「しょうがない子ね、エリーゼ。本当に頑固なんだから……」
母様はため息をついた。
そのまま、私のすぐ目前まで歩み寄る。
肉の鎖と噴き出す媚毒に翻弄され、喘ぎながら、母様の姿を見上げる。
母様は、異形の玉座にまたがり、私と対面するように玉座の形をした肉塊に腰を下ろす。
「え?母様……?」
母様は、私が戸惑うのを楽しむように笑うと、私の背に腕を回し、強く抱きしめる。
私の膨らみかけの乳房と、母様の大きく熟れきった乳房がぶつかり、柔らかく形を歪める。
昂ぶりに伴い固く張りつめた乳首は、こすれ合い、その度に悦楽の電流が流れる。
触手からあふれ出した粘液が潤滑油となって、母娘の身体をぬるぬるとすべらせる。
「エリーゼぇ……愛しているわぁ……」
母様がうっとりと呟くと、私の唇に唇を重ねてくる。
抵抗する間もなく私の唇が奪われると、母様は貪欲な動きで舌を私の口内へと潜り込ませる。
その動きは、私の全身を辱める赤肉の触手たちと同じような蠢きだった。
母様の舌肉と、私の頬肉の裏、二人の粘膜がこすれ合う。
母様は、私の口を十分に蹂躙すると、唇を無理やり割り開き、私の中へとトロリとした唾液を止めどもなく流し込んでくる。
(……甘い)
母様の唾液は、異様に甘かった。
舌をしびれさせ、味覚がばらばらになりそうな感覚が襲いかかってくる。
喉に熱をもたらしながら流れていく様を感じて、私は母様の唾液の味が何であるかに気が付く。
それは……私を嬲る異形たちが噴き出している粘液と同じ味だった。
(……!!)
そのことに気がついた私は、必死に唇から逃れようとする。
しかし、ビリビリと快楽の波が肉体をしびれさせ、私の意志に従わせてくれない。
さらには、母様の接吻と流し込まれる唾液の感触があまりに心地よく、わずかに残っていた抵抗の意思すら、蕩かし、流して去ってしまう。
(あぁ、母様……)
いつしか、私は乳飲み子のように母様から与えられる唾液を求めるばかりになってしまう。時が流れるのも忘れ、知性までも乳飲み子になったかの如く母様の体液を貪り続ける。やがて、母様が唇を解放してくれる時にも、名残惜しげな視線で見上げてしまう。
「うふ。いい顔になってきたわね。エリーゼ」
私の姿に、母様が満足げにほほ笑む。
「私の唾液が、ご主人様の粘液と同じ味で驚いたかしら?」
そう尋ねる母様に、私はコクンとうなずいた。
「イイわ、教えてあげる。私はね、エリーゼ、あなたが来るまでの間、ずっとご主人様に犯していただいていたの。昼夜もなく、延々と交わり続けて、水も食事もご主人様の精液で取り続けたのよ……」
母様が、得意げに胸を張る。
「その結果ね……私の身体に流れる血も、唾液も、肉体の全ての水分がご主人様の精液になってしまったの……今の私は、この城の当主である前に、人間である前に……ご主人様の精液袋なのよ!!」
狂ったように母様が叫んだ。
母様が狂乱する姿を間近に見て、不思議なことにもはや先ほどまでの嫌悪感も、憎悪も湧いてこないことに気がついた。
少しの間をおいて、それは私が母様の狂った幸せを理解してしまったためだと気がついた。
父様がいない悲しみを、その欠落を、母様はこの異形の淫蜜で埋めることを選んだのだ。
「さぁ、エリーゼ。今度こそ……」
再び母様は肉塊の触手の先端を、私の眼前へと差し出す。
母様の手の中でびちびちと身をのたうたせる異形は、これから起きることを予期し、歓喜しているようにも見える。
私は、幻覚に囚われたように揺らめく視界の中で、肉鎖の頭を両手でそっと受け止める。
そのまま、そっと……愛をこめて、口づけを施す。
「んちゅ……」
触手は、小動物がじゃれつくように、肉頭を私の唇に押し付ける。
