セミの声がうるさい夏休み終盤の昼下がり。  
「みーちゃん、ここわかんねんだけど」  
せっかくの小学生活最後の夏休みだというのに、  
「んー?どこー?」  
遊びに行きもせず  
「ここと、ここと、えー、ここから、ここまで」  
みーちゃん家で二人っきり、  
「全部じゃん!ふざけないでよっ」  
あっつい部屋で勉強なんてものをやっている。  
「イヒヒヒ」  
「いひひなもんか!」  
みーちゃんは目を三角にして怒りだした。よっし計画通り!  
おれは毎日みーちゃんの喜怒哀楽の表情が見たくて見たくてしようがないのだった。  
「ここは昨日やったとこでしょ!しっかりしようよもうっ!」  
いつもはおっとり癒し系のボクっ子みーちゃんだけど、ここ最近はピリピリしてる。  
だいたい小学生なのに受験勉強なんておかしいよまったく。  
「夏休みの宿題はとっくにおわってるんだからさー、遊ぼうぜ〜」  
「なんのために宿題をはやくおわらせたとおもってるの!」  
 
もちろんわかってる。わかってるけど、夏休みってのはやっぱり遊ぶもんだよなぁ?  
「な〜、ファミコンしようぜ」  
「ダーメ。一学期までのよっちんの成績じゃ合格できっこないんだから、こうやって勉強しないと間に合わないんだよ?」  
「わかってるけどさ、暑いんだもんよー。外行こうぜ。外のほうが涼しいよ。アイス買おうぜ、その後で勉強しよう」  
「いいね、アイス…ってダメダメ!三時までは勉強の時間って決まってるでしょ!」  
時計を見ると。げ、まだ一時半かよ。おれはわざとらしく背伸びをして、ゴロンと寝っ転がる。  
「ちぇ〜、最後の夏休みだってのに勉強勉強…やってらんねーこんなことよー」  
ブツブツと文句を言い出す。七分くらいは冗談だ。三分は本音。  
日常のコミュニケーションってやつ。あれ?レクリエーションだっけか。まあいいや。  
「…でさーヨシオんとこ、昨日から熱海行ってるんだってよ。いいよなー」  
バン!コロコロン  
みーちゃんがちゃぶ台を叩いたせいで空っぽのコップが転がり落ちた。みーちゃん、本気で怒ってる。  
「ボ、ボクだって、本当はよっちんと遊びたいよ。小学生最後だもん。いろんなとこ行きたいよ、  
 でも今遊んだらこれから先、一緒に学校行けなくなるかもしれなくて、うぅ  
 同じ中学で、また一緒いられるようにって、ボクだって、ガマンして。よっちん嫌がってるの、わかってるけど、でも、ぐす」  
やばい。ちょっとふざけただけなのに、みーちゃんが泣きそうになってる。これは流石に想定外。  
 
みーちゃんは頭がいいから勉強なんてしなくても余裕で隣町の私立中学には入れるだろうけど、  
夏休み前、おれの一言がみーちゃんに火をつけた。  
 「おれもそこ、受験しよっかなー。みーちゃんと一緒の学校の制服、着たいじゃん。それにさ、あそこの制服人気なんだよ」  
だってさー、中学校、別々になっちゃうかもねって寂しそうに言われたら。ボク、わざと落ちようかな…なんてつぶやかれたら、  
言うしかないだろ、カッコつけて。  
すっげえうれしそうにホント!?って言ったみーちゃんの顔、忘れられないなぁ。  
で、みーちゃんは下から数えた方が早い成績のおれに、つきっきりで勉強を教えてくれることになったんだ。  
まあ別に今までも宿題を一緒にやったり、というか写させてもらうくらいはしてたんだけど、まさか本気モードになったみーちゃんに  
夏休みのあいだ中、一に勉強二に勉強、三から五までまた勉強って生活を強いられるとは思わなかった。  
「勉めて強いる」と書いて「べんきょう」とはよく言ったもんだ。  
おれのためにやってくれているのはうれしいけどさ。  
 
