ひとしきり互いの股間を愛し合い、口を離して一息つく。
「大きくなるものだな、男のモノとは」
エルフは男の逸物―彼女の舌により隆々とそそり立ち、小刻みに震えながら天を突く男根―を眺め、しみじみとつぶやいた。
自分の最も恥かしいところを見られている。その羞恥心がさらに男の性感を高め、男根がびくりと動いた。その気恥ずかしさを誤魔化すように男も「見た」感想を述べる。
「エルフになったら、下の毛も金色になるんだな」
その瞬間、男の顔の上でエルフの腰がピクンと跳ね上がった。
「うっ、うるさいっ。森精時代に見たこともないくせに!・・・・・・それとも見たのか?」
最後の一言の不穏な響きを感じ、男はこの話を切り上げることにした。
再び秘唇を口で割り開き、蜜に濡れた肉襞を嘗め回す。あふれ出す滴りを啜り込み、より深くを目指して舌を差し入れる。腰と顔とが密着し、うっすらと生えた無精ひげが女の肉豆をちくちくと刺激し、高まる性感に花を添えた。
「やっ、こ、こら、まだ話の途中・・・ええい・・・あむっ、ん」
話をはぐらかされたエルフは若干不満げだったが、ゾクゾクと腰から這い上がってくる快感に突き動かされ、再び男の逸物を咥えた。
ちゅ、ちゅくっ、ずちゅ、ぴちゃ、ず、ずずずず・・・
舐め、啜り、甘噛みし、咥え、再び啜る。
互いに互角と思われた交歓は、しかし、時間とともにエルフの不利へと傾いていった。
女の身体を下から支える男の腰は水面下に有り、水の上には亀頭部がわずかに出ているだけである。深く咥え込む為には顔を水に浸さなければならず、その間は呼吸ができない。
さらに息継ぎの間も男に秘唇を休む事無く責め立てられ、快感の水位はじりじりと押し上げられていく。
必死に気をそらすために女が男根を口一杯に含み、付け根にぴったりと唇を吸い付けていた時に限界は訪れた。
ぴちゃ、ちゅぷっ、ず、ずちゅうううううぅぅぅぅ
「ん、んふっ、んふうぅぅぅううっ!」
男根と唇の合わせ目からこぽこぽの漏れ出ていた気泡が、女の絶頂とともにごぽごぽと大粒のものになり、口腔内には酸素の代わりに大量の水が押し寄せてきた。
「けほっ、けほっけほん。そっ、そんなに強く吸うな・・・あそこが裏返ってしまいそうだ・・・」
「わりぃ、夢中になってやりすぎた。で、そろそろ、イイか?」
今にもはちきれんばかりの男根をもてあまし気味に、男は尋ねる。
エルフは蕩けるような艶めいた笑みでそれに答えた。
ざばりと音を立てて男は立ち上がり、エルフはそれにぴったりと寄り添った。二人は見つめあいながらそっと唇を交わす。女の両腕が男の肩にしなだれ掛かり、するりと音もなく水面から抜き出された女の右足が男の尻を引き寄せ、腰と腰との距離を狭めてゆく。
まもなく女の会陰は男の裏筋に触れた。
エルフの腰が小さな円を描き、しっとりと濡れそぼった恥毛が男の茎を刺激する。言葉よりも雄弁な女の誘いに男はいったん腰の密着を解き、左手を女の腰に回し、右手を己自身に沿え、先端を焦れる女に押し当て、下から上へと突き進んでゆく。
ず、ずずずずずずず
「あっ、ああぁぁああぁぁ・・・」
感極まった女は白い喉を見せて鳴き、全身を震わせて与えられる悦楽を享受した。そのまま押し入った男の先端は、女の最奥へと到着する。
男はその感触に満足し、しばらくのあいだやわやわと包み込んでくる女の膣内を愉しんだ。
違和感。話に聞いていたのと何かが違う。
力強くも気遣いを見せて入ってきた男の感触に陶酔し、己の締め付けにうっとりとする男の顔を満足げに、かつ熱の篭った視線で見つめていた女は、男の顔に浮かんだいぶかしげな表情に気付いた。
「おまえ「ち、違うぞ、私は処女だ初めてだ。」」
焦ってどもりながら、エルフは男に抗弁する。不貞を疑われて平然としていられるほど、エルフはすれてはいない。
