中学一年生の夏──
あと一月ほどで十三歳になる夏海は、天空を彩る花火の下、人込みの中で、
幼い身体を火照らせていた。
熱帯夜の所為もあるだろう。
人込みの所為もあるだろう。
しかしそれ以上に、芯から湧き上がる、官能の熱が身体を焼いていた。
背後の男は、自分を知っている。
自分はその男が誰なのか判らない──聞き覚えのある声ではあったが、未だ
判別できない。
だが夏海には、そんなことはもうどうでもよかった。
いまさら判ったところで、激しい羞恥から逃れられるわけではない。
羞恥に昂ぶる気持ちを抑えられるわけではない。
夏海はもう、常識的な判断力を失っていた。
──気持ちいいよぉ……。
男の指は夏海の秘処を弄び、刺激し続けていた。
彼女の足元にうずくまれば、くちゅくちゅと淫らな水音が聞こえるだろう。
絶え間なく与えられる快楽に、夏海の身体はびくびくと震えている。
周りには見ず知らずの人々があふれているというのに、浴衣がはだけられ、
大きすぎる膨らみは剥き出しになっている。
刺激が加えられるたびに、張りのある乳房がぷるぷると揺れている。
自分の手で、浴衣の裾を持ち上げてしまっている。
男に刺激されている未熟な秘処も、子供っぽい腰も、小さな尻も、秘密にして
いた無毛の恥丘も──すべて自分の手で曝していた。
隣の男は、そんな彼女のあられもない姿を写真に収めている。
自分の恥ずかしいところをすべて撮られてしまっていた。
それらすべてが、夏海を艶めかしく滾らせ、淫らに昂ぶらせていた。
──わたし、どうなっちゃうんだろ……。
友達の冗談を真に受けて、下着を着けずに浴衣一枚の姿で祭りに賑わう町へ
出た夏海──
友人たちとはぐれてしまった彼女は、人込みの中で恥ずかしい姿にさせられ、
身も心も未知の刺激に翻弄され、とろけそうな官能に侵食されて、淫らな声を
もらしてしまっていた。
自分がこんな目に遭うなどとは、微塵も想像もしていなかった。
こんな目に遭いながら、快楽に飲み込まれてしまうような、猥らな子なのだ
とは考えたこともなかった。
──わたし、エッチなんだ……すごく、エッチだったんだ……。
それは疑いようのない事実として、夏海の心を蝕んでいた。
まだ中学一年生の夏海は、艶めかしく喘ぎながら、快楽を受け入れていた。
もうどうなってもいい──
このまま、悦楽の海に沈んでしまいたい──男の言葉どおり、もっともっと
気持ちよくなりたいと思ってしまう。
あるとき、友人たちが話していた、イくという言葉を思い出す──
それは、自慰を続けていると辿り着く、最高の恍惚だという。
「身体中、がくがくなって……きゅうぅってして、頭も真っ白になって……」
イっちゃう──らしい。
ここで、このまま──
──イってみたい……イかせてほしい……。
──すっげ、マジに露出狂だわ……。
弘輝は右手で携帯電話を操りながら、ジーパンのポケットに突っ込んだ左手で、
自らの怒張したモノをさすっていた。
極度の興奮に、それは硬く大きく屹立し、突端からはとろりとしたぬめりが
あふれ出し、下着を濡らしている。
少女は、自らの手で浴衣の裾を握っていた。
彼女は、彼の動きに気づいているだろうに──
弘輝の眼は、彼女の下腹部をはっきりと捉えることはできなかったが、彼の
携帯電話には、少女のすべてが写されていた。
保存した写真を確認する。
浴衣は帯まで捲り上げられ、少女の子供っぽい下半身を隠すのは、背後から
伸ばされた男の手だけ──
彼女は、ショーツを穿いていなかった。
少女の白い下腹部を覆うべき下着はなかった。
下ろされているわけではない。初めから、穿いていなかったのだろう。
なだらかな曲線を描く脚の付け根は、大きすぎる乳房とは対照的に、子供の
ままで──
──ノーパンだし……生えてないし……。
ごくりと音を立てて唾液を飲んだ。
弘輝は竹下と違い、とりたてて幼い少女が好みというわけではなかった。
しかし、まだ中学生だというのに、これほどに淫らな性癖を持っている少女に、
強い好奇心と、激しい情欲を抱いていた。
彼女の家も知っている。佐伯という姓も憶えている。
なつみか、なつきか──はっきりと記憶していないが、彼女は友人からそう
呼ばれていた。
彼のバイト先に現れたとき、彼女の制服の襟元には、臙脂のリボンが結ばれ
ていた。
学年カラーとして、臙脂、濃緑、濃紺の三色が、入学年によってつけられて
いたはずだ。
──えーと、今年は……赤だと、一年か?
