本当はずっとずっと好きだったんだ。  
 手を出したくて仕方なかった。  
 誰かの物だってわかってからは張り裂けるみたいに苦しくて辛かった。  
 今こうして腕の中にいることがまるで夢みたいで、いまだに緊張してる。  
 心臓の音でバレるんじゃないかなんて焦ってる。  
 そんなに身体かたくすんなよ。おれだって緊張してんだから。  
 「ほら、力抜いて、脚広げて。  
 ……小さいな、お前のクリトリス。つまめそうでつまめないや。  
 なめていい?  
 あ、また脚閉じてきて、ダメだってちゃんと開いてな。  
 そうそう、いい子だ……はは、震えてる?」  
 我ながらはしゃいでる。やっと手に入れた女ってどうしてこうもいじり甲斐があるのか。  
 そっと舌をつきだして微かにクリトリスの先端に触れた。  
 少し尖って、じっとしている。  
 キスするみたいに優しく唇で挟み込んで、芯の硬さを確かめる。  
 こんなに小さくてもクリトリスはクリトリスだ、ちゃんと皮の中で勃起している。  
 まるごと口に含んで唾液を絡ませると、ちゅぷ、と粘つく音が立った。  
 鋭い吐息が同時にもれる。  
 ゆっくりとクリトリスを解放すると、切なげな声が聞こえた。  
 「気持ちいい?」  
 どう返そうか迷っているのだろう、なかなか返事がこず、腰だけが揺れた。  
 「ここは気持ちいいって言ってるみたいだけどな」  
 指でそっと秘裂を左右に押し広げていくと、彼女の両脚が緊張でかたくなっていった。  
 自分の腕で彼女の脚を抑え込んでから、  
 「こんなに濡らしてんのに」  
 と軽くつついた。  
 案の定、羞恥で脚を急に閉じようとしてきたがもう遅い。  
 愛液のたてる情け容赦ない音が彼女の耳にも届くよう、指先でいじくる。  
 「や、やだっ……いじわる……っ!」  
 くだけた口調が気持ちいい。  
 いつもどこか他人行儀な感じが混じっていたのが、やはり肌を晒すと変わるもんなんだな。  
 「こんなになっちゃって……」  
 ささやきながら指でぬめったクリトリスを撫で上げる。  
 びくんと大きく身体が跳ねた。  
 か細い喘ぎがこぼれる。  
 声を出すのに慣れていないのかもしれない。もったいない、我を忘れる快楽ってのは女の特権なのに。  
 ま、おれが開発すんのも悪くないか。  
 きゅっと限界まで指で広げて、ほんの小さく顔を出したクリトリスの芯に挨拶がわりのキスをする。  
 「やっ! あっそれダメェ……!」  
 やはり打って変わって激しい反応。  
 ひとりじゃできない刺激の強さにぶるぶると太ももが拒否を示す。  
 「大丈夫、皮めくんのは後でするから」  
 「かわ……? ……さっきなにしたの?」  
 知識の無さも彼女相手ならむしろ歓迎だ。  
 「だから、後でのお楽しみだってば」  
 顔がにやつくのがとめられない。  
 もう一度舌を出してぬめりをすくいとり、じわりとクリトリスになすりつけた。  
 指でつまめないから舌で撫で回す。  
 舌先にいいように弄られ、くにくにと形を変えては少しずつふくらんでいく。その熱を帯びた反応の良さに  
おれの心も躍っていた。  
 
