半年前、トラックに轢かれた。
轢かれたときに、頭の中身がぐちゃーっと出ちゃったような感覚があったんだけど、
幸いなことに、脳みそがべちゃーっと出たわけじゃなかった。
僕をはねとばしたトラックに運ちゃんは、事故直後に逃亡してしまった。
今も尚、逮捕されていない。
これでいいのか日本の警察、とテレビ局に投書でもしてやろうかと思ったけど、
両腕が折れていて、僕の憤りを文字として表記することはできなかったし、
両腕が治るころには、もうなんかどうでもいい気分になったので、やめた。
「と、いうわけで、青春真っ盛りの男子高校生が、その憤りを性欲に変換して、
幼稚園以来ろくに口を聞いていない幼なじみにぶつけてしまうのは当然の流れであって、
良心を苛むわずかな痛みは無視しようと考えるのは致し方ないことだと思わないか?」
「んっ……ふぁっ……な、何……何か言った?」
我が腰の上で愉快なダンスを踊っているのは、今僕が述べた中に存在した幼なじみ、良子ちゃんだ。
親同士が知り合い、というだけで知り合った幼なじみ。
幼稚園を卒業するまでは、よく話したり遊んだりしていたものの、小学校に入るとお互いに男友達、女友達が増え、
ただ単に親同士が知り合いだから、という理由では確固たる友誼を結び続けることができなかった子だ。
まあ、当時は気の合う同性の友達と馬鹿なことやっていることの方が楽しかったし、向こうも同じような感じだったので、
そういう結果になってしまうのは自然だったんだろう。
漫画やラノベじゃあるまいし、小学校のガキなんてのはこまっしゃくれるわけで、
無条件に慕ってくれる子なんてのは存在するわけがない。
そんなこんなで年月が過ぎ、良子ちゃんが僕が通っている高校に通学することになったと親に聞き、
ふーん、と思って入学式でたまたま出会ったとき、その体の発育具合を見て、初めて後悔したわけである。
主に下半身的な意味で。
言い忘れていたが、今現在、病院の中だ。
個室の病室であるとはいえ、このスキンシップを繰り広げているのは倫理的に問題があるんじゃなかろうか、と思う。
まあ、こまけぇこたぁいいんだよ、のスタンスでハッスル中だ。
「いいけど……早く、イってよね。これから、デートなんだから……」
つい最近知ったのだが、良子ちゃんには立派な年上の彼氏がいる。
だからどうだ、と言われてしまうと何も言えないのだが、
僕にはおぼろげながらも幼なじみという関係が成立していたころの記憶がある。
それだから、その事実を知ったとき、にわかに胸が熱くなった。
僕の方は彼女なんてものは、つい最近まで都市伝説か何かだと思っていたのに。
やっぱり女の子というのは、恋に早熟なんだなあ、と海よりも深いため息を漏らしたものだった。
それはさておき、今の現状を説明せねばなるまい。
僕は、個室の病室で、白いベッドの上に寝ているのは確か説明した記憶がある。
もし説明した記憶が僕の思い過ごしだったとするならば……どちらにせよ今、説明したようなもんだろう。
そう、僕は、個室の病室で、白いベッドの上で寝ている。
窓の近くには花瓶に入った椿があり、その椿の花は意味深にも首がぽたりと落ちている。
文学的表現では、椿の首がはらりと落ちるということは貞操の喪失をイメージさせるらしい。
そのイメージと、現在の状況はごくごくマッチしている。
なんてったって、良子ちゃんは僕の腰の上でぴょんぴょんウサギ跳びをしているのだから。
「んっ……んっ……も、もしかして、イきそうなのに、我慢、してるとか、してる?」
「してる」
「しないでよ」