彼の記憶と逆算が確かならば、そうなる。
──中一でこれかよ……やばいだろ……。
大人顔負けの大きな乳房は、とても中学一年生のものとは思えない。
顔立ちや背丈は小学生のようだし、おとなしそうに見えたのに、三十近いで
あろう男とこんな──
──露出羞恥プレイか……。
それは弘輝がもっとも惹かれる、性的行為のひとつだった。
──夏海ちゃん……キミをもっと感じさせてもらうよ……。
竹下はいったん腰を引くと、自由になった左手でジーパンのジッパーを下ろし、
痛いほどに勃起した剛直を掴み出す。
このまま彼女を──少女の純潔を奪ってしまいたかった。
欲望の滾りで、少女の未熟な果実を割ってしまいたかった。
白濁したどろどろの子種を、中学一年生の胎内へ──もっとも深いところへ
解き放ってしまいたかった。
きっと彼女の中は、きつく狭く、熱く潤っているのだろう。
怒張を締め付けて、未知の愉悦を味わわせてくれるに違いない。
──でも、ちょっと……このままじゃ無理があるな……。
竹下の背は高くない。脚も短いほうだ──腰の位置は低い。
とはいえ、その竹下よりも二十センチは背の低い夏海の秘処は、さらに低い
位置にある。
挿入するとなれば、彼女を持ち上げるか、竹下自身が腰を屈めねばならない。
さすがに──そこまではできない。
あと少しで、彼は欲望を満たすことが──熱い精を放出できるのだ。
竹下の頭は欲にまみれ、自制心を失っていたが、だからこそ──それを遂げる
までは、誰の邪魔も入らない方法を選んだ。
今日だけではないのだ。チャンスはまだある──
彼女を真に手に入れる機会は、これから先も絶対に訪れる──そんな根拠の
ない確信が彼にはあった。
だが、確かに彼は、その機会を作り出そうと思えば、できる立場にいた。
竹下は夏海の尻にかかる浴衣を捲ると、少女のきめ細かな肌へ、それを押し
つけた。
びくんと震える夏海の身体──
「ひっ……」
彼女も当然、なにをされたのか理解しただろう。
淫らに火照った肌は、じっとりと汗が浮かんでいる。
彼自身の先走りと彼女の汗が混じり合い、竹下の怒張はそれだけで暴発して
しまいそうだった。
「夏海ちゃん、僕のちんぽ……すごいでしょう? こんなになってるよ」
「あっ! んぅ……」
夏海は異物の押し付けられた腰を浮かせる。
自由になった左手が、夏海の身体をがっちりと抱え込んだ。
「はっ……あぅ……」
夏海の剥き出しの小さな尻に、硬く強張ったものが押し付けられた。
──男の人の、あれが……お尻に……。
小学生のころに習った、大人の男女の交わりについての授業──
愛し合うふたりだけに許された、子孫を残す神聖な行為だと、学校ではそう
教えられたはずだった。
しかし、快楽を貪るためだけに行われることがあるとも知っていた。
アダルトDVDの映像──あられもない姿で街を歩かされ、乳房を晒され、車の
中で淫らに声を上げていた女優──
男のモノを挿入された彼女は、艶めかしく身体をくねらせ、大きな乳房を
揺らして、痙攣したように全身を震わせていた。
成人男性向けのいやらしい雑誌だって見たことがあったし、少女漫画にだって、
過激な描写があふれている。
いくつもの情景が頭に浮かび上がり、性行為──セックスという言葉が像を
結んだ。
──入れられちゃうのかな……。
初めはすごく痛い──そう聞いていた。
彼女の親しい友人には、経験済みの子はいなかったが、さまざまなメディア
では、そういわれている。
──痛いのは、やだな……でも……。
痛いのは最初だけ──そうも聞いていた。
セックスは激しい快楽を伴う──自慰とは比べ物にならぬほどの強烈な快感
だという。
「夏海ちゃんのお尻、気持ちいいよ……」
男のモノが、夏海の幼いままの尻肉をぐりぐりと押してくる。
柔らかな肉の谷間に沿って、男の怒張が蠢いていた。
──ほんとに、気持ちいいんだ……こんなのでも……。
自分にはまだ早いと思っていた性行為──
子を生すための、神聖な生殖行為だけではない。
快楽を得ることを主目的とした行為──手で男性器を握って刺激したり、口に
銜えて舌を絡めたり──そういったものも知らないではなかった。
──お尻……変な気分……。
背後の男によって無理矢理突き落とされた、快楽の海──
夏海はその波に翻弄されながら、未知の世界へと沈み込んでゆく。
高校二年生のとき──
弘輝は、ひとつ年下の少女と付き合っていた。
初めてできた恋人だった。
おとなしくて内気な、どちらかといえば奥手なタイプだった。
背が低く、身体つきは華奢で──彼の隣で裸体を震わせて悶えている少女に
よく似ていたようにも思える。
部活の先輩後輩という関係で、いつしかふたりは親しくなり、ふたりで映画を
見に行ったり、買い物をしたり──デートをするようになっていた。
彼がその手の行為に興味を持ち始めたのは、そのころだった。
インターネットで見た、淫らな体験談──
それは女子高校生の手記という体裁を取っていた。
今思えば、作り話だったのだろう。
