「このあと、どうする?」  
 長い長いキスの後、羽山君が言った。  
「今更教室戻っても、杉山の奴がうるさいよな」  
 肩を抱きながら、頭を撫でてくれる。  
 五時間目は国語だ。担当教師の顔が浮かぶ。  
「フケる?」  
「え?」  
「サボろう」  
 彼の顔は今までと変わらない。うっすらと笑みを湛えたポーカーフェイス。  
 それでも私には、前よりも彼の表情が解かるようになっていた。  
 彼の口元に浮かんでいるのは、悪戯っぽい微笑み──  
 そこは二人の唾液で潤んでいて、私は恥ずかしくなって眼を逸らしてしまう。  
 とろけるようなキスだった。  
 二人の舌が絡み合い、私たち以外には誰もいない静かな廊下に、くちゅくちゅと淫靡な  
音が響いていた。  
 その音は、潤いを取り戻した私の秘処から聞こえてくるようで、むずむずと湧き上がる  
恍惚に支配されてしまいそうだった。  
「よし、行こう」  
「え……どこへ?」  
「いいところがあるんだ。先客がいるかもしれないけど」  
──先客って……?  
 人がいるかもしれないようなところへ、連れて行こうというのだろうか。私が未だに  
恥ずかしい格好なのを知っているのに──  
 戸惑う私を見ながら、羽山君は笑っていた。  
 意地悪な顔だった。  
「行くよ、夕菜」  
 小さく頷いた私は、彼に促されて歩き出した。  
 一階の廊下を進み、階段を登る。乳房が揺れて、幽かな刺激が私を責める。  
 あの場所に来ると、羽山君もそれを意識していたのか、足を止めた。  
「羽山君……?」  
「また、する?」  
「えっ……」  
「冗談だよ」  
 冗談に思えない。  
 事実、彼は私の背中を押していた手を、すっと下ろしてお尻に触れたのだ。  
 私はぴくりと震えてしまう。  
「やっぱ、しちゃおうかな」  
「ええっ?」  
 片方の手で腰を抱かれ、もう片方の手でスカートをたくし上げられる。  
「あっ──」  
 四時間目の途中で彼に助けられた私は、ここで淫らに責め立てられ、そしてまた、こう  
して恥ずかしい事をされようとしている。  
 長いキスに身体を火照らせてしまった私には、抗う事ができない。  
 しかしまだ、自ら求めるほどには乱れていない。  
 どうする事もできずに立ち尽くしてしまう。  
 羽山君は頬が触れそうなほどに顔を寄せ、じっと私の眼を見つめている。恥ずかしいのに  
逸らせない。恥ずかしがる私を見て欲しい──そんな気持ちにさせられてしまう。  
「可愛いなぁ、夕菜は」  
 耳元で囁いた彼は、私のスカートを捲り上げてしまった。  
 スカートの中に押し込んだブラウスの裾ごと持ち上げられ、子供のような腰周りが露に  
なった。小さなお尻も、つるりとした恥丘も、隠すものも無く晒されてしまった。  
 こんなところで、そんな格好をさせられて、私の身体はさらに熱を帯びてゆく。  
 秘処がますます潤んでゆく。  
 更衣室から戻った時のように、滴るほどに濡れてしまいそうで、自分がとても淫らに  
思えてしまう。  
 しかし彼はきっと、そんな私を優しく受け入れてくれるのだろう。むしろそれを望んで  
いるのだろう。  
 でなければ、こんな事をしようとは思わないだろうから──  
「夕菜って、エッチだな」  
 彼の口元が、もっといやらしくなって欲しいと言っているようだった。  
 
「自分で持って」  
「うん……」  
 羽山君のそんな言葉にも、素直に従ってしまう。  
 彼の手が纏め上げたスカートとブラウスの裾を、お臍の上で両手で握る。  
