月が綺麗な夜だった。  
 
「ロイド!村がある!」  
 
浮遊魔法で上空から今夜の宿を探していたディアナは、遠方に小さな村を見つけ嬉々として旅の相棒に伝えた。  
 
「やっと抜けたか…」  
「やっと宿で休める…」  
 
森を彷徨い野宿を続けていた2人にとっては、久々の宿となる。  
ディアナはロイドを急かし、2人は足早にその村へ向かった。  
 
 
 
──剣士ロイドと、魔道士ディアナ。  
2人は数年前から共に旅を続けていた。  
 
ロイドは表向きはただの剣士だが、実は某強大勢力国家の王位後継者である。  
彼の国が大きな力を持つようになったのは、彼の軍事指導があってこそだった。  
若くして剣の腕も立ち最早負け知らずだが、その強さは戦略によるところも大きい。  
要するに、切れ者なのだ。  
 
しかし今は、国を抜けディアナと旅をしている。  
ディアナは詳しい事情は知らずにいる。  
何故国を出たのかと何度聞かれても、ロイドは一切教えなかった。  
 
しかし最近では聞かれることはなくなっていた。  
ディアナはどれほど気になっていても強くは言えない立場にあるからだ。  
 
 
森の外れの寂れた村に辿りついた2人は、真っ先に宿を確保した。  
石畳の上に最低限のものが置かれただけの、簡素な部屋だった。  
 
「あぁ、疲れた…」  
 
ディアナは開口一番、ベッドに倒れ伏す。  
部屋は一つ。以前別々の部屋を取り、熟睡したディアナが賊に寝首を掻かれそうになったためだ。  
 
「ベッド、一つしかないけど…… いいの?」  
「俺は使わないからいい」  
 
ベッドに横たわって寝るといざという時に反応が遅れるという理由で、ロイドは一切ベッドを使用しない。  
 
「また座って寝るの?疲れない?」  
「いいからさっさとシャワー済ませて寝ろ。」  
 
ディアナは心配そうな表情のまま浴室へ向かう。  
ロイドはベッドの隣に置かれていた椅子に座り、何の気なしに部屋の窓から空を見上げた。  
 
 
 
 
──昔、世界の外れに強大な力を持つ魔道士の集落が存在した。  
数年前、その力を恐れた国々の奇襲を受け今はもう廃墟となっている。  
 
ディアナはその村で最も恐れられた大魔道士の娘であった。  
敗戦を帰し、瓦礫の下で気絶していたディアナを見つけ出したのが、興味本位で立ち寄っていた1人の剣士。  
 
ロイドと名乗ったその剣士は事情を聞くと、魔力はあっても戦闘経験がほとんどなく戦力にならないディアナを、  
自分の指導の下強くなることを条件に仲間に引き入れた。  
 
 
村も家族も全て失い、生きる希望を失っていたディアナはロイドに縋った。  
その時自分に向けられた、まるで道具を扱うような視線に気付いていても。  
 
 
 
それからディアナは、ロイドの役に立つために旅を続けている。恩返しのつもりなのだろう。  
例え利用されているとしても、標を、そしてそれが何であれ、生きる理由を与えてくれた人間であることに  
変わりはないのだ。  
 
 
 
 
 