しかし、彼はその体験談に激しい興奮と興味を覚え、身体を滾らせた。
高校生二年生──弘輝と同い年の少女が、恋人に強制されて行なっていると
いう、淫らな行為の数々──
弘輝はとくに、校内でのプレイに強く惹かれ──チャンスは訪れた。
冬の日の放課後、部活を終えた彼は、偶然と必然が重なって、部室で彼女と
ふたりきりになった。
そのころには、彼らはすでに男女の交わりを持っていた。
だが、彼はそれ以上を望んだ──
キスをして、制服の上から胸に触れた。彼女の小振りな乳房を揉みながら、
制服を脱がそうとした。
彼女は抗った──
「誰か来たら、困りますよぉ……」
興奮していた彼は聞く耳を持たなかった。
強引に彼女の制服をはだけさせ、下着を剥ぎ取った。
「先輩、ダメです……」
彼女は涙を浮かべていた。
弘輝は彼女を窓際に立たせた。
校舎の三階にある部室の窓際──彼女は慎ましやかな膨らみを曝し、羞恥に
震えていた。
「やらしいだろ? 感じるよね?」
だが、彼女は首を横に振るだけで、彼の望む答えは得られなかった。
──あったなぁ、そんなことも……。
現実に立ち戻り、弘輝は苦笑いを零した。
彼はその後も、映画館やカラオケボックス、図書館など──あらゆる場所で
少女に羞恥を強要した。
彼女は──弘輝から去っていった。
──普通はそうだよ……こんなの、まともな子なら嫌がるって……。
弘輝は、すぐ横で震える夏海に眼を向ける。
「んっ、ふぁ……んぅ……」
彼女の小さな喘ぎが聞こえる。
剥き出しの乳房には、男の左手が重ねられていた。
立っているのが精一杯であろう少女を、背後にいる男は左腕で抱きながら、
同時に乳房を弄んでいる。
男の右手は細い脚の付け根に伸びていて、ずっとそこを弄んでいる。
花火爆音、場内アナウンス、周囲の喧騒がなければ、きっと艶めかしい水音が
聞けただろう。
──でも、この子なら……。
艶やかな肌を朱に染めて快楽に身を振るわせる少女──
彼女なら、きっと自分の嗜好を満足させてくれる。
そう、今すぐにでも──
弘輝はおもむろに携帯電話をポケットにしまうと、右手を伸ばした。
中学一年生でありながら、人込みの中で肌を曝し、淫らに喘ぐ少女の手に、
自分の手を重ねた。
夏海が初めて快楽を憶えたのは、まだずっと幼いころだった。
小学生になったばかり──男の子にはついているものが、自分にはついて
いない──そんな、ちょっとした好奇心だった。
指で触れていると、むずむずとくすぐったいような、痒いような、不思議な
感覚が湧き起こった。
だがそれは一過性のもので、続けることはなかった。そんなところに触れる
のは汚いと、ごく真っ当な子供らしい判断だった。
その正体に気づいたのは、もっとあと──
学校で性教育の授業を受けてからだった。
徐々に変わり始めた身体に不安を抱き、しかしそれが大人への変化なのだと
意識した、小学校高学年のころ──
性的な興奮を明確に意識したのも、そのころだった。
夏海の胸は急成長を遂げ、男子たちには好奇の眼で見られ、女子たちからは
羨望と嫉妬の眼差しを向けられた。
からかわれて触られることもあった。痛くて恥ずかしくて、泣いてしまった
ことが何度もあった。
父子家庭だった彼女は、親に相談するのも恥ずかしく、ひとりですすり泣く
日々を送っていた。
けれど、今思えば──
──恥ずかしかった……嫌だったよ……でも、わたし……。
今の夏海は、官能に飲み込まれてしまっている。
──エッチな、気分に……なってたのかな……。
尻に押し付けられた男性の象徴が、彼女の興奮に拍車をかけていた。
──わたし、ずっと前から……エッチな子だったのかも……。
彼女を襲った男の不意打ちから、ほんの二十分ほどしか経っていない。
その間に、大きな乳房も、無毛の秘処も曝されて、淫らな刺激を浴びせられ、
恥ずかしい写真を何枚も撮られて──
たったそれだけの時間だというのに、そんな非現実的な状況は、夏海の過去の
意識までをも改竄してしまった。
──子供のころから……わたし、エッチで、いやらしい子だったんだ……。
「ふぁ……っ!?」
不意に手を握られた。
背後の男は、夏海の一番敏感なところを右手でずっと刺激している。
彼女の身体を抱き支えている左手には、乳房を弄ばれている。
──隣の人だ……。
抵抗する気はまったく起きなかった。
夏海は、導かれるままに、左手を伸ばしていった。
弘輝は、巾着の紐が絡んでいる夏海の左手首を掴んだ。
弘輝もまた、自らのモノを剥き出しにしていた。
彼女はまったく抗うそぶりもなく、弘輝はその可愛らしい手を、いとも簡単に
引き寄せることができた。
触れた瞬間、ほんのわずかに、少女の汗ばんだ手がぴくりと震えて引っ込め
られたが、それは抵抗ではなかった。
異物に触れたときの、生理的な反射行動だった。
彼が手に少しだけ力が籠めると、少女の手は素直に従った。
──俺……やばいよな……。
中学一年生──まだまだ子供といえる歳の少女に、自分の卑猥なモノを触れ
させている──
常軌を逸した行動に、鼓動はますます早く、呼吸も荒くなっていた。