先刻までの蹂躙が嘘のように穏やかな……それでいて、確かに淫靡な接吻が、私と異形の肉塊との間で交わされる。
「……ぷはぁ」
私の息が続かなくなり、母様以外の存在と初めて交わした口づけが終了する。
私の唇と異形の先端の間に、唾液と粘液がまじりあった糸が一筋かかる。
私がうっとりとその様を眺めていると、すぐさま異形は次の接吻をねだって、身を近づける。
私は、その求めに応じて唇を突き出す。
無意識に、頬が緩んでいた。
「ん……!」
今度は触手は、私の口内へと半ば無理やり赤黒い肉体を潜り込ませる。
すぐに私は呼吸困難になるが、異形は私の口の中の肉に身体をなすりつけるように蠢き続ける。
触手がそなえた射精孔からどろどろの精蜜があふれ出し、やがて私の口と肉鎖の交わりは滑らかなものになっていく。
「んんッ!!」
しばしの蹂躙の後、異形の先端が爆発した。
何かが破けたように、大量の濃く甘い粘液が私の口内に満たされていく。
私は息苦しさに涙をこぼしながらも、自分の理解を超えた充足感に戸惑いながら、半ば塊と化している粘液をゆっくりと嚥下した。
粘液の塊は、喉の粘膜に絡みながら落ちていく。
胃袋へと落ちたそれは、胃液を混じり合い、私の全身へと染み込んでいく。
肉体中が、燃えるように熱くなる。
私が骨の髄から悦楽に蕩けた様を確かめて、口内を蹂躙していた触手は身を離す。
「あぁ、姫様。素敵です……」
「お美しいですわ。姫様」
「姫様……当主に相応しい淫らさでございます」
侍女たちが、口々に祝福の言葉を私に投げかける。
私は、だらしなく緩み切った笑みで皆を見回した。
すると、ふと私の頬に暖かい掌が触れられた。
母様の掌だった。
母様は私に微笑みかけてくれると、頭に着けていたティアラを外し、私の頭に載せてくれる。
「さぁ、エリーゼ……これから、当主継承の儀、そしてあなたの婚姻の儀を執り行いましょう」
母様の言葉を受けて、私は自分のするべきことを認識する。
そうだ、私は母様から当主の証であるティアラを受け継ぎ、この城の繁栄と幸福のために愛すべき伴侶を迎えるのだ。
玉座の形をした肉塊から延びた触手が、私の女陰でいやらしく濡れた裂け目を、お尻で切なげにひくつく肛門を、優しくなぞって撫でまわしている。
あぁ、お待ちくださいませ。
私の愛する旦那様。
いま、誓いの言葉を宣言いたします……
「母様、およびに今この間にいる全ての者に、私、エリーゼは誓います……」
私がゆっくりと口を開くと、母様と侍女たちの顔が期待に輝く。
「私は……このエリーゼは、未来永劫、この命の続く限り、この旦那様を私の伴侶とし、愛し、従い、そして……淫らに犯されることを誓いますッ!!」
私が、誓いの言葉を言い終わる寸前に、野太い触手が秘裂から侵入する。
瞬間、私は絶叫する。
あふれ出した愛液と塗りたくられた粘液のせいで、抵抗はほとんどない。
処女を蹂躙される痛みも感じない。
ただ淫らな肉が擦れ合う甘美な感触だけが、稲妻のように背筋を駆け抜ける。
「あぁ、エリーゼ様、ご主人様……おめでとうございますぅ。私共も、心より祝福申し上げますわぁ!!」
「エリーゼ様ぁ、私たちの幸せのためにも、一生懸命ご主人様との子作りに励んで下さいね!!」
侍女たちが、満面の喜色を浮かべて口々に私と旦那様との婚姻を称えてくれる。
私はビリビリと全身をしびれさせる悦楽と、うっとりとするような充足感に陶酔する。
「皆、ありが……と……ひぁッ!!?」
どすん、と背後から突かれるような衝撃が私の言葉を途切れさせる。
愛する旦那様の肉棒が、私の汚れた尻穴までも貫いたのだ。
前後の穴から私の内部に潜り込んだご主人様の一部は、暴れまわる蛇のように激しく蠢く。
