」  
和彦もまたあまりの気持ちよさに次第に体のコントールを失っていった。  
ここまで来るともう技術も何もない。  
若い二人は互いの情欲をぶつけ合いどこまでも混ざり合っていく。  
そして和彦にも限界が訪れ、脊髄を突き抜けるような快楽とともに  
おびただしい量の精液があゆ子の子宮を満たしていった。  
それと同時にあゆ子もまたこれまでで最高の絶頂に達し全身を震わせて失神するのだった。  
 
 あゆ子が目覚めたのはそれからどれほど経った頃か。  
気が付いたときにはすでに新たな快感が全身を揺らしていた。  
「か、かずくん? もう、何してるのよ」  
「ごめんあゆ子、腰が勝手に動いちゃうんだ」  
若く健康な和彦が一度の射精で収まるはずもなく、また抽送を始めていたのだ。  
あゆ子も当然のように間を置かず快感に溺れ、彼のなすがままになった。  
和彦はあゆ子の肢体を引き寄せ対面座位の形になり、  
深く舌を絡ませながら腰を突き上げた。  
2度目とは思えない大量の精液が吹き出したあとも恋人たちは休むことなく交わり続け、  
後背位や騎乗位などにもなりつつ何度も何度も絶頂に達した。  
ついにはとうとう二人とも力尽きて泥のような眠りにつき、  
目覚めたときには空はすっかり暗くなっていた。  
 
「始めたのが朝だったから……どれぐらいヤッてたんだろう?」  
あゆ子は泣きそうな目になりながら和彦をぽかぽかと叩く。  
「ばかばか、もう、またエッチだけで一日潰しちゃったじゃない」  
「あはは、でも気持ちよかっただろ?」  
「う、うん……」  
「あゆ子ほどエッチな女の子は世界中どこ探してもいないからな」  
「ば、ばか! 違うよかずくんのせいなんだから!」  
やっぱりあゆ子をからかうのは楽しい。  
子供の頃からの一番の楽しみだ。  
(――いや、今の一番はエッチすることかな?)  
などと考えつつあゆ子を抱き寄せキスをする。  
どんなにからかってもこれをするとすぐ機嫌が良くなるのも昔から変わらない。  
「えへへ〜」  
案の定あゆ子はとろけるような笑顔を浮かべ和彦に体重を預ける。  
今なら少々恥ずかしい台詞でも言える気がした。  
「あのさあゆ子」  
「なに?」  
「おれ、あゆ子のお婿さんになりたい」  
「……うん」  
腕の中の幼なじみをぎゅっと抱きしめると、彼女は安らかに目を閉じた。  
 
 
 
おわり  
 

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