沸騰するほどの興奮に正常な感覚は麻痺させられ、欲望だけが膨れ上がって
弘輝を覆い尽くしてゆく。
──やべぇって……これ、マジでやばいよ。
弘輝は少女の手に自分の手を重ねる。
指を広げて少女の小さな手を包み込むと、彼女の細くしなやかで柔らかな
指が、弘輝のいきり立ったモノを握った。
──中学生に手コキさせるとか……俺変態じゃん……。
そんなまともな感覚も残ってはいたが、だからといって、欲望を抑え込める
だけの理性はどこにも存在しなかった。
──へぇ……お隣さんも大胆だね……。
竹下もまた、弘輝が夏海の手を自分の股間へと導くのに気がついていた。
夏海の大きすぎる乳房の所為で、見えはしなかった──例え見えたとしても、
男のモノを見る気にはなれなかった──が、彼女の左腕と、男の腕の角度から
容易に想像できた。
「すごいね、夏海ちゃん……どんな気分なのかな?」
「んぅ、ふぁ……」
彼女は、自分のペニスを尻に押し付けられ、隣の若い男のモノを握ったまま、
喘ぎ続けている。
「男ふたりのちんぽ……どうだい?」
「あっ、や……やぁ……」
「もっと、ぎゅっと握ってあげるんだ……握って、こすってあげるんだよ」
竹下はほんの少し後悔していた。
尻に押し付けるのではなく、隣の青年のように、握らせればよかったと──
そうすれば、彼女を独り占めにできたと──
──でも……今の方が、ずっといやらしいな……。
そうも思っていた。
竹下は指先で彼女を責め続け、自分自身もまた、夏海のまだ小さい、若さに
満ち溢れた尻肉を堪能する。
──今日のところは、夏海ちゃんの手はあんたに貸すよ……。
誰とも知らぬ若者に、心の内で呼びかけた。
相手に竹下の言葉が届くわけもないが、ふたりは──いや、三人の男女は、
人込みの中で恍惚の頂へと達する坂道を登り続けていた。
夏海はいわれるままに隣の青年の陽根を握り、手をぎこちなく動かした。
背後の男の台詞は、夏海をさらに淫らな少女へと変貌させていた。
──おちんちん……硬い……こんな、すごいんだ……。
子供のころに見た、小さな筍のようだった、男の子のモノ──
縮れた毛に覆われた、父親の赤黒いモノ──
それは、そのどちらとも異なっていた。
幼い少年のそれとは、大きさからしてまったく違う。
最後に見たのは数年前──父親のそれとも、まったく違う。
アダルトDVDではぼかしがかかっていたし、大人向けの雑誌も修正が入って
いた。少女漫画では眼に見える形では描写されていない──
唯一、インターネットのアダルトサイトで、そのグロテスクで生々しいモノを
見たことがあった。
重力に逆らって天を衝くようにそそり立った不気味なモノ──
当然のことながら、触れたことなど一度もなかった。
──気持ち悪いって、思ってたのに……。
尻に押し付けられ、手で握っているふたつの男性器──
──わたしの、あそこに……こんなすごいの、入っちゃうんだ……。
いったいどれほどの大きさなのだろう──
眼で見ているわけではない。
だが、尻に当たる感覚、手に握った感覚──それらから察するに、どちらも
太字の油性マーカーよりも太く、長い──
──そんなの、入るのかな……。
夏海はまだ、自分の性器をよく知らなかった。
恥丘から尻にかけて股の間を縦に走る秘裂──そのいちばん前に、もっとも
敏感なクリトリスがあり、裂け目の中は熱く潤む粘膜でできていて、どうやら
小さな襞があるらしく、その中に、男性自身が挿入される──
その程度の記号的な知識しか持っていなかったのだ。
──あそこ……おまんこ……さっきより、すごくなってる……。
夏海のそこは、快楽の露でぐっしょりと濡れている。
男の指が蠢くたびにじわじわとあふれ出し、腿の内側にまでべっとりと付着
しているのが判る。
性的な興奮が高まると、そこが濡れるということは知っていた。
だが、強い刺激を与え続けることで、これほどまでに淫らな露があふれ、腿を
伝い落ちるほどになるとは思ってもいなかった。
──おっぱい、揺れてる……見られちゃって……写真も……。
肉体的な刺激だけではなかった。
羞恥という精神的な刺激もまた、快楽になるのだということも初めて知った。
──エッチで……気持ちよくて……わたし、やらしいよぉ……。
そう思えば思うほど、夏海は昂ぶってゆく。
気持ちの昂ぶりと反比例するように、全身の力が抜けてゆく。
なんとか立っているものの、背後の男の支えを失えば、その場にうずくまって
しまうだろう。
それなのに、隣の男のモノを握る指には、力が残っている。
──やっぱり、わたし……エッチだからなんだ……。
そんなことも、自分がずっと前から淫らな本性を持っていたのだと錯覚して
しまう要因になっていた。
──お尻……不思議……気持ちいい……。
ペニスを押し付けられた尻が、快感を訴えはじめている。
──おちんちん、すごいよぉ……わたし、ふたつも、おちんちん……。
ペニスを握る左手からも、快楽が湧き立つようだった。
──気持ちいい……気持ちいいよぉ……!
