授業終了のチャイムが校内に鳴り響き解放された生徒達が学校からそれぞれの家路につく…
その中に今日起こった出来事で盛り上がりながら帰宅する二人の少女がいた。
とても仲が良いと近所でも評判の小学六年生の双子の姉妹、知恵と理恵だ。
そんな二人が通学路の途中の公園通りを歩いている時、お姉さんの方の知恵が設置してある自販機の展示の中に今まで見た事のないラベルのドリンクに奇しくも気付き歩みを止めた。
「ん?どうしたのぉ知恵」
と立ち止まった知恵に妹の理恵が聞く。
「この自販機にね〜?見たことのない新しいドリンクがあったのぉ〜」
「え!?…まーた栄養ドリンク?」
「うん♪そぉ〜」
知恵は嬉しそうに返事をしながら財布から硬貨を取り出すと躊躇なく投入しお目当てのボタンを押した。
「その手のホント好きだね〜知恵は」
ガタンッ!!
「何てやつなの?」
出てきた商品を手に取った知恵に一応は興味が湧き見に近づいて来た理恵…二人は
『モロナミン・スィー!?』
と同時に揃ってドリンクの名前を口にした。
「ふふ♪どんなかな〜」
知恵が期待して蓋を開けようとしているのを横で見ていた理恵はちょっとしたイタズラを思いつき
「ねぇ知恵!あたしにもちょっと飲ませてよ?」と頼む。
「え?じゃあ先に半分良いよ〜」
と知恵はそんな思惑には少しも気づかず素直にドリンクを渡した。
ドリンクを渡された理恵は知恵をチラリと見てニヤッと笑うと、すかさずクイッと背を反らせながら一気に全部飲み干してしまった。
「んぅ…プハァ!!」
飲み終えた理恵は手の甲で口を拭うと
「薬臭〜いもう一杯♪」
と何かのCMみたいに大きく叫び一息吐く。
その理恵の前には涙を目に浮かべ今にも泣きそうな知恵の姿があった。
「ヒック…いっつも理恵ちゃん…何で…ヒッ…そういう事…するの〜?」
「ゴメンてば〜Uほら?もう一本買ったから機嫌直してU」
理恵は懇願する。
「い、いらないもん」
「ホントに?」
「………」
「ホントに要らない?」
「……意地悪〜」
何とか知恵は機嫌を直し二人は自販機の前から歩きだした。
「ねぇ知恵」
「何〜?」
「今日さぁ恭子ちゃん休みだったよねー」
「そうだね〜」
恭子は二人と同じクラスの女子で知恵とは新しい変な物好きという所、理恵とは性格の似通った明るい所がそれぞれ合う二人の友人だ。
あと、クラスの中だけでなく学校の中でも美人と名高い。
「お見舞いに行ってみよっか?」
「え!?今から〜?」
「先生に理由聞いてもよく判らなかったみたいだし…心配じゃない?」
「そうだけど〜」
「大丈夫!夕飯前に家に帰れば良いんだしさ?ね?」
「う〜ん…」
半ば理恵に引きずられる形で知恵と理恵の二人は恭子の家へと向かいだした。
「恭子ちゃん家に居るかな〜」
「まぁ風邪なら大人しく寝てるでしょ?」
二人は恭子の家の前に着くと呼び鈴を押ししばらく待つ…すると玄関の扉が少し開きひょこっと恭子が顔を覗かせた。
二人の方には出てこないで顔だけを出し体は扉に隠している。
「いらっしゃい…チエリエ〜」
知恵と理恵は手を振って応えた。
「なんだ…恭子ってば元気そうじゃん?」
理恵に続いて知恵も
「うん!心配して損しちゃった〜」とそれぞれ思いを述べた。
「あ!うんU…軽くだけど風邪ひいちゃってさ?」
ケホケホッと咳をしてみせる。
「何か〜」
「…わざと咳してない?」
「そ、そんな!?してないよっ!!」
二人に突っ込まれ恭子は焦り気味に答える。
そのあまりにもわざとらしい態度に不信を感じた二人はお互い耳打ちして話す。
「なーんか怪しい」
「でも体はだるそうな感じだよ?玄関まで歩いてくるの辛かったんじゃないかな〜」
「あぁ〜治りかけだからか〜!なら、あまり長居しちゃ迷惑だね」
「うん、そうしよ…あ!そうだ〜」
会話中、知恵はさっき理恵に新たに買ってもらいはしたが、まだ飲んでいなかった例のドリンクを思い出しおもむろにポケットから出すと…
「ハイ!お見舞い」
と恭子に向け差し出した。
「!!!…それって!?」
知恵が出して来たドリンク。
それを見て慌てた恭子は二人に近寄ってしまい今まで扉で隠していた身体を露わにしてしまう。
大きく豊かな胸にグッと絞まった腰、そこから流れる様に形良く肉付きも良いお尻へと続く…
それは着ているパジャマからでも一目で判かる豊満な身体。
大人の体になってしまっている恭子の姿を目にした知恵と理恵は
『何ソレぇーーー!?』
と二人揃って凄い歓声を上げた。
「……という訳なのよ…分かった?チエリエ?」
傍目には姉の話を聞いている妹二人に見える図だろう。
経緯を説明をし始めて15分…恭子は知恵と理恵の二人にこんな身体になってしまった理由をドリンクを買った所から塾で気付いた所までを足早で説明した。
終始二人は信じられないといった面持ちで話を聞いていたが、ひとまず恭子の説明が終わると知恵は口を開いた。
