「70点だな」
「ええーっ、満点じゃないの!? くやしぃ!」
俺が点数を告げると都子はじたんだを踏んで悔しがった。
俺たちが何をやってるのかと言うと、バレンタインデーのチョコ交換。
俺は男のくせにお菓子作りが趣味だ。
特にチョコにかけてはこだわりを持っている。
で、ある年のバレンタインデー。
幼なじみの都子が手作りのチョコを義理だと言って俺にくれた。
で、その時チョコを食べて感想を聴かせてくれと言ったので正直に答えた。
「0点。」
都子の怒り狂い様ったらそりゃぁなかった。
でもたぶん溶かして型で固めただけのチョコで、テンパリングもしてなくて舌触りも
粉っぽかったんだから仕方がない。
で、後で知ったんだけど、これが実は本命チョコで、俺が美味しいといったら告白する
つもりだったらしい。
つまり、俺はイラン事を言って都子の逆鱗に触れたわけだ。
で、この日を境に都子はツンツン女にクラスチェンジした。
それまでは結構仲良かったんだけどなぁ……
で、年に一度のバレンタインデーに毎年お互いにチョコを作って交換し、都子は
打倒俺を目指して頑張っていたわけだ。
でも俺も適当に負けておけばいいのに、挑発的な都子の態度についつい張りあってしまい、
全力でチョコを作るもんだから俺の連戦連勝が続いてしまい、都子の怒りを買う一方だった。
「うぐぅ……悔しいけど美味しい……」
今年の俺はチョコケーキ。
都子は悔し涙を流しながらもチョコケーキを口に運ぶフォークが止まらないようだった。
「じゃ、今年も俺の勝ちだな。」
勝ちたくないのについつい意地を張って勝どきを上げてしまい、心のなかで後悔する
俺なのだった……
「ちょ、ちょっと待ちなさいよっ!」
「なんだよ、まだあんのか。」
「……ちょっとあっちむいてなさいよ。」
仕方なくそれにしたがって後ろを向くと、なにかガサゴソやってる音がして、しばらくして
都子に呼ばれた。
「……こっちむいていいわよ。」
「はいはい……ってうわっ!」
「さあ、早く食べなさいよ。早くしないと垂れちゃうでしょ。」
振り返ると、都子はパンツ1枚の姿になっていて、常日頃から人目を惹いている大きな胸に
チョコレートシロップをたっぷり塗りつけた姿で俺を待っていた。
……評価?
そりゃもちろん、満点を付けるしか無いさ。
チョコも、その「中身」も、すっかり堪能してしまったんだからさ。
今じゃチョコなんかなくても甘々で、周りからはバカップルって呼ばれちゃってるよ。