数年会話していなかった幼なじみは、ツンツンしていた。
別に髪の毛がツンツンしているというわけではなく、僕に対する態度がツンツンしていた。
まあ、それも致し方ないことだろう。
仲が良かった頃の記憶があるけれど、成長するにつれてそれは薄れていく。
だけど、完全な他人でもない、というわけで、仲良くする必要もない。
ゲームで言えば、パラメーターが親愛1、愛情0状態ってところだろう。
良子ちゃんがこの病室にいるのも、これも単なる親同士のやりとりがあっただけだ。
僕の母親が、僕の着替えを持ってこようにもはずせない用事が出来、
母親は緊急措置として、友人……つまり良子ちゃんの母親にその仕事を頼んだ。
良子ちゃんの母親は、了承したものの自分で行くのが面倒に思ったのか、それを良子ちゃんに頼んだ。
良子ちゃんは良子ちゃんで、面倒に思いつつも、デート資金であるお小遣いの減額で脅迫されて、
渋々届けにやってきた、という偶然が重なった結果だった。
「良子ちゃんは気持ちいい?」
「……べ、別に……拓也とこうしてるのは……お小遣いのためだもん」
『こうしている』と言う指示語を、より具体的に表現すると、
彼氏とのデートの前に、数年出会っていなかった幼なじみに病室に来て、
幼なじみのチンコをずっぷしずっぷし膣でくわえ込む、ということである。
さて、何故こんな状況になっているのかを説明せねばなるまい。
それは僕のエロエロ超能力のおかげだったんだよッ!!!!
……。
…………。
………………。
はい、『な、なんだってー』の合いの手ありがとう。
僕の心にたくさんの人の驚く声が届いたよ。
僕がトラックに轢かれたとき、確かに頭がびちゃーっという感覚があった。
けども、僕の頭は未だ健在だ。
あのびちゃーって感覚はなんだったのか、結局のところ僕にはわからない。
ただ、このエロエロ超能力が発現したきっかけは、あの事故にあったと思う。
脳みその代わりに、何かよくわからないものが出てくるようになったのだ。
頭頂部付近に力を込めると、にゅっと透明なものが出てくる。
ガスみたいに透明で、水滴を見るかのような僅かな輪郭があるだけの、長いものだ。
大体腕くらいの太さがあり、柔軟性に富み、まるで猿の尻尾のように動かすことが出来る。
大長編異能力バトル漫画のような展開になったときに備えて、僕はこの能力を『インビジブル・テンタクル』と名付けた。
中二病な感じがしなくもないが、異能力に平凡な名前を付ける方が空気読めていない気がした。
本当は、中二病患者の基本言語であるドイツ語の名前を付けたかったのだが、
残念ながら病院住まいで和独辞典は手に入らなかったので我慢した。
それはそうと、このインビジブルテンタクルは、すごかった。
言葉で説明するよりも、実際に使って見せた方がよりわかりやすいと思う。
昔やっていた某雑学紹介番組でも、言葉で説明するよりもVTRで実際に行ってみせて視聴者を理解させていた。
それにならってみることにしよう。
実際にやってみた。
まず、頭頂部に肛門があるイメージをし、同時に脳みそがウンコであるかのような想像でもっていきむ。
すると、にゅっとインビジブルテンタクルは出てくる。
は、初めてインビジブルテンタクルを出したときは、こんなイメージを抱かなかったぞっ!
突然インビジブルテンタクルが出てきて、それをどうやって動かせばいいのか、
試行錯誤の結果にこうやるとうまく行く、という結論に達したわけであって……。
いくら僕でも何の意味もなく、唐突に頭にケツがあってそこからウンコ出すイメージを抱いたらどうなるんだろう?
と考えたりはしないっ!
