どうせ高校生の恋愛感情なんて熱情と変わらなくて、後になって思い出せば下らないもので、だから必死になったりやけになったり、そういうのは馬鹿な行為で、意味がない。
「・・どうだろ。俺はよく分からないな」
そう言うのは分かってる、あなたは愛情やその他の感情を他人に求めるのが疎いから。
「ん? いや、そんなことはないと思うけど・・・・」
そんなことはない、それならあなたは、例えば私に対して本気で好きとか愛してるとか、それと分かる行為を見せられる?
「・・・・あー。例えば、どんな?」
そう聞く時点で間違いなのよ、つまり今のあなたには確かな感情なんてものはなくて、この付き合いも惰性でしかない。
「そんなことは・・ないと思うけど」
けど、そういう迷いの言葉が入る時点で確証で間違いない。
「・・・・・・そう、か?」
そう、高校で出会って私が告白して、その告白に何となく乗ってみた、それだけなのよ。
「そんなことは・・・・・・」
愛情なんてものはない、好きっていう想いもない、空疎な、ひたすら無意味な関係性が続いている。
「・・・・・・・・・・」
つまり、そういうことだわ。
「宿題、やった?」
雑音に恵まれたクラス、そのクラスの中で私と彼方は寄り添い、掻き消されそうな声で会話を行う。
「あー、うん、まあ・・・・いや、うそ、まだ」
彼方が後頭部を撫でながら曖昧に笑うと、私はおかしくて顔を綻ばる。それだけのことが楽しい。
いっそクラスメイトの全てが消えて、この瞬間、私とあなただけになればいいと思ったけど、それは叶わぬ夢だ。
「見せたげよっか?」
「え? いや、でも、やっぱ自分でやんないと意味ないし・・・・・・うん、冒頭だけ」
「何よ、冒頭って」
私は自分の席に戻って机の中からノートを取り出し、それを持って、白紙のノートと教科書を前に溜息を吐いている彼方のもとに行く。
「はい、これ」
薄っぺらい、愛想に欠けたノートを見て、彼方は安堵の息を吐いて笑う。
「ありがと」
その言葉だけで嬉しさが体の中を駆け回ったけど、そんなことに一々反応をしていると、そう見せることは恥ずかしいので、黙って前の席に腰を落ち着ける。少し頬の辺りが熱かったけど、伸ばしてい
る髪のお陰で気付かれはしないだろう。
「・・・・・・うわ、これは一人じゃ無理だ」
私にすれば簡単な数式も、彼方には難しいらしい。
こういうのは向き不向きがあるから仕方ない、彼方の不向きは私が補えばいい。
「今日、どうする?」
「ん?」
さり気なさに言葉を混ぜ込むけど、彼方はあっさりと言葉の核心を見抜いて私を見つめる。
顔が更に赤くなっていく、それを感じたけど、私も彼方を見つめる。ここで目を逸らせば、彼方は誤魔化して消えてしまうかもしれない。
「・・・・あー、まあ、空いてるけど」
そう言うと、彼方はすぐに白紙のノートに目をやって、私のノートに視線を移す。
私は私の文字を彼方が見ているというだけで嬉しい。
いっそこの瞬間が永遠に続けばいい。
初めて彼方とした時は、嬉しいとか悲しいとか、そういう感情めいたものは何一つなかった。
感じたのは痛みだけで、涙が滲むとかそういう次元のことではなく、私は本気で自分の体が壊れるような、漠然とした死を連想するほど痛みに怯えた。
でも、それも最初の一回だけで、二回目になれば痛みも和らぎ、三度、四度と行為を重ねていくごとに痛みは消えた。
その痛みに代わって感じられるようになったのは嬉しさと気持ちよさで、それはあらゆる概念を超えるぐらいの素晴らしさで、一時、いっそ繋がったままでいたいと何度も行為に耽った。
もう何回も繰り返した行為、それでも私は、彼方とすることに喜びを感じて、気持ちよさを感じる。
「・・ぁ、はぁ・・ん・・ぅ・・・・」
私の部屋は電気も消されてカーテンも閉められ、暗くなっている。夜の暗さとは全く違う、生温さのある暗さだけど、その中で私と彼方は繋がっている。
彼方の硬くなったものが入れられ、緩やかに腰を振られるたびに快感が体を突き抜けて、肌が熱くなっていく。頭を持ち上げて彼方と唇を合わせれば、お互いの熱い息がかかって、意識が飛びそうな、
