二月の某日、この地方では真冬でも滅多にお目にかかれないはずの雪が降った  
事で、伊関真由美の住む町は一面、銀世界となった。道路は雪に慣れない車で  
混雑し、電車も遅れ気味らしいのだが、徒歩で中学まで通っている真由美にして  
みれば、多少、歩きにくさはあるものの、どうという事は無い。それよりも数年に一  
度、見られるかどうかの雪景色に目を奪われ、心が昂ぶるばかりである。  
 
「おっ、小学生どもが早速、雪合戦してら」  
学校に着く直前、真由美は自分と同じく雪に心昂ぶる者たちが、空き地で雪合戦  
に興じる姿を見た。いささか年若いが、男の子ばかり数人が二組に分かれ、雪つ  
ぶてを投げ合っている。  
 
学校でもお転婆で知られる真由美は、こういう時に黙っていられる性分では無い。  
ここぞとばかりに面識も無い小学生の群れに割り込み、どちらの組に荷担するで  
もなく、一心不乱に雪つぶてを投げ始めるのである。  
「おい、誰か乱入してきたぞ」  
「女のくせに生意気な!雪をぶつけて、泣きっ面かかせてやろう!」  
少年たちも応戦し、空き地の真ん中に陣取った真由美に向かって、雪つぶてが集  
中した。  
 
「負けるか!チビどもめ!」  
真由美は空き地に積んである土管の後ろに隠れ、飛んでくる雪つぶてを凌ぎつつ  
攻勢に転じ、少年たちを雪まみれにしてやった。そうして、始業の鐘が鳴るまで三  
十分近く遊んだのは良いが、気がつけば全身が雪まみれ。おまけに、しゃがんで  
いたせいか、下着がびしょ濡れになっていた。少年たちもいい加減、真っ白で、こ  
ちらは大人気ない闖入者のせいで、割を食った形である。  
 
「いやーん、パンティまでぐっしょり・・・」  
仕方が無いので、真由美は制服の襞スカートの中に手を入れ、少年たちの目は  
あるが下着を脱ぐ事にした。生憎、替えはなく、体操服なども持ち合わせていない  
為、これを脱ぐと下半身はかなり心許なくなる。  
 
「お姉ちゃん、ノーパンだ」  
「あはは、パンツ無しか」  
少年たちがはやし立てると、真由美が拳骨を握って睨みつける。  
「誰のせいよ」  
五、六人いる小学生の頭を、順番にごつごつと叩きながら、真由美は学校へ向か  
った。ところが──  
 
「えっ、休校?」  
「そうだ。家に連絡行かなかったか?」  
玄関に着くや否や、担任の教師がそんな事を言うのである。  
「連絡なんて、ありませんよう」  
「電話線が切れてる地域もあるらしいから、行き届かなかったのかもしれん。給食  
を配る車も出せずに、給食センターも往生してるそうだ。第一、車通勤してる先生  
が全然、集まらない。悪いがそういう事だ。今日は休校。分かったら家へ帰れ」  
 
確かに周りを見ても、登校しているのは自分だけ。真由美は踵を返し、玄関を出よ  
うとした──が、その時、  
「おっと!」  
運悪く足を滑らせ、真由美はすっ転んでしまったのである。それも随分、みっともな  
い姿で、おまけにスカートが派手に捲れあがってしまった。すると、担任が目を丸く  
して、  
「お、お前、パンツはどうしたんだ!」  
「いやーん、先生、見ないで!」  
担任は四十代の中年男。真由美は哀れにも、乙女の大事な部分をさもしい親爺  
の目に曝してしまったのである。  
 
学校から出る時、真由美の顔は真っ赤だった。何せ父親以外に見せた事の無い  
場所を、担任教師に見られてしまったのである。実を言うと、真由美のそこには  
まだ若草の生える気配が無く、あの場合、担任はぴっちりと閉じた、薄桃色の割れ  
目をしっかりと確かめたはずだ。そう思うと、真由美は恥ずかしさで身が焦げるよう  
に熱くなる。  
 
「先生、マジ見してたな・・・明日から気まずいぞ」  
前のめりに倒れたおかげで、まあるいお尻もバッチリ見ているだろう。足を開いた  
から、大事な場所は隠せなかった。尻の肉付きが今ひとつだから、もしかしたらお  
尻の穴まで見られてるかもしれない、などと考えていると、どこからか雪つぶてが  
飛んできて、真由美の頭に直撃した。  
 