「本当だ。誓う、私が愛した男はお前が初めてだ。ただその、激しい運動をしたせいで私の・・・その・・・膜はもう無いんだ・・・」
「膜」という言葉が恥ずかしかったのだろう。最後のほうは消え入るような小声だった。羞恥と申し訳なさで、耳は力なく下を向いていた。
だが、申し訳なさを感じていたのは男も一緒であった。いや、男の自責はエルフより大きかったといっていい。
好きな者同士が愛し合うのに純潔がそれほど重要か、必要不可欠か、違うだろう。なにより、エルフの言う「激しい運動」が、いつ、誰のために行われたものなのかに気付かないほど男は鈍くなかった。
「ホントなんだ。潅木を三連続で飛び越したときに股間にぴって痛みが走って、しばらくしたらずきずき痛んできて、それで」
「膜がもう無いってことは」
しどろもどろに説明するエルフを遮って、男は快活に言う。
「チョットぐらい激しく行っても大丈夫かな?その、もう我慢できそうに無い」
そういって笑いかけ、男は肉棒を痙攣させた。
「・・・ああ、遠慮しないで来てくれ、私もお前がたくさん欲しい・・・」
邪気の無い男の微笑みにエルフの強張りは消え去り、再び男に身を摺り寄せる。
「ごめんな」
そういって男はエルフの頬にキスをし、腰を突き込み始めた。
「あ、あぁぁぁあ」
「く、くうっ」
高く持ち上げられたエルフの右膝裏に腕を差し入れ、そこを支点にして腰を打ち付けあう。大きく股を広げることに連動していっぱいに開かれた女陰に、怒張しきった男根が打ち込まれている。
じゅぷじゅぷという水音は回を重ねるごとに大きくなり、元から不安定な姿勢に置かれていたエルフは一擦りごとに強くなる快楽に足を掬われ、男の胸へと倒れ込んだ。
ずんっ
「ひうぅぅぅぅッ」
「!んぅっ、で、射精ちまうっ」
エルフの全体重が股間の一点に集中し、限界まで打ち込まれた男の亀頭がエルフの胎奥を強く強く押し上げる。固柔らかいモノ同士が激しくこすれあうコリッとした心地良さに、前儀で高めあったふたりは抗し切れなかった。
どくっどくっどくっ・・・
はあ、はあ、はあ、はあ・・・
荒い息を吐きながら、全身を紅潮させてぐったりと身をもたせかけるエルフと、今にも崩れそうな膝で二人分の体重を支える男。
二人にとって不意打ちの絶頂により身体は達したが、精神は未だ満たされずに欲求不満を感じていた。
「この格好は不安定すぎる、やはり岸辺のほうがよくはないか・・・はやすぎるのは、不本意だ」
「いや、むしろこっちの方が・・・早いって言うな」
「え、ちょ、きゃあ」
男は女の双臀を掬い上げると、そのまま深みへ向かって歩いていく。澄み切った水のの冷たさが心地良く火照った身体を冷やした。
臍の辺りまで水に浸かると浮力が腕力と姿勢制御を援助し、意識を挿抜に集中することが可能になった。
細波が広がる。
身を取り巻く夜の水はどこまでも冷たく、容赦なく体温を奪ってゆく。でも、だからこそ触れ合ったぬくもりがいとおしく感じられる。
咥えて冷点を刺激されて敏感になった肌は感覚を鋭くし、絡み合う手と手、肌と肌、粘膜と粘膜の感触を強くはっきりと伝え合った。
外の冷と中の熱。そのアンバランスさが二人の性感に火をくべ、行為は激しさを増していった。
波が広がる。
「んっ、んんっ、ふっ、おまえのが、膣内で、っ、熱い・・・暴れッて、るぅ・・・ん、ちゅっ」
女は己の胎内を割り裂き、押し広げる男の感触に腰で小さく円を描いて答え、男の腰をしっかりと長い足で挟み込む。
また胎内からの快感を紛らわせるために夢中で唇をあわせ、一心に舌を絡めあった。
「んむっ、ちゅっ、はむ、ん、れろ、んくっ、む、ちゅうぅぅぅう」
男もその動きに情熱的に答え、舌を絡め、歯をこそぎ、口腔内をねぶり、唾液を分け合い、また舌を強く吸い込んだ。
その間も、腰の動きは止まらない。ゆっくりと大きく動かし、女の秘唇がじれたようにピクピクと痙攣し出したら早いペースで突き込む。