 学校の階段の踊場で、私は自らそこを露にしてしまっているのだ。  
 剥き出しのそこから淫らな匂いが立ち昇ってくるようで、呼吸を躊躇ってしまう。  
 上階からも下の階からも、授業をする教師と、生徒たちの声が聞こえてくる。  
 誰も来るはずはないと思っても、もし誰かが現れて、私を見たらどう感じるのだろうと  
考えてしまう。  
 こんな格好をしている私を、淫らな一年生だと思うのだろうか。無毛のそこを、中学生  
にもなってまだ生えていないのかと笑うのだろうか。  
 隣に立つ羽山君は、どうするのだろう。  
 私をもっと恥ずかしがらせようとするのだろうか。ブラウスのボタンを外し、自分が  
借したタンクトップを捲り上げて、私の膨らみを晒してしまうのだろうか。乳房を揉み、  
尖った蕾を弄び、私をもっと淫らにさせてしまうのだろうか。  
 はぁっ、と大きく息を吸い込んだ。  
 大丈夫、匂わない──  
 いや、大丈夫なものか。こんなところでこんな格好をしているのだ。大丈夫なわけが  
ないのだ。  
 それなのに、いやらしい光景を想像し、それに忌避も抱かず身体を火照らせている。  
──私、エッチだ……。  
 顔を上げていられなかった。  
 すぐ下に膨らんだ乳房には、尖った突起がぽつりと浮き上がっている。  
 私は昂ぶりを抑える事も忘れ、ますます淫らな気持ちに侵されてゆく。  
──羽山君は、どうなんだろ……。  
 彼も興奮しているのだろうか。  
 俯いたまま、視線を滑らせる──  
──おっきく、なってる?  
 彼のそこが、盛り上がっていた。  
 羽山君の──男性の象徴は、学生ズボンの中から自らの存在を声高に叫んでいるよう  
だった。  
「どこ見てるの?」  
「あっ──」  
 彼の囁きが、私を震え上がらせた。  
「そんなとこ見て、やらしいなぁ」  
 言われるまでもなく解かっている。私はいやらしい女の子だ。  
 でも、そう言われるのは嫌じゃない──  
 もっと言って欲しい。  
「夕菜はエッチだな」  
 この言葉を聞くのは何度目だろう。  
 小学生の時から、男子にも女子にも、いやらしいから胸が大きいのだと言われたり、  
胸がエロすぎるとからかわれたりした。  
 そんなふうに言われるのは苦痛でしかなかった。  
 こっそり自慰をしている事を見抜かれているようでもあり、快楽に溺れて気を紛らわす  
自分が嫌になるのに、それでもやめられなくて──  
 いっそ本当にいやらしい子になってしまえば、誰にでも身体を許すような子になって  
しまえば楽になれるのかもしれないと、刹那的な深みに沈みそうになった事もあった。  
「すごくエッチだ」  
 彼の言葉に、身体が疼く。彼の前でなら、もっと乱れてみたいと思ってしまう。  
 彼の思うまま、彼の望むままに、全てを受け入れてしまいたい。  
 けれど──少しぐらいは抵抗させて欲しい。素直に従うだけなのも癪ではないか。  
 私は顔を上げた。  
 口を尖らせ、眉を顰めて言ってやる。  
「は、羽山君だって……エッチだよ」  
 子供じみた私の反撃に、羽山君は頬を緩ませた。  
「そうだな。俺もエッチだ」  
「ひゃっ──」  
 耳に息を吹きかけられ、びくんとなってしまった。  
 身体中が敏感になっている。きっとどこを責められても、声を上げてしまうのだろう。  
 やはり私は、彼に責められている方が似合ってる。反撃なんて柄じゃない。  
 
「夕菜、行くよ」  
「えっ──」  
 背中を押される。  
「そのままで、ね」  
「──ッ!?」  
──そのままって、このまま? こんな格好のままで……?  
