わたしは駅のホームで学校へと向かう地下鉄を待っていた。  
 市内一番のベッドタウンだけあって、通勤通学時間は非常に混みあう。それはもうおし  
くらまんじゅう状態だ。  
 今日もいつものように、ホームには続々とスーツや制服姿の人たちが集まってきている。  
 わたしはそれを見て、心を高鳴らせていた。  
 わたしには一つ、秘密がある。  
 
 
 一ヶ月ほど前まで、わたしには二つ悩みがあった。  
 一つは満員電車。  
 一つは高校生になってから過剰成長気味の胸。  
 中学生のころには周囲のみんなより小さいくらいだったのに、高校に入った途端、ほぼ  
一月ごとにブラジャーだけ買い換える必要があるくらいに育ってしまい。今では学年でト  
ップ三○くらいにはいるほどのおおきさになっていた。  
 その成長のせいで男子たちからは、いらない注目を浴びるし。  
 衣擦れしただけで身体が反応してしまうほど、成長する痛みを感じてしまう有様。  
 だから、わたしはわたしの胸に適したブラジャーを着けたほうがいいと分かっている。  
 だいたい、入学したときは胸は小さかったから、サイズSで買ってしまった制服。あのこ  
ろは丁度よかったそれも、今ではぱつぱつ。友達からはその内破れるんじゃないかと、冗  
談まで言われるような状態なのだ。  
 ――だが、わたしは今、下着を着けていない。  
 一昨日洗濯してもらったばかりの下着は鞄の中に入っている。  
 だからぱつぱつの制服の胸の部分は、わたしの興奮を示す二つの突起でテントを張った  
ような状態になっている。  
 正直、ここまで歩いてくる間中、乳首や乳房が擦れて痛かったのだが。今の私にとって、  
それは快楽になってしまっていた。  
 股下十センチもないスカートの下にも当然、パンツは履いていない。  
 そのため風が吹くたび緊張したし、階段を降りている間中緊張していた。前から来る人  
たちが不意に顔を上げたら、もしかしたら見られてしまうのではないか? そう考えると  
身体が熱くなっていた。  
 どちらも一ヶ月前のわたしがしたことのなかったこと、するわけもない考え――今では、  
ほぼ毎日行っている朝の愉しみだ。  
 しかし、これはあくまで下準備でしかない。  
 本番へのただの前振り。  
 わたしは滑り込んでくる地下鉄を見て、思わず笑みを零してしまいそうだった。  
 この駅で降りる客は少ないが、既に車両内はいっぱいだった。そこへ押し込まれるよう  
に乗り込むと、傍にいる人の吐息が聞こえ、身体と身体が密着するほどになる。  
 わたしは人の隙間、できるだけ周囲の人がわたしへ背を向ける形になるような場所へ乗  
り込むと、一息ついた。  
 わたしの周囲にはスーツ姿のサラリーマンのおじさん。  
 おじさんたちは整髪スプレーと加齢臭漂う空間で、唯一香水の香りをさせたわたしを見  
て、少し困ったような顔をした。  
 それはそうだろう、こんな狭い車内だ、どこがぶつかるか分からない。もし痴漢だと騒  
ぎ立てられたらと思うと、こんな若い子の傍にいられる幸福も忘れて、うんざりしてしま  
うのだろう。  
 だからできるだけわたしと関わらないように、背を向け見ないようにする。地下鉄が発  
車する際、揺れたのを利用してお尻をぶつけてみると、さっと避けられた。  
 サラリーマンたちのガードは完璧だ。  
 わたしは鞄を床に置き、足と足とで挟むと。  
 まずスカートをまくりあげた。  
 
