第十話  
 
 大陸の交通の要所に位置し、交易によって栄えてきたトゥアール王国――。  
ですが、それは同時に、常に侵略の脅威にさらされているという事でもあります。  
 他国との均衡を上手く計り、大体において平和を維持して来たトゥアールでしたが、  
長い歴史の中、やはり何度か敵国に攻め込まれてしまっています。  
 直近では二百年ほど前の、クォルツ王国による「第二次トゥアール包囲」があります。  
 失策を重ねたトゥアール軍は国の中心部まで敵の侵攻を許し、王都までもが戦禍に巻き込まれてしまっています。  
 結局クォルツ軍の撃退には何とか成功したのですが、戦場になった王都は灰燼と帰してしまいました。  
 時の王、コムアル二世。  
 他国の侵略を許し国を滅ぼしかけた無能な王と呼ばれた彼は、しかし都市計画に関しては無類の才能を発揮しました。  
 復興工事による一時的な雇用の拡大、区画整理や人口流入の制限などの政策も知られていますが、  
何と言ってもその最大の功績は上下水道の敷設でしょう。  
 王都の地下に網の目のように張り巡らされた上水道管・下水道管によって、王都の生活水準は著しく向上しました。  
 飲み水には困らず、汚物は溜まらず……。  
 清潔な町は健康な人々を育み、健康な人々は豊かな文化を花開かせました。  
 その象徴が、今や王都の住民には当たり前となっている「入浴」という習慣です。  
 現在でも、外の人間には「トゥアール王都に行ったらまず風呂に入れ」などと言われる程なのです。  
 
 というわけで。  
「おっ、やっぱりクロエちゃん、おっぱい確実におっきくなってるねー。こりゃそのうちあたしも抜かれちゃうかも」  
「んっ、あっ、やっ……ばっ、ばかっ! 胸ばかりいじってないで、他もちゃんと洗ってよ」  
「二人とも、お胸大きくてうらやましいです。ナオミさんなんか膨らむ気配すらないのにうぷぷ」  
「……あらシーリオ、これはこれで大きな魅力になるのよ。  
あなたのように何の特徴も無い中途半端な膨らみが一番無価値だわ」  
 一度に二十人は入れそうな石造りの豪奢なお風呂場。  
 その洗い場で、侍女さん達四人がきゃっきゃうふふとお互いの体を洗いあっていました。  
 公女殿下と騎士様をお迎えする前に、まず自分達の体を綺麗にしておくのです。  
 全員一通り洗い終わったところで、アキさんがやや大きめの盥にお湯を汲みました。  
 それを、自分にかけるのかと思いきや。  
「いくよーっ! そぉ……れぇ!」  
「あらっ」  
「きゃあん」  
「えっ……はぷぅっ!!」  
 他の三人に向かってぶち撒けたのでした。  
 ナオミさん、シーリオさんはとっさによけて大した被害はありませんでしたが、  
一瞬反応の遅れたクロエさんは、盥の水をまともに浴びてしまいました。  
「ぷはぁ……」  
 髪をまとめていた布も流され、長い髪がべちゃりと体に張り付きます。  
「おー。白く幼い柔肌に絡み付く、しとどに濡れた黒い髪……甘く危険な色香だねっ!」  
「人にお湯かけておいて言うことはそれだけ? あーもー髪が傷むじゃないか。アキのばか」  
 ちなみに、ナオミさんはクロエさんと同じように髪を布でまとめ、  
アキさんはおさげを解いて上の方で紐で結び直しています。  
 シーリオさんは他の人達に比べて短いので、そのままです。楽ですね。  
 