 捲り上げたスカートを掴み、下腹部を晒したままなのに──  
「そのまま、階段登ろう」  
「ええっ……」  
 なんて事を言うのだろう。  
 こんな格好をしているだけでもおかしくなってしまいそうだというのに、このまま移動  
しろと言うのだ。  
 そんな事──  
「できない?」  
「あ、ぅ……」  
 できるわけがない。  
 今ここで、こんな姿になっているだけでも危険なのだ。移動すれば、それだけ人目にも  
つきやすくなる。  
 空想だけなら何も危険は無い。だが、現実に見られてしまっては、どうなってしまうか  
予測もつかないではないか。  
 だというのに、理性はそう訴えているのに──  
──してみたい……。  
 そう思ってしまう。  
 つるんとした丘も、子供っぽいお尻も、しとどに濡れた秘処も晒して、校内を歩いて  
しまいたい。  
 淫らな露をぽたぽたと滴らせながら、羞恥の快楽に包まれたい──  
 そんな想いに駆られてしまう。  
「羽山君……」  
「ん?」  
 彼の意地悪だけど優しい瞳を、縋るように見つめる。  
「お、お願いだから──」  
 彼がいるから、そんな事を思ってしまうのだ。  
「離れちゃ、やだ……」  
 彼がそばにいていくれるなら、私はどんな恥ずかしい事でもできてしまう。  
「解かってるよ」  
 彼は優しく微笑む。  
「絶対、だよ?」  
「ああ。絶対、離れない」  
 唇が重なった。  
 彼の柔らかな唇から、彼自身も昂揚しているのが伝わってくるようだった。  
 短い口付けのあと、背中に添えられていた手がすっと下がる。  
「んっ……」  
 彼の左手が、剥き出しのお尻に触れた。  
「ずっとこうしてる。離れたら判るだろ?」  
「うん……」  
 温かな手に安堵する。  
「でも、時々悪戯するかも」  
「えっ?」  
「こんなふうに──」  
「ひぁぅッ!」  
 彼の指がお尻を伝ってそこに触れ、私は自分でも驚くほどに声を上げてしまった。  
 いきなりの刺激に、全身から力が抜けてしまうようで、羽山君が咄嗟に支えてくれなけ  
れば、その場に倒れこんでしまっただろう。  
「すごいね、大洪水だ」  
 私の腰を抱き支え、まだそこに触れたまま、耳元でそんな事を言う。  
「うっ、ん……はぁっ、あっ……」  
 秘処に触れられているだけで、掻き乱されているわけでもないのに、断続的な刺激が私の  
身体を侵してゆく。  
 びくびくと身体が震えて、もっと強い刺激を求めてしまう。  
 羽山君の意地悪な指で、今すぐそこを掻き回して欲しかった。  
 
「して欲しい?」  
 訊かなくたって解かるだろうにと恨めしく思いながらも、意地悪な言葉に被虐の悦びが  
湧き立ってしまう。  
「ここ、いじって欲しいの?」  
「んっ!」  
 指がほんの僅かに動くだけで、私はがくがくと身を震わせる。  
「夕菜?」  
「い、いじって、欲し──ひっぁ!」  
 言い終わるより早く、彼の指が秘裂を抉った。  
「はっ、はぁっ、はぅっ、あぁっ……」  
 ぐしょぐしょの入り口を掻き乱され、私は淫らな声を上げてしまう。  
 階段の踊場だというのに、彼がもたらす刺激に飲み込まれてゆく。  
「声、聞かれちゃうよ?」  
「あぅ、やっ、だめ……ひゃっ、んくぅ──」  
 腰を引き寄せられ、身体が密着した。  
 大きな乳房が押し潰され、彼の襟元に口を押しつけた。  
 けれど、くちゅくちゅという水音を消す事はできない。  
「んっ、ふぁ、ひっ!」  
 淫らな音が私を責める。口を抑えているのに声が漏れる。  
──気持ちいい……すごい気持ちいい……。  
 身体から力が抜けてしまう。ふらふらと倒れてしまいそうな私を、羽山君が心強い腕で  
しっかりと抱き留めてくれている。  
 羽山君の左手は、私の卑猥な露が絡み付いて、ぬるぬるになっているのだろう。  
 私の劣情は、止め処なく溢れ出している。  
「はぁっ、あぁっ、んはぁっ!」  
 最も敏感な膨らみにはまだ触れられていないというのに、羽山君が与えてくれる激しい  
刺激に、私は全身を震わせてしまっている。  
 二時間近く前にも、この場所で責め立てられた。  
 その時よりもはるかに強く感じてしまうのは、あの時と違って、全てを受け入れたから  
なのだろう。  
 彼に疑いを持つ事も無く、自分自身の気持ちにも素直になったから──  
「んっ、ふぁっ、んぁぅっ!」  
 だからこんなにも声が出てしまうのだろう。  
 刺激に耐えるように、手にしたままのスカートをぎゅっと握り締める。  
 その手は彼と私の身体に挟まれていて──  
──硬い……これって!?  