濡れそぼった秘処からも、大きすぎる乳房からも、子供と変わらぬ尻からも、
可愛らしい手からも──
何もかもから官能の刺激が漲ってくる。
周囲でざわめく人々の存在も、夜空で炸裂する大輪の花も、自分を知っている
らしき背後の男も、自分のあられもない姿を撮影した青年も──
幼い身体を淫らに震わせている自分も──
すべてが、夏海を未知の悦楽の頂へといざなう刺激となっていた。
──やべぇ、もう……出そうだ……!
少女の手の動きはぎこちなく、普段の彼ならば、それだけで達することなど
なかっただろう。
だが、思いもかけぬところで再会した少女──
しかも、思いもかけぬ姿──大きな乳房をはだけて揺らし、秘処を弄ばれて
快楽に吐息を漏らす、近所に住む女子中学生の姿が、弘輝を激しく興奮させ、
いつもの数倍の早さで限界まで突き上げられていた。
──なつき……いや、なつみ……そう、なつみだ……!
初めて会ったときのことを思い出していた。
彼のバイト先に現れた少女は、友人であろう少女たちから、なつみと呼ばれて
いたはずだ。
──字は……。
どう書くのだろうか。
夏美だろうか、夏実か、菜津美か──夏海とも書くかもしれない──
──なんでもいいや……なつみちゃん……なつみちゃんか……。
──夏海ちゃん、出そうだ……お尻にかけてあげるよ、夏海ちゃん!
荒い息を少女の耳元で吐きながら、竹下は絶頂へと迫っていた。
気がつけば、怒張に加わる刺激に変化が起きていた。
つい先程までは、自分が腰を押し付けていただけだったはずなのに、少女の
細い腰も、艶めかしく波打っているではないか──
──そうか、夏海ちゃんも、イきそうなんだね……。
中学一年生の少女とは思えぬサイズの乳房を持つ、佐伯夏海という少女──
彼女を初めて眼にしたときから、竹下はいつかこういう日が来ることを待ち
望んでいた。
今日、この花火大会の人込みの中で、遂に念願叶い、竹下は夏海を捕らえる
ことができた。
竹下の妄想──夏海の本来の姿は、羞恥と快楽に身を悶えさせる淫らな少女
である──それは、ある意味では正鵠を射ていたといえるのだろう。
事実、彼女は竹下の加えた立て続けの羞恥に、心も身体も震わせ、すっかり
快楽の虜になってしまってたのだから──
──夏海ちゃん、これで終わりじゃないからね……。
無垢な少女を、自分好みの奴隷に調教する──そんな妄想に取り憑かれて
いた竹下は、今のこの責めだけで終わらせるつもりなど毛頭なかった。
──これから、もっともっとすごいことも教えてあげるよ……。
竹下は下腹部に精が集中するのを意識していた。
「夏海ちゃん……イきそうなんでしょう? 一緒にイこうか……」
「あっ、んっ……ひぅ、ふぁっ!」
夏海は断続的に喘ぎをもらしていた。
身体が勝手に震えてしまうのと同じで、声も勝手に出てしまう。
──すごいよぉ、すごいっ! 気持ちいい……!
頭が真っ白になる──夏海は友人の言葉を思い出していた。
──こんなっ、こんなの……すごい! わたし……エッチだよぉっ!
アダルトDVDの女優は、もっと激しく喘いでいた。
それはほとんどが演技である。視聴者を興奮させるための仕掛けだ。
だが、今の夏海にはそんな意識などあるはずもない。
ただ押し寄せる快楽の波に、自然に声を零してしまっていた。
「僕もイくからね……たっぷり出してあげるからね」
男が耳元で囁く。
男の荒い息遣いが、夏海を煽ってさらなる高みへと導く。
「ひっ、あぁっ! んぅっ……」
──エッチな声……イく、イっちゃうの……!
自分の喘ぎも、彼女を煽り立てる。
「夏海ちゃん、安心していいよ……これで終わりじゃないからね……これから、
もっともっと、すごいこと……教えてあげるからね……」
夏海は快楽に翻弄されて、頭が回らなくなっている。
男の言葉が夏海の鼓膜を震わせてから、それを脳が理解するまでに、何秒も
かかってしまう。
──もっと、すごいこと……もっともっと、すごいの……?
未知の刺激に曝され、湧き立つ衝動に翻弄された夏海──
「あぅっ、ふぁ……もっと、すごいこと……?」
夏海は初めて、男に言葉を返した。
喘ぎながら、かすれて消えかけた声だったが、男の耳には届いていた。
「そう、もっと……もっとすごいことだよ」
「んぅっ! もっと、ふぁっ、すごい……」
呆けたように繰り返す。
「夏海ちゃんにだけ……教えてあげる」
「わたし、だけに……ふぁっ!」
男の指が夏海の淫核の抓み上げ、彼女の身体がびくんと大きく反り返る。
そして──
「今度学校で……個人授業してあげる」
──学校……授業……!?