……。
少々取り乱したが、インビジブルテンタクルの調子は上々。
相変わらず透明な触手で、本気を出せば半径五メートル範囲内であれば届く長さになる。
手足がギブスに包まれて、何も取れなかった頃には、ちょっとした小物を取る程度の仕事をしてくれて重宝した。
しかしこのインビジブルテンタクルの真価はそんなちっちゃいことではない。
インビジブルテンタクルの先端が、ずぶりと良子ちゃんの頭の中に入り込む。
軽いものなら掴むくらいの力はあるが、インビジブルテンタクルには物体を透過する能力がある。
だから、皮膚と頭蓋骨に覆われている頭部にインビジブルテンタクルは何の抵抗もなく入りこむことができるのだ。
「……ッ!」
インビジブルテンタクルの先端を少し丸めるような感じで、きゅっと動かすと、
良子ちゃんの様子が目に見えて変化した。
肌は瞬く間にピンク色に染まり、表情はだらしなく崩れ、そして俺のチンコを包む肉壺がきゅっと締まった。
そう、俺のインビジブルテンタクルは、接続した人物の脳を意のままに操れるという特殊能力があるのだっ!
どういう原理でそうなっているのかわからないが、対象の脳の分泌液を自在に操ることによって、
マインドをコントロールすることができるのだっ!
というわけで、おばさんに命じられてやってきた良子ちゃんの脳にインビジブルテンタクルを接続し、
『入院していて溜まっている拓也君の性欲を解消してあげるまでが遠足』という誤認を与え、
初めての騎乗位プレイを体験してもらっていたわけだ。
初めては絶対記憶に残すもの、として破瓜の痛みを体験してもらっていたものの、
それを見つめながらニヤニヤするのは流石にマンネリになってきた。
ここは一つ、愛のキューピッドことインビジブルテンタクルさんに頑張ってもらって、
良子ちゃんにも感じて貰おうと思ったわけだ。
我がインビジブルテンタクルはヤバげなデータをインして、良子ちゃんの脳で怪しげな物質が過剰分泌させた。
とはいえ、俺自身は特に何もしていない。
良子ちゃんもエロエロになればいいなー、と思うことによって、インビジブルテンタクルが適切な処置をしてくれるのだ。
かなりファジーで、本当にこんなんでいいのか? と思えど、よくよく考えたら、普通に腕を動かすときだって、
モータータンパクがATPの加水分解により、アクチンフィラメントが移動してどーたらこーたら、結果筋肉が収縮する、
といった一通りのプロセスを頭の中で考えておらず、細々とした作業は全て無意識でやっているわけだから、
これくらいでいいんだと思う。
まあ、真面目に考えたら、そもそも頭から透明な触手というのが出てくること自体があり得ない事態なわけだ。
いちいちどういう動きをしているのかを考えること自体ナンセンスと言えよう。
「なにっ……これぇっ!!」
良子ちゃんはさっきまでとは明らかに違う態度で腰を振った。
過剰にもたらされる快楽が、自分の理性を完全に破壊するかしないかというところを、模索しているのだろう。
腰の上下は、スピードがまちまちで、遅かったときの次のストロークは若干早いし、
早かったときはビクビクと震えて、一旦止まり、強すぎる快楽を逃がしているようだった
「すごっ……これっ、と、とまらなぃっ!」
うは、うはははは。
これぞインビジブルテンタクルの真骨頂。
『シャイニング・ツンツン幼なじみが一発でとろけるぜ脳内スパーク』だっ!
もし、海外のショッピング番組でこの技が紹介されたら、もれなくお電話鳴りっぱなしになること間違いなし!
もちろん、このお値段そのままで更なるオプションがついてくる。
今現在でも、良子ちゃんはメロメロだ。
初めての性交で、もう既に人によっては到達できない境地に立っているものの、まだまだ上がある。
生まれたての山羊みたいにぷるぷる震えて、涙なんかをだらだら流しちゃっているものの、
まだ動いているのは良子ちゃんだけだ。
僕は完全にマグロで、ベッドの上に横たわっているだけ。
良子ちゃんは、俺の溜まっている性欲を発散させるだけ、という考えでもってセクロスし始めたのだから、
僕が動くことは、その仕事以上のことだ、ということで拒否してきた。
だけど、今ならっ! 主に俺のチンコにメロメロになっている今ならっ!