 手とお臍の下に触れている、こりこりした感触は──彼の、その部分だろうか。  
──羽山君の、こんなになってる……。  
 男の子のモノなんて、小学校の低学年の頃に見たきりだ。羞恥心など全く育っていない  
少年が、女の子をからかうためにそれを曝け出していたのを憶えている。  
 でも、その時に見たものは、小指ほどの大きさしかない可愛らしいもので、こんなにも  
硬くいきり立ったものではなかった。  
 もちろん父親のものは見た事があるが、当然それは硬直してなどいなかったし、いつも  
仕事で帰りの遅い父とは、もう何年も一緒に入浴した記憶が無い。  
 インターネットのアダルトサイトを見れば、無修正の画像や動画がいくらでも転がって  
いるが、私はわざわざそれを見たいとも思わなかった。  
 当然、触れた事など一度も無く、空想の中にしか存在しないものだった。  
──羽山君、気づいてるのかな?  
 きっと気づいているのだろう。  
 彼の事だから、意図的に押し付けているのかもしれない。  
 触れているのを私が意識しているのも、とっくに気づいているのだろう。  
──触ったら、どう思われるかな……。  
 もっと触れたい。  
 握ってしまいたい。  
 彼を両手で包み込んだら、感じてくれるのだろうか。  
 私ばかりがされているのではなく、彼にもしてあげたい。  
 彼の望む事を、私の望む事の全てをしてしまいたい。  
「夕菜はエッチだなぁ」  
「あぅ、うぅっ……」  
──やっぱり、見透かされてる……。  
 
 不意に彼の指が離れた。  
 私の腰を抱いていた腕の力が緩む。  
「羽山、君……?」  
 不安になる──が、それも一瞬の事。  
「歩ける?」  
「えっ──」  
 そうだった。彼は私に、こんな格好のままで歩けと言ったのだ。  
「そのまま、階段を登るんだよ」  
 腰に回されていた彼の右腕が、促すように私を押し出す。  
 彼が傍にいてくれる。離れずにいてくれるなら、私は──  
「うん……」  
 お腹までスカートを捲って握り締めたまま、私はぐらつく身体を支えられて、なんとか  
歩き出す。  
──恥ずかしい……こんなの、恥ずかしすぎる……。  
 一歩ずつ交互に脚を出すというだけの単純な動作が、今の私には気が遠くなるほどに  
困難だった。  
 彼に腰を支えられていなければ、すぐにでもよろめいて崩れ落ちてしまいそうになる。  
 脚を上げ、一段々々登ってゆく。  
 上階の、廊下と教室を隔てる壁が眼に入り、何人もの生徒に見られているような錯覚に  
陥ってしまう。  
──誰か来たらどうしよう。見られちゃったら……どうしよう。  
 恥ずかしくて震えているはずなのに、彼の指遣いにとろけてしまった私の頭は、そんな  
震えですら、官能の疼きに変換されてしまう。  
 並んで歩く羽山君は、温かな手で私を支えてくれる。  
「羽山君……」  
「ん?」  
「わ、私……恥ずかしい……」  
 言いながら、一段登る。  
 声まで震えてしまっている。  
「こんな格好だもん、恥ずかしいよな」  
「うん……」  
 また一段。  
 少しずつ、上の階へと近づいてゆく。  
「夕菜は自分でスカート捲って、丸見えにして、階段登ってる」  
「あ、ぅ、だって……」  
 彼の囁くような声が、私を責める。  
「あそこ、あんなにびしょびしょにして」  
「うぅ……」  
 三階の廊下が水平に見えたところで、脚が止まってしまう。  
「嫌なら、手を離せば良いだけだろ?」  
「あっ、う……」  
「そんな簡単な事なのに、夕菜はどうしてしないのかなぁ?」  
 彼の言う通りなのだ。嫌ならそうすれば良い。  
 だが、私は彼の言うままに、こんな格好を保っている。  
「ほら、脚が止まってる」  
 彼の右腕が、腰を押す。  
「う、うぅ……いじわるぅ」  
「ふふ、俺は意地悪だぞ」  
