―なんか歩くたびにすかすかしてイヤだな…
バレちゃわないかな?今日くらい…大丈夫よね?
いつもより長めのスカート履いてきたし…
「オッス!絢」
―ゲッ俊…
幼なじみの山根俊一が声をかけてきた。
―いつもは遅刻ギリギリなのに、どうして今日に限って早いのよ〜…
「オッハー俊。それじゃあ…ね」
「どうした?おまえらしくないぜ」
「ちょ、ちょっとお腹の調子悪くてさ〜」
「そっか。まぁ気を付けろよ〜」
「ん、ありがと」
「おっといけねー。大事なこと忘れてたわ」
「?…どうしたの?」
「わりぃー。木下たちと女子のパンツの色当てしててさ…おまえも協力してくれよな…」
「え゙?ちょっと待っ―」
私が言い終わらない内に、私のアソコはとてつもない風圧を感じた。
そして同時に何ともいえない解放感を―…
「あ…」
「あ、絢…おまえ…」
―終わった…私の人生終わりましたよ、お母さん…。
なんで昨日の夜、恐い番組を見てしまったのか…
なぜ今朝、天然ボケお母さんが必要な衣服まで洗濯機にかけるのをすぐ気づき阻止できなかったのか…
今までズボン・タイツ・ブルマの類を一つも所持しなかったのか…
悔やまれて仕方がないよ…
少なくともこの長い初恋はこの風とともに散るんだね…
「…そうか。絢はおまえって」
「……やめて!聞きたくない!」
「なぁんだ!俺と同じで隠れ裸族だったのか〜」
「え゙?」
「ふ、服なんて窮屈でたまらないよな〜。おまえもそう思うだろ?」
「う…うん!」
「へへへ」
笑いながら俊は、照れ臭そうに右人差し指で鼻を二回こすった。
それを見て、私はすぐに俊が嘘をついていることに気づいた。彼は嘘をつくとき鼻をこする癖を持っていたからだ。
「…優しいんだね?俊って」
「はぁ?!なに言ってんだよ〜。おまえ熱あんじゃねぇーの?!」
また俊は鼻をこすった。
―どうやら私の初恋、散らずにすんだみたいです。
End.