動いてもいいのではないか? というか、別に最初から動いていてもいいような気がしないでもないが、
まあ、とにかく、動き始めるタイミングとしては今が最適なのではないか、と考えられる。
とはいえ、何の考えもなく動くのは、馬鹿のすることだろう。
若き日のリビドーに任せて買ったエロDVDが散々な出来で、パッケージ詐欺だろ、これ……と落胆したことを思い出せ。
せめてネットで情報を集めるくらいの慎重さが必要なんだ。
ぽーっと宙を見つめ、意識をふんわりと浮かせている良子ちゃんの腰を掴む。
下はスカートと下着を脱いで、ベッドの柵に掛けているが、上はまだ着たままだ。
発達途中だとはいえ、中々侮れない胸はもちろん、おへそすら上着に隠れて見えない。
まるで茂みの中で獲物を狙う蛇のように、わきわきと俺は両手を動かす。
定位置につかせたら、さっと両手で良子ちゃんのお腹の左右を掴む。
「ひゃっ……な、なに、してんのよ」
良子ちゃんは驚いて、体をよじろうとしたが、甘い甘い。
メロメロのメロにされている現段階で不用意に体を動かすことは、自爆行為なのだ。
「うっ……くぅぅ……」
もはや良子ちゃんは『ウルトラ・幼なじみをとろとろにとろかすぜ脳内エレクトロ』を受けた時点で色々と詰んでいる。
強すぎる快楽に、意識に靄がかかり、手足は神経毒に犯されているかのようにうまく力が入らない。
その状態で、どう逃げようというのか。
いや、そもそも逃げようとすら思うことすら出来やしない。
良子ちゃんの意のそぐわぬことをしようとしたとしても、シャーペンの芯よりも脆い抵抗をすることが精々だろう。
良心の痛みというのは、さっき良子ちゃんが了承してくれたように、
トラックの運ちゃんに対する怒りを性欲に変換しているだけ、という若さ故の過ちであるので問題ない。
つまるところ、今や僕が腰を動かすことに何の障害がないことになる。
ただし、もしこのまま不用意に腰を動かしてしまえば、
全身に力の入らない良子ちゃんは、支えを失い、そのまま倒れてしまうかもしれない。
そのことを考慮にいれて、僕は良子ちゃんの腰を掴んだ。
「うりゃっ」
足を突っ張り、肩胛骨あたりに力を入れて、腰を勢いよく動かした。
僕の上に座っていた良子ちゃんは、重力に引かれつつも、僕の体に押し上げられるように跳ね上がる。
膣に入っていた僕の肉棒も、ずぶずぶと良子ちゃんの柔らかい肉の隙間に入り込んでいく。
良子ちゃんにとっては全く不意打ちにも等しかっただろう。
快楽に耐えることはもちろん、備えることすらも出来やしなかったに違いない。
「……ッ……ッ……」
一回の挙動の後、良子ちゃんは下唇をかみしめ、顔をうつむかせて震えていた。
恐らく、この状況が漫画にするのならば、ハートマークがこの病室に入りきらないほど満ち満ちているはずだ。
良子ちゃんが震える手を持ちあげた。
軽く握り拳のそれを、大体肩の高さあがりまで持ち上げると、今度は振り下ろした。
「いてっ!」
ぽこっ、というかわいらしい擬音が相応しいような、そんな弱いパンチだったけど、
一応、礼儀として痛い、って言ってみた。
すると、良子ちゃんは何度も何度も、弱パンチを繰り返してくる。
左手と右手で、ぽこぽこぽこぽこ、と……事情の知らない第三者の視点であれば、
馬乗りして殴るという結構アレな感じであるものの、実際は甘噛みみたいなものであることがわかる。
「こっ、この、バカタク! な、何、勝手に動いてるのよ」
昔のあだ名で呼ばれたためか胸が少しキュンとなった。
よくよく見てみると、目尻に一杯涙を溜めているので、尚更キュンとなった。
