彼氏と喧嘩した翌日、やけになって入ったバーでまさかこんなことに巻き込まれるとは思わなかった。  
 
ふらりと立ち寄ったその店に入ったのは初めてで、優しげでカッコいいバーテンさんに心躍って  
カウンターに座った。  
他にカウンターに居た何人かの男性は下心というほど下品ではなく、スマートに声を掛けてくれた。  
それに気分を良くしてグラスを重ねたのは事実だけれど、そんなに度数の高いカクテルは頼んで  
いなかったし、もともとアルコールにも弱くない私は、ふと気づいたら別の場所だったなんて  
経験がなかったので目が覚めた時には愕然とした。  
 
状況も飲み込めず身体も動かない私に、バーテンさんがペットボトルのお水を口元にあてがってくれた。  
やはり飲み過ぎたのかやけに喉が渇いていたため音を鳴らして水を飲み干した。  
すっきりとして、改めて自分の状況を確認する。  
居るのはさっきの店ではない、だれかの部屋か、ホテルの一室か。  
私は椅子に座らされていて、手は後ろ手に縛られているようだけれど着衣に乱れはない。  
乱れはないんだけど、椅子の肘かけに足を乗せられて固定されているようで、体勢的には  
非常に落ち着かないものだった。  
「あっ、あの」バーテンさんに呼びかけるものの彼はこちらを一切顧みることなく私の背後に回り、  
ドアの開く音がしたようだった。首が回らないから後ろの状況は判らないけれど、扉があって、  
彼は出て行ったようだ。  
 
これは一体…。酔い潰れた私を介抱してくれた、という状況でもなさそうだし。  
どうにか腕の拘束を解けないか動かしてみるものの固く結ばれているらしく弛む気配はなかった。  
逃げたほうがいいに決まっているけれど、どうやって脱出したものか、逡巡している間に  
後ろの扉が開く音がした。バーテンが戻ってきたのか、と思いきや、話声がする。  
何人かがいるらしい。  
ますますマズイ方向になってきたと身をすくませた。  
 
「ではお稽古をはじめましょう」  
 
「今日はお稽古ですから簡略化していますが、本来のお繰り会では、亭主が、装いや会場、  
状況設定までを季節や正客の好みに合わせて演出します。よろしいですね」  
 
背後から聞こえる優しげな言葉とは裏腹に複数の視線が私に突き刺さる感じに恐怖した。  
 
「では、今日のお稽古では…栗田さん、正客をお願いします。次客に鳥居さん、最後に須崎さん、で  
まいりましょう。まずはその順番で、全体を眺める。亭主の用意した装い、会場を含めて拝見するところからです」  
 
その名前はさっきカウンターにいた男性たちのはずだった。そして、背後からゆっくりと私の前方に  
回りこんできた。  
 
バーテン含め、4人の男性に囲まれて見つめられると、縛られているとはいえM字開脚状態の  
自分に激しい羞恥を覚える。  
どれくらい見つめられていたのだろう、バーテンがまたも口を開いた。  
 
「では着席いただいて」  
 
男性たちは先程は気づかなかった私の椅子の真正面にあるソファに行儀よく並んで座った。  
 
「正客の栗田さん、次席以降の方に『お先に』と一礼したうえで前に進みます」  
バーテンが指導者なのだろうか、講義口調で語り出すと栗田はその指示通り私の目の前にやってきて  
ひざまずいた。開脚した足の間。彼の顔の前に私の股間がある状態に目を固く閉じる。  
 
「この時点では正客の好みが大きく反映されますが、お稽古なので、後ろの皆さんにも判りやすいように  
お願いします」  
 
「判りました」栗田はそう言うと私のスカートを勢いよく捲りあげた。  
 
……!あまりの事に声が出ずにいた。  
「ほぅ。ガーターベルトに紐パンとは随分…」隣のバーテンのつぶやきが聞こえた。  
と同時に下着の紐に指が掛かった感触がして、焦って暴れたものの一向にその手をかわすことができなかった。  
いやぁ!それはやだ!見ないでぇ!顔が真っ赤になり目を閉じているだけでは足らず顔をそむけてしまう。  
「おお!」栗田の驚きの声が聞こえる。私の趣味じゃない!下着もガーターベルトも彼氏の趣味だ。  
そして、今の局部の状態も。昨日の喧嘩の原因だ。私の許可もなく寝ている間に剃毛ってどんな変態よ!  
 
