寒い。雪が降って、たくさん降って、街を白くして、吐き出す息まで白くする。だけどそんな白よりも、  
「お兄様、おかえりんこ♪」  
 目の前で出迎えてくれる妹の肌は尚更に白い。壁に手を着いてヨタヨタと歩きながら、それでも優しく微笑んでくれる理緒(リオ)の方が何倍も。  
「はいはい、ただいまん……っと、あぶねぇあぶねぇ」  
 俺の妹は、リオは、『目が見えない』。先天性なモノで、産まれてからこれまでずっと、自分の顔さえわからないまま。  
 でも悲観なんてしない、もうすぐなんだ。医療は進歩し、近々行われる手術で97%視力は復活すると言われている。  
 ずっと目を閉じて、俺以外に心を閉ざしてるのも後少し。  
「ちぇっ、おっしぃ〜っ♪ お兄様の口から卑猥な言葉が聞けるチャンスだったのに」  
 靴を脱ぎ、靴の数で世話係が居ない事を確認し、リオの手を取って二人でリビングに向かう。どちらも学校帰りで、俺は高校の、リオは中学の制服姿。  
「カバン置いて来るから、ちょっと待ってろ」  
 妹をリビングのソファーに座らせ、俺は二階の自室へ。机に鞄を置き、ベッドの上へ仰向けに倒れ込む。  
 すると間髪も開けずにボフッと布団が沈み、ギリッとスプリングが軋んだ。  
 
 大都技 理緒(だいとぎ りお)。髪は長く腰のラインまで伸びてサラサラとなびき、色素は薄く灰色に、月の光さえ透過させる程に淡い。  
 肌は雪より白く、唇は鮮血よりも赤く、心の中はどんな闇よりも暗いだろう。  
 だけどリオは、俺より一つ年下の可愛い妹だ。誰よりも努力家で、尊敬する事は有っても哀れむ事は決してない。  
 何故なら、他の全てが盲目する程に、俺は妹が好きだから。だからもし妹の目が治って、俺の容姿を否定して拒絶したら、たぶん大声を上げて泣くと思う。  
 視力は取り戻して欲しいけど、「お兄様ってカッコ悪かったんだね? ほんとキモいよ」とか言われたら、しばらく引き籠る自信がある。  
 
「ぃさまぁ! お兄様マダ〜っ!?」  
「すぐ行くから待ってろ!!」  
 
 よっと小さく掛け声を出して立ち上がり、頬を平手打ちして気合い注入。  
 たった一人の悲観タイムは終わり。ここからはまた良い兄としてリオに接する。さぁ、リビングへ下りて日課の時間だ。  
 
 
 
 
   『フルフルフル子』  
 
 
 
 
 部屋を出て、階段を下り、リビングへ入り、テーブルに置かれた本を取って座椅子に腰掛け、リオはテーブル越しに在るソファーに背筋を伸ばして行儀良く座り直した。  
 何日かに一度、世話係の人とリオは古本屋に出向いてカバーも無いような中古の小説を買い、それを何日かに別けて俺が音読する。それが俺の日課。  
 
 本の内容は主人公と幼馴染みの恋愛小説。どちらも素直になれず、主人公は幼馴染みが好きなのだが、他に恋人ができたと嘘を付く。  
 と、そこまでは有りがちな小説だと思っていたのだが、徐々に雲行きが怪しく変わる。  
「お兄様? そんな小声じゃ、リオの耳に届かないよ?」  
 ペタ、ペタ。ゆっくりと妹が四つん這いになって近付いて来て、ぺた、ぺた。ゆっくりと俺の身体に触れて行く。両手で顔を、肩を、胸を、上から下に向かって形を確認するように。  
「いや、まさかと思うがさ、コレもしかして……」  
 そして胸に顔を押し当て、クンクンと匂いを嗅ぐ。リオは身近な人間を形と匂いで覚え、忘れない為にこれで情報を更新するのだ。  
「くんくん……ふふっ、ただのケータイ小説だよ、ちょっとエッチな、だ、け♪」  
 鼻先がくっつく程に顔を寄せてニコリと笑い、胡座(あぐら)をかいてた足を跨ぎ、抱き合う形でリオが俺の足を椅子代わりに腰を下ろす。  
 ブレザーの制服に、押し付けられて柔らかく潰れる大きな胸に、反比例して細いウエストに、短いスカートから伸びる黒タイツを纏ったムチムチの太股。全部が俺のストライク。  
「んぐっ」  
 思わずノドが鳴る。  
「ねぇお兄様、続き、読んで?」  
 リオは俺の首に両腕を回すと、耳元で吐息を繰り返して静かに囁く。  
 俺もリオの背筋に手を回し、そこで小説を持って、止めていたページからロードする。なるべく感情を込めず機械的に。  
 