その一段階高い快感になじんだ腰が回り出したら最奥を強く押し上げ、女と逆回転の円を描く。
それが肌を合わせてから男が思いついた交歓の仕方だった。
「はあっ、はあっ、はあ、ああ、いい、イイの・・・腰、はうっ、うごいて、と、止まらないぃ・・・」
高まる性感にエルフは唇を離し、紅に上気した肌を喘がせて快感を伝える。潤んだ瞳は目じりに涙をたたえ、だらしなく半開きになった唇は「ああ、ああっ」と声を漏らす。
その口唇の端からは涎が糸を引いて流れ、紅潮した上半身に浮かんだ大粒の汗と混じって泉に波紋を描いていた。
普段は強気な彼女が見せる、今にも快楽に壊れそうな柔い女の姿。
その艶姿に男の怒張もサイズを増し、天井知らずに高まる征服欲と快感に突き動かされて、男はより一層激しく腰を突き入れた。
「はあぁぁあっ、はっ、激しいッ。くっ、くうっ、くうぅぅぅ、も、もうダメッ、イく、イくぅぅぅぅぅッ」
ガクガクと全身を震わせ、女は男に限界を告げ、
「で、射精るっ、お、おおぉぉオオッ」
男は女の胎奥で、堪えていたすべてを解き放った。
どくん、どくん、どくっどくどくどく・・・
「あああああぁ!ああっ、あっ、ぁぁぁぁぁ・・・」
「事故」である一度目とは比較にならない量の精液がエルフの胎内に迸ってゆく。
すでに限界に達し、身を大きく仰け反らせ、足をピンと伸ばし、必死に力を入れて男の首に絡めた手と結合する腰の二点で支えられた女体は、断続的に叩きつけられる男の精を浴びるたびにピク、ピクンと痙攣し、さらなる絶頂の高みに押し上げられていく。
やがて射精は止み、エルフの手は力を失ってスルリと解け、小さな音を立てて着水した。
肉も筋も蕩けて水面にたゆたう女の身体を、男の腰と手が繋ぎ止める。
そのまましばし、二人で余韻に浸った。
「あ、その、ちょっといいか?」
没我の恍惚から目覚めたエルフは男に語りかける。その声はどこかぎこちなく、もじもじと身を捩じらせ、上目遣いで探るように語り掛ける。
「少し手を離して欲しいのだが、ほんのちょっとの間でいいんだ」
切羽詰った響きの声に、男はピンと閃くものがあった。
「腹、冷えたわけね、漏れそう?」
「分かっているならいちいち聞き返すな!あっ、こら、腹をさする・・・なっ。すぐ戻るからおとなしく待て」
悪戯っぽく笑いながら腹部を擦ってくる男の顎に肘を入れ、エルフは身を翻して岸を目指す。くるりと視界に飛び込んできた女の細腰から尻への引き締まったラインが男の性欲をゾクリと煽った。
ざばり
がしっ
「こら!はなっ・・・はうぅっっ」
水面を割って駆け出そうとしたエルフの腰を後ろから捕まえ、再びいきり立ったものを秘裂に突き入れる。男の精を受け柔らかくほぐれていたそこはズプズプと逸物を受け入れ、肉の隙間から膣内に溜まった精液と愛液の混合物を水中へと放出した。
挿入の衝撃に力の抜けた身体を掬い上げ、膝裏に腕を回して抱えあげる。そのまま美脚を大きく割り広げ、ざばざばと浅瀬に向かって歩き出した。
「やあっ、こ、こんな格好、恥ずかしっ・・・ああっトイレに行かせろっ、も、漏れちゃうぅ」
「見せてくれ」
いまや水深は男の膝下までしかない。月光の元に乱れる裸身がさらされる。
小さな子供におしっこをさせる時の格好―秘所に肉棒が突き刺さっているという点は決定的に違っているが―をさせられ、羞恥に震えるエルフに男は自らの望みを告げる。
その内容の破廉恥さと、大きく開かれ肉棒を飲み込んでわななく自らの秘所の淫猥さ、時と共に高まる排泄欲求にエルフの意識はドキドキと昂まってゆく。
「やぁあぁぁっ、みるなぁっ、変態、ヘンタイぃ・・・ひゃうっ、腰、揺するなぁ、ああぁ」
「それでもいい。お前のすべてが見たいんだ」
懸命に尿意を堪えるエルフと、その抵抗を突き崩そうとゆるゆると腰を振る男。真摯な口調と逸脱した行動のアンバランスさが益々女の性感と羞恥を煽ってゆく。