 彼女がくぐもった息を吐きながら、徐々に身体をのけぞらせて腰を浮かせてくる。  
 もう少しでイクのかな。  
 舌の動きをすっと止め、軽く押さえつけるだけにすると、何事もなかったように腰が下がっていく。  
 かわりに吐息が荒れる。  
 尻の力が抜けた頃合に舌をやわやわと動かし始め、クリトリスをもてあそぶ。  
 円を描いて下から上へと深くなめあげ、反対側をなぞりおろす。  
 微妙に位置を変え方向を変え、彼女の反応を確かめていくと、強く悶える箇所がわかってくる。  
 ひとりでしてる時はきっとそこだけを指でこすっているんだろうな。  
 そう思いながら執拗にねぶっていくと、またも腰が浮いてくる。声も高い。  
 きゅっとクリトリスを舌で押さえ、動きを止める。  
 「や……っ……」  
 ごくわずかな拒否がもれる。ああ、言葉責めして泣かしてやりたい。  
 指でいじるにはまだ早い、もし下手して痛がらせて恐怖心を植えつけてしまったらと思うと、まだまだ舌は  
離せなかった。  
 羞恥心が強すぎるのか、彼女はそれ以上何も言ってはこず、今度はぎこちなく腰を下ろしていった。  
 間髪いれずクリトリスに吸いつく。  
 まごうことなき喘ぎ声をだして彼女はのけぞり、つま先まで硬直した。  
 ずいぶん大きくなったクリトリスを唇で覆って優しく吸いあげ、揉みこむように押し潰す。  
 熱い舌先を根元に絡ませ、揺さぶりながらこねまわした。  
 「いっちゃういっちゃうっいっちゃうぅぅっっ……!」  
 初めて聞く彼女の素直すぎるヨガリ声がおれの耳を震わせた。  
 クリトリスがじんじん痺れているのが舌からでも感じる。  
 こすれないよう強めに押し潰して、快感の余韻を逃さないようにとそのままじっとしていた。  
 息を止めているかのように静かな瞬間だった。  
 彼女の身体がふっと弛緩し、ベッドに沈みこむ。そのはずみで舌からクリトリスが離れてしまう。  
 名前を呼ぶと、弱弱しくはあるが、いっちゃったのと何度も口にしてきた。  
 寸止めを繰り返されてそれでも我慢する気の強さはないらしい。それでいい。  
 汗に濡れた肌を赤く染めて、ときおりぴくんぴくんと腰をはねさせる彼女をしばらく眺めてから、おれは  
勝ち誇ったように彼女の両脚を広げていく。  
 とろりとした愛液を大量にまとわりつかせる秘裂もゆっくり広げていき、指を近づける。  
 震えてしまうのが情けない。  
 バレないように祈りながら中指をねじこんでいく。  
 中の熱がおれの指を包み込んでとろとろにとかしていくようだった。  
 じっくりと中を探っていくと、ねじれたように腰がうねる。  
 愛液が指を伝ってあふれ、手のひらをぬるぬるにしていく。  
 イったばかりでぎりぎりと噛みつくように締めてくる感触をもてあそびながら、クリトリスの裏側あたりを探って、  
指の腹を押し当て、くっと上に力を込める。  
 「ひっんん……っだめぇ……だ、め……」  
 のどをふるわせるようにして声をしぼりだす彼女が説得力の無い言葉を繰り返す。  
 喘ぎ声にしかなっていないとは思ってもいまい。  
 小さく動かしていた指をしだいに大きくしていき、しかしあくまで優しく責めたてる。  
 顔も近づけ、吸いつくようにしてクリトリスを口の中へ入れ、柔らかく力を抜いた舌でクリトリス全体をねぶる。  
 膨らみきれば皮があろうが関係ない、勝手にめくれて芯が身を晒して舌にいたぶられていく。  
 「あ、あ、あ、あ、いやぁやだやだやだそれだめぇっ……」  
 舌をクリトリスの根元に押さえつけて、じんわりと舐めあげ焦らしてから唇を離す。  
 「なにがダメ?」  
 「……すごすぎちゃうの……それ、おかしくなりそうだから許して……」  
 本気かな。本心かどうか確かめたくなるな。  
 「見たいな、その、おかしくなるところ……」  
 指で押し広げて予告通りに皮をめくり、隠れようとしていたクリトリスの芯を舌先で捕らえた。  
 「はぁっう、んんっ……だめ、だめぇぇっ」  
 彼女の手がシーツを荒く掴んで引っ張りあげる。  
 慣れてきたらおれの肌に爪でも食い込ませそうなほどの勢いでヨガリ悶えだした。  
 