「あらクロエ、色っぽい格好ね。また無自覚に周囲を誘っているの? 仕方のない子」  
 そこへドュリエス様が、イーシャさんを従えていらっしゃいました。  
「ドュリエス様っ! いやっ、ちがっ、こ、これはアキが……っ!」  
「お二人ともお待ちいたしておりましたわ。さ、イーシャ様、こちらへ」  
 クロエさんの言葉を遮り、ナオミさんがイーシャさんに椅子をすすめ、イーシャさんは周囲を見渡しながら座ります。  
「すごい……とても広いですね。うちのお風呂の三倍はあります」  
「まあ。ここの三分の一だって、十分広いですわ」  
「イーシャ様上級騎士だから、お屋敷住まいですものね」  
「イーシャ、これからはいつでもここを使って良いのよ」  
 先程のクロエさんの訴えは華麗に流されました。  
「く……っ」  
 クロエさんはアキさんをジト目でにらみつけましたが、  
アキさんは「まあまあ落ち着いて」という風に両手を広げてごまかします。  
 クロエさんはあきれたような顔でぷいっと視線を外すと、  
流された布を拾って巻き直し、イーシャさんの隣に寄り添いました。  
「ありゃ、すねちゃって。可愛いなあもう」  
 によによと笑みを浮かべながら、アキさんもイーシャさんのお側に寄り添うのでした。  
 背もたれのない低い椅子に腰掛けたイーシャさんに、侍女さん達は手桶でそっとお湯をかけ、  
情事の跡を流していきます。  
 お顔も、濡らした布で丁寧にぬぐっていきます。  
「おほほ、ほらイーシャ様、すぐに恥ずかしいおねだりをしてしまう淫らな体に付いたいやらしいお汁が、  
お湯で綺麗に洗い流されていきますわよ」  
 ナオミさんは言葉責めを忘れません。  
「そ、そんな言い方……これは、あ、あなた達が無理矢理そうしたのではありませんか……」  
「でも、気持ち良かったでしょう?」  
 可愛く拗ねるイーシャさんの耳元で、そうシーリオさんがささやきます。  
「それは……ん……もう、知りません……」  
「『やっ、やめないれぇっ! お願いしましゅぅっ! いかしぇてぇっ!』」  
 アキさんが石鹸を手で泡立てながら、イーシャさんの声を真似ました。  
 意外と似ています。  
「アキっ! おっ、怒りますよっ!」  
「へへへ、イーシャ様かわいー!」  
 言いながら、アキさんは十分に泡立った両手で、イーシャさんの胸を掬い上げるように洗い始めました。  
 
「んっ……もう、アキってば……んっ……ぅん……ちょ、ちょっと、アキ……  
胸ばかりじゃなくて、んくっ……ほ、他の場所もお願いします……」  
「ええ、もちろん。申し上げた通り、お体の隅々までしっかり清めさせていただきますわ」  
 答えたのはナオミさんです。  
 後ろからお胸をぺたっと(何度も言うようですが、擬音を気にしてはいけませんよ!)くっつけ、  
そのままゆっくりと円を描いています。  
 ナオミさんのお胸とお腹は既に泡まみれで、彼女の艶めかしい動きに合わせて  
イーシャさんの背中にそれが塗り広げられていきます。  
 前からは、やはり泡まみれのアキさんが、こちらはむにゅりと体を押し付け、ゆっくりと上下に動かします。  
 大きなお胸はぬめって外側に広がり、イーシャさんの小振りなそれを包み込みます。  
「ほーら、イーシャ様ぁ、こうしてきれいきれいですよぉ」  
「んっ、やっ、ふあっ……こ、こんな洗い方……っ!」  
「感じすぎちゃいますか? イーシャ様のお体、とっても好き者ですものねー。  
ほら、もう乳首をこんなに固くして……あん、こりこりした感触があたしの胸の内側を擦って、気持ち良いですぅ」  
「あぁ、ふあぁ……お、お胸が……前から……後から……んぅっ」  
 一方クロエさんは膝をつき、イーシャさんの太ももや腰の辺りを両手で洗っています。  
 わきわきと淫らな動きを見せる彼女の指ですが、それ以上に、幼いお顔が今にも達しそうに欲情しています。  
 いかにクロエさんがイきやすい体質といっても、愛撫を施している側なのに少々激し過ぎますね。  
 どうしたというのでしょう?  
 