「あっ、あっ、あっ、あうっ、くっ・・・・・・ひぃあぁああぁああっ」
かぷ、れろ、ちゅくっ
身を細かく痙攣させつつ我慢するエルフの耳を、男が噛んだ。長く尖る人間以上に敏感な感覚器が、仰け反るほどの衝撃を女の頭蓋に叩き込む。そのままじっくりと耳を嘗め回され、途切れることの無い快感がエルフの思考を桃色に塗り替えていく。
そしてその身体もまた、足の先から耳の先端まで桜色に染まっていった。
「やはぁぁぁぁあ、みみ、くちゅくちゅさせちゃぁ、らっ、らめぇぇ、ひうっ、いき、吹き込んじゃ、ガマン、できなくなっちゃ・・・」
耳に響く水音と快感、そして丁寧で執拗な舌使いにエルフの全身はガクガクと震え、ねっとりとした汗に怪しく艶光っている。理性が崩壊しかけても羞恥心はまだ機能しているのか、会陰はきゅっきゅっと引き締められており、尿意の決壊を防ぎ、男の肉棒に快感を与え続けていた。
「あぁぁぁぁあぁぁ、あん、あぁぁぅ、お、おねがい、だ、もう、トイレに、いかせっ、てぇぇ」
男は息も絶え絶えに懇願するエルフの耳から唇を離し、
「はぁ、はぁ、はぁ、はやく、降ろしッ、ひぅぅぅぅぅぅぅッ」
手付かずだった反対の耳を、勢い良く噛んだ。
「ダメぇぇぇェェェッ、でちゃうぅ、おしっこでちゃうぅぅぅぅッ」
ぷしゃあああああ
ちょろちょろちょろちょろ・・・
不意打ちの耳愛撫にエルフの我慢は限界に達し、股間から金色の液体が孤を描いた。
「あぁぁ、止まって、止まってぇ、だめ、とまらない、とまらないの・・・」
水音を響かせつつ水面を叩く液体は止まる事を知らず、二人ともその光景から目を背ける事ができなかった。
「見るな、見ないで、見ちゃダメ、・・・ああぁ、見られてる、見られてるぅ、私に恥ずかしいトコロ、見られちゃってるのぉ・・・」
エルフの脳内で、昂められた羞恥と快感がグチャグチャに入り混じり、それは熱の形をとって背骨をつたい、胎へと降ってゆく。
「あぁ、熱い、アツイ、イヤなのに、恥ずかしいのに、それなのに・・・アアッ」
胎内に降り積もった熱は膣内を怪しく責め立て、内部をウネウネと蠕動させてゆく。その感覚はみっちりと胎内に収まった男根にも伝わり、射精の欲求を高めていった。
男の腰が動く。
ずぷっ、ずぷっ、ずぷっ
「ふぁあぁぁあっ、膣内、ずんずんしちゃ、暴れちゃ、ダメェッ」
「はっ、はっ、はっ、はっ」
シチュエーションと膣圧に昂奮が高まりきった男は、荒い息を吐きながら腰を突き込み続ける。その衝撃にエルフの腰が激しく揺らされ、小水はパチャパチャと広範囲に振り撒かれる。
その水音がより一層エルフの羞恥を煽り、連鎖的に増した二人の昂奮は加速度的に快感に置き換わっていった。
「ああっ、もう、射精るっ」
どくっ、どくっ、どくん・・・
「!ッ、あふぁあぁぁぁぁ、お、おしっこしながら、なっ、膣内で射精されてぇ、い、いっちゃう、いっちゃうのぉぉぉ」
どぷどぷどぷどぷ・・・どぷぅっ
ちょろろろろろろ・・・ちょろっ
「んっ」「はぁぁぁ」
男が最後の一滴を注ぎ終えたときに、エルフの放尿も終わりを告げた。
「ヘンタイ」 「・・・・・・」
もつれるように岸に這い進み、折り重なって二人は倒れ込んだ。仰向けになったエルフの胸に男は顔をうずめている。
「惚れた女のことをよく知りたい、という気持ちは分かるが、その、・・・ぉ、おしっこ・・・するところまで見たがるのは、やっぱり異常だと思うぞ」 「・・・・・・」
快感と羞恥の残滓に頬を染めつつ、エルフは男を糾弾する。
男は顔を伏せたまま何も答えない。良く見ると小刻みに身体が震えている。
「まあ、気持ちよかったことは認めるが、それ以上に恥ずかしかった。だから・・・何を震えている?」 「なあ・・・」
エルフは驚愕した。
男の声が、泣いている。
「俺・・・ほんとにこれで良かったのかな」