 
暫くすると浴室の扉が開き、ディアナがバスタオルを一枚巻いただけの姿で出てくる。  
 
「おまえ… 着替えて来いよ…」  
「だって、脱衣所なくて」  
 
よく見ると、確かに扉の先は文字通り浴室だった。  
部屋の構造まで簡単な宿のようだ。  
 
「ここで着替えるけど…… 見たい?」  
「別に」  
 
にやにやしながら自分をからかうディアナをロイドは素っ気無くあしらい、視線を窓の外へと逸らす。  
ディアナは手早く着替え終えると、ベッドに腰掛け小さく呟いた。  
 
「ロイド、最近冷たい……」  
「見たいって言って欲しかったのか?」  
「そうじゃないけど……」  
 
森を彷徨う前から、ディアナはロイドの自分に対する扱いが簡素で適当になっている印象を受けていた。  
少し前まではもっと会話らしい会話をしていたのだ。  
 
「じゃあ何だよ」  
「……、そういう風に、言うのが……」  
 
ディアナはロイドの顔色を伺うように小さな声で言う。  
 
「前は、もう少し……」  
「…………」  
 
ロイドは表情を一切変えず押し黙っている。  
そこに漂う気まずい空気に、ディアナは猛烈な不安に駆られ始めた。  
 
知らないうちに何か気に障ることでもしたのだろうか?  
もしそうなら、実は自分を置き去りにするタイミングを計っているのではないか?  
 
「あ……、あの、もう寝るね。」  
 
脳裏をよぎる最悪の事態に耐え切れず、ディアナはベッドに逃げ込もうと布団に手を掛ける。  
その瞬間、ロイドは彼女の怯えたような表情を見逃さなかった。  
 
「待て」  
 
反射的に、彼女を呼び止めていた。  
ディアナはぴたりと動きを止め、恐る恐るその呼び元に顔を向ける。  
 
「な、何……?」  
 
本人は平静を装っているつもりのようだが、ディアナはどう見ても畏縮している。  
ロイドは怪訝な表情を浮かべた。全く愛想のない自分に対し、不満な態度を取るのなら理解できる。  
何故怖がる必要があるのか?  
 
「俺が怖いのか?」  
「そういう…わけじゃ……」  
 
逸らされた目が、それが嘘であると悟らせる。  
 
「…………」  
 
自分に怯えるディアナに無性に苛立ちを覚えたロイドは、おもむろに立ち上がると僅かに震えるその腕を掴み  
乱暴にベッドに押し倒した。  
 
 
 
 
 
ロイドはディアナを仲間にした時から、女として意識するつもりは全くなかった。  
戦力にさえなれば良いと思っていたのだ。  
 
しかし時間が経つにつれ、非常に従順な彼女に対し自分の中で情が移って行くのを自覚していた。  
ディアナに対する淡白な態度は、その心情を否定していたがために現れたものだった。  
 
疎ましく思っているわけでもなければ、怯えさせるつもりもなかった。  
 
 
 
 
「え…?え?ロイド?」  
「怖がらなくていい」  
 
困惑の表情を浮かべるディアナを押さえつけ、ロイドは一言だけ口にすると無理やり彼女の唇を奪う。  
 
「んっ…!?」  
 
わけがわからず顔を反らそうするとディアナの顎を、空いている片手で固定しより深く口付ける。  
苦しそうな声を上げた時だけ僅かに息継ぎの間を与え、すぐに唇を塞ぎ舌を絡め取る。  
本当に息苦しいのか、強く肩を押し返される感覚を覚えたところでロイドはようやくディアナを解放した。  
 
「ロ、ロイド……?なんで……」  
 
ディアナは軽く息を切らしながら問い掛けるも、ロイドは何も言わずに首筋に唇を移す。  
 
「待って……」  
 
その言葉は聞き入れられず、空しく静寂に消えた。  
 
 
 
ロイドはディアナが自分を慕っているのは知っていたが、それを受け入れることはできなかった。  
ディアナは非常にわかりやすい。万が一気持ちが通じたなどと思われてしまうと周囲に知れるのは明白だった。  
 
そしてロイドは名の知れた剣士である。必要と判断すれば、非道な行為も平然と為す。  
故に悪名も高く、恨みも多く買っている。  
 
そんな人間の恋人になどなったら、どうなるか?  
 
更に挙げるなら、ロイドは他国の王女や関係者を政治的・軍事的利用を目的に裏で何人も抱いてきた。  
相手にもよるが、意のままに操るには自分に依存させてしまうのが最も確実で手っ取り早かったのだ。  
 
つまり、女の嫉妬も怖かった。  
 
 
では何故今こうしてディアナを組み敷いているのか…  
 
このまま畏怖され続けていては旅に支障が出ると思ったからか?  
心の内に秘めた、行き場のない感情をただぶつけたいだけなのか?  
 
