「どれ、お前ちょっとこのポーズやってみ」  
「は? なに言ってんのあんた」  
「ほら、これだって。グラビアっぽくさ」  
「というか幼馴染の前で平然とエロ本開くのはどうかと思うわよ」  
「エロ本じゃないし。水着着てるじゃん」  
「さようで。……で、どうしようっての?」  
「いや、お前ってガサツじゃん」  
「あら、いきなり失礼ですこと。これだから唐変木は困りますわ」  
「はいはいわろす。でだ、そんなお前にもほぼ唯一といって良い長所がある」  
「というと?」  
「その無駄にエロい体つきだ!」  
 
 
「……痛いんだけど」  
「あんたの石頭を殴るこっちの身にもなりなさい」  
「それはさておき」  
「さておくな」  
 
「実はこれは佐藤から借りたんだ」  
「いや、べつに誰のモノでも良いんだけど……」  
「まぁ話を聞け。佐藤やら安田やらが言うには、この娘が今巷で大人気らしい」  
「あー。そういえば雑誌の表紙とかで時々見るかも」  
「で、奴らが『うちのクラスの女どもでは足元にも及ばない』とか言うから」  
「うんうん」  
「お前のほうがエロいし可愛いと言っておいてやった」  
「可愛いはともかくエロいは余計」  
「しかし奴らの目は節穴だった」  
「何て言ってたの?」  
「『スカートの下に短パンはない』『うるさい』『目薬貸すぞ』と散々だった」  
「…おのれ……」  
「俺は悔しい。幼馴染の乳尻太股にかけて、俺は断固戦わねばならない!」  
「嬉しいような哀しいような……」  
 
「だからこのポーズを」  
「お断り」  
 
 
「大体、裸くらいもうなんども見てるでしょ」  
「ロマンなんだよ、ロマン……」  
「顔を埋めながらしゃべるな。くすぐったい」  
「戦いのあとはこうして憎しみを追い出すんだ……」  
「起きたら窒息とかやめてよね。今日は戻んないの?」  
「明日休みだし外寒いし雨だし眠いしもうねる」  
「ものぐさめ。――じゃ、電気けすね」  
 
「もうちょっと寄れないの?」  
「これ以上寄るとまた落ちるから勘弁して」  
「せまいなぁ、もう」  
 
 

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