女の胸に顔を埋めたまま、男は慟哭する。
「あいつらがやったことは確かに人として間違ってる。でも、俺にあいつらを、・・・殺す・・・権利なんてあったのかな。」
内面の告白は続く。それは血を吐くような呟きだった。
「悪党をぶち殺して幼馴染の仇を討った。なのにこんなにも苦しい。
道を誤ったという点では俺だって同罪だ。何にも知らずに、何も知ろうともせずにのほほんと毎日を過ごしていたせいでアイツを傷つけて、あいつらを増長させた。そういう意味では、俺も立派な共犯だよ。
あの時はああすることが唯一の正しいことだと思った。でも、ほんとにこれで良かったんだろうか。今になって思い返すと、あいつらを切り殺した理由はアイツを助けたかったからというより、何もできなかった自分に腹を立てて、
その八つ当たりで暴れただけという方が正確だと思う。ああまで状況が固まってしまう前に、もっと何か、やれたことがあったんじゃないだろうか。
憂さ晴らしにアイツを辱めたあいつら、八つ当たりであいつらを殺した俺。
・・・やってることはおんなじだよ・・・」
女の胸を熱い雫が濡らしてゆく。朴訥で善良で不器用な田舎の若者。それが突如ぶち当たったあまりにも大きすぎる命題。
行動と責任、命と権利。
その時は殺すために張り詰めていた。
その後は愛するために高まっていた。
その内圧が緩んだ今、感じていた矛盾、後悔、迷いが一気に噴出してきた。
自分の目的のために他人を排斥すること。
悪を誅する行為自体が悪行のひとつの形。
生きていればいつかはぶつかる、そして死ぬまで繰り返されるであろう連鎖。
それに悩むぐらいなら割り切ってしまうほうが賢いのかもしれない。
しかし男は不器用で、ついでに青臭いほど若かった。
「いや、おまえは、あいつらとは違うよ」
エルフはかぶりを振り、優しく男の背を撫でる。
「村長の息子の長口上を思い出してみろ。自分の非を認めるような言葉があったか?村は貧しい、生活は苦しい、気晴らしも無い。だから俺は悪くない。
あいつが言ったのはそれだけだ。あのままほうっておいたら、何度でも似たようなことを繰り返すだろうな。
それに、抜き差し成らない状態にはまり込んでしまったら、取れる行動なんて限られてる。・・・殺すように仕向けたのは私だ。あらかじめ意識を誘導され、あんなものを見せられて、手に刃物を持っていたならああするだろう。
あいつらは下衆で、アイツは怠惰で、おまえは愚鈍で、私は冷酷だった。だからこうなった。
同じ人間を集めて何回やり直したとしても、きっと何度でも同じことが起こっただろう。だから」
そう言ってエルフは男の頭を抱きしめた。
「そう自分を責めるな、責任の四分の一だけ背負え、私も同じだけ背負ってやる。残りの半分はあいつらとお前の幼馴染のものだ。人の分まで背負うのはまだ早すぎる。
それに、私はあいつらが悪党だから死んだ、としか考えられない性格だ。同じようなことが起こったら同じようにしか動けないだろう。その点お前は違う。
『他に何かできたんじゃないか』と考えるということは、日常を送りながら「その状況」自体を避けようとする動きを産むとは思わないか?
私たちは、起こった出来事に対処することしか考えていない、できない。でもお前のような奴がいれば、お前と一緒ならば、「その状況」を起こさないように生きていけると思う。
だから、泣いてもいい、後悔してもいい、でも、お前らしさを諦めるな。」
そういって微笑むエルフの顔を初めて男は見つめ、再び彼女のまったいらだが優しい胸に顔を埋めた。
「・・・ありがとう」
「それにな、私は今、うれしいんだ」
男を抱いたまま、エルフは続ける。
「お前の幼馴染は、お前に隠し事をした。恥ずかしい自分の姿を恥じて内面を隠した。好きな相手にみっともない姿を見せたくないのは分かる。でも、それって信頼が足りないとも思わないか?