「このドリンクを飲んでって事は…それじゃあ理恵ちゃんも恭子ちゃんみたいな体になっちゃうって事なのかな?」
手にしたドリンクを見る。
「飲んだならそうだと思うけど?…え!?理恵は飲んじゃったの?」
「飲んだけど…やっぱりまずいよね?」
「飲んだのはどの位前?」
「公園からだから…15分ぐらいかな?」
「じゃあ〜もうそろそろ…あっ!?」
理恵自身は気付いていないみたいだが理恵の体が大分変化しているのが恭子の目から見てとれた。
そんな恭子の様子に
「?…え!?まさか!?」
と理恵はもらし理恵の隣に座って説明を聞いていた知恵も改めて理恵を観察すると
「本当だ!!理恵ちゃんの体が〜」
と述べた。
「ハハUさっきから妙に服がキツく感じてたんだけど…マジでー!?」
「理恵ってば信じてなかったな」
そんな会話の最中、恭子の頭に昨日両親に理由を話した中で「塾の教室で脱いだのは駄目だけど対処は正しかった」と言われたのを思い出し…
「それより早く服を脱いだほうが…」
と理恵に勧めた。
「え!?」
恭子の突然の言葉に理恵は大きく反応する。
「なな…なんで?」
「体が大きくなるのにそのまま小さい服を着てたら血が止まっちゃうよ?」
「あ〜そうだね〜」
見ていた知恵が納得の声を上げた。
「それにこのままだと服が脱げなくなってハサミで服を切らなくちゃいけなくなるし」
いきなりの展開に
「え!?…あ…それは…分かるけど!?いきなりは…恥ずか…しぃし」
理恵は狼狽する。
そんな理恵を見て恭子は
「時間がない…知恵!?」
と知恵を見やり知恵は
「うん!!判った〜♪」
と返事をした。
ジリジリと後ろに後ずさる理恵。
「ダーメ!!逃げないで…理恵」
「理恵ちゃん早くしないと危ないよ〜」
「ひ、ぃや!?二人とも止めてよ〜…ね?」
笑顔で二人に頼み込む理恵だが…
『それっ!!』
二人は飛びかかる。
「ーーーー!!!!」
声にならない声を上げる理恵は二人掛かりに押さえ込まれると抵抗らしい抵抗も出来ないままに服を剥ぎ取られ裸にされてしまった。
「うわ〜理恵ちゃん…大人だ〜!!!」
知恵は理恵の体を見て感嘆の言葉を洩らす。
「…そりゃ〜ドリンク飲んだからでしょ?」
大人の体に変化した体を鏡で何度も確認する理恵はそう答えた。
自分の体なのに自分の体ではない。
そんな不思議な体の感じと気持ち…鏡に映る体を確認するその顔には笑みとも困惑とも取れる表情で溢れていた。
「すっごく変な感じでしょ?理恵?」
鏡での確認に夢中になっていた理恵は後ろからそんな質問をされ振り返ると…お互いの体を比較する為同じく裸になっていた…恭子が悪戯っぽい笑みを浮かべて理恵を見ていた。
昔から時々突飛な行動を起こす恭子に慣れていた理恵は裸には大して驚きもせず問いに答える。
「う〜ん…なんて言うんだろ?不思議な感じ…としか言えないなぁ」
「あぁ、判る!判る!!私も改めて鏡で見たらそう感じたもん」
唐突に恭子の体を見ていた理恵は
「あ!?悔しい〜!胸は恭子のがあるな」
と冗談ぽく笑った。
「そういう理恵も十分大きくない?」
「でも腰とか全体的には私のが細いな…」
「え〜!?そんなヒドいー」
あぁだ!こうだとお互いの体を比較しての感想をしばらく言い合っていた二人は申し合わせた様に知恵の方を向く。
「ん!?どうしたの二人とも?」
理恵と恭子…お互いの体とやりとりを見ていた知恵は突如こちらを見た二人に驚く。
二人は述べた。
「こうなったら知恵も…」
「大人にならないとねぇ〜?」
二人の顔は怪しい笑みに染まっていた。
「嘘ぉ〜!?」
「すごぉーい…」
理恵の体が変化してから三十分後。
元々は自分が飲みたい為に買った知恵は二人に大して即される事もなくドリンクを飲み、体が大人に変化する。
しかしその変化は先に変化した理恵と恭子が驚くほどのものだった。
変化した知恵の体は十分過ぎる程の恭子の胸よりももっと大きな胸に成長したからだ。
お互いだけでなく自身でも見えるように鏡の前に三人は立つ。
「私のはバレーボールちょいぐらいだけど知恵の胸って…バスケットボールぐらい!?」
「うん!!だいたいそんなだね」
恭子と理恵は知恵の胸を触り感触を確かめる。
「うぅ…私って将来こんな胸になるの〜!?恥ずかしいよ〜U」
「ていうか私と知恵って双子なのに大分違うんだな…驚き!!」
「あぁ〜!!食事の好みって結構違うじゃない…二人?」
「それか!?」
「前ね〜TVでやってたんだけど…知恵って豆腐すっごい好きじゃない?豆腐食べると胸大きくなるって…」
「嘘〜!?」
「私豆腐止める〜U」
…と賑わう中、唐突に部屋のドアが開いた。
「恭子!!例のドリンクを製造してる会社と連絡話をつけたぞ…え!?」
「あっパパぁお帰りなさい」
『………!?』
数秒…静まる室内
その後姉妹の絶叫がこだましたのは言うまでもない…
一応の完…