 腰の部分に裾を挟み込み、前を完全に露出させる。  
 発育が遅れていたせいもあって、うぶげくらいしか生えていない自分の恥部が晒された  
ことにわたしは息を荒くしていた。  
 一度姿見で、どういう風に見えるのか確かめたことがある。  
 股間にぷっくりとした盛り上がりがあるのが、かろうじて分かるくらいで、それほどエ  
ッチには見えなかったけれど。  
 それは部屋での話で、さらにいえば人から見られた時の話でしかない。  
 今のわたしは女の子の大事な部分を露出させているのだ、それも満員電車の車内で。  
 誰かがわたしを見れば気がつくだろう。わたしのしている変態行為に。  
 ――そう、変態行為。  
 わたしが人前で露出するようになったのは、そうした露出行為を見たからだ。 いつも  
のように地下鉄で学校へ向かっている途中、わたしは同じ学校の女子生徒が犯されてるの  
をみた。  
 他校の制服を着た男子生徒に壁際に押し付けられ、挿入されていた。  
 胸元に荒々しく手を入れられ、何度も何度も身体を揺さ振られ、辛そうな顔をしている  
彼女を見てわたしはどうすべきか迷ってしまった。  
 わたしが声を上げれば彼女はこの場では助かるだろうが、けれど男に逃げられてしまえ  
ばそれで終わりだし。わたしも報復される可能性がある。正直怖かった。  
 けれど、その少女と視線があってわたしは怖かったが決断した、声をあげようとしたの  
だが――  
 その少女は首を横に振ったのだ。  
 わたしは結果的になにもできず、男が少女の太ももに精液をかけるのをただただ見守っ  
ているしかなかった。  
 わたしは彼女になんで黙っているのか、事情を訊こうと近づくと、彼女はイタズラが見  
付かった子供のような顔でこう応えたのだ。  
『こういうプレイなの。羞恥プレイていうのかな? よくわからないけど、私が彼に頼ん  
でしてもらってるの。ほら、私たち違う学校だからね。アイツが浮気しないようにって。  
あはは、変かな』  
 わたしはその彼女の言葉に、最初は馬鹿みたいと笑ったが。家に帰って、勉強している  
最中、不意に彼女の言葉を思い出してしまった。  
 ああしたら気持ちいいんだろうか?  
 わたしはセックスしたことがない。  
 中学のころはぺちゃぱいでたぬき面だったことから、男子からよくからかわれる対象で  
あっても、恋愛対象としてはみなされていなかったし。  
 高校に入って半年、彼氏はできていない。  
 だから、セックス自体の気持ちよさは未知のものだったし。  
 それに――と、思った。  
 ああして、人に見せ付けるようにしたら、気持ちよかったりするんだろうかと考えた。  
 背徳感とか羞恥心が、そうしたやらしい心を燃え上がらせるものなのだろうか?  
 そんなことを考えたわたしは、そのやらしい考えを振り切るように家を出て、近所のコ  
ンビニまで散歩にいった。  
 その途中、人気が無い道を通るのが一番早かった。  
 コンビニでジュースを買って、帰り道、わたしはバカな真似を――ある、トリガーを引  
いた。  
 まだ暑い季節、わたしは穿いていたジャージとパンツを下ろしていた。  
 その時間、わずか十秒もなかっただろう。  
 だがわたしは慌てて引き上げると、逃げるようにして家に帰った。  
 心臓がバカみたいに高鳴っていた。一回して、自己嫌悪に陥ってしまったオナニーを久  
しぶりにしていた。  
 
 最初の時にはしているところを兄貴に見られて、それ以来していなかった手慰みが、眩  
暈を起こしそうなほどの興奮をわたしに与えてくれた。  
 その間中、わたしはずっと考えていた。  
「もし誰かに見られていたら」「もし誰かに見られてしまっていたら」  
 背徳、羞恥、興奮。  
 それがわたしを病みつきにした。  
 
 地下鉄の駅を一つ過ぎた、わたしが下りる駅までこの混雑は解消されない。  
 誰もみていない。  
 それが分かっているから、こうしてスカートをまくりあげることができているのだが。  
 それでも、誰かの、いや、誰かに見られているのではないかという疑心暗鬼がわたしを  
襲う。  
 興奮のせいか熱いしたの唇を押し開く。  
 車内の空気に触れ、ぞくぞく。  
 ピンク色の粘膜に指を這わせ、さするだけで、背中を貫くような快感が押し寄せてくる。  
「……んっ」  
 走行音で消える程度の小さな呻き。  
 けれど、もしかしたら、走行音では消えず周囲の人たちに聴かれているかもしれない。  
 そうだったとしたら、どう思われるだろうか?  
 荒い息から、病気だって思われる?  
 それとも、えっちな女の子だって襲われてしまうのだろうか?  
 わたしはまだ時間的余裕があるのを確認して、空いている片手で上着をめくった。  
 今時珍しいセーラー服を下からずりあげ、おっぱいを引っ張り出す。  
 狭い服の拘束からほどかれた胸を、マッサージした。  
 大変だったよねえというように、ほぐすように胸を揉むと痛くて、気持ちよかった。  
 痺れるような、取れちゃうんじゃないかっていうような痛みも、マッサージしていると  
簡単に収まり、気持ちいいが乳房を支配する。  
 自分でもこれが本当に自分のものかと疑ってしまう。  
 片手で掴みきれず、肉がはみでてしまうような、白いおっぱい。  
 触っている間だけは、これが好きな人の気持ちが分かる。  
 普段は重たくてしょうがないけれど、そのやわらかさに思わず顔を埋めたくなる。  
 下と上と、本当は好きな人の前以外じゃ見せたらいけない部分をわたしは晒す。  
 それがわたしのひみつだ。  
 誰にも知らせていない――いや、知られたらまずい秘密。  
 だからわたしは慎重を喫して、降りる駅の一つ手前でそれまで出していたものを隠す  
――もとい、戻すようにしていた。  
 ばれたら怒られるどころの騒ぎでないような気がする。  
 だから今日もいつものように楽しい時間の終わりを迎える為、手を戻しかけた瞬間――  
車両が大きく揺れた。  
「――え?」  
 悲鳴と呻き声があがる。  
 車内アナウンスが謝罪を告げていたが、怨嗟の声で聞こえなかったし。  
 それどころではなかった。  
 わたしの前にいたサラリーマンがよろめき、わたしのほうへ倒れてきたのだ。  
 けれど、なんとかドミノ倒しになるようなことはなかった。  
 ――けれど  
「……あ」  
 サラリーマンの手の片方がわたしの股に挟まり、まだわたし以外触ったことのない場所  
に触れていた。  
 