お前は私の前でみっともなく泣いて、グチグチと弱音を吐いて見せた。カッコ悪い事この上ないが、それは私を信頼してくれた証拠でもある。
・・・好いた相手の役に立てる。これは女の本懐だよ」
女の胸の中で男の頬が紅潮する。
純粋で明け透けな好意。
どこまでも真っ直ぐで力強い、心。
彼女の強さと美しさは外見だけのものではなかった。
「お前には助けられてばっかりだな。初めて会ったときも、真実を知らせてくれたときも、仇を討った後も、そして今も」
「一生かけて返してもらうから安心しろ。だから・・・」
そういってエルフは男を押し倒し、半萎えの逸物に唇を寄せた。
「一人で悩むな、溜め込みすぎるな。胸のうちにモヤモヤとしたものを残すな。私が全部受け止めてやる。・・・あむっ」
「とか言いつつナニやってるっ、ホントはオマエがヤリ足りないだけじゃないのかよっ・・・くはっ」
「ふふふ」
「不敵に笑うな、否定しろっ!」
「私はもう、気持ちいいところも恥ずかしいところもみんな晒してしまったからな。・・・夫婦で不公平はよくない。れろ、ちゅっ」
「あ、くはぁぁぁぁあ」
「村は逃げない。ヘタレたお前の内面の膿はここでみんな吐き出してゆけ。・・・旅支度をしっかりしておいてよかったよ、さすが私だ」
「俺のナニ握りながら浸るなぁぁぁぁぁあ!」
女の舌技に男はいい声で鳴いた。
・・・二人が村に着くのは、まだ先になりそうだ。
きしっ、きしっ
まっくらな闇の中、膝裏からお尻にかけて、暖かいぬくもりを感じている。
あれから一週間が過ぎた。その間、私とあいつは身体を重ね続けた。
気絶するまで交わり、目を覚まして保存食をかじり、喉を潤して一息ついてはまた身体を重ねる。
好奇心と愛情と性欲に任せてお互いの身体を探り続けた毎日だった。
当初、私はアイツの心労を癒すため、アイツは癒しと「無いほうがいい知らせ」を待つためにここに留まっていたのだが、
そんな理由はもうどこかに飛んでいってしまっていた。
ただ、気持ちがいいから。
それだけが今の私たちを支配している行動原理。
きしっ、きしっ
思うが侭に身体を屈曲され、口に肌に膣内に菊門に精液を浴びる、搾り取る。
劣情を思う端から口に乗せ、快感のあえぎを誰はばかる事無く響かせ続ける。
気持ちがよかった。
この為に生きてきた、この為に生きて行きたい。
何の迷いも無く今の私たちならそう言い切れる。愛とか好意とか欲情とか、そんなカテゴリーなどどうでもいい。
ただ言える「お前が欲しい」と。
きしっ、きしっ
・・・しかしまあ、ちょっとばかり行き過ぎたかもしれない。身をよじるたびに、拘束された両手首が擦れて音を立てる。
この一週間で数え切れないほど擦られ、削られ、抉られ続けた私の秘所は擦り剥け、粘膜が触れ合うだけでもひりひりと痛むほどだった。
しかし、それでも私はアイツが欲しかったし、アイツも私が欲しかった。
だから私はこう頼んだのだ。
「お願いだ。あそこはたくさん擦られてひりひりいたい。精液をすり込まれるとじんじんしてしまう。だから前を休ませて、代わりに私のお尻で気持ちよくなって欲しい・・・」
セリフ回しか、欲情に潤んだ上目遣いの視線か、待ちきれないように尻穴をほぐしていた指使いか、何かがアイツの急所を激しく抉ったらしい。
アイツは私をおもむろに抱え上げ、私にその辺の布で目隠しをして、ツタを切り取って両腕を手近な木に縛りつけ、足を肩に担ぎ上げて肉の切っ先を私の尻に当ててきたというわけだ。
目隠しも縛りも初めての行為だ、胸中が怪しく昂ぶる。加えて視界を遮る布はどうやら行為後に私の股間をぬぐったものだったらしく、混じり合った性液の匂いがムッと私の鼻を衝いた。