 初めての蹂躙に違いない、幼くさえあるクリトリスの肉芽がおれの舌で犯されていく。  
 唾液を塗り込められ、愛液で溶かされ、小さな尖りがねぶられこすられ狂っていく。  
 中指を曲げるとクリトリスが悦ぶように震え、押しつけた舌におねだりするかのように身を震わす。  
 中が締まりイきそうになるたびに、また動きを弱めてやんわり吸い上げてやる。  
 何度も何度もそうしていると、泣き声に懇願が混じり、ついには「お願い」と小さくもはっきりとしたつぶやきが聞こえた。  
 それで満足してしまうおれはきっとSMには向いてない。  
 彼女の望み通りに舌をやわらかく押し当てねめあげて、中の指とともにいじめ抜く。  
 ピンポイントで一番感じるところだけをじっくりとぬめりでこすりあげていく。  
 指は二本に増やして優しくクリトリスの裏をじわじわこすり、いたぶるように責め、彼女が声も出せずに深い絶頂へと  
達するのと同時にきつく押し上げ舌と挟み込んで女の悦楽を教え込んでやる。  
 背が弓なりにのけぞり痺れるように細かく痙攣し、ぎゅうっと指が締め上げられて痛いぐらいだったが、じっと舌を  
あてがって押さえつけたままにしておいた。  
 びくびくとクリトリスが脈打ち、ふくらみきっておれの舌を押し返してくるのがたまらなく愛しい。  
 押し潰したあとはゆっくりと円を描いて興奮しきったクリトリスをなだめてやる。  
 このまま責め続けて壊してしまいたくもあるが、じっくりと開発していく愉しみも捨てがたい。  
 クリトリスをくゆらせつつ悩んだすえに、後者でいくことにした。  
 彼女の肌が赤みを帯びて滴のように汗を散らしている。  
 荒い呼吸をくりかえし、胸を動悸で激しく上下させて、握り締めるようにしてシーツを強く掴んでいた。  
 クリトリスの強ばりが弱まったあたりでそっと舌を離し、彼女の耳元へ顔をよせる。  
 ささやくように名前を呼んで入れたままの指を動かすと、子猫のような声をあげてぎゅっとおれにしがみついてきた。  
 「イけた?」  
 ぶんぶんと頭を強く縦に振って彼女がうなずく。  
 「ふーん」  
 おれはきっと満足げな顔をしているだろうに、目をきつく閉じたままの彼女にはわからない。  
 「もっとイく?」  
 だからおれがそう聞いたとき、怯えるような顔を彼女は見せた。  
 音をたてて指をゆっくりと抜いていくと、刺激に耐えるように眉根をよせ、頼りなげに首を横に振り、  
 「もういっぱいいっちゃったよ……?」  
 と不安げに答えてくる。  
 「別にいいじゃん、何度イってもさ」  
 もう少し遊びたくなって、ぐちゅりと指でクリトリスをこすりあげると、彼女はますますおれにしがみついて可愛い喘ぎをあげた。  
 ぬるぬるでぐちゃぐちゃで熱くてとろけて、その真ん中の狂おしいほど小さな芯を指先に感じる。  
 揉みこむようになぶるように、指だけでクリトリスをいたぶる。  
 いまさら脚を閉じてきても無意味だ。  
 またクリトリスがふくらんで主張を始め、彼女に快楽の声をあげさせる。  
 思った通り、彼女の丸い爪が肩に背中に食い込んでくる。  
 その痛さを甘んじて受けながら、彼女の唇を貪り強引に押し広げて舌をいれて吐息を奪うように舌を絡ませた。  
 閉じたまぶたに涙がにじんでいる。  
 頬を紅潮させ、身体をピンと硬直させ、おれにしがみついたまま彼女はイった。  
 指で強めにクリトリスを押さえつけて身体の奥まで快感を送り込んでやる間も、彼女は硬直したままだった。  
 おれがキスをやめると、脱力したようにぐったりとよりかかってくる。  
 おれの手のかすかな動きにさえも敏感に反応して腰をふるわせる様が、押さえ込もうと苦労している嗜虐心を  
揺り動かしてくるが、彼女の身体が大事なのでやはりやめておいた。  
 体力を使い果たしたかのように朦朧とする彼女にふんわりとシーツをかけ、今度は優しく触れるだけのキスをすると、  
照れたような微笑みを一瞬浮かべ、彼女は眠りに落ちてしまった。  
 おさまらないものはあるが、とりあえずはおれも一緒に眠ることにした。  
 起きたら気分で決めればいい、クリ責めか挿入か。  
 彼女に聞いたら何と答えるだろうかとにやにや考えているうちに、おれもすんなりと眠っていた───  
 
 
     end.  
 
 

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