 彼の左手が眼の前に翳された。  
「あっ──!」  
 その中指には、ぬらぬらとした半透明の粘液がたっぷりと絡み付いていて──  
「夕菜をいじってたら、こんなになっちゃったしなぁ」  
「あぅ、ううぅ……」  
「綺麗にしてくれる?」  
「えっ──」  
「夕菜がこんなにしたんだから、夕菜に綺麗にしてもらわないとな」  
 それは、私に、自らの──  
「夕菜の口で、綺麗にしてよ」  
 羽山君はエッチだ──私なんかより、ずっと淫らで刺激的な想いを持っている。  
 だから私は、もっと彼を知りたくて、彼に近づきたくて、頷いてしまったのだった。  
 
 口を開き、舌を伸ばす。  
 鼻先に迫った彼の左手の指に、舌で触れた。  
 つんとした淫らな匂いが鼻を衝く。  
 自らの淫液が絡み付いた指に、伸ばした舌を滑らせる。  
「自分の愛液の味はどう?」  
「うぅ……」  
 恥ずかしい事をさらりと言ってしまう。  
 すっぱいような、しょっぱいような味だった。  
「舐めた事ある?」  
 私はふるふると小さく首を振った。  
 そんなところ、好き好んで舐める子などいないだろう。  
 同級生にも、もう大人の男性と淫らな経験をした子もいるというが、彼女らもこんな事  
をさせられているのだろうか。  
「口開けて、銜えて舐めて」  
「ん……」  
 内側に折り曲げられた中指を、口に含んでしまう。  
 いやらしい匂いが口の中に広がって、舌に触れる。  
 塩気と酸味と苦味とが複雑に入り混じった、すぐにでも吐き出したくなるような奇妙な  
味がした。  
「んっ」  
 彼の指が蠢く。  
 そこを刺激していた時のように、細かく震えながら私の口内をまさぐっている。  
「夕菜の舌、柔らかくて温かいね」  
「んぅ」  
 ついさっきまで秘処に触れていた指が、ねっとりとした私の露と、溢れ出す唾液を掻き  
混ぜて、くちくちと淫靡な音を立てている。  
 内側から響くその音は、脳を直接刺激されているようで、私は舌を指に絡ませてしまう。  
 私は階段で恥ずかしいところを曝け出し、自身の汁の絡んだ指をしゃぶっている。  
 恥ずかしいのにやめられない。いやらしいのに求めてしまう。  
 彼の指が奥歯の内側に当たり、歯茎を撫でてゆく。  
「んっ、うぅ……」  
──気持ちいい……。  
 どうしてだろう。身体が震える。  
 口の中というのは、こんなにも敏感なところだったのだと、改めて気づかされる。  
 歯茎も舌も粘膜なのだから、敏感なのは当然かもしれない。  
 けれど、こういう刺激を覚えるような器官だとは思ってもいなかった。  
 そういえば、口は第二の性器だなんて言われたりもするらしい。  
 という事は──人は誰も、いつも人目に性器を晒し、性器で会話しているのだろうか。  
口紅を塗るのは、性器を強調して異性を惹きつけるためなのだろうか。口淫は擬似性交  
などではなく、性交そのものなのだろうか。  
 私は今も、彼に性器を蹂躙されているのか──  
 なんていやらしいのだろう。  
「んぅ、んっ……!」  
 歯茎を伝い降りた指が、舌の裏側に潜り込んでゆく。  
 びくびく震えてしまう。  
 人差し指と薬指が、鼻の頭と頬に触れている。それらの指にも自身の露は絡んでいて、  
顔を穢されているような官能が湧き立ってくる。  
──エッチだよ……すごい、エッチだよぉ。  
 ここは学校なのに──神聖な学び舎なんて言葉は、今時流行らないだろうが、それでも  
こんな淫らな行為に似つかわしくない場所である事には変わりあるまい。  
「夕菜、このまま登れる?」  
「んっ……!」  
 彼に腰を押される。ふらふらしながら、階段を一歩ずつ登ってゆく。  
 目線が上がり、廊下の幅が広がってゆく。授業中の教室から、ざわめきが聞こえている。  
 すぐ目の前の教室のドアが開かれたら、どうすればいいのだろう。  