前から入りこんだ触手は、私の子宮口までも蹂躙しようとし、後ろに潜り込んだ肉の塊は甘い衝撃とともに腸壁を擦りあげる。
快感に瞬く視界は、侍女たちの下半身に打ち込まれた肉の鎖たちも私の内側と同じように暴れまわり、侍女たちが快楽に溺れ、乱れていく姿が写しだされる。
「はぁあ! ああぁぁぁッ!!」
下半身から全身を染め上げる肉欲の波に、肺の空気を絞り取られ、口はだらしなく涎を垂らしながら半開きになる。
旦那様は、そんな私をさらに自分の色に染め上げようと、前と後ろの淫楽に染まりきった穴に、さらに一本ずつ肉の鎖を差しこんでくる。
「あはぁ!! クるッ! 何かキちゃうッ!!?」
内側が満たされて、なお注ぎ込まれる感触に私の性感は突き上げられる。
旦那様は、前後に差し込んだ触手を、激しく、それでいて一定のリズムで抜き入れしていく。
その動きに合わせて、私は上と下の口からあふれ出た体液をまき散らす。
「あうッ!! あぅああぁぁぁッ!!!」
私は絶叫する。
頂きを越えた快感の波が限界を超えて、私の神経を焼き尽くしていく。
五感すべてを白く染め上げ、産まれて初めての……いや、普通の人間ならば決して味わうことはないだろう人外の絶頂の波に私は、永遠とも感じられる一瞬の間、呑み込まれる。
やがて、快楽の波が引いても、肉欲の業火は鎮まることを知らない。
旦那様から注ぎ込まれる激しい愛撫の刺激が減ることもなく、むしろ増え続けていく。
喘ぎ声をこぼしながら、注がれる悦楽を甘受する私は、快感の底なし沼に沈んでいく小動物のようだった。
「あぅぁ……はあぁ……」
私はいまだ冷めやらない昂ぶりに戸惑いながら、荒く息を突き、顔をあげる。
その時、母様と目があった。
母様の下半身でも、旦那様の一部が激しく蠢き、もたらされる快感で母様も全身を小刻みに震わせている。
母様は私と目が合うと、優しく笑った。
それは、私がよく知っていた母様の笑顔だった。
「ぅん……エリーゼ、もう一頑張りよ……」
私を労う言葉をかけながら、母様は私と対面し、身体を密着させるように旦那様の肉塊の上に腰を下ろす。
旦那様が喜んだように全身を震わせる。
母様は、私の首の後ろに両腕を回す。
火照りきった母様の体温が暖かい。
「エリーゼは、イッたかもしれないけれど……ご主人様はまだ満足なさっていないでしょう?」
母様が柔らかい声音で、私を諭してくれる。
あぁ、そうだった。私一人で楽しんでしまうなんて……
旦那様にも喜んでいただくのが、妻の務めだというのに……
「あぁ……申し訳ありません、旦那様……私だけ、気持ち良くなってしまって……でも……私、頑張りますから……旦那様のお気持ちを受け止められるように、頑張るから……」
自らの無礼を恥じ、情けない私を励ますように、旦那様の触手が私の髪を撫でる。
一瞬、私がその愛撫をうっとりと受け止めると、次の瞬間、衝撃が突き上げる。
旦那様が、先ほどと同じくらい、いや、それ以上の勢いで私と目の前の母様の穴を貪り始めたのだ。
「あぅ! あうぁッ!! すごい……旦那様! 母様!! スゴすぎますぅ!!!」
「はぁん! 私もッ!! 私も、キモチイイわぁ!! 素敵です、ご主人様ぁ!!!」
私と母様は、女陰と尻穴の区別がつかなくなるほど激しく前後の穴に肉欲のくさびを打ち込まれていく。
どちらからということもなく、私と母様は強く体を抱きしめ合う。
母様が唾液をまき散らしながら絶叫している様を見て、私は母様の口を自分の口でふさぐ。
下半身を狂喜とともに蹂躙する触手のように、私と母様はお互いの舌を激しく貪り合う。
「はぅあ……んぴちゃ……ねえん、エリーゼ……私も、あなたの母である前に……一匹の牝として……快楽の奴隷として、ご主人様にお仕えするからぁ……エリーゼも、ご主人様の妻として、しっかりご寵愛をいただくのよぉ!!」