 ──いいよ、私、貴方が好きだから。  
「いいよ、リオ、お兄様が好きだから」  
 
 リオが俺のセリフを変化させて反芻しても、唯々、唯々、機械的に。興奮なんてしちゃ駄目だ。  
 ヤメろって言っても聞かないんだから、俺が堪えないと。  
 
 ──本当にいいのか、痛いらしいぞ?  
「大丈夫よ……だってリオのお尻の穴は、すっかりお兄様のおちんぽを覚えてしまったもの」  
 
 ──きて。  
「ふとくて、かたくてっ、たくましく反り返ったおちんぽで……リオのお尻が閉じられなくなるまで掻き回して?」  
 
 リオの淫言で硬度を増し始めたペニスをズボン越しに尻肉の間で挟み、ズリズリと腰を前後に動かして刺激して行く。  
 兄妹でこんな事をしちゃイケないのに、好きになっちゃイケないのに、わかってるのにっ!! チクショウ、いつだって快楽の誘惑に負ける。  
「リオ、このままするけど良いな?」  
「うん。誰も帰って来ない内に、ね♪」  
 リオは胸の谷間から透明な小瓶を取り出して俺の胸ポケットに入れると、回していた手を肩に着いて立ち上がった。  
 俺は持っていた小説をテーブルに放り、小瓶を持ってその蓋(ふた)を開ける。  
 
 透明な小瓶に満たされているのは、透明で粘着質な、人肌に温められたハードローション。  
 それを、ジッパーを降ろしてズボンの外へと解放したガチガチのペニスに垂らす。トロリと先端から伝い、すぐに温かな液体が全体を覆う。  
 用済みの小瓶を小説と同じく投げ、再び胸ポケットに手を入れ……  
「どうしたのお兄様?」  
 一瞬だけ身体が硬直する。そう言えば、ゴムはこの前ので切れたんだった。  
 仕方ない、悪いけど我慢できないしな。つか、ゴム付ける前にローション垂らしたら駄目じゃねーか!  
「悪い、ゴム無くなってたの忘れてた。付けなくて良いか?」  
 そう言ってリオの顔を見上げると、怒ってるとかじゃなく、不思議そうに眉を潜めてた。  
「ふぇっ? えっ!? もしかしてお兄様、今までのエッチは全部コンドームを?」  
「んっ? ああ、着けてたから安心してくれ」  
 流石にその辺はな。まぁ結局、今回は生になるんだが。  
 直接は嫌なのか? とリオの表情を見守っていても、否定する様子は無く、俺にも聞こえない程の小声で何かを呟いて、スカートのホックを外した。  
 そしてそれも両足を通して脱ぎ、小説、小瓶に続いてテーブルの上へ。  
「じゃあお兄様、本物のエッチをしましょ? 本物の……おちんぽ生ハメSEXを」  
 ドクンと心臓が高鳴り、ノドは唾液の補充が追い付かないまでにカラカラ。  
「あ、ああ……」  
 俺の瞳に映るのは一人の少女。上はブレザー、下は黒タイツのアンバランスで、大事な所が隠れてない真っ白なローレグパンツまでしっかり目視できる。  
 性器は痛いぐらいに脈打ち、早く穴蔵に入らせろと急かす。早く、コイツの秘肉に締め付けられたいと。  
「お兄様は動かないで、今日はリオがしてあげるからっ」  
 
 ピリビリ、ビリィィィッ……  
 
 破けた。破いた。リオは手を自らの後ろに移すと、俺に微笑んだままビリビリと破いてタイツに裂け目を作る。  
 お尻の回りに丸く穴が開き、そこから指をパンツに引っ掛け、後ろ側だけを器用に下ろした。  
 俺達がセックスをするのに必要最低限の、アナルを使った性行のできる位置まで。  
「はぁっ、エロいなリオは……このままでもイケそうな気がするぞ」  
「エロい? ふふっ、誘惑に負けて妹でも構わず襲っちゃう兄は、やっぱり言う事が違うね♪」  
 
 ──でも、  
 
「お兄様が襲ってくれなかったら、リオが襲ってたんだけど……早い内に崩れてくれて助かったよ♪ はぁぁっ……それじゃ、するねっ?」  
 リオは尻肉を掻き分けるように両手で拡げながら、跨がった俺のペニスの真上でゆっくりと腰を下ろす。  
 パクパクと物欲しそうに開閉する孔を見せ付け、ふぅ、ふぅっ、と荒く肩で息をして、ゆっくりと、ゆっくりと、しゃがんで行く。  
 