 答え:シーリオさんがお尻に顔を突っ込んで堪能しているのでした。  
 
 ちょうど突き出す格好になったクロエさんのお尻を見て、変態銀髪侍女さんは我慢出来なくなったのです。  
 ほんのり赤味を帯びた双丘に鼻を埋めてくんかくんかしながら、舌を伸ばして  
まだお毛々も生えそろわない未成熟なお大事を味わっています。  
 あくまで匂いと味を楽しんでいるため、シーリオさんの与える快楽はもどかしく、  
手で触れなくともイけちゃうクロエさんでも、その中途半端な刺激に引かれてかえって達する事が出来ません。  
 図らずも寸止め責めになってしまっているのです。  
「んぁ……し、シーリオ……お願い、焦らさないで……あっ、んっ、くぅ……っ!」  
「はぁ、はぁ、ふぅ……ふふ、やぁだクロエちゃん、お尻の匂い嗅がれてイきそうになっちゃってるの?  
もう、私以上に変態」  
 どうやら自分が変態だという自覚はあったようです。  
「し、舌も使ってるじゃない……っ! お願いっ、いじわるしないでイかせてぇっ!」  
 くいっくいっと、クロエさんの腰ははしたなくおねだりをしてしまいます。  
 
「舌? そう、舌でイかせて欲しいんだ」  
 言うや否や、シーリオさんはゆっくりとクロエさんの中に舌を挿し入れました。  
「ふひゃあぁっ! やあっ! ちっ、違っ! そっち違うぅっ!」  
 ……もちろんお尻の穴に、です。  
 だってシーリオさんですもの。  
 クロエさんのお尻を逃げられないようにがっちり掴んで、舌をどんどん奥へと進めて行くシーリオさん。  
 そんなシーリオさんを、幼いながらも開発済みのクロエさんの後ろは全て迎え入れてしまいます。  
 最大限まで伸ばした味覚器官はくにくにと蠢き、少女の肛内を追い込んでいきます。  
 そして、一気に引き抜かれました。  
「はひ……っ!」  
 ずるりと異物が排出される感覚に後押しされて、クロエさんはついに達することが出来ました。  
 かくんと力が抜けてイーシャさんの足から手が離れ、そのまま浴室の床に突っ伏してしまい、  
発育の良いお胸がむにゅりとつぶされます。  
 腰も砕けてしまったのですが、こちらはシーリオさんが支えていましたので、  
クロエさんはぷりんと可愛らしいお尻をさらに突き出す体勢になってしまっています。  
「うふふ……クロエちゃん、今日も美味しいお尻。クロエちゃんも、お尻でイけて良かったね。  
お尻って、抜く時が一番ぞくぞくしちゃうもんね」  
 シーリオさんはそう言って舌なめずりをして、  
「でも……まだ物足りないでしょう? おかわり、頂いてあげる」  
 クロエさんが何か言う前に、再び同じ場所に舌を潜り込ませました。  
「んくぅっ……やぁ、やめぇ……シーリオぉ……」  
 達したばかりで力の入らないクロエさんの弱々しい抵抗はしかし、かえって変態少女の嗜虐心に油を注ぐばかりです。  
 先程の愛撫で良い感じにほぐれた窄まりに、今度は口内に溜めた唾液を舌を使って流し込んでいきます。  
「うぅー……ふぅー……や、シーリオ、お願い……お尻で何度もなんて、やだよ……」  
 クロエさんの訴えを無視して、シーリオさんは抽迭を開始します。  
 激しく出し入れされる舌に合わせて、流し込まれた唾液がじゅちゅじゅちゅという音と共に溢れ出してきます。  
「あっ、あっ、やっ……まっ、また、お尻で、イっちゃうぅ……っ!」  
 