 サラリーマンはよろめいた体を起こし、振り返って、謝ろうとしたのが分かると。わた  
しは鞄を掴み、その場から一目散に逃げ出していた。  
 胸をしまい、スカートを下ろし。  
 車内を好き勝手に移動しようとするわたしを見て、なんにんかがしまう直前のわたしの  
おっぱいをみたし。  
 スカートをあげた直後、道が拓けたが。  
 数人のサラリーマンやOLさんがわたしの下半身を見ていたから、なんだろうと思うと。  
 走ってくる最中に後ろのほうがまくれ、白いお尻が丸出しになってしまっていたのだ。  
「いやっ」  
 わたしは短く悲鳴をあげていた。慌ててスカートを下ろす。丁度良く停車したのをいい  
ことに、駅名を確認せず降りた。  
 この駅でも乗る人数にくらべ、降りる人数は少ないようだ。  
 わたしは駅構内を走り、トイレを見つけると、飛び込んだ。  
「はぁ……はぁ……」  
 荒く息を繰り返し、乱れた髪を整えようと顔をあげると、異変に気がついた。  
 わたしが飛び込んだのは女子トイレではなく、男子トイレだったのだ。  
 幸いにも、利用している人はいなかったが、長居していられない。  
 引き返そうと思ったが、わたしはなにを思ったのか、個室の一つに入っていた。  
 けれど、個室にはいると、ようやく一息つけた。  
 扉に背を預け、ふう、ふうと息を吐いてると、先ほどの光景が蘇ってきた。  
 見知らぬおじさんにまんこを触られて、色んな人におっぱい見られて、あげくにお尻ま  
で見られてしまった。  
 その時の目撃者の顔を思い出すと、どうしようもなく手が股間へと伸びていた。  
「やだ……濡れてる……」  
 触る前から濡れてるなんてはじめてのことだった。  
 そうなっておかしくないほど、興奮していたとはいえ。こうして自分が変態な証拠に触  
れると、泣きたくなるほど心臓がドキドキした。  
 くちゅ、ちゅぷ、じゅぷと指で触れるといやらしい音がトイレの中に響いてしまう。  
 だが――と、思考は現実に引き戻されていた。  
 早くしないと、遅刻してしまう。  
 こうしている間にも、少しずつ時間は経過していく。  
 だけれど、指は股間から離れてくれない。むしろ、その激しさを増していくようだった。  
 わたしは自身の欲の深さに酔いしれるように、その手の動きを一旦止め、学校に行かな  
ければならないという思考を納得させる方法を思いついた。  
「そうだ、下着つけないと……」  
 そう自分に戒めるように言うと、ようやく指は離れてくれた。  
 わたしはトイレの鍵が閉まっていることを確認して、制服に手をかけた。ブラジャーを  
着けるのには、一旦制服を脱がなければならないから脱ぐんだ。  
 それは、その真意はあからさまに明らかだったが、わたしの中のわたしは納得してくれ  
た。  
 勢い良く上着を脱ぐと、少し肌寒かった。  
 そうして、わたしはスカートにも手をかけていた。  
 パンツを穿くのにスカートを脱ぐ必要がない? いやいや、パンツをあげた時にスカー  
トを巻き込んでしまったらどうするんだいと言い訳しながらスカートを下ろした。  
 誰への言い訳なんだろう。口はしに笑みが滲む。  
 わたしはエナメル靴にハイソックスだけの姿になると、自分の姿をみて、ぞくりとする  
ものを感じた。  
 いま、ここで誰かが着て、わたしがここにいることを知ったらどうなるだろう?  
 トイレが混んだら?  
 
