数学準備室は四階──彼女ら一年生の教室のひとつ上にあった。  
 夏海は階段を一段一段ゆっくりと昇った。  
 胸が大きく揺れ、乳首がこすれて快感を覚えてしまう。  
 スカートが揺れて、潤んだ秘処が心細かった。  
 四階は二年生の教室も並んでいる。  
 多くの上級生たちも授業を終えて、帰りはじめていた。  
 何人かの二年生とすれ違う。  
 彼らの多くも夏海の名を知っていた。とんでもなく胸の大きな新入生がいる  
ということを──  
 普段ならなかなか眼にすることもないのだが、その女子が自分たちのエリア  
である、四階に上がってゆく。  
 四階には、数学準備室の他にも音楽室や視聴覚室など、特別教室がいくつか  
並んでいる。そこへ向かっているのだろうか。だが、もう授業は終わっている  
はずだし、今日は部活もないはずだ──  
 それにしても大きな胸だ──そんな好奇の視線が夏海を震わせる。  
──恥ずかしい……やらしいよぉ……。  
 羞恥に昂ぶる自分は、淫らな少女だ。  
 恥ずかしい姿で登校し、大切なところを濡らしている。  
 しかも、これから自分は、あの男に──  
「どうぞ」  
 すりガラスの填められたドアをノックすると、竹下の声が返ってきた。  
 夏海は引き戸を開け、中に入った。  
「いらっしゃい、佐伯さん」  
 竹下はコンビニ弁当を広げて箸で抓んでいた。  
「そこ閉めて……鍵もね」  
 夏海はうつむいたまま、言われたとおりにドアを閉めて施錠した。  
──わたし……おかしいよ……。  
 数学準備室は、数学に使われるさまざまな道具が保管されている。  
 といっても、数学で使うものはそれほど多くはない。  
 キャスターつきのホワイトボード、黒板用のコンパス、大きな定規、図形や  
立方体を説明するための模型などが収められている。  
 いくつかの机が置かれ、二台のコンピュータと、一台のプリンタとスキャナ、  
プリントや教科書、参考書などが詰め込まれた棚がある。  
 一般の教室の半分程度の床面積しかなく、棚やホワイトボードのおかげで、  
狭苦しい印象を受けた。  
「いい子だ、佐伯さん──いや、夏海ちゃん」  
 竹下の声が変わった。  
 さっきまで授業をしていた、教師の声ではなかった。ねばっこく、よどんだ  
声音だった。  
 本性を表した──あの夜の男に戻ったのだと、夏海は直感する。  
「こっちにおいで、夏海ちゃん。お腹が空いていないかい?」  
 夏海はドアの前から動