昂奮が高まる。
アイツはまだ私を担ぎ上げて菊座に熱い切っ先を宛がっただけだというのに、私の秘部からはトロトロと粘液が滴っているのが感じられる。
幾度と無く舌を、指を、肉棒を受け入れ続けた尻穴は、もはやわたしの第二の性器だった。
もう、我慢出来ない。耳が待ちきれないとパタパタはためく。
「はや・・・くっ、はやく突いてくれッ、私のお尻、めちゃくちゃに、してェッ」
ずぷぷぷぷっ
「ンはあぁぁぁぁあぁぁぁああ・・・」
お尻が、熱い。
火照ったアヌスを割り開き、火の様な切っ先が捻じ入ってくる。その感触に、私は身を仰け反らせて感じ入った。
「あぁ、熱いぃ、固いッ。それにピクピクいって、るぅ」
「くっ」
快感を送り込む熱い肉槍を離すまいと、私の肉は強く強く押さえ込む。その抵抗を押し切るように抽送が開始された。
ぬぷっ、ぬぷっ、ぬぷっ、ぬぷっ
「あっ、あう、あう、あうっ、激しッ、あン、わかる、ナカで暴れてるのの形がっ、よっく、わかるのッ」
視界が遮られている分、肌と胎内と想像力が鋭敏になっている。ねっとりと濡れて絡みつくアヌスと、激しく出入りしている逞しい肉棒の感覚とビジョンが脳を焼き焦がしていく。
きしっ、きしっぎしっギシッ・・・
私は汗に塗れた身体をを大きくよじらせる。激しく頭を左右に打ち振り、髪を振り乱し、背筋をくねらせ、縛られた腕を振り回して激しく喘ぐ。
「あぁっ、もっと強く、おく・・・っまでぇ、あんっ、あン、あンンッッ」
背中に樹皮の感触が伝わる。男は表面の滑らかな樹を選んだのだろうが、それでも樹皮は女の柔肌よりは固い。私の背は摩擦で擦り剥け、秘所のように真っ赤になっているだろう。
「あぁ、せなか、擦れてるぅッ、皮、剥けちゃう、むけちゃうぅ」
「・・・後で唾付けてやるから、もうちょっとガマンな」
「はぅぅぅうぅッ」
男が、私の、背を、舐める。
四つんばいになった私に背中からのしかかった男が、たっぷりと唾液に濡れた舌を私の表皮の剥げた敏感な背中に這い回らせる。
おそらくただ舐めるだけではないだろう。両手は後ろから胸を揉みしだいて来るだろうし、そそり立つ肉棒はまた私の尻、あるいは秘所へと荒々しく入り込んでいるに違いない。
そして私は幾度も鳴かされ、快感の叫びをあげながら絶頂を迎えるのだ・・・。
妄想が私の脳裏を犯し、身体への刺激と相まって快感の水位を押し上げる。
私の内腿がぎゅっと強張り、内膝に男の頚動脈が感じられた。
ビクビクと暴れる肉棒と、
ドクドクと波打つ首筋。
その二つの激しいリズムに私の秘所はとめどもなく潮を吹く。
「あはぁっ、ナカで、おおきくッ、なって、きた・・・」
アヌスの肉棒が細かく痙攣を始めた。先ほどからの一連の痴態は、すべて男に「見られて」いるのだ。男として平静ではいられまい。愛する男の興奮を粘膜でダイレクトに感じ取り、私は快感の階段の最後の一段に足をかける。
「はやく、はやくぅ、射精して、射精してぇ、私の、おしりに・・・アツイのいっぱい射精してぇぇぇぇッ」
「!」
私のお尻の中で肉棒がギクンと硬直し、そのまま萎えていく。
放出は、ない。
・・・この期に及んで焦らして来るとはアイツもうまくなったものだ。
だがこちらとしては堪ったものではない。もう少しでイけるところだったのにその直前で「おあずけ」なんてされたら、頭も心臓もアソコもどうにかなってしまう。
「なぁぁ、いじわるしないで、はやく、射精してくれ・・・」
蛇のように身をくねらせ、拘束を引き千切るように腕を暴れさせ、
「切ない・・・せつないんだ、あとほんのすこしでイけたのに・・・」
舌を伸ばして唇の周りの唾液を舐め取り、きゅっきゅっとアヌスを断続的に締め付け、