男──その声の主──
背後に密着し、自分をあられもない姿にさせて、抑えようのない快楽を与え
続けてきた男──その人物に、夏海はようやく辿り着いた。
夏海は凍りつくような想いと──
それまで以上の、爆発的な興奮に襲われた。
──竹下、先生……!?
背後の男は、彼女の通う中学校の教師だったのだ。
──やっと気づいたみたいだね、夏海ちゃん……。
もうじゅうぶんなほどに快楽を訴えていた夏海──彼女の身体が、さらなる
興奮を湧き立たせたのは明らかだった。
教師でありながら、教え子に淫らな妄想を抱き、あまつさえそれを実行して
しまう──竹下は、そんな男だった。
七年目になる教師生活──彼は何人もの女子中学生と関係したことがあった。
その多くが、出会い系サイトで知り合った、金銭の授受がある──いわゆる
援助交際だったし、何人かは自分の職場の生徒でもあった。
しかし──彼にとって、夏海ほどの逸材に出会ったのは初めてだった。
彼女は彼の望むあらゆる要素を備えていたし、彼の望むとおりの反応を示し、
そして、彼の望んだ行為をことごとく受け入れた。
──やっと出会えた……僕の真の性奴隷だ……。
彼はこの先、彼女にどんな責めを与えようかと夢想する──
学校で、下着を脱がせるのもいいかもしれない。肌の透ける服を着せて連れ
歩くのもいいかもしれない。
性玩具を仕込み、授業を受けさせるのもいいだろう。口の堅そうな男子を呼び、
淫らな姿を曝させるなんてどうだろう。
それよりなにより──彼女の純潔を、どうやって奪ってやろうか──
竹下は欲望を募らせながら、下腹部に神経を集中させる。
「イくよ、夏海ちゃん……一緒に、イこうっ!」
竹下は亀頭の裏筋を、少女の柔らかな尻と細い腰にこすりつけ、指先で少女の
身体を弄びながら、登り詰める──
「イくよっ、出すよ──っ!」
竹下の欲望が爆発した。
夏海のおろしたての浴衣の下で、彼女の白い腰に大量の精をぶちまけた。
──竹下先生……先生だったんだ……。
ほんの二十分あまりの時間──夏海は、自分の通う中学校の教師に弄ばれて
いたのだった。教師であれば、自分を知っているのも頷けた。
彼の担当に、夏海のクラスは含まれていなかったが、一度だけ、本来の担当
教諭の代理として、彼女らは授業を受けたことがあった。
その授業で指名されたことを彼女は憶えていたが、それ以外には挨拶をする
程度で、ほとんど言葉を交わしたことはない。とりたてて特徴のない、どこに
でもいそうな三十ほどの男性──そんな印象だった。
まさか、自分の教え子に、こんなことをする人物だとは思ってもいなかった。
──わたし、先生に……こんなことされてっ……!
教師にこんな行為をされ、昂ぶり悶えてしまっている──そんな自分の姿が
彼女をさらに激しく燃え上がらせた。
「イくよ、夏海ちゃん……一緒に、イこうっ!」
男の──竹下教諭の声が、耳元で終着を告げる。
──先生、イっちゃうんだ……私のお尻で……。
「んっ、はぁっ……ぁっ!」
彼のモノがより激しく押しつけられ、夏海を刺激する指も、この上ないほど
激しくなる。
夏海もまた──彼に尻を押しつけるように腰をくねらせてしまう。
──わたしも……イきたいです、先生……!
淫らな衝動を掻き立てられ、心までもが飲み込まれていた。
「ひっ……んっ、あっ、ふぁっ……!」
全身ががくがく震えて、悦楽に侵食されてゆく。
頭の天辺から指の先まで──痙攣したように小刻みに跳ねながら、背が反り
返り、顎が上がってゆく──
──あっ! 先生っ……!
竹下に、ずんと腰を打ちつけられると同時に──自分の腰に熱いものがぶち
まけられるのを夏海は感じた。
「んっ、はぁっ……ぁっ!」
少女の喘ぎが高まっている。
周りに気取られぬよう、弘輝は横目で彼女を伺っていた。
──なつみちゃんも、イきそうだ……。
弘輝は込み上げる衝動に堪えながら、タイミングを計っていた。
ただ肉体的な昂ぶりだけでするよりも、精神的にも最高潮のときにするほうが、
より激しい恍惚感が得られるものだ。
弘輝は夢想する──
中学生のなつみ──羞恥に官能を覚えてしまうこの少女に、ありとあらゆる
羞恥を味わわせようと──
──これ使えば……なんだって……!
自分には手段があるのだ。
少女のあられもない姿を写した写真──それを使えば、この少女を思うままに
することができる──
「ひっ……んっ、あっ、ふぁっ……!」
少女の身体ががくがくと揺れる。
──やべ、もう……イく、出るっ!