そんな快感に襲われる。
「・・ぁ、あ、はっ・・・・!」
脚を開いた格好は恥ずかしいけど、その恥ずかしさまで快感に変わっていく。彼方のあれは硬くて、そこだけが敏感になっている今、その硬いもので私の割れ目が押し開かれ、それが内部まで犯して
いるということが鮮明に感じられる。
喘ぎ声と乱れた息と、肌の打ち合わさる音と水の弾けるような音と、それらが部屋を満たして空気を変質させて、私と彼方の繋がりを何か特別なもののように思わせる。
「・・は、ん、ん、ぁあ・・・・・・!」
ただ、その繋がりもずっとじゃなくて、いつかは終わりが来る。
彼方が腰の動きを速くして私を強く抱き締めると、行為は終わった。
私の中で、彼方のものが震えている。きっと今、コンドームの中に精液が溢れているのだろう。彼方のものは膨張して震えを起こしていて、私の内部で暴れるその感じに、背筋に寒気が走る。その寒
気は気持ちよさが一定以上のものになったことを伝えるもので、その寒気と同時に頭の中も真っ白になった。
彼方のものは、まだ震えている。
私は彼方を抱き締めて、その顔に唇を寄せて、場所も構わず口付けをする。
この時がずっと続けばいいのに、と思う。
「あ、どもー。はじめまして、です」
彼方の家に遊びに行くと、一緒に帰った私たちを可愛い女の子が迎えてくれた。驚く私を見て、彼方は苦笑を漏らす。
「妹だよ」
「はい、妹です。よろしく」
そう言うと妹さんは手を伸ばして、握手を求めた。私は素直に応じながら、まさか彼方に妹がいるとは知らなかったので、まだ驚いていた。
妹さんは、靴を脱いでスリッパに履き替える私をじっと見ていて、私と目が合うと明るい笑みを見せた。
私も、驚きを隠して笑顔を見せる。
「知らなかったよ、妹さんがいたなんて」
彼方の部屋で私が愚痴ると、彼方は声を上げて笑った。
「さっきの顔、面白かったよ」
「・・・・・・もう」
誰だって驚く。
私が呆れて溜息を吐く中、彼方は部屋を出て行って、程なく戻ってきた手にはお盆があった。
お盆の上には、湯気を上げるコーヒーカップが二つ、それに小さなシュークリームが山盛りになっている皿があった。
「母親がさ、何を血迷ったか買ってきたんだ。全然、減らなくてさ」
「・・・・太りそう」
私はブラックのコーヒーを一口だけ飲んで、眉を顰める。
「大丈夫だよ。少しぐらい太っても問題ない」
そう言いながら彼方はシュークリームの一つを口に入れ、あっさりと飲み下す。
私も一つを手にとって口に入れれば、やや硬い皮の感触を噛み潰すとともに甘ったるいクリームが溢れて、口の中一杯にその甘さが広がった。
「・・太っても、大丈夫なの?」
コーヒーで甘さを打ち消しながら、彼方を見つめる。
「大丈夫だよ」
彼方はそう答えて、結局、私は十個も食べた。本気で太りそうで、帰る間際、重たくなっているお腹を心配した。
「妹さんって、どんな子なの?」
昼休み、教室は相変わらず騒がしいけど、私の声は消えずに彼方に届いた。
「どんな・・・・変な奴だよ」
そう言って彼方は笑った。その笑顔は優しくて、少し傷ついた。
でも、彼方は私のことに気付かず、お弁当に入っている玉子焼きを箸で掴んで、口に運んでいた。
「・・仲、いいの?」
この年頃の兄妹なら、触れ合いすらなくても不思議じゃないのに、そう思いながら聞いた。事実、私にも姉がいるけど、顔を合わせても言葉すら交わさない。
彼方は水筒から注いだお茶を飲みながら、また笑顔を見せた。
「まあ、いいと思うよ。俺はそう思ってる。妹がどう思ってるかは知らないけど」
「・・・・・・そう」
どうして、そんな笑顔を見せるのか分からない。
私といる時には見せないような、何か特別なものを感じる。それは私の考えすぎで、単に彼方の側にいられる妹さんに嫉妬しているだけかもしれないけど、それでも私は悔しかった。
「ねえ、今日、暇?」
彼方は僅かな時間、視線を上向けてから答えた。
「・・あー、まあ、暇だよ」
もしも暇じゃなかったら、私の誘いに乗ってくれたのだろうか?