違うかもしれないし、あるいはその両方かもしれない。  
ロイドは自分でも良くわからなかった。  
 
 
 
 
「……、どうして……私なんか……」  
 
ディアナは自分は利用されていると思っているため、好意を寄せられることなど絶対にあり得ないと思っていた。  
性欲処理として使われるのなら、とうの昔に使われているはずだった。それ故今の事態を理解できずにいた。  
 
ロイドは何も答えずにディアナの胸元をまさぐる。  
 
「や、やだ、待って!何か言ってよ!」  
 
ディアナは慌ててその手を押さえ、衣服内への侵入を阻む。  
ロイドは動きを止め、抵抗するディアナの耳元で静かに言い放った。  
 
「おまえ、俺が好きなんだろ?何が不満なんだ?」  
 
返事を待たず、ロイドはディアナの胸を無理やりはだけさせる。彼女の形の良い、程よい大きさの白い胸が  
外気に晒された。  
 
「なっ……!?」  
 
ディアナはいくら慕っている相手でも、自分に気持ちが向いていない人間に抱かれるのは嫌だった。  
 
「いや……! でも……、こんな……」  
 
全てを言わせる前に、ロイドは胸の突起を親指の先で転がし始める。  
 
「や、あぅっ…… やだっ…!ロイド、嫌!!」  
 
ディアナは拒絶の言葉をはっきりと口にし、身を捩って抜け出そうと暴れ出す。  
ロイドはその肩を無理やり押さえつけると、鋭い視線で彼女を見据え静かに問い掛けた。  
 
「抵抗するのか?」  
 
必死に逃げようともがいていたディアナの動きが止まる。  
 
「俺に逆らうのか?」  
「…………」  
 
怖がるなと言ったその口で行われた露骨な強迫。  
ディアナの瞳が、僅かに潤んだ気がした。  
我ながら卑劣だと自嘲しつつ、ロイドは再びディアナの胸を愛撫し始める。  
 
「う……あ、あぁ……」  
 
あからさまな抵抗はしなくなったものの、ディアナは切ない表情で悶えている。  
 
ロイドはその表情から目を背け、ディアナの息が上がってくるまで執拗に愛撫を続けた。  
 
 
「は……ぁあ……!も、や……」  
 
頃合を見て、彼女の下半身に手を滑らせる。触れると、そこはしっとりと濡れていた。  
 
「!!いやっ!そんな、とこ……」  
 
ディアナは驚いて手を伸ばし、その行為を妨害する。  
ロイドはその手首を掴み彼女の頭上で押さえ身動きを封じると、触れていた指を第二関節まで侵入させ  
指の腹で中を擦ってやった。  
 
「あぁ!はっ…ぁああっ!」  
 
過去の経験より、女の悦ばせ方は大体わかっていた。  
ディアナは初めて与えられる妙な感覚に戸惑いを覚えているように見える。  
ロイドは見透かしたような目でディアナを観察し、指の動きを速めていった。  
 
「や、あぁ!いや!やめっ…!」  
 
一頻りディアナを喘がせたところで指を引き抜く。そこはもう、十分に潤っていた。  
もういいだろうと思い、ロイドは腰のベルトを緩める。  
 
その様子を見たディアナは顔を強張らせ、おずおずと問い掛けた。  
 
「あ、あの……、するの……?」  
「ここまできてしないとでも?」  
 
逆に問い返しながら、自分のものをディアナの入り口に充てがう。  
 
「ま、待って…!私、初めてだし……」  
「配慮してやる」  
 
突っ撥ねるように答えると、ロイドはゆっくりと腰を進めた。  
 
「い、やぁっ…!ああぁっ……ぅっ…」  
 
若干きついものの十分に濡れているので難なく奥まで入ったが、やはり痛いようだ。  
ディアナは固く目を閉じ唇を噛み締めている。  
 
「痛いか?」  
 
ディアナは辛そうに頷く。ロイドはディアナが慣れるまでできるだけ優しく、ゆっくりと動いた。  
痛みを紛らわすため、しばらく胸の愛撫も同時に続けた。  
 
「んっ…、ぁあ……っ、い、たっ……」  
 
言葉を発することができるようにはなったようだ。  
ロイドはそのまま、必要以上に時間を掛けてディアナを慣らしていった。  
 
 
 