限界だった──
弘輝は少女の手ごと、自分の滾りの先端を握り込んだ。
滾る欲望が下腹部に一気に集中し──
「ん……くぅっ!」
少女の手のひらに握られながら、弘輝はどくどくと精を解き放った。
びくびくと腰を震わせながら、自分の精にまみれた少女の手のひらを味わい
ながら、余韻に浸った。
「あっ、あぁっ……!」
──先生の、精液……!
それが竹下の白く濁った欲望のほとばしりなのだと、夏海は理解できた。
──お尻に、かけられちゃったぁ……!
夏海の尻と腰に、竹下の精液が何度も何度も浴びせかけられた。
──すごいっ、いっぱい……出てるよぉ……!
きっと、浴衣にもべっとりと付着しただろう。
──先生に、されちゃった……エッチな、わたし……。
そして──
衝撃に打ちのめされた夏海に、さらに追い討ちがかけられた。
「ひゃぅっ……!?」
左手で握っていた、隣の男の欲望も──
──手に、熱いのが……出てる……!
想像を上回る勢いで、夏海の小さな手のひらに、男の精液が何度も何度も
浴びせかけられた。
──おちんちん……精液……せーえきっ……いっぱいっ……!
身体の芯に、未知の衝動が収束し──
「ひっ、んっ、あぁ……っ!」
──イっちゃう、わたし、イっちゃうんだ……!
官能が、快楽が、本能が──
衝撃となって解き放たれた。
連続した炸裂音──いくつもの閃光が夜空にほとばしる。
スターマインが再び空を光の海に変えていた。
その下で、夏海は──
「ひゃっ、ひあぁ──っ!」
身体が、ひときわ大きく跳ねた。
なにかに打ちつけられたかのように、夏海の全身が強く弾けた。
夏海は──
初めての絶頂に達した。
びくびくと震えていた。
がくがくと痙攣していた。
身体だけでなく、心も恍惚に震えていた。
一度も味わったことのない強烈な快楽だけが、彼女を支配していた。
達する瞬間に、自分でも驚くほどの声を挙げていた。
背後の男、左隣の男──ふたり以外にも、気づかれてしまったかもしれない。
だが、夏海はそんなことよりも、身体中に広がった愉悦の残滓に身をゆだね、
とろけそうな気持ちに浸っていた。
「ふぁっ、はぁっ……」
──頭、真っ白だよぉ……。
友人が語っていたとおり──夏海の頭の中は、真っ白だった。
──これが、イく……わたし、イっちゃった……。
初めての絶頂──
背後の男──自分の通う中学で教師をしている竹下にされた、数々の淫らな
行為が、夏海にそれをもたらした。
人込みの中で中学生離れした乳房を曝し、幼いままの姿を留める秘処を曝し、
淫らな刺激を与えられて、ついに悦楽の頂点に達してしまった。
隣の男──彼が何者か夏海には判らなかったが、もしかしたら、彼もまた、
夏海を知っているのかもしれない。
その男には、何枚もの写真を撮られてしまった。あられもない姿を撮られて、
しかし夏海はそれにすら快感を覚えてしまっていた。
──わたし、ほんとに……エッチな子……。
崩れ落ちそうにな身体は、竹下によって支えられている。竹下は右腕で腰を、
左腕で胴を抱え、夏海の身体を抱きとめていた。
尻に押しつけられていた竹下のモノは、硬さを失い、存在感を消していた。
尻から腰にかけて浴びせられた、大量の粘液の感覚だけが残っている。
左隣の男のモノも、ぐにゃりと軟らかく変化していた。
だが、握っていた手の中は、大量の精液で満たされている。
──やだ、わたし……!
じょじょに静まってゆく官能とは反対に、正常な理性が回復しはじめていた。
──わたし、こんなこと……やだぁ……!
身体が震えた。
昂ぶりが治まると、純粋な羞恥と、強い恐怖が再び頭をもたげてきた。
「おつかれさま、夏海ちゃん……」
竹下が耳元で囁いた。
反射的に身を強張らせ、隣の男のモノを握っていた手を引っ込めた。
──どうしよう、どうしよう……!