「じゃあ、動いていい? ってちゃんと聞いたら、動いてよかったのか?」
「そ、そんなの駄目に決まっているじゃない。
これは、お見舞いだからしょうがなくやっているんであって、
あんたが動いちゃったら普通に……」
ごにょごにょと語尾を濁したが、言いたいことはわかる。
セックスになってしまう、と思春期の乙女が言うのには抵抗があるらしいからな。
ああ、もちろん、僕は全然構わない。
必要とあれば、赤ふん一丁で、学校の校舎の屋上で、セックスと大声で唱えることだって出来る。
飽くまで、必要とあれば、の話だが。
「聞いても動いちゃ駄目なら、聞かずに動く他にないじゃん」
「……そのりくつはおかしいわ」
「男女の仲は理屈じゃないんだよ」
「誰が、いつっ、あんたとわたしが男女の仲になったと?」
セクロス中にそんなことを言われると滑稽だが、
僕が良子ちゃんにインビジブルテンタクルを使ったことを考えれば、なんらおかしいところはない。
「幼稚園に通っていた頃、良子ちゃんが僕に向かって、将来お嫁さんにしてください、って言ったときから」
「子供の頃の記憶を捏造すんな、バカタク!」
掴んでいた腰を離して、今度は良子ちゃんの手首を掴んだ。
抵抗できないことをいいことに、上下逆転の構えだ。
良子ちゃんを引き倒し、反対に僕は起きあがり、うまく手を引っ張ってベッドの上に寝かせる。
「今、全身に力が入っていないかよわい女性の良子ちゃんと、リハビリをとっくに終えてほとんど全快している男の僕。
ベッドの上のレスリングは、どっちが強いと思う?」
「……じょ、冗談はやめて」
「仮に僕の言っていることが冗談だったとしても、この状況は既に冗談になっていない」
良子ちゃんは少し怖がっているようだった。
ほとんど有名無実な幼なじみだけど、こんな目で見られることに少し心が痛んだ。
別に僕は幼い頃の記憶を捏造した覚えがないから尚更に。
でもまあ、トラックにはねとばされたから仕方ないよね!
「お、大声出すわよ」
良子ちゃんの抵抗があった。
けれども、今も尚、良子ちゃんには俺のインビジブルテンタクルが接続してある。
本当に大声を出そうとしたら、インビジブルテンタクルがそれの邪魔をする手はずが整っている。
尚かつ、多少大声を出したとしても、既にここいら一帯にいる人のほとんどにインビジブルテンタクルによる、
『説得』処理が済んでいるため、この病室で異常があっても気づかない。
いやあすごいぞ、インビジブルテンタクル。
流石は僕の能力だ。
エロエロ空間を整えるのにはまさにうってつけな能力だと言えよう。
「是非、出して欲しい。
ここは防音設備が整っているから、どんなに気持ちよくて喘いでも大丈夫だから」
インビジブルテンタクル使ってるから、どんなに喘いでも大丈夫、という真実を言っても良子ちゃんには通じないだろうから、
良子ちゃんに通じるような言葉で教えてあげた。
良子ちゃんは、言葉を失ったように息を飲んだ。
じゃあ、いくよ、という言葉もかけずに僕は遠慮無く突いた。
ぐちゅぐちゅという粘液の音を聞きながら、チンコの先端に感じる感覚を楽しむ。
「あっ……やっ、そんな奥まで、おちんちんいれちゃ、だめぇっ!!」
挿入角度が違い、尚かつ主導権をこちらを持っているという興奮から硬直度も違う。
さっきとは全然違う感触だった。
良子ちゃんの柔らかい襞が肉棒にからみつき、じゅるじゅると粘液が啜るように分泌される。
「だめっ、ばか、バカタク! うご、動いたらっ!」
そして尚かつ、僕の下で暴れる良子ちゃんがいい。
両足の膝の裏を僕に押さえつけられ、マングリ返しの状態で、肘の先からしか動かない手で僕を殴ってくる。
