いつからか、気づけばそのドラゴンは国の脅威となっていた。
体長は南の山をはるかに超え、吹く炎は北の湖を干上がらせる。
気まぐれで動かす体に、国民の誰彼ともなく犠牲になる。
このままでは国が滅びるのも時間の問題だった。
「どこから来たのだ……あの忌まわしい魔物は」
王の苦悩は深く、もはや取るべき手段は一つしかなかった。
「お触れを……出せ」
王はついにそれを決意する。
出来れば選びたくなかった道。
たった一つの宝物を手放す決断。
「国を滅びすドラゴンを、倒したものに――」
けれそその瞳はもう迷ってはいない。
「姫を与える、と――」
姫の齢は15。
幼少のころより、その美貌が際立っていた。
麗しいブロンドに、整った顔立ち。
若くして亡くなったお妃と瓜二つとの評判だ。
数少ない国中の猛者はすぐにその気になった。
我こそはと、ドラゴンに立ち向かう。
けれど結果は思わしくなかった。
あるものはその炎に焼かれ、あるものは胃の腑に収められる。
姫をその手に入れられるものは、なかなか現れることはない。
王は、半ば喜び落胆し、姫は無表情に城下を眺める。
そこにはかつてののどかな風景はなかった。荒れ果てた土地。
ただそれだけが広がる。
けれどついに現れた。
憎きドラゴンを倒す猛者が。
「王様、約束通りおいらに姫を与えてください」
どこの馬の骨かとわからない猛者は、体など一度も洗ったことのない不潔な男だった。
姫はその男を一目見るなり絶望し、病に伏す。
王は、そんな姫を愛しく思うが、一度出したお触れをなかったことには出来ない。
仕方なく、姫は男と城を出る。
――それが忌まわしい運命の始まり。
「さあ、姫様、これで今日からおまえさんはおいらのものだ」
最初の夜、姫が連れて行かれたのは、隣の国との境目の、藪の中だった。
「こちとら、何年もドラゴンを追ってたんだ」
男はにやりといやらしい表情を浮かべる。
「この日のためにな……」
そして小さくつぶやく。
「容赦はしないぜ」
運命に逆らうつもりのなかった姫は、そこで初めて小さく悲鳴を上げた。
「ほら、どうした?」
――小一時間後、男は満足そうに笑う。
「姫さん?」
そこは先ほどと変わらぬ藪の中。
ただし、姫は、すでに破瓜の痛みを味わっていた。
「どんな高貴なお姫様も、酒場の女とおんなじだな」
男は満足げに笑う。
「たいしていい味ではないわ。これなら酒場の安女のほうが扱いやすい分、ずっといい」
「ふ、ふざけるな」
姫は初めて言葉を漏らした。
一糸まとわぬ裸で。
その胸は、まだふくらみが足らず、恥部の毛も生えそろってはないかと思う未成熟な体。
先ほど、生まれて初めて男を受け入れたとは思えぬ、初々しさがあふれている。
姫は、気丈な表情を変えずに言う。
男はひゅう、と口笛を吹く。
姫は男に向かってこう言った。
「わらわは、誰ぞ?」
男の股間は再び盛り上がる。
「わらわは、姫ぞ。その辺の女と一緒にするでない」
男は笑った。
「姫さん、あんた、わかっていないよ」
「姫でもだれでも、濡れる場所は一緒だ」
「一緒?」
男は姫の未成熟な胸をわしづかみにした。
「痛……」
姫の、小さな悲鳴が漏れる。今までそんな使いは受けたことがないのだから無理はない。
「ふん」
男は、垢のたまった爪で姫の乳首をいじりだす。
「え……や……や」
姫は、電流に似た快感を初めて味わう。
「ほう、感じるのか」
両手でもみしだく。
「く……」
わずかながら腰をくねらせた。
「これは見込みがあるのかも知れなないな」
男は不敵に笑った。
つぎの日、男は藪の中の木に姫の手足を縛ったまま、出かけた。
「ど、どうする気だ?」
初めて姫が不安げな瞳を見せた。
「どうもしない。このまま放っておくだけだ」