 再び達しようとするクロエさん。  
 しかしシーリオさんは、そこで舌を抜いてしまいました。  
 今度はイってしまわないように、ゆっくりとです。  
「……あぁぁ」  
 クロエさんはとても十一歳とは思えない艶かしい溜息を吐いて、シーリオさんを横目でねめつけます。  
 しかし、何となく途中で止められるような気はしていたようで、  
シーリオさんが思っていた程の反応はありませんでした。  
「ぶー。クロエちゃんが期待を裏切った」  
「そ、それはこっちの台詞だよ……もう良いよ、自分でするから……」  
 さっきから疼き続けるそこへと自らの手を伸ばそうとするクロエさんでしたが、  
シーリオさんはそれをそっと制止しました。  
「もう、あわてないの。そんなに何度もイきたいの? 本当、クロエちゃんてば、底無しの淫乱」  
「底抜けの変態に言われたくない……」  
「私、変態じゃないもーん」  
 さっき自分で言ってましたが。  
「どっちでもいいから、イかせてくれるんなら、イかせてよ……ねぇ、早くぅ……」  
「うん、分かってるって。せっかく準備したんだし」  
 そう言って、シーリオさんは両手でクロエさんのお尻の左右を掴み、広げます。  
「あは、ひくひくする度に私の唾が垂れてきてる」  
 シーリオさんはそう言って溢れ出した分を中指で丁寧に拭うと、  
そのまま潤滑液たっぷりのお尻の穴へと侵入させました。  
「あぐうっ! あっ、やっ、ばかっ、指、ダメぇ……っ!」  
「ダメ? またまた、こんなに嬉しそうに締め付けておいて。それに、こっちの方も、ほら、よだれだらだらだよ?」  
 中指と同じ方の手の親指で、ぷっくりとふくらみしとどに濡れつつも開ききらない、幼いスジをなぞるシーリオさん。  
 焦らすように這わせ、指を押し込んで入口をくすぐり、円を描いて全体を揉みほぐします。  
 クロエさんの腰も小刻みに揺れ動いて、シーリオさんの指を追いかけます。  
「ふにゃあぁ……気持ち良い……」  
「そうだねー。こっちのお口も、早くご馳走が欲しいって、ぱくばくしてるもんねー」  
「んっ……そっ、そうだよ……だから、ね? 早く……」  
「あれー? クロエちゃんお行儀悪いよ? ごはんの前の挨拶は?」  
「くっ、もお、ばか……っ! ……い……いた、だき、ます……っ! 早くしてよぉっ!」  
「はい、召し上がれ」  
 シーリオさんが軽く押し込んだだけで、『よだれだらだら』のそこは親指を美味しそうに飲み込みんでいきました。  
 
「んんっふうぅー……っ!」  
「あん、もう、クロエちゃんてば相変わらずきつきつ。でも中はとろとろでうねうねしてて、とってもやらしい。  
今日一日何度もイってるのに、まだそんなに飢えてたの? 今だって、親指食べた途端、軽くイっちゃったよね?  
まったく、恥ずかしいお子様まんこ! くふふ」  
「はぁー……はぁー……お、お子様、言うな……んっ、ああ……っ!」  
「うん、そうだよね。本当のお子様は……」  
 前後の指を出し入れして、  
「んあぁっああーっ!」  
「……おけつとおまんこいじられて、こんな甘い声で鳴かないもんね。じゅぷじゅぷいやらしい音も出さないもんね」  
 シーリオさんは、次第に抽迭の速度を上げていきます。  
 それに伴い、クロエさんの奏でる鳴き声も切なく逼迫し、淫らな水音も激しさを増して、  
ぴちゅぴちゅとシーリオさんの手や腕に撥ね掛かります。  
「またイくの? ねえクロエちゃん、またイくの? イく時は『イく』って、ちゃんと言わないとダメだよ?  
オシオキしちゃうよ?」  
「い、言うっ! 言うからっ! オシオキ、やだあっ! ああイくっ! もうイくよぉっ!  
イくっ、イくっ、イくぅぅ……っ!」  
 一際高い哭き声が上がると、それまで小刻みに揺れていたクロエさんの腰にきゅっと力が入り、  
シーリオさんに向かって突き出すようにして止まりました。  
 と同時に、透明でさらさらしたお汁がぴゅっ、ぴゅっ……とおしっこの穴から飛び出し、  
シーリオさんのお顔を濡らします。  
 それを舌なめずりするように舐め取りながら、しかしシーリオさんは手を休めようとはしませんでした。  
 むしろ、さらに激しく二つの穴を責めたてます。  
「ああああっやああっ! イってうのっ! 今イってうからぁっ! イってう時らめぇっ!  
オシオキやあっ! はひっ!」  
「そんな事言って、止めたら止めたで『やっ止めないれぇっ! もっとしてぇっ!』っておねだりするくせに。  
それにちゃんとイく時『イく』って言えたじゃない。だ・か・ら、これはオシオキじゃなくて、ご褒美♪」  
「はぐっ、あぐぅっ……ゆっ、ゆるし……ふあぁぁぁ……あぁぁぁ……ぁぁぁ……」  
 絶頂の波がおさまる前に次の波に襲われ、弱々しく呻き声を上げるクロエさん。  
 突き出された細い腰は、シーリオさんの指を咥え込んだまま、ぱたりと横倒しになってしまいました。  
 そのお顔は、涙と涎を流しながら、泣いているような笑っているような、どこか虚ろな表情を浮かべています。  
 