 そして尻穴を鈴口に当ててカリ首までを沈めると、  
「おにいっ、さまぁっ……ふぅっ、ふぅっ、んっ……ふんん!!」  
 手を膝に着いて数回深呼吸し、一気に残りを咥え込んだ。  
 にぢゅちゅっ、ぢゅぷぶぶぶぶぶぶぶっ!!!  
「ぐうっ!?」  
 狭くキツい連なった輪っかの中を、押し拡げながら突き進んで行く感覚。  
 ローションにまみれて糸を引く内部は、きゅきゅぅっとペニス全体を気持ち良く締め付け、まるでココだけが別の生き物かの様に波打って蠢き続ける。  
 気を抜けば、すぐにでも射精してしまいそう。  
「リオ、がんばるからぁっ……気持ち良く、んんっ、なって、お兄様っ!!」  
 性器同士が深く結合し密着した状態から、  
「おにい、さ……ふぎぃぃっ」  
 膝に力を入れてズルズルと抜ける寸前まで腰を持ち上げ、  
「ぅんんんんんっ!!?」  
 ぱちゅんと再び腰を落として互いの肉をブツかり合わせる。  
 頬を火照らせ、耳まで赤くして、溶けてしまいそうな程に熱い直腸を、挿入口の縁に在るコリコリの突起まで使ってペニスを扱く。  
 ずぢゅっ、ズヂュッ、ぬぢゅっ! ぬぢゅっ! ぬぢゅっ!!  
 胸を弾ませ、ぎこちなく、初々しく、イカないように歯を食いしばって抜き差しを繰り返してる。  
「スゴいよぉ、おにいさまぁっ♪ お兄様の生おちんぽスゴいのぉっ……奥にごちゅんごちゅん当たるしぃ、びゅくびゅく血管が震えてるしぃ、リオのエッチなお肉を、いーっぱいえぐってくるのぉっ♪♪」  
 リオはだらしない表情で舌まで垂らし、力の入らなくなった上体を抱き着く形で俺に預け、それでも腰の動きは速度を増す。  
 下半身だけを一心不乱に打ち付け合う、まるで獣の交尾。  
 ずぢゅっ、ズチュッ! ズチュッ! ズチュッ! ズチュッ! ズヂュッ!!  
 俺だってそうだ。緩いカーブを描いた本来は排出する為の腸内で、粘膜に覆われてる凄まじい絡み付きのヒダ肉で、こんなにも激しいピストンで搾精をされたら、ガマンするなんてとてもできない。  
「イク、いくっ、イクぅっ! りおイッちゃうのぉっ♪♪ もぅコンドームなんて使わせないからねっ!! ずぅ〜っと生おちんぽだからねっ!! おにいさまっ、おにいさまぁっ!! 一緒にイッて、いっしょにぃっ!!!」  
 グツグツとマグマの様に精液が噴き上がり、ペニスの中心に在る管が心地よく拡張される。  
「リオっ、リオっ! リオォォォォォッ!!」  
 パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!!  
 限界は近い。両手でリオの尻肉を鷲掴みにしてガッチリ押さえ、思いっきり下から突き上げ、プルプルとした結腸まで小突き回す。  
「おにぃさまスキなのぉ!! しゅき! しゅきぃっ!! っぁ、ぁ、あ゙、ふぁぁぁああああ゙あ゙♪♪」  
 リオが背中をのけ反らせてアクメを迎えた瞬間、腸内が急速に縮小して締め付け、ペニスに溜まっていた精液をこれでもかと搾り取って来る。  
「くっ、搾り取られ……があぁぁぁぁぁっ!!!」  
 
 びゅるびゅぅぅぅぅっ!! びゅくびゅくびゅく、びゅぐっ! ドクンドクンドクンドクン……  
 
 堪らず中出しし、何秒も何秒も、大量に射精した。  
 だけどそれは、中にとどまる事は決して無い。ローションと、腸液と混ざり合い、ゴポゴポと泡立って隙間ないリオのアナルから逆流して溢れている。  
「はぁっ、はぁっ、んっ……はぁぁっ、お兄様の、おちんぽの痙攣まで伝わるよ? それにスゴく熱い……これが、射精、なんだよね?  
 リオ、今までされたこと無かったから、お兄様は気持ち良くなくて、えぐっ、うぅっ……ひっく、リオのカラダじゃ、イケないのかと、おもってたのぉっ!! うわあぁぁぁぁぁん!!!」  
 性器は繋がったままだけど、興奮していた感情は、リオの泣き声で直ぐ様クールダウンした。  
「ああ、なんかさ、心配かけてスマンな……」  
 俺はワンワン涙を流して泣く妹の頭を、優しく、優しく、撫でるだけ。  
 俺も好きだぞリオ。願わくば、リオの視力が戻っても、同じ台詞を言ってくれますように……  
 
 
 
 
 『フル子の光』へ続く。  
 
 

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