「冗談!冗談だって!みーちゃん、泣くなよ。ゴメン、悪かったって」  
「泣いてない」  
ずずって鼻をすすりながら言われてもなぁ。  
「だって泣いてるじゃんか」  
「ないてなんかないよ!よっちんのバカ!」  
「ご、ゴメン!」  
バカって言われてカチンときたけれど、売り言葉に買い言葉でひどいケンカに発展させる程おれはお子様ではないのだ。  
哀しそうなみーちゃんの顔も、それはそれでイイんだけど、やっぱあんま見たくないかな。素直に謝っておくのが吉だ。  
…とまあそんな感じで再び算数の問題集にとりかかるおれ。みーちゃんの教え方が上手いのか、おれが元々天才だったのか。  
この程度の問題なら楽勝で解けるようにはなっている。さっきもちょっとした息抜きのつもりでふざけたんだけど、  
真面目なメガネっ子委員長のみーちゃんにはあいかわらず通じなかった。今回のさすがにはやりすぎたと反省。  
カリカリ。カリカリ。しばしの間、みーちゃんの部屋には二人の鉛筆が走る音だけが響く。  
 
「できたぜ」  
「ふん、早いね。じゃあ答え合わせするから。みせて」  
若干不機嫌なみーちゃんはおれの問題集をとると、黙読しだした。すごい勢いで目が走る。ページをめくる。  
ていうかどんだけ問題やらせてんだよ。  
することのなくなったおれは、みーちゃんを見ることにする。  
…やっぱカワイイなぁ。透き通るように白い肌。メガネをとると青い瞳がすごく綺麗で、見つめられるとおれでも照れくさくなってしまう。  
本人は気にしてるけど、クセッ毛の金色の髪が耳元やうなじでくるっと巻いていてまるで外国の絵に描かれる天使みたいだ。  
みーちゃんのお母さんは元々はソ連の人で、ものすごい美人だ。日本にやってくる前はスパイをやってた。って冗談ぽく言うけど  
007の映画にでてくる女スパイなんかは美人揃いだから、案外本当かもしれない。  
今はみーちゃんのお父さん、あ。こっちは日本人ね。と一緒にうどん屋さんをやってる。将来はソ連にお店を出すんだって張り切ってる。  
みーちゃんはお母さん譲りの容姿と、お父さん譲りの性格だとうちのオヤジは言ってる。  
最初は子供なのにマセてるとか、ガイジンとかよくからかわれたりいじめられたりしたけれど、  
好きな言葉は忍耐と臥薪嘗胆、尊敬する人は徳川家康という小学生なのに渋いチョイスなみーちゃんは負けなかった。くじけなかった。  
いじめっ子にはきっちりケジメをつけさせ、その後で仲良く友達になった。仲の良い友達にはとっても面倒見がよかった。  
みーちゃんの周りには人が集まり、クラスはおろか学校でも人気者だ。下駄箱にラブレターが入ってることなんてしょっちゅうだ。  
苦笑しつつもみーちゃんは一通一通にごめんなさいの返事を書いている。その都度、おれはなんとも言えない気分になる。  
あいつらはみーちゃん直筆の手紙が欲しくてラブレターを下駄箱に放り込んでいるのだ。まったく、困ったもんだ。  
おれも幼稚園で初めて会った頃はみーちゃんをよくいじめてた。ほら、その。気になった子の気を引きたくてわざといじわるするみたいな?  
でもある日小学生の悪ガキにからまれて困ってたおれを、みーちゃんが助けてくれて、まあ詳細は省くけれどそれ以来おれたちは親友になった。  
 
「よっちん、またぼんやりしてる」  
みーちゃんの一言で我に返る。みーちゃんに見惚れていたら、うっかり時間を遡って思い出に浸ってしまった。  
「んぉ?おう、悪い。どうよ。できてるだろ?」  
「うん、全部合ってる。すごい。よっちん見る見るできるようになってる」  
夏休み前はチンプンカンプンだった問題だって今ならこんなモンさ。みーちゃんは我が事のように喜んでる。  
おれはみーちゃんの喜ぶ顔が見たくて頑張る。なんという素敵なスパイラル。  
「そうだろう。おれはやればできる人間だからな」  
照れ隠し半分誇らしさ半分で胸を張ってえらそうにしてみせる。  
「うん、よっちんはできる。ボクうれしいよ、一緒に頑張ろうね」  
みーちゃん、満面の笑顔。花が咲くようなっていう表現は陳腐だけど、他に形容する言葉をおれはまだ知らない。  
「…」  
やばい、胸が熱い。そんな顔されたら、そんなこと言われたら、ガマンできなくなっちまう。  
「さっきは怒鳴っちゃって、ごめんね?家が近くでも、学校が違うときっと疎遠になるから。母さんはそんなことないって言うけど」  
そんなモジモジとカワイイ仕草で、そんなこと言われたら、カラダが熱くなっちまう。  
「ボク、よっちんと離れ離れになるの、イヤだったから、このあいだ、テレビでやってるの見て」  
おれも見たよ。仲良しだった幼馴染が、ある日を境ににぱったりと会わなくなって、それで、ああ。思い出したくもない。  
「不安になって、もしかしたらボクたちもああなるのかなって思うと、頑張らないと、もっと一生懸命やらないとって」  
だめだ、もうガマンできない。またガマンできなくなった。おれはみーちゃんのそばに寄る。密着。  
「…えっと、よっちん…?」  
みーちゃんは一瞬ビクってなって押し黙る。  
「一生懸命、何を、やるんだっけ?」  
みーちゃんの耳元で囁く。耳たぶを甘噛みする。みーちゃんはまたビクってなった。鼻をくすぐるクセッ毛。  
「よっちん、その、離れて…」  
「離れ離れになるのがイヤなんだろ?だ・か・ら・ホラ、こうやって」  
さらに密着。ふふ、顔が赤くなった。まあお互い様か。おれはみーちゃんの手に触れて、互いの指を絡めあう。  
そのままおれの体重をみーちゃんにかけると、あっさりと押し倒せてしまった。  
 