 シーリオさんはそこでようやく指の動きを止めると、黒髪少女の柔らかな双丘に優しく口付け、舌を這わせました。  
「んー、いやらしいお尻。何度もイっちゃった、貪欲なオンナの味と匂いがするよ」  
「はー……はー……ばか……シーリオが、む、むりやり、したんじゃ、ないか……」  
「あれぇ? でもぉ、本気で嫌ならぁ、簡単に逃げられたと思うけどぉ? どうしてそうしなかったのぉ?」  
 にやにやと嗜虐の笑みを浮かべながら、聞かずもがなの質問をするシーリオさん。  
「そ、それは……その……くー、ううー……もう、シーリオの、ばか……」  
「うふふ、クロエちゃん、さっきから『ばか』ばーっか」  
 そして、表情を慈しむようなそれに変えると、クロエさんの耳元にささやきました。  
「ね、満足、した?」  
「……ん」  
「そう、良かった」  
 恥ずかしげに目をそらしながらもこくんとうなずくクロエさんの頬に、シーリオさんはそっと口付けます。  
「うふふ、素直なクロエちゃんも可愛いよ。でも……」  
 にやりと、酷薄な笑みを浮かべるシーリオさん。  
「嘘だね」  
 シーリオさんはそう決め付けると、咥え込ませたままの二本の指で、  
前後の穴を隔てている媚肉の壁をきゅーっとつまみました。  
「ふひぃぃ……っ」  
 そのまま、くにくにくにくに……と揉みほぐします。  
「はっ、あっ、やっ……しぃ、りおぉ……うそ、ちが……ほん、とに、や、なの……  
おねが……やめ……きゅうぅ……って、しちゃ、や……うぅ……」  
 どうやら今度は本気で嫌がっているらしいクロエさん。  
 両手でシーリオさんの指を押し退けつつ、芋虫の様に体を蠢かせて逃げようとしましたが、  
シーリオさんは空いている手でクロエさんの両手首を掴み、動きを封じてしまいました。  
 こうなってしまっては、何度もイかされて力の入らないクロエさんになす術はありません。  
「うぅー……ぐうぅぅー……これ、きつい、の……んんっ……やめてよ……つらいよ……んふうぅ……」  
 歯を食いしばって必死に無駄な抵抗をする……というか抵抗したくてもできない状態のクロエさんでしたが、  
なんとも辛そうなその呻き声の中に、次第にまた甘い香りが漂い始めてきました。  
「ぐぅ……ふぅ……ふあっ……ああっ……あっ、あっ、あっ、あぁっ、きゃふ……っ」  
「うう〜ん、良い声♪ ほうら、クロエちゃんの貪欲な体は、やっぱりまだ物足りなかったんじゃない」  
「あああ……やあ……つ、つらいのに……つらいのにぃ……あぁ、もぉ……ひっ、ふひっ……ひぅぅぅぅぅ……」  
 か細く、糸を引くような悲鳴を上げるクロエさん。  
 と同時に全身が一度びくんっと小さく跳ねると、腰が弱々しげに痙攣し始めました。  
 