「んちゅぅ……うぁ……はい、母様……私、エリーゼは……全身全霊を持って……旦那様にご奉仕して……ご寵愛いただくことを誓いますわぁ!!」
私と母様は、暴虐のような快楽に狂い声をあげる。
それを合図にしたように、前後の穴をえぐる肉の鎖たちはより一層、私の奥へと潜り込む。
そして、永遠とも思える刹那の後、全ての肉塊たちが、一斉にその先端を爆発させた。
「あぅああ!! ああぁぁぁあッ!!!」
「あふぅッ! はぅッ!! あぁううぅぅぅ!!!」
私達は、同時に絶叫する。
白く濁った寵愛の奔流が、私と母様と、そして侍女たちの内と外を、旦那様の色へと染め上げていく。
私と母様は、お互いの身体を引き千切ってしまうほどに強く抱きしめ合いながら、狂おしいほどの旦那様の寵愛を、身を震わせて享受した。
あれから……
旦那様との初めての契りを経験してから……
どれだけの時が流れただろうか。
私には、もはや時の流れなど関係ない。
何故なら、一時の間を置くことなく、旦那様の愛は注がれ続けて、私の内を満たすからだ。
私の腹は、旦那様と私の愛の結晶が宿り、大きく膨らみきっていた。
「あぁ……産まれる。産まれますわぁ!!」
「あぁ、姫様が、またご主人様のお仔を産まれになるわ。なんてお美しいの……」
「頑張って、エリーゼ?あなたの旦那様も、喜んでいるわよ」
母様と侍女たちが、口々に私の姿を称え、励ましてくれる。
「皆……ありが、と……ふぁあッ!!」
秘裂から体液があふれ、背筋が焼き切れそうになる程の快感の奔流が駆け巡る。
水浸しになった股の間から、一匹、また一匹と、異形の姿を持った愛らしい私の仔が這い出てきて、その度に私は、絶頂に勝る悦楽に身を震わせる。
「ふあぁっ、ああっ!!」
身悶える私の前に、数人の侍女が歩み出る。
「それでは姫様。このお仔の里親は、私どもが務めさせていただきます……」
神妙にそう告げた侍女たちは、スカートをまくりあげる。
そこに下着はつけておらず、秘所からは泉のように愛液があふれ出している。
「……キュイイッ」
愛液の匂いを察したのだろうか。
異形の仔は、嬉しそうな泣き声をあげると、侍女の太股をよじ登っていく。
そのまま、わずかの迷いもなく、仔らは侍女たちの肉唇を押し開き、彼女らの体内へと侵入していく。
「あぁッ!入ってきています!!ご主人様と、姫様のお仔が……あふぅッ!!」
「うふ……可愛がって差し上げますわ……ですから、もっと奥へ!!」
侍女たちは、狂喜を持って、私の仔を受け入れていく。
やがて、仔が全身を侍女の胎内にうずめると、彼女たちの腹は妊婦のように膨らんでいた。
部屋を見回せば、母様を含めたほぼ全ての女たちが腹を膨らませている。
彼女たちは、身籠っているわけではない。
旦那様の仔を宿せるのは、処女を捧げて契りを結んだ私だけだ。
彼女たちは、里親として、私と旦那様の仔を宿しているのだ。
「エリーゼ……このままでは、里親が足りなくなってしまうわね」
母様が、私にそう告げる。
私は頷き返した。
城内の侍女たちは、あらかた子宮に私とご主人様の仔を宿している。
私は、少しだけ思案して、答える。
「それでは……領民から、美しい娘を集めて、彼女たちに里親になってもらいましょう」
私の言葉を聞いて、部屋にいたもの全員が、ぱっと表情を明るくさせる。
そうだ。
私と母様は、領民の幸せと繁栄を助ける義務がある。
ならば……私が享受している至高の悦楽も領民たちに分け与えねばならないのだ。
私の言葉を聞いて、腰の下で嬉しそうに旦那様が蠢いた。
私が優しくその身体を撫で返すと、旦那様は新しい仔を身籠らせるべく、数本の肉管で私の蜜壺を貫いた。