 
「まだ痛いのか?」  
「……ぅ、うん…」  
 
既に相当な時間を掛けている。  
若干の痛みは残っても、そろそろ別の感覚を覚え始めてもおかしくはなかった。  
 
「……本当に痛いのか?」  
「痛い……」  
「…………」  
 
痛みを訴えるディアナの表情から苦痛は読み取れない。むしろ、声を上げないよう我慢しているように見える。  
 
ロイドは小さく溜息をつくと、ディアナの腰を掴み不意に強く突き上げた。  
 
「ぁああっ!!」  
 
ディアナの身体がびくんと反り、簡単に高い嬌声が漏れる。そこに苦痛の色は全くなかった。  
 
「……それが痛みに耐える人間の声か?」  
「…………」  
 
ディアナは気まずそうな表情で目を合わせずに黙っている。  
 
「おい、どうなんだ」  
 
尋問するように、何度も何度も強く突き上げる。  
 
「あぁっ!やあぁっ!ごめ、なさ……ぁあんっ!!」  
「この状況で嘘をつくとはいい度胸じゃねえか」  
 
ロイドはお仕置きと言わんばかりに、どんどん腰の動きを速めた。  
 
「や、あっあぁっ!ああぁっ!」  
 
突く度に高まっていく喘ぎ声が、ロイドの欲情心を更に掻き立てる。嗜虐心と言った方が正しいかもしれない。  
時間と共に勢いを増す容赦のない陵辱に、ディアナは初めてにも関わらず限界を迎えさせられた。  
 
「ああぁ!だめ!!おねが…ぁあっ─────!!!」  
 
固く目を閉じ身を強張らせ、その身を貫く深い快楽に耐えている。  
ロイドはその様子を一瞥するも、腰の動きは一切止めなかった。  
 
「はっ……!!あぁっ!!ロっ……!!!」  
 
なかなか引かない大きな波に、ディアナはロイドの名を呼び切れず身を震わせ続ける。  
 
 
 
 
気を失うまで続けてやる。そう決めていた。  
 
喘がせるほどに満たされていく、支配欲と独占欲。その裏で、ロイドは一時の感情に囚われこのような事態を  
招いてしまったことを後悔していた。可能ならばなかったことにしたかった。  
 
だからこそ、ディアナにとって信じ難いこの事態を、実は夢だったのではないかと思わせたかった。  
 
 
自分らしくもない、稚拙な考えだと思いつつロイドは目を閉じ、ディアナが落ち着くまでひたすら突き続けた。  
 
「ぅ、あっ……っ……!はぁっ…!!いやっ…、もう、……あ、ああぁっ!!」  
 
何とか絶頂に耐え切るも、絶え間なく与えられ続ける快楽にディアナは再び高い声を上げる。  
 
「お願……もう、やめ……っぁああん!!」  
 
懇願してくる彼女を、ロイドは拒否の意を示す代わりに一際強く突き上げる。  
それから実に数十分、ディアナがいくら果てようと、いくら懇願してこようと、休息すら入れずに犯し続けた。  
 
容赦なく送り込まれる強烈な快楽に耐えられず、幾度となく絶頂を迎えさせられたディアナはとうとう泣きながら  
声を上げた。  
 
「いや!ロイド!もういやぁ!」  
 
その様子を目にしようやく腰を止めると、その涙を指で拭い優しく頬に触れる。  
ディアナは激しく息を切らしつつ、ようやく訪れた休息に僅かながら気を抜いてしまう。  
それを確認した瞬間、ロイドはディアナの最も反応の良いところを思い切り突き上げた。  
 