「ぅぇぇ……」  
 漏らすような声を上げながら、たっぷり三十秒程かくかくと震え、最後にひくん……ひくん……と動くと、  
完全に力の抜けたクロエさんはそのまま仰向けに転がりました。  
 にゅるりとシーリオさんの指が引き抜かれましたが、荒く息を吐くだけで、もはや声も出ません。  
 シーリオさんは、抜いた指の匂いを嗅ぎ、愛おしげに舌を這わせ、口に含み、ちゅばちゅばと音を立てて味わいます。  
「ん……ちゅ……ぷはぁ。ああ、素敵。クロエちゃんの中でたっぷり熟成された味と香り」  
 そうしてひとしきり楽しんだ後、クロエさんにのしかかると、大きいお胸を優しく揉みながら、唇を奪いました。  
 間接的に自分の味を味わわされるクロエさんでしたが、もう大した反応もできず、されるがままです。  
「んむっ……クロエちゃん、大好き……愛してる……んちゅ……」  
 口付けの合間に甘い言葉を囁くシーリオさんでしたが、それを聞いたクロエさんは  
シーリオさんを一瞥すると、ぷいっと顔を背けてしまいました。  
「あれぇ、クロエちゃん? もしかして怒っちゃったぁ?」  
 くすくすと笑うシーリオさんでしたが、クロエさんの返事はありません。  
「クロエちゃん? ねークロエちゃんてばぁ」  
「…………」  
「おーい」  
「…………」  
「えーっと」  
「…………」  
「うう……ご、ごめんなさいぃ……謝るから無視しないでぇ……」  
 芝居がかった口調で謝罪する銀髪少女。  
 クロエさんはもう一度ちらりとシーリオさんを見遣ると、再びそっぽを向いてしまいます。  
「……ばか。シーリオなんか、しばらく口聞いてあげないんだから」  
 その「ずっと」ではなく「しばらく」と言う拗ね方が何とも微笑ましくて、  
シーリオさんはついついにやけてしまいます。  
「な、何笑ってるのさっ!」  
「あれー? 口聞いてくれないんじゃなかったのぉ?」  
「ぐっ……し、知らな……っ! ……ふん」  
 
「くふふ、ごめぇんクロエちゃん、機嫌直してぇ」  
「…………」  
「もう何でも言うこと聞いちゃうからさぁ」  
「…………」  
「ねえってばぁ」  
「…………」  
「クロエちゃんに無視されると、私、寂しくて死んじゃうかもよ?」  
「……馬鹿。分かったよもう。何でも言うこと聞くって? じゃあ、まずボクを起こしてよ」  
「はあい!」  
 シーリオさんが言われるままにクロエさんの頭と肩の下に手を回して抱き起こすと、  
シーリオさんがクロエさんの膝の上に乗り、向かい合って座る形になりました。  
 クロエさんは、そのままシーリオさんに抱き着きます。  
「それから、ね……シーリオも、ボクの事、ぎゅってして。そしたら許してあげる」  
「うん」  
 シーリオさんもクロエさんを抱き締め、耳元に口付けました。  
「可愛いクロエちゃん……えへへ、大好き。クロエちゃんは?」  
「言わせたいの? まったく、君は……。ん、ボクも、シーリオの事、大好きだよ……。  
そんなの決まってるじゃないか……わざわざ言わせないでよ」  
「にゅふふ、だってぇ、聞きたかったんだもん」  
 そう言ってクロエさんにちゅっと軽く口付けるシーリオさん。  
「んっ……もう、馬鹿……。…………。ど、どうしたの? ほ、ほら、早く……次はシーリオの番でしょ?」  
「ふえ? 番? 何の?」  
「だ、だから……っ! その、つ、次はシーリオが好きって言う番でしょ! 順番的に!」  
 一瞬きょとんという表情をしたシーリオさんでしたが、次の瞬間、クロエさんをさらに強く抱きしめました。  
「んー、もー、クロエちゃん可愛すぎ! 本当に大好きだよぉ!」  
「ふやぁ……シーリオ、大好き……」  
「クロエちゃん、大好き。この好き者ー」  
「なっ……し、シーリオの変態ぃ」  
「……変態でも好き?」  
「ん、変態でも好き、だよ」  
「へっへっへー、クロエちゃんも、好き者でも愛してる」  
「馬鹿……シーリオ、愛してるよ。ちゅってして……」  
「んっ……クロエちゃん、大好き。ぎゅってして……」  
 こうして、いつまでも告白、接吻、抱擁を繰り返す二人なのでした。  
 
 
 さて。  
 そんな中ドュリエス様は何をしていたのかと言うと。  
「ああんっ……クロエ、シーリオ……二人ともいやらしくて、素敵ぃ……二人とも可愛いわぁ!  
んあっ、ああっ、わたくし、もうっ……んんっ、んくぅぅ……っ!」  
 侍女二人の絡みを見ているうちに我慢できなくなり、床にお尻を付いて膝を立て、大きく足を広げて、  
皆に見せつけるように自らを慰めているのでした。  
 
 
続く  
 
 

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