ぽかぽか、と拳が肩に当たるが、マッサージにすらならないくらい力が弱い。
「あっ……ぁっ! とま、とまれっ! 動かないでって! 言ってる、でしょっ!」
「危ない! 拓也は 急に 止まれない」
「な、なに、いってんの、よぅっ、あぁぁぁぁっ」
ごり、とチンコが何かに当たった。
ぶつぶつとした肉の段々の感触が、チンコの亀頭の中央あたりにある。
同時に良子ちゃんは顔をのけぞらし、白い喉をこちらに見せる。
俺は一旦、一物を抜いた。
良子ちゃんの分泌した液により、ぬとぬとぬらぬら光るそれを見る。
息も切れ切れな良子ちゃんを感じさせていたと思うと、どこかいとおしさすら感じる。
「……ッ」
しばらくすると良子ちゃんは呼吸を整え、僕の顔をキッと睨み付けてきた。
その睨みに対して、僕は白い歯が輝くような素敵な笑みを浮かべて、それを返答にした。
「ナイス大声」
右手が空いていたなら、きっと僕はサムズアップサインをしただろう。
いや、別に左手でもよかったけど。
良子ちゃんは、最初、何を言ってるんだ、この馬鹿、といった目をしてきた。
まあ、この言葉は僕にとっても本当にどうでもいいことだった。
大声を出すわよ、と言ったことに対応する、からかいの言葉だ。
良子ちゃんがその結論に至ったのかどうかわからないけど、顔を真っ赤に染め上げた。
下唇を噛み、悔しそうに僕を睨んでいる。
まだまだ良子ちゃんのところは、快楽山八合目程度だ。
もう存分登りまくってはいるものの、先はもうちょっとだけ存在している。
一番おあずけを食らうと辛いところで止めている。
我がインビジブルテンタクルは、良子ちゃんの快楽山のてっぺんを、もっともっと高いところに押し上げていった。
それに加えて坂の角度はどんどん大きくしている。
ほんの一突きで、信じられないほどの快楽が発生するものの、絶頂が元々持ち合わせていた許容度よりも遙かに高みに存在する。
もはやインビジブルテンタクル無し=僕無しでは決して到達出来ない境地へといざなわれたのだっ!
それから数時間後、俺は快適なひとときを過ごした。
良子ちゃん? 良子ちゃんなら僕の隣で寝ているよ。
僕の胸元には、良子ちゃんの薄い口紅がいくつもついており、
下半身は、良子ちゃんに拭かせたティッシュの残骸がちょっとこびり付いている。、
結論から言えば、良子ちゃんはもはや僕にメロメロ。
インビジブルテンタクルもとい僕の虜になり、僕のことをご主人様と呼ぶようになった。
まさにインビジブルテンタクル様々だ。
数日後には、僕はこの狭い病院から退院する。
流石に半年も休んでいたせいで、高校は留年が決定してしまっているが、
それでも、この出会いのない牢獄と比べたら遙かに違う。
僕はインビジブルテンタクルの能力を秘匿することに決めた。
もし、僕が得体の知れない超能力を身につけた、ということを世間に発表すれば、
超能力を研究する怪しげな組織に連れ去られ、人体実験されてしまうかもしれない、というのと。
あるいは、トラックに轢かれることによって能力に開眼した、となると、
僕と同じような思春期の男達がトラックにわざと飛び込んで、当たり所が悪く死亡してしまったり、
あるいはどこか遠い世界へと意識だけ飛んで二度と目覚めなくなってしまうといった
社会現象が起きてしまう可能性がある、というのが建前。
本当のところはこの能力を独占して、僕一人だけこの利益を得られる形にしたいからだ。
これからの生活に高鳴りつつ、僕は眠っている良子ちゃんを揺さぶって起こし、
第五ラウンドに突入することにした。