私はそんなことを考えながら、美味しくない冷めた肉じゃがを口に運んだ。
結局、嫉妬、だったのかしら?
私には未だに分からない。
ただ、私は妹さんの顔を見た瞬間、何か危ないものを感じて、彼方との距離を心配するようになった。
彼方は別に妹さんのことを話そうとはしなかったし、妹さんとの距離を感じさせるようなこともしなかったのに、どうして私はあんな激情に駆られたのだろう?
やっぱり、嫉妬、だったのだろうか?
私は彼方のことが好きで、大好きで、だから独占したいと、そう思っていたのだろうか?
妹さんの存在で我を忘れてしまうぐらいに?
一体、あの時の私の胸の中にあったのは何なのか、私には結局、未だに分からない。
だけど、私はあの行為を通じて、確実に変わった。
恋愛感情なんていうものは一時の熱情で、下らない妄想で、独りよがりで、それら一切を理解して醒めたものを感じるようになった。
私は彼方のことが好きだった。愛していた。でもそれは、一時のまやかしで、勘違いに等しいもので、年齢に比例した稚拙な想いで、仕様もないお芝居だった。
だから私は、これからは、きっと違うものを得ていく。
誰とも違う、それまでの私とは全く違う、そういうものを得ていく。
だけど、本当に──私は本当に、彼方のことが好きだった。恐らく。
人を眠らせるのに最も適している方法は何だろう。
妥当な線で睡眠薬に落ち着いたが、睡眠薬だと効果を発揮するのに時間がかかるというのが問題だった。
だから、その日、私は朝から彼方の家に遊びに行き、彼方と妹さんの飲むコーヒーと紅茶の中に睡眠薬を入れた。
なかなか効果は出なくて、私と彼方、妹さんは彼方の部屋で話し込み、時間が過ぎた。
「お兄さんのこと、どう思ってるの?」
それは冷やかしに見せかけた質問だった。でも妹さんはその質問の意図に気付くこともなく、無邪気に答えた。
「うー・・まあ、普通に好きかな、です。クラスの男の子よりは好きだよ、うん」
彼方は妹さんの声を聞きながら笑っていた。
まるで、当然だと言わんばかりに、妹さんの心は知り尽くしているとでも言うように、彼方は笑っていた。
「彼方は・・・・どうなの?」
私だけが阻害されている空気を感じる。
いや、それは思い過ごしでしかなく、私の勘違いでしかなく、それを証明するように私の言葉に二人が答えてくれる、そういう感じになっているのに、私の中で不快感が募っていく。
「俺は・・って、前にも言った気がするな。普通に好きだよ」
「んふふ」
気持ち悪い。
二人して見詰め合って、承知しているとばかりに含み笑いを交換する。
違う、こういうのは兄妹とは呼ばない。
こういうのは恋人同士で、親密な仲で、そういう関係で、少なくとも私の前で見せるような、そういう笑顔じゃない。
「お姉さんは、どうなの? お兄ちゃんのこと、好き?」
妹さんがからかうように聞いてきて、それさえも苛立ちに繋がって、それでも私は答えた。
「うん、好きだよ」
彼方は照れたように笑って、妹さんは少し頬を赤くした。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
「・・・・・・どういう、ことだ?」
静かな空気が流れる部屋の中で、彼方の声だけが確かな存在感を漂わせて響き渡る。
「・・さあ。私にも、よく分からない」
実際、私には私の心の中が分かっていない。
それなのに私は、眠った彼方と妹さんの手足を縛り、動けないようにして、向き合わせる格好で床に座らせた。彼方の背後にはベッドがあるので背中は倒れず、妹さんの背中にも壁があり、二人とも