姫は昨日から服を着せてもらっていない。一糸まとわぬまぶしい裸体を藪の中で晒している。
「でも、もしかして、魔物や獣が来たら……」
「そのときは、姫さん、あんたの寿命が尽きたと思って諦めな」
「そんな……」
「おまえさんは、商品として、オイらに与えられたんだ。どうしようとおいらの勝手だ」
そう言い捨てて、男は立ち去った。残された姫は、両手両足を、開いたままの恰好で、藪に捨てられた。
――乳房と股間にたっぷりと蜜を塗られて。
「や……やめて」
初めに来たのは、狸の親子だった。
姫に気づき、はじめはおびえる様子を見せたが蜜の匂いに気づき、近づいてきた。
姫の手足は厳重に縛られている。
「や……あ、はう……く、ふう」
秘所に下を這わせる小動物に姫の声は漏れる。
「や、やめて…」
ちろちろ……子たぬきの下は止まらない。
乳首は右のほうが敏感なようだ。こしが、びく、びく、と動く。
「…あああああああ」
突然、絶頂に達したのか、背中をのけぞらして、姫がぐったりとする。と、そこへ、どこから見ていたのか、男がにやにやした顔で現れる。
「姫さん」
「……おまえ、見ていたのか……まさか」
「姫さん、あんな獣に、いっちまいましたね。ははっ。これはお笑いだ。高貴な生まれの姫様が、あんな獣に」
「……」
羞恥で黙りこむ姫に男は、さらに蜜を塗る。
「ひゃ……な、何を?」
「心配しなさんな。乳首はまだ立ってますね……おや、ここも濡れてる。ものたりないんじゃないですか」
「な、なにをするのじゃ……」
姫の目はすでに涙で濡れている。
「濡らす場所が違いますよ」
男は容赦なく笑い、蜂蜜を体中に塗りたくる。その間、問わず語りに語る。
「初めての男がわしのような不潔な男で、初めていかされたのがあんな獣で」
「……」
「それでも姫さんはまだ自分の事を他の女と違うといいますか」
返事は早かった。反射的に姫はうなずいた。そういう教育しか受けてこなかったのだ。
「……そうですか」
男の眼が暗く染まる。
「なら」
立ち上がったその手には見慣れない道具が握られていた。
「わしも本気を出しますぞい」
縄になど縛られたことのない、姫の手首には生傷が既にできていた。痛みにいまでも涙が出る。
でも、それすらまだ、ましだと思える――地獄の初まりだった。
「姫さん」
男は箱のようなものから、黒い塊を取り出した。
「わしのような中年の男が、なんでドラゴンを倒せたと思う?」
「え?」
姫は嫌な予感がして目をあける。
「こいつの……おかげさ」
黒塊はねちゃねちゃとした「何か」に形を変えていた。男はそれを姫の体の上に乗せる。
「……いや」
初めてそんな声が出た。
「おや、杯めて弱音を吐きましたね」
「……」
「またダンマリですか? 泣いて、やめて下さいと言えば、こいつは箱に戻りますよ」
ぬちゃ。
姫の腹の上で、そいつはどこに進もうか悩んでる。
丸い蛇。
おかしな言い方だが、それがぴったりくる。
黒くて、丸い蛇。
それも、形を自由自在に変えられる。
「……ひ!」
「時間切れだ」
姫が懇願する前に、それは姫の乳房に狙いを定めた。ロープのように細長く形を変えて、両の乳房をギリギリと締め付ける。
「痛い……」
涙声でつぶやいた。
「良くなりますよ」
男は少し離れた所から見守っている。片手で自分自身のそれをしごきながら。
「お願い……許して」
「いやですよ」
そっけなく断られて、姫はついに頬に涙を流す。
「痛い……」
「痛いだけじゃないです」
男の息遣いは荒い。
「腰を浮かせてみなさい。もう少し楽になりますぜ」
姫は素直に従う。黒い蛇はすかさず陰部へ移動した。
姫の秘所に狙いを定めてつつきだす。あらかじめ塗ってあった蜂蜜が甘く粘る。