「あたた!な、なに?」  
先ほどの空き地の前だった。そこに、あの少年たちが笑いながら立っている。  
「中学も休校なんだろう。僕たちもさ」  
「ノーパン姉ちゃん、また雪合戦やろうぜ」  
少年たちから挑戦状を突きつけられ、真由美はかっとなった。こちとら、ただでさ  
え担任教師に秘部を見られ、頭に血が上っているのだ。そこへきてこの挑発、し  
かもノーパン姉ちゃんという嘲りが癪に触った。  
 
「このガキども!元はといえば、あんたたちのせいよ!」  
ほとんど逆恨みに近いが、真由美は鞄を放り投げ、戦線に復帰した。下着を穿いて  
いない事も忘れ、襞スカートが捲れるにも構わず、今度は少年達を追いまわしなが  
らの戦いである。途中、雪つぶてをこさえる為に屈む度、スカートの裾が乱れて、真  
っ白いお尻が見えてしまうのだが、相手は小学生、見られて何の事があろうかと、  
構わず少年達を追いまわす。  
 
「うわー!」  
逃げ回る少年の一人が後頭部に雪つぶてを受け、倒れ込んだ。もともと柔らかな  
土の上に雪が覆っているので怪我の心配は無いが、それにしても小学生相手に  
大人気ない真由美。おまけに倒れた少年を跨ぎ、勝ち鬨なんぞを上げるのだ。  
 
「討ち取ったり!」  
「わっ!わっ!わっ!」  
「何よ、変な声だして」  
「だって、お姉ちゃん、ノ−パンだし・・・」  
「あっ、そうか!って言うか、見るな、エロガキ!」  
 
思わず少年の顔を跨いではいたが、これでは自ら秘所を見てくれと言わぬばかり  
の所業。真由美は慌ててスカートを抑え、少年から離れて行った。すると、他の少  
年が集まってきて、  
「おい、お前、ノーパン姉ちゃんの中身、見たのか?」  
「うん、見た」  
「どんなんだった?」  
「妹のと同じ・・・」  
などと、真由美の秘所について、何やら論じ合うのである。  
 
「お前の妹って、確か三年生だよな」  
「うん」  
「あの姉ちゃん、中学生だぞ」  
「でも、一緒だったよ。ママみたいに毛が生えてない」  
それを聞き、真由美はやや傷ついた。大きなお世話だとも思った。  
「うるさいわね、あんたたち!」  
気恥ずかしくて仕方が無いので、真由美は少年たちの頭へ、拳骨を食らわせてや  
った。  
 
「でもね、うちの母ちゃんも生えてるよ」  
「個人差があるの。あんたたちだって、毛無しのくせに」  
「僕、生えてる」  
「えっ?」  
一番、大人しそうな少年が股間を押さえながらそう言うのを、真由美は興味深げに  
見つめた。  
 
「あんたたち、何年生?」  
「皆、五年生だよ。僕も生えてるぞ」  
「ええ?本当?ちょっと、生えてる子、手を上げてみて」  
真由美が質すとはたして六人中、四人がすでに性毛が生えているという。  
 
「本当かなあ」  
「本当さ。何なら、見せてやってもいいんだ」  
そう言うや、生えてる子たちは一斉にズボンを下ろした。するとどうだろう、多寡に関わ  
らず確かに性毛が生えているではないか。真由美はそれぞれ、持ち物も含めて観察  
させて貰う事にした。彼女だってお年頃である。こういう事に興味が無いでも無かった。  
 
「本当に生えてるのね。自信無くすなあ」  
「じゃあ、今度はノーパン姉ちゃんの番」  
「え?わ、私?私が見せるの?」  
「僕たちだって見せてあげたでしょう。変わりばんこだよ」  
「チンチンみたいに、見ても面白くないよ」  
「それでも見たい」  
気がつけば真由美は囲まれている。逃げ出すには少年達を押しのけねばならないが、  
とてもそんな事は出来そうにない。  
 
「しょうがないなあ・・・」  
真由美は覚悟を決めて、少年たちに見せてやる事にした。幸い、しゃがめばすぐに  
でもそこは詳らかになる状態だ。真由美は少年達を掻き集めるようにし、そっと腰を  
落とす。  
 
「あんまり見ないでよね・・・」  
やや小高い場所に陣取り、真由美はしゃがみ込んで、そこを少年たちの目に晒した。  
いつもだとしゃがむ時は、襞スカートをお尻に巻き込むのだが、今回は見せる事に主  
眼を置いているので、そうはしなかった。まだ幼い真由美の秘所は、大理石を彫刻刀  
で抉ったような、芸術的とも思える縦筋一本しか確かめられず、素晴らしく無垢であ  
る。  
 