上半身を起こしたまま向き合っている。
妹さんの顔は怯えと恐怖に歪んでいたけど、短い髪が見せる活発さは失せず、可愛らしさを保っていた。
彼方の顔は怒りというより困惑に歪んでいて、私の真意が理解できないらしい。私にも分からないのに。
「・・全て、いっそどうでもよくて、打ち壊されて、消えれば・・そんな感じなのかな」
私は空虚な心で妹さんの背後に回り、妹さんの頭の向こうに彼方の顔を見る。
二人は膝を合わせるぐらい近寄っているせいで、私の視線のすぐ先に彼方の顔があって、その顔を見ているだけで、何か得体の知れない感情が膨れ上がるのを感じた。
「・・・・・・ねえ、お兄ちゃんとは、してるの?」
小さな耳の側で囁くと、妹さんは体を震わし、すぐに耳たぶを真っ赤にした。
「・・・・やめろ」
庇うように彼方の低い声が漏れて、部屋の中に浸透していく。
でも、その程度ではもはや止まれない、そんなところまで来ている。
「・・危ないことしたら、妹さん、どうなるか分からないよ?」
私の言葉を聞いて、それだけで彼方は黙り込み、悔しそうな目をした。
たったそれだけの言葉で、彼方は黙り込んだ。何故? ただの言葉にそれほどの力があるの?
「・・やぁっ・・・・・・」
気付けば、私は妹さんの首筋に唇を寄せていて、そのせいで妹さんの抵抗する声が漏れていた。
その光景を、目の前で、彼方が見ている。悔しそうに、ともすれば私を殺すような目付きで、ひたすら、私を睨んでいる。私を。
私は妹さんの滑らかな肌に舌を這わせながら、覗いている肩を強く吸う。
「・・っ! や、ぁ・・」
痛みに漏れた声は艶めかしくて、唇を離せば、色素の薄い肌に赤い痕がついていた。
その痕を舌先でなぞりながら、くの字に折り曲げている脚の間に手を入れ、スカートを捲って太腿を撫でる。
柔らかくて触り心地が良くて、強く押せば弾力性がある。妹さんが背中を震わせるのを感じながら、私は彼方の目を見て、指を動かす。
「・・やだ、やぁ・・・・」
言葉は意味を為さない。
声も全く無意味で、私は指先を走らせながら、その指を股へと上らせていく。
妹さんのスカートが捲れて水色の下着が露になると、彼方の表情が見たこともない怒りを孕んだものに変わった。
「・・・・怒ってるね。見たことないよ、そんな顔」
言いながら、わざとらしく妹さんの下着の上から割れ目をなぞるように指を上下させれば、彼方は千切らんばかりに唇を噛んだ。
「やぁっ」
耳に響く声は抵抗感ばかりで、気持ちよさの微塵もない。
それでも指を上下させて、そうしながら耳たぶを舐め、もう一方の手で唇を撫でていれば、自然と声は途切れがちになり、肌も熱を感じさせるようになった。
「・・ん、や、ぁ・・!」
結局、意思とは関係なく体は反応する。
どれだけ痛くないと思っても、殴られれば痛い。どれだけ平気だと思っても、致命傷なら死ぬ。それと同じで、体の反応に意思は関係ない。愛撫されれば濡れるし、声も漏れる。
「・・・・っ、や・・ぁ・・」
「感じてるの? 気持ちいい?」
指先に湿った感触を覚えながら囁けば、妹さんは口を噤み、首を横に振る。
「・・じゃあ、イくまでしてあげる」
下着を脇にずらせば、ピンク色の線が覗いた。
「やぁ!」
妹さんが小さく叫ぶけど、それも意味のない言葉でしかない。それを示すように、彼方は黙っている。唇からは今にも血が出そうだったけど、黙っている。