意識が飛びかけるほどの快楽の中でも、かろうじて携帯電話は握ったままで
いられたようだ。
腰には、べっとりと竹下の精液が付着している。浴衣にも染み込んでいるのは
判らないわけがなかった。
左手は見知らぬ男の精液でどろどろに濡れている。
浴衣の裾は下りていたが、乳房は曝したままで──
竹下は夏海の身体を抱いたまま、浴衣の襟を正してやる。
大きすぎる彼女の乳房はそれを容易にはさせてくれなかったが、今は一刻も
早くそうしてやるべきだった。
──恥ずかしいんだね、夏海ちゃん……震えてるよ。
ひと時だけの責めで、這い上がれぬほどにまで彼女を沈ませられるなどとは、
彼も考えてはいなかった。
──これから、少しずつ、仕立ててあげるからね……。
強引にはだけさせたがゆえ、綺麗に元通りというわけにはいかないだろう。
浴衣の腰には精液も付着している。これからまた友人たちと合流し──という
わけにはいかないだろう。
彼女の家はもちろん知っている。
──送っていってあげるからね……。
もし、出迎えに父親が現れたとしても、気にすることはない。
自分は教師だ──ひとりで人込みの中を右往左往していた彼女を保護したのだ
とでもいえば問題ない。
彼女の泣き顔は、友人たちとはぐれた所為だ。浴衣が乱れているのは、熱さと
慣れぬ和服の扱いを知らぬ所為だ──
どうとでもいえる。
少なくとも表面上は、彼はまっとうな教師なのだから──
そろそろ自分の脚で立てるようになった夏海から手を離し、剥き出しのまま
だった性器をしまうと、ポケットからハンカチを出して彼女の手に握らせた。
夏海は素直に受け取り、しばらくそのまま握っていたが、やがてごしごしと
手のひらを拭きはじめた。
弘輝は久しぶりの射精感に満たされていた。
自分のモノをいそいそと引っ込める。
急速に萎えたそれと同様に、次第に昂ぶりも治まり、罪悪感が顔を出してきた。
──やっちまった……やべぇなぁ……。
だが──彼は最高級の満足感も味わっていた。
まだ中学一年生の少女──近所に住む、おっとりとした雰囲気の純粋そうな
女の子に、自分のペニスを握らせて、大量の精を放ったのだ。
彼自身のモノにもまとわりついていて不快だが──そんなことは大したこと
ではない。
──この子……なつみちゃんか……。
横目で窺う。
彼女はまだ震えていた。
背後の男が身体を抱えながら、彼女の浴衣の乱れを正していた。
──さすがに、正気に戻ったみたいだな……。
彼女の震えは、もう快楽のそれではないようだ。
しかし、つい先ほどまでは確かに歓喜に震えていたのだ。
──あいつ……俺のことも気づいてたよな?
弘輝は、彼女の背後の男が何者なのか知らない。
自分が彼女の手を引き寄せたことは、もちろんその男には判ったはずだ。
自分が彼女に自分を握らせ、手のひらに射精したことも、気づいただろう。
──独り占めする気はないってか?
わずかな嫉妬が揺らめき、舌打ちする。
──まぁいいさ、この子は俺の近所に住んでるんだ。いつだって……。
手を出そうと思えば出せる──そうほくそえんだ。
弘輝の特殊な、異常な性的嗜好を満たしてくれるであろう少女に──自分の
欲望をすべてぶつける日を思い描いていた。
花火大会は、クライマックスだった。
続けざまにスターマインが打ち上げられる。
どれほどの資金がかけられているのか、夏海は知らない。
数ヶ月前まで彼女が暮らしていた都会の大花火大会とは、花火の量も観客の
数も、比較にならないほどだった。
だが、この町とその周辺に暮らす人々にとって、年に一度の恒例行事として
根付いているのだろう。
町の鎮守の、年に一度の例祭に合わせた、奉納花火大会──
祭りとは、神聖なものなのだろうと夏海は思う。
性行為も、神聖なものなのだろうと彼女は思う。
けれど、自分は──
そんな神聖なものを冒涜するかのように、男の愛撫に身をゆだね、淫らに喘ぎ、
達してしまった──
──わたし……エッチな子だよぉ……。
友人からのメールを読み、夏海は息をついた。
彼女らがどこにいるのか、メールの文面だけではよく判らなかった。
判ったとしても、ひとりで暗い人込みの中を掻き分けて歩くのは難儀だろう。
それに──浴衣が乱れている。
竹下が襟を戻してくれたといっても、整えられたわけではない。浴衣で胸を
隠したというだけにすぎなかった。
腰から尻にかけて、彼の精液がまとわりついている。浴衣にも染みている。
こんな姿を、友人たちに見られるわけにはいかなかった。
『やっぱり場所よくわかんないよ〜。終わったらひとりで帰るね。心配かけて
ごめんね〜』
普段どおりの文面と変わらぬよう、無理に言葉を選んで打ち込んだ。
正常な判断力を取り戻した夏海の心は、絶望感に打ちひしがれていた。
身体にはまだ快楽の残滓が漂い、ほんの今し方まで続いていた快楽が現実の
ものであったことを──そして、それに酔いしれていた自分が確かに存在して
いたことを理解させた。
──わたし、どうなっちゃうのかな……。
未知の世界に足を踏み入れる不安──
転居することを父親から知らされた日──
引越しを終えてからの日々──
中学校の入学式──
どれも不安でいっぱいだった。
──もっと、すごいこと……。
竹下の言葉が思い返され、不安になる。
隣の男に撮られた写真──それも彼女を不安にさせる。
──きっと、わたし……もっともっと、エッチになっちゃうんだ……。
それは──いいことなのだろうか。悪いことなのだろうか──
気持ちよかった──たまらなく気持ちよかった。
興奮した──怖いくらいに興奮していた。
だが、不安とは、期待の裏返しなのだ──
夏海は閃光に埋め尽くされた夏の夜空をぼうっと見上げながら、これから
自分がどうなってしまうのか──不安と、しかし、強い好奇心と、確かな期待
とが、心を支配しているのを意識していた。