「おかしくなる、気が変になる・・・っ、だからはやく、はやくぅ・・・」
今迄で一番淫らに見えるように、私に注ぎこみたくてたまらなくなるように、雌としてねだった。
「アナタのその逞しいものでわたしのおしりずんずんしてェッ、いっぱいいっぱい溢れるぐらい精液注ぎ込んでおもいっきりイカせてェェェッ」
ずんっ。きゅうぅッ
「あッひぃぃぃぃぃぃぃぃッ」
腸が破れるぐらい激しく突かれた。腰の前後運動は激しいままに途切れる事無く続き、包皮を押しのけて立ち上がった敏感な肉豆を押し潰すように強く擦られる。
筒のようにしこり立った乳首をざらついた舌が乱暴に擦りたてる。
瞼裏に白い閃光が幾度も翻り、わたしの上下の口はパクパクと開閉し、はしたなく涎をダラダラと零し続ける。
「すっ、すごい、しゅごいぃ、いっちゃう、いっちゃうぅ・・・とまんない、とまんないよぉ、焦らされた分どこまでもイっちゃうぅぅ」
決壊する寸前まで高められた情欲に、それだけでも限界に達するほどの強力な刺激が重ねられ、わたしの理性は跡形も無く消し飛んだ。
「だめっ、ダメ、だめ駄目ダメらめらめぇ、もっ、もおらめぇぇぇッ。
ちょうだいちょうだいせーえきいっぱいわたしのおしりにどくどくいっぱいちょうだぁああいっッ」
「くっ、くはっ。待たせた分、たっぷり、射精すぞっ」
どぷっ、どぷぅっ、どぷぅぅッ
「!。!!。!!!。〜〜〜〜!!」
声すら出なかった。熱く激しく固体のようにたっぷりとしたものがアヌスに叩き込まれる感触に、わたしはただ仰け反ることしかできなかった。
注ぎ込まれている間中、全身の筋肉が悦楽に張り詰めてしまい、息をつく事すらかなわない。
それほどの絶頂だった。
どぷどぷどぷ・・・どぷっ
「〜〜〜・・・ふぅ」
「〜、〜、〜、・・・あぁ」
長い長い射精が終わり、彼の吐息を聞いて初めて、わたしは全身の力が抜けた。身体がぐんにゃりし、あたまがふわふわする。まるで宙を漂っているかのような心地良い余韻だった。
意識が白い闇の中へ堕ちていく、その時、
ぶつん
「ふぇ?ぇぇぇええ?」
腕を縛っていたツタが摩擦ですり切れ、わたしは本当に堕ちた。
ずるずる・・・どさっ
「あ、痛たたたた」
「だ、ダイジョブか?」
彼も虚脱していたらしく、あわてたような声が掛かる。
「もう、最後までしっかり支えてく・・・」
落下の衝撃で、目隠しが緩んでずれた。どんなものか忘れかけていた視界が広がる。
青い空、緑の森、愛しい男と、
ヒゲの中年の顔
「・・・」
声が出ない。中年を指差したままただパクパクと口が動く。
「あー、その、ヤってる途中でこのおっさんが出てきてびっくりして止めたんだけど」
苦い顔で歯切れ悪く男が説明する。
「お前があんまり過激にねだるから俺も止められなくなって、その」
そういえばこの中年に見覚えがある。武器を受け取りに言ったときに会った顔だ。
「どうしようか困ったらおっさんが左手で輪っか作って右手の指通すジェスチャーしてにやりと笑って後ろ向いて耳塞いだから」
ということは、もしかして・・・顔が赤くなる。
「そのまま最後までやっちゃいました。・・・焦らされたと思って、興奮、した?」
今までで一番いやらしいおねだりとめちゃくちゃに乱れてたところを他の人に見られてたワケ?!・・・顔の熱がゾクゾクと背骨を伝って胎内に溜まっていく。
「い、い・・・」
声が出ない。そんな私を見てオジサンはグッと親指を立ててにやりと笑い、
「お疲れさん」
「いやあああぁぁあぁぁあああっ、見ないでぇぇええぇぇええっ!!」
胎内の熱が爆発した。ぷしゃぷしゃと愛液を噴出しつつ、私の意識は真っ白になった。