「・・・・綺麗ね。まだ、したことないの?」
割れ目に指を滑らせると、僅かに濡れている感触と、柔らかな皮膚の感触があった。
「ぃ、やぁ・・!」
指を上下に動かしながら、割れ目を広げるように皮膚を左右に引っ張って、覗いた突起に指先を当てる。
妹さんの体が大きく震えて、目の端に涙が滲んだ。
「やぁっ、やっ・・んっ・・!」
声は部屋に満ち溢れて、その声が彼方を苛んでいるのが分かる。でも私は止めない。
妹さんの割れ目を上下になぞりながら、人差し指で硬くなっている突起を転がす。耳の中に舌を入れて、垂れていく唾液を吸う。
「・・いや、いや、いや・・・・!」
妹さんの声は段々と高くなっていき、肌の熱さも増していき、イく寸前であることが容易に感じ取れた。
「・・お兄ちゃんの前で、イくの?」
耳元で囁くと同時、妹さんの体が震えた。
「・・や、ぁ・・!」
指先に体温の飛沫が触れて、妹さんの肩が大きく上下した。それから溜息でも吐くように大きく息をして、荒い息を吐いて、頬をぼうっと赤くした。
「・・・・イッたんだ・・」
分かりやすい、あまりに幼い、可愛いイき方に微笑が漏れる。
彼方は唇を噛み締めて表情を変えなかったけど、怒りは相変わらずだったけど、ズボンを膨らませている。
「・・・・・・どうだった? 妹さんがイくところなんて、初めて見たんじゃない?」
私は言いながら立ち上がって、彼方の膝の上に腰を下ろす。
そしてズボンを下ろせば、トランクスは張り詰めていて、脇の隙間から指を入れれば触り慣れた硬いものを感じることができた。
「・・・・何で、こんなこと・・」
指先で先端の割れ目を撫でていると、彼方の低い声が聞こえた。目の前にあるのは厳しい顔で、とても感じているようには見えない。
「・・・・・・さあ、分からない。私にも分からないの」
一体、何がこの行為へと走らせているのか?
私には本当に分からないし、この結果がどのようなものをもたらすのかも想像がつかない。
それでも、私は行為を続けなければならないし、止めることなどできない。
全ては今さらで、終息へと向かわなければならない。
私はズボンを脱いで下着を下ろし、彼方には見慣れているであろう部分を露出する。そこは既に濡れていて、内側が自分でも分かるほどひくついていた。
「・・・・やめろ」
背中に妹さんの視線を感じながら、私は笑う。
言葉とは裏腹に、彼方のものは硬くなっている。トランクスから取り出せば、硬い棒状のそれは反り返っていて、丸みのある先端部分と皮の境目の窪みを撫でれば、面白いぐらい反応を見せた。
「これで、最後だね」
そう言いながら腰を下ろせば、割れ目に彼方の先端が触れる。その感触は慣れ親しんだもので、私のそこは迎えるように広がる。更に腰を落とせば、割れ目を押し広げ、内側を押し進めていく感触が
走って、頭の中にゆっくりと気持ちよさが広がっていく。
お尻が彼方の腰に触れると、奥まで入れられている感触で、頭の中がとろけそうだった。
「・・・・ぁ、はぁ・・」
彼方のあれは、私の内部の収縮に震えを起こしている。
気持ちいい、この快楽は全て彼方が与えてくれたもので、それも今日で最後になる。私が腰を前後に振ると、彼方が苦しそうに息を漏らした。
内部であれが動く様子を、鮮明に感じ取ることができる。彼方のあれは私の内部を犯している。先端で奥を突付き、腰を前後に振るたび、彼方のものを包む部分が刺激されて収縮する。
この気持ちよさが、私と彼方の繋がりだったのだろうか?