 わたしはそうした恐怖を取り除くため、そうあくまでそのためだ。個室の鍵を開けると、  
外に出た。  
 トイレには誰もいない。  
 よかったと思う反面残念。  
 わたしは小便器を横目に、洗面所まで行った。  
 ここは入り口に近い。用心しないと、と思いながら、自分の姿を見たらそんなことは頭  
から吹っ飛ぶようだった。  
 上気しうっすらピンク色がかった白い肌を、隠すような黒髪のヴェール。勃起した対の  
乳首。かすかに動くだけで揺れてしまうようないやらしい乳房。成長バランスがおかしい  
おかげで、くびれたままの腰。小さなお尻。太ももには涎が垂れて光る痕がみえた。  
 そうだ、と考えると、直ぐに行動に移していた。  
 洗面所に乗っかると、シンクの中にお尻を滑り込ませるように収めると、そこへめがけ  
て水が飛んできた。  
「きゃ――っ」  
 わたしは悲鳴をこらえた。誰か来たらどうするというのだ。  
 水は直ぐに止まった。感知すると水が出る仕組みのようだ。  
 わたしは改めて自分の姿をみた。  
 鏡に映るわたしは、変態という言葉以上に異常な、あたまのおかしい女そのものだった。  
 大またを開き、秘部を晒して、駅の公衆トイレでまんこを洗おうというのだから、その  
考えは間違いなく正しい。  
 わたしは水をだすため手を蛇口の前に差し出す、すると水は出て、鮮やかな色をした唇  
を濡らす。  
 ぴちゃぴちゃと涎を拭い落とすようにして、わたしは違うことをしていた。  
 水の冷たさを利用して、自分の淫唇を攻めはじめていた。  
 火照った淫唇には水の冷たさはとても刺激的で、寒気がするほどだ。  
 わたしはクリトリスを抓み、自らを虐めながら物足りなさを感じて、中指を膣に挿し込  
み、内部から刺激した。  
 水によって冷えた指先がはいると、洗面台から落ちるのではないかと思うほど身体が反  
応していた。  
 きゅっと膣が締まり、指が動かし難かったが、強引に動かした。  
 指先で襞を擦り上げるようにすると、鳥肌がたつようだった。  
 わたしは自身の中指を男性自身のようにみたて、苛烈に攻めた。そうまるで、あの時の  
彼女の恋人のように。  
 わたしは痛みを覚えるほどのピストン行動に、自分がいつも以上の興奮のなかにいるの  
だと確認した。  
 鏡に映った自分はだらしない顔で、いやらしい部分を丸出しにしていた。  
 変態だ。  
 ここに変態がいる。  
 そう叫んで回って、誰かに見せてやりたかった。  
 こうしている自分を誰かに見られたくて、でも怖くて。だからわたしは、わたしがその  
誰かになった。  
 自分のいやらしい姿を、恥ずかしい姿を、熱を帯び始めた視線で見つめ続けた。  
 おっぱいは切ないほどに痛かった。  
 膣は指では満足できないと悲鳴をあげているようだった。  
 誰かがわたしを発見して、めちゃくちゃになるまで犯してくれないかと本気で思った。  
 前も後ろも分からなくなるくらい、犯して侵して冒して。  
 その醜態を誰かに見て欲しかった。  
 痴態を誰かに見て欲しかった。  
 変態である自分をおかしくなるまで冒して――  
 
 そう思った瞬間に、一段高い波がわたしの中でうねった。  
 いつもは感じないほどの衝動、わたしはその感覚に全てを委ねた。  
 もう、声を隠すのも無理だった、。  
「あ、あ、あ……もう、だめぇぇぇっ!!」  
 その瞬間、身体全体に電流が走り、股間からびゅっと潮を噴いていたのを見た。  
 だらしなくなった体は、緊張し、冷やされた尿道口からどうしようもなく黄金色の聖水  
を放出していた。  
 彼女はぐったりするからだをそのままに、尿が出切るまで、自らの痴態を観察して、あ  
ることを思った。  
「……ケータイで写メ撮ればよかった――かなぁ」  
 
***  
 
 それからしばらくせず、直ぐにわたしは二つの噂を聞いた。  
 一つはある駅のトイレを尿だらけで汚した変態の噂。  
 一つは痴漢にあったのかあられもない姿で逃げた一人の少女の噂。  
 そのどちらもがわたしだとはいえなかったが。  
 地下鉄関係で同時に変質者――痴漢と尿男(噂では男ということになっていた)が現れた  
ことで、警戒が厳重になり。私服警官が地下鉄車内に潜んでいると聞いた。  
 だからわたしは――  
 
 
 
 ――そんなことで諦めるわけもなく。  
 わたしは次の露出ポイントを探している。  
 
 了  
 

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