おれはみーちゃんに馬乗りの体勢で跨ると、両手の自由を奪う。まあ力じゃおれに勝てないからな。背もおれの方が高いし。  
「よっちん…ダメ、勉強しなきゃ…」  
この期に及んでそんなことを言う。あいかわらず火付きの悪い炭みたいなみーちゃんに時計を見るように促す。  
「な。もう三時十分だぜ。こっからはおれの時間だよな?」  
「そんなこと、決めてないよ…」  
「勉強、教えてくれたお礼だよ。」  
「む、無茶苦茶だよ」  
言いながら、みーちゃんの服の下に手を滑り込ませる。お腹をなぞり、乳首に到達。指先でちょっと掻いてやる。  
「だから、おれにも勉強できたご褒美くれよ…」  
おれのほっぺたが熱い。この熱をみーちゃんに分けてあげよう。みーちゃんのほっぺたの熱を分けてもらおう。  
「だ、ダメだってば…」  
からだをよじるみーちゃん。まだ抵抗するかコノ。物分りの悪い口をおれの口で塞いでやる。  
「ンム…」  
最初は啄むように。そしてだんだんと長く、深く。  
「あふ…」  
「あんっ」  
「はぁ」  
みーちゃんもノってきて、向こうからもキスしてくる。みーちゃんは舌や唇をなめるのが大好きなのだ。おれもだけど。  
この体勢だと上手くキスできない。もっとキスしたい。おれは体をずらして全身をみーちゃんに密着させた。  
服が邪魔でしょうがない。肌と肌で触れ合いたい。  
お互いに抱き合ってちゅー。ためらいがちにおれの体をまさぐってくる。おれも負けじとみーちゃんのからだを触りまくる。  
ああ、乳首はもう少し後で触って欲しいんだけどな。まだちょっと痛いんだ。  
お互いのアソコはとっくにギンギンヌレヌレになってるけど、あえて触らない。さわらせてあげない。  
息が荒くなる。窓、開けっ放しだから外に聞こえてないだろうかと今更そんなことが気になる。  
しばらく続けているとみーちゃんがおれの耳元でこうささやいた。  
「よっちん…もっと、しよ」  
「…おう」  
もちろんさ。  
やっとこさみーちゃんに火がついた。  
抱き合って、キスをしながら服を脱がせっこ。  
お互い薄着だからあっという間だ。パンツはさすがに恥ずかしいから自分で脱ぐけど。  
 
おれの目の前には素っ裸で立ってるみーちゃん。色、白いなー。なんで日焼けしないんだろう。  
おれのほど生え揃ってはいないけれど、やっぱりというかみーちゃん、あそこの毛も金色なんだよな。  
両手でモジモジと前を隠そうとしてるけど、おっきくなったおちんちんは隠しきれていないのがちょっと笑える。  
「もうこんなにしやがって、みーちゃんはエッチだな」  
「だって、よっちんが…その、ハダカだし…」  
みーちゃんは恥ずかしくなってうつむいた。  
「おれのハダカをみる前から、そんなだろ?」  
「それは、その」  
「みーちゃんのヘ・ン・タ・イ」  
おれは一歩距離をつめてみーちゃんを抱きしめる。  
「よよよ、よっちんだって、もうアソコがぐちょぐちょじゃんか!」  
「ひぁんっ!」  
みーちゃんの手が伸びて、おれのあそこをいやらしく撫でてきた。不意打ちとはずるいぞ。  
思わず腰の力が抜けてしまった。  
 

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