「これが、ノーパン姉ちゃんのあそこか」  
「ぴったり閉じてる。ママと違うな」  
集まった少年たちは一瞬、訳の分からぬ表情をしたが、それでも何か感に堪えぬ所  
があるのだろう、股間を押さえる者が幾人か現れた。  
「いてて、チンチン硬くなった!」  
「皮、皮が引っ張られる!」  
「や、やあねえ、あんたたち!最低!」  
考えてみれば相手は子供といえども異性、その異性に下半身を露呈するという事は、  
凄まじく淫らであると、今さらながら真由美も感づいた。  
 
少年たちはこぞって股間の異変を騒ぎ立てるが、真由美はもう顔から火が出るほど  
の羞恥にまみれ、それこそ走ってこの場から走り去りたいくらいの気である。  
「チンチン、チンチン言うな!」  
「だって、皮が引っ張られて痛いんだもん」  
「雪で冷やす?気持ち良いわよ」  
実を言えば、真由美だって少年たちと同じく、疼くのである。その場所は今、熱を帯び  
て慰めを待っていた。  
 
刺すような寒気が内股まで忍んでくるのに、そこは熱いのである。真由美はそこへ  
手をやった。少年たちの監視の下、あえてそういう行為に及びたかった。  
「ノーパン姉ちゃん、何してるの?」  
「黙ってて・・・気が散る・・・」  
真由美は目を閉じ、指でそっと閉じている秘所をなぞっていく。割れ目の頂点には  
最も感じる肉の芽があり、真由美の慰めは主にそこを優しく弄る事だった。  
 
「うッ・・・うッ・・・」  
「ノーパン姉ちゃん、大丈夫?」  
「ノーパン・・・言うな・・・あっ!」  
少年たちに自慰を見せつけるという行為が、真由美を大胆にさせていた。いつもで  
あれば秘所には入れぬ指を、今なら入れても良いと思うのである。そして躊躇無く  
指は入っていった。第二関節の中ほどまで入れて、静かに出し入れを開始した。  
 
「あっ、凄い・・・入っちゃった」  
「ノーパン姉ちゃん、指が入ってる」  
「凄いな。これ、オナニーっていうんだろう?」  
少年たちも真由美の淫らさに感化され、いよいよ股間を硬くする。しかし、悲しいか  
な彼らはまだ、それの使い道を具体的には知らない。この面子で知っているとすれ  
ば、曖昧ではあるが真由美しかいないだろう。  
 
「ああ・・・いく・・・やばい・・」  
歯を食いしばり指を動かすと、次第に締めの予感を真由美は得つつあった。ジンジ  
ンとそこが疼き、何かを欲するように腰が動くのである。真由美の場合、その時に尻  
の穴に少しだけ指が触れると、快楽が増す。もっとも今は穏やかな絶頂しか得られ  
ないが、それでも真由美は座ってられないほどの愉悦を味わう事が出来た。  
 
昼近くになると、雪はあらかた解けてしまった。車道などは往来する車のせいで、  
もはや跡形も無い。そんな中、真由美は少年たちを引き連れ、帰宅する途中だっ  
た。  
「こんなんじゃ、明日はもう雪合戦できないね」  
「せっかく、ノーパン姉ちゃんと友達になれたのに、残念だ」  
「ノーパン言うな!他の人が聞いたら、誤解されるでしょ」  
 
雪がなくなると人気も出て、町は普段どおりの活気を持ち始めている。制服姿の  
真由美が少年達を引き連れている姿は目立つし、何せスカートの下は心許ない  
状態。出来れば人目につきたくないのが本音である。  
「でも、このまま帰るのはつまらないな」  
そう言う少年の目が悪戯に光り、手が真由美の襞スカートの裾を持つ。  
「でも、もう雪合戦は・・・きゃあっ!」  
 
一瞬の出来事だった。真由美のスカートが宙に舞い、ひらひらと風に乗った。当  
然、無毛の秘所もまん丸なお尻もあからさまになり、更に運の悪い事に車道には  
行き交う車が──そして次の瞬間、  
「あっ、事故だ!」  
ドンという衝撃と共にガラスが割れる音が響く。そう、車を運転中にも関わらず、露  
呈された真由美の下半身につられ、よそ見をした不心得者が追突事故を起こした  
のである。  
 
「ヤバイ!逃げるわよ!」  
「あっ、待ってよ、ノーパン姉ちゃん!」  
「ノーパン言うな!」  
真由美は少年達を追い立てるようにして走り出した。かなり大股で走るので、そ  
れこそ尻が丸出しになる事もあるが、構ってはいられなかった。  
 
おしまい  
 

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