>絡みつかれ自由を奪われやがて、甘い甘い蜜を注ぎ込まれて身にまとうものを剥ぎ取られ  
 
 逃げだそうとした途端襲いかかってきた植物達。  
美しい庭で、優しかった彼等の感触はまるで上等な絹のようだった。  
 
 彼女の体中にぬるりとした感触が走る。太股の柔らかい皮膚を舐める取るように太い触手が蠢いている。  
しかし彼女の澄んだ青い目には区切られた空しか見えなかった。  
「ぅうん」  
喉の奥から甘い声が出てしまった。  
……これが私の声?なんて淫らな。  
甘いにおいを放つ樹液を滴らせて、蔓性の植物が彼女の足首から最後の衣服をこそげ落とした。  
くちゅくちゅと耳のそばでいやらしく舐める音をさせて、多肉質の淫花が耳に噛み付いた。  
「ぁあん」  
ぽこぽことした表面にたっぷりと蜜を乗せた葉が、ちゅるりと裸の股間をまさぐる。  
「いやぁ、ぁ……」  
言葉とは裏腹に、今までに味わった事の無い快楽が押し寄せてきていた。  
 
植物達は巧妙だった。  
いまの状態は緑色の「めしべ」で彼女の中を突き上げるばかりだが、初めの少女の抵抗はすさまじいものだった。  
数で勝るとは言え葉を千切られ噛み付かれ、幾本かの草が彼女の足下で踏みつけになって死んだ。  
情勢が反転したのはやや太いつる草が彼女の腰に巻き付いたときだ。  
そこからあっという間に体中にあらゆる蔓性の草が巻き付いた。  
次は動きの素早さには劣るものの、いやらしく蜜を垂らしている、多肉植物達の出番だった。  
それらは奇妙に甘い匂いで少女を痺れさせた。  
 
……なんだろう、頭にかすみがかかったみたい。  
そう知覚する頃にはひとつめの衣服が彼女の体からもぎ取られた。  
多肉質の植物の触手の結節からは衣服を脆くする液が滲み出ており、愛撫に似た運動をするうちに、  
彼女の衣服をきれいな絹のドレス「だった」代物に変えていく。  
まず真っ白な二の腕が丸出しになった。  
ざらざらとした猫の舌のような感触で、べつの葉が二の腕を舐め立てる。  
きゅうっと蔓草が少女の足首を引っ張った。  
ずむ、っとドレスの股間を勃起させるが如く、さぼてんに似た草が飛び出し、少女の太股を露わにした。  
白い素肌につけた薄い麻の下着を徐々に濡らすのは、植物たちの淫らな汁だ。  
蔓草の細い吸盤が服の下に入り込むと少女のピンク色の乳首を探り当てた。  
「んんん」  
少女は快楽に溺れそうになりながらも、最後の抵抗を試みた。  
しかし、とろとろになった下半身を淫らに愛撫されると、股が熱く火照って、体中が痺れて行く。  
((ね、え。もっと あそぼうよ))  
少女の脳に直接声が響いてきた。  
 
「い……、いやよっ、う」  
乳房全体をぬるぬるとした液で撫でられながら、敏感になった乳首をクリクリと捏ねられる。  
上半身の服がくたりと剥がれた。  
「あ、あん。いや」  
しかし火照った肌と、ぬるぬるくちゅくちゅした感触に徐々に夢中になっている少女は、上半身裸になると言う事に  
奇妙な開放感と背徳感を感じていた。  
……私ったらいやらしい格好だわ。  
その考えが余計に性感を高める。  
((ねえ、もっと、あそぼうよ。このあそびは、たのしいでしょう))  
楽しくなんか無い、と言いたかったが、少女の体は快楽の中になかば飲み込まれていた。  
ずりゅ、っと音がした。  
目の前に、見たことのある、しかし大きな花があった。  
頭の中の霞は段々と濃くなる。  
((のどがかわくでしょう))  
……そうかも。  
のどの奥から出る喘ぎは、へんに喉を乾かせる事に気づいた。  
少女は赤い唇を開いた。  
何もかも承知したような動きで大きな花は首を傾け、奥に溜まった甘い蜜をとろりと少女に流し込んだ。  
植物の作った赤い、キスマークのような痣に覆われた喉を通って乳房が上下した。  
((あそぼうよ))  
……そうね。  
少女はぼんやりそう考えた。  
白い素肌を犯す妖しい植物達はそれを察知して、淫らに蠢き始めた。  
 
オワリ  
 

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