この日、会場は異様な熱気に包まれていた。  
毎年行われる、全国高等学校ダンス選手権。全国48都道府県それぞれの予選を勝ち抜いた高校同士が、創作ダンスの華を競い合う。  
創作ダンスであるから、男子校の参加は極端に少ない。ほとんど、共学の女子か、女子高のどちらかである。  
ダンスの内容は、自由。どんなダンスでも良いのだ。レオタードに身を包んでも良いし、華やかなドレスでも良い。  
そして会場では・・・・・・  
 
本選に勝ち進んだ高校の創作ダンスが、一校づつ演じられていく。  
やはり、本選に勝ち進んだ高校だけあって、皆上手い。特に体の動きの切れなどは、予選とは比べ物にならないほど素晴らしい。  
そして・・・・・・8番目の、都立水乃宮高校ダンス部の演技が終わり、ここで歓声が、一気に大きくなった。  
いよいよ去年の優勝校、浅野学院大学付属高校女子ダンス部の出番。今年は、どんな素晴らしいダンスを見せてくれるのだろう?  
 
観客は全員、唖然としている。  
浅野学院大学付属高校女子ダンス部の部員全員が、横一列にずらっと並んでいる。何と驚くことに、全員全裸だ。  
「さあっ!いくわよっ!!!」  
先頭に立つ主将のさつきが、大声で叫ぶと、部員は全員、大きな丸いお盆を片手に一枚ずつ持った。  
そして、全員の右手が一斉に持ち上がり、左手のお盆が股間を隠している。それと同時に、彼女たちは左足を高く上げた。  
「あら、えっさっさーっ!」  
そして今度は、全員の左手と右足が持ち上がり、右手と左足が下がる。  
「おおおっ!!!」  
全員の動きには、寸分の狂いもない。その動きが交互に繰り返される。  
そして今度は、左手のお盆が、隣の人の股間を隠す。  
「よいよい」  
そして次に、逆の手のお盆が、反対側の人の股間を隠した。端っこの人は隠せずに丸見えになっているが、気にしない。  
「な、何と・・・・・・素晴らしい・・・・・・」  
大会審査委員長の鮫島が、思わず涙を流した。今、目の前で繰り広げられている踊りは、確かに下品な踊りだ。  
しかし、彼女たちの寸分の狂いもない緻密な動き、そして彼女たちの華やかで美しいプロポーションが、見る人の心を奪う。  
もはやそれは、下品ではない。神に捧げられる踊りの如く、光り輝いている。  
「今年も・・・・・・決まりだな。」  
鮫島の隣で、審査委員の一人である須藤もそうつぶやいた。そして彼のつぶやきに、審査員全員が首を縦に振った。  
もはや、彼女たちに太刀打ちできる高校は、どこにもない。  
 
そしていよいよ全ての演技が終わり、結果発表。  
「優勝・・・・・・浅野学院大学付属高校女子ダンス部!」  
 
おしまい  
 

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