 スカートは、手を離せばすぐに元通りになるだろう。顔を背ければ、彼の指も抜ける  
だろう。彼も、何事も無いかのような顔をするだろう。  
──でも、見られちゃったら……。  
 それでも私は、こんな姿のまま、三階の廊下を足で踏みしめた。  
 震えながら半時計回りに廻り、四階──私たちの教室がある階へと向かった。  
 
 ゆっくりと、一段ずつ登る。  
 階下に人が現れたら、お尻を見られてしまうだろう。両脚の付け根の潤んだところも  
見られてしまうだろう。  
 急がなければと焦るのに、脚を思い通りに動かせない。羽山君に支えられていなければ、  
その場に蹲ってしまいそうだった。  
 彼の手が腰を支えていてくれる。彼がいるから、こんな姿でいられる。  
 いやらしい自分は、いやらしい彼の言うままに、彼の指を口に銜え、恥ずかしいところを  
丸見えにして──それが私を昂ぶらせ、そこは零れそうなほどに潤んでいた。  
 あと少しで、踊場に届く。  
 あと五段、あと四段──  
──垂れちゃう……。  
 溢れた雫が、内腿にまで流れ出す。  
 並んで歩く羽山君は気づいていないだろう。  
 彼が見たらなんと言うのだろう。また、エッチだと言われるのだろうか。  
──羽山君の方がエッチなのに……。  
 あと一段。  
 右脚を踏み出し、重心を前に向け、ふらつきそうになりながら、脚に力を篭める。  
 腰に触れていた彼の手が、手伝ってくれた。  
「夕菜」  
 羽山君の指が、ちゅっと音を立てて抜かれた。  
 ぐいと左から抱き寄せられ、頭を抱えられて撫でられた。  
「よくがんばった」  
「うん……」  
 耳元で囁いて、彼は私の頬に口づけた。  
──当たってる……。  
 彼のそこが左の腰骨に触れていた。  
 彼も興奮している。学生ズボンの下で、硬く反り返っているのが判る。  
 彼の手が私の強張った指に触れ、一本ずつ解きほぐしてくれる。スカートが、はらりと  
垂れ下がって、剥き出しになっていた腰周りを覆い隠した。  
 だが、彼のものが触れている左の腰に引っかかり、そこだけが不自然に捲れあがった  
ままになってしまっている。  
 今腕を下ろすと、彼のそこに触れてしまいそうで、私はそのままお腹の前で手を握る。  
 彼にだってそれは解かっているのだろう。何も言わずに頬にキスを繰り返す。  
「ん……」  
 舌が伸ばされ、つつぅと肌を滑った。  
 身を震わせてしまう。  
──綺麗に、してくれてるんだ……。  
 彼の舌が触れているのが、私の露が付着したところだと気づく。  
 鼻の頭も舐められてしまい、恥ずかしくて眼を開けていられなかった。  
「夕菜」  
 彼の舌が離れ、腰との間にできた空間を、スカートが降りる。  
 開けようとした私の瞼に、キスが降ってきた。  
「夕菜って、睫毛長いんだね」  
 そんな言葉が嬉しい。  
「髪伸ばして、化粧したら、みんな振り返るぐらいの、すごい美人になるんだろうな」  
──お化粧なんて……。  
 小学生の頃から、化粧をしていた子もいる。学校で直している子もいる。  
 けど、私は小さな頃に、親を真似てこっそりと試した事があるくらいで、今は興味が  
無いし、知識も全く無かった。  
 でも、彼が望むなら、試してみようかとも思ってしまう。  
「お化粧……した方が良い?」  
「どうかな。今のままでも好きだし──」  
 おでこにキスされる。  
「独り占めできないのは、嫌だな」  
──独り占め……。  
 彼は、化粧をすれば私は美人になると言う。  
 私なんかでも、きっと彼の言葉通り、美少女になれるのかもしれない。  
 私も彼を独り占めしたい。彼に独り占めされたい。  
「私……羽山君の前でだけ、お化粧する」  
 彼が微笑んだ。  
 

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