「ああああぁぁっ!!!」  
 
強烈な不意打ちを食らわされ、絶叫とも取れる大きな嬌声が響く。  
ロイドは反射的に反り返ったディアナの身体を抱えて腰を引き寄せると、より深くまで何度も貫いた。  
 
「はあぁっ!ああぁっ!いやぁっ!!」  
 
更に大きな嬌声が搾り出される。  
 
ディアナは身に余る過剰な快楽を少しでも和らげようと必死に腰を捩るが、更に深く食い込ませるだけの結果に  
終わっていた。  
その行動に気付いたロイドは、身じろぎする彼女の腰を強く押さえつけ、抵抗しなくなるまで徹底的に突き立てる。  
それと同時に上がる、激しい喘ぎ声。  
 
ほんの僅か抵抗する素振りを見せるだけで、割に合わない凄まじい陵辱がディアナを襲い続けていた。  
 
 
これだけ犯しても意識を保ち続けるディアナに、ロイドは焦りを感じていた。  
自身もそろそろ限界を感じていたため、早々に追い込む必要がある。  
 
「ディアナ、おまえ……しぶといな……」  
 
小さく漏らした声は、喘ぎ続けるディアナにはおそらく届いていない。  
旅の疲れを癒す必要もある。次で終わらせると決めていた。  
 
ロイドは抱えていた腰をしっかり固定すると、ディアナの敏感な箇所を目掛け自分の腰を思い切り打ち込んだ。  
 
「ぁぁああっ!!!」  
 
びくんと跳ねかける腰を動かないよう押さえ、更に何度か突き上げる。  
 
「ああんっ!!やあぁっ!!」  
 
ディアナが一際大きく喘いでいることを確認すると、小刻みにそこだけを突き続けた。  
中を往復せず少しでも長く持ち応えようという考えだった。  
 
「あっ…ぁぁあああっ!!!いやあぁぁっ!!」  
 
あられもない声が響き渡る。弱いところを集中的に攻められているのだから、ひとたまりもないはずだ。  
 
「いやっ!!いやあぁぁぁっ!!!だめえぇぇっ!!!」  
 
突然ディアナが激しい抵抗を始める。全力でロイドを押し返し、必死で逃げ出そうとしていた。  
ロイドは押さえていた手を腰に回しその身体に覆い被さると、強くディアナを抱き締める。  
密着し自らの身体で押さえ込んでいるため、ディアナの力ではどう足掻いても脱出できない状態となった。  
ロイドはその体勢のまま、ペースを上げて集中的に突き立てる。  
 
「あああぁぁっ!!!やめてぇぇ!!」  
 
ディアナは震えながら絶叫する。ロイドの衣服を掴む手に力が籠もる。  
文字通り、限界が近いようだった。  
 
ロイドは再び唇を奪うと無理やり舌を絡め、喘ぐことすら困難にさせる。  
あまりに強烈な快楽を声を出すことで紛らわせていたディアナは、全神経を以てそれを味わわされることとなった。  
 
「……──────っ!!!」  
 
享受し切れず身体に蓄積され続けた熱が、尋常とは思えないほどに甚だしい快楽と化してディアナを襲う。  
声を出せずに震えるディアナを、ロイドはここぞとばかりに激しく突いた。  
しばらくの間、中から漏れる物凄い速さの水音と、時折上がる苦しげな声だけが部屋に響いていた。  
 
 
程なくしてディアナは大きくくぐもった声を上げ、強烈な収縮を以ってロイドを限界へと導く。  
ロイドは唇を離すと自身をディアナから引き抜き、勢い良く欲望を吐き出した。  
 
爪を立て、強くロイドの背を掴んでいた手が力なく落ちる。  
胸に垂れる美しく波打つ金色の髪が、安らかな呼吸に合わせ揺れていた。  
 
ロイドは涙で濡れたディアナの頬を優しく拭い、乱れた着衣や毛布を整え静かにベッドから離れると、  
崩れ落ちるように椅子にもたれ掛かった。  
 
しばらく何も考えず、ただ呆然とうな垂れていた。  
 
 
 
 
いつしか部屋を支配する重い静寂が、2人を深い眠りに誘っていた。  
 

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