否定することもできないまま、私は腰を振り、息を乱していく。
「・・ふ、ぅ・・ぁ、あ、あ、ん・・・・!」
背後に、表情を把握できるほど妹さんの視線を感じる。
そして恐らく、彼方は今、私ではなく妹さんを見ている。妹さんを見ながら、私の与える快楽に浸り、同時に快楽を否定しようとしている。
一体、この気持ちは何なんだろう?
「あ、あ、ぁん、はっ・・!」
腰を前後ではなく、上下に動かせば、先端が私のあれを貫き、奥を叩く、痛みにも似た快感を感じることができた。一層と高まっていく快楽が、私を満たしていく。
「あ、あ、あぁ、あん、はっ、あ、ぅ・・!」
もう胸の中は苦しくて、頭の中は爆発しそうで、理性や心、確かな愛情まで吹っ飛んでいく。
私はただ感じるままに声を上げ、腰を振り、迫り来る絶頂に備えた。
「・・ぅ、ん、あ・・・・!」
全て喪失するような、今まで感じたことのない絶頂が押し寄せて、私を空虚に満たしていく。
腰を動かすこともできなくなり、激しく収縮する内側だけが私の与える快楽となった。でも、それで高みへと達した彼方が、精液を発した。初めての感覚が私を襲う。
先端の触れる奥、その奥に勢いあるものをぶつけられて、中が満たされていって、透明な印象に包まれていく。
「・・・・・・・・ぁ、あは・・・・」
コンドームなしでするのは、初めてだった。
もしかしたら、できてしまうかもしれない。精液の熱はそれを容易に想像させるぐらい圧倒的で、私は満ち溢れている内部、それを持て余したまま腰を上げた。
「・・・・はぁ、ぁ・・」
立てば、割れ目から精液が溢れてきて、太腿へと伝っていく。
その高揚する感触を感じながら、振り返り、妹さんの前に立つ。
妹さんは呆けた顔で、どこか現実感を喪失した顔で、私の割れ目から溢れる白く濁った精液を眺めていた。
私は妹さんの目の前、息がかかるほど間近に立って、妹さんの黒い髪を撫でる。
「・・・・私の、色、変わってるでしょ? お兄ちゃんに突かれてるうち、こんなふうになったんだよ。びらびらも開いてて、中の締まりも意識できるようになって・・ねえ、分かる?」
私が腰を押し付けると、妹さんの唇に割れ目が触れた。
そこから溢れる精液の生臭さに怯んだのか、妹さんは顔を顰めて、そして涙を流した。
「・・・・・・そう、きっと、そういうことなのよ。私にとって大切なのは・・でも、駄目ね・・私はきっと、本当に、彼方のことが、お兄さんのことが好きだから・・だから、もしも妊娠したら・・私は産むわ」
それは本心だろうか?
私にも私の言葉が分からない。
ただ私は、私の言葉を受けて何を思ったのか、妹さんが割れ目に唇を寄せて、必死に精液を舐め取って吸い取ろうとする姿を見下ろしながら、空虚な、ひたすら無意味な感傷に耽って、意味もなくこ
れまでのこと、彼方とのことを思い出しながら、涙を流していた。
終わり。