「ああ、これはお手前にはもってこいの状況ですね。では、続けましょう。良いですか?作法としては  
『見・触・見・味・見』この5つを行います。『見』に始まり『見』に終わるのです。重要ですから  
丁寧に行いましょう。では、栗田さん」  
ふわっと生温かい風を局部に受け、びくっと身をすくませた。現在の状態がつかめず、薄眼をあけて  
そっと様子を見る。  
まさに私の局部に鼻息がかかるほど近くで栗田が私の小さな突起を眺めているのだ。隠すものが一筋の毛さえない私の局部。  
そしてソファの二人が立ち上がり栗田の背後からその様子を食い入るように見つめている、隣には冷静な顔で眺めるバーテン。  
状況を認識した途端、栗田の、他の男たちの視線が小さな突起に突き刺さり、身体の奥が熱くなった。  
 
「いいですか?次に『触』この段階で、亭主は清めを行います」バーテンが動くと、  
手に小さな刷毛を持って、局部に何かを塗った。感触からするとオイルかローションのようなものか。  
刷毛の柔らかさが直接クリをそっと撫でていき、思わず腰が揺れた。  
 
「客は、清めた亭主に一礼して『触』『見』『味』に入ります。ここでは、思う存分堪能し、味わって  
いただきます。間の『見』は小休止的意味合いを含みますが、『触』における成果を確認する重要な  
要素でもあります。また、次席以降の方たちが居ることを踏まえ、余り時間を掛け過ぎない方がよいでしょう」  
 
栗田の指が私に触れた。先程塗られた液体のせいか、余計な摩擦もなくつるり、彼のゆびから逃げる。  
指が追う、挟む。つぶす。クニクニとなぶられる。  
ん!栗田と周りの熱い視線に責められてトロリと体内からこぼれる感触があった。  
「あ、濡れてきた」そんな声をあげたのは鳥居だろうか。  
この異常な状況に、身体が反応してしまったとはいえ、声をあげたくなくて唇をかみしめた。  
 
くちゅりくちゃ…栗田の指が出す水音と私の荒い息以外ほとんど無音のこの状況で、  
私は絶頂へと駆け上がろうとした。  
その時。栗田の指が離れた。え?  
「では、『見』を」そうにやりと笑った栗田の顔が憎らしかった。今、私の状況を判って、敢えて  
指を離したらしいことを確信する。  
ひくひくと局部が動いてることを自覚する。それを楽しげに見つめる男たちの顔と、散々なぶられて  
腫れ上がっているクリにあたる生温かい栗田の吐息。それだけでは駆け上がるには足りなくて腰を揺らす。  
5分?10分経っただろうか。ようやく身体が収まったころ、それを見計らったように栗田が股間に  
しゃぶりついた。  
指とは違う感触に、収まった身体はまた駆け上がろうとする。指よりも熱くて柔らかいざらりとした  
その舌で、舐められて擦られて吸われて押されて。溢れている愛液ごと啜られた。  
あ、このまま一気に上りつめよう。息を止めて駆け上がろうとしたその瞬間に、栗田はまたも  
身体を離した。  
「ごちそうさまでした」  
そう言って、再度局部を視姦する。あと一息。一回吸いあげてくれたら達することができたのに。  
この異様な環境に順応してしまったのか、恥ずかしいとか止めてほしいとかではなく、  
今の私はただ、いかせて欲しかったのだ。  
 
腰をゆらして身もだえる私の赤く立ち上がったクリにふぅっと息を吹きかけては反応を見て笑う  
栗田を睨みつけるものの、目がうるみきったこの状態では大した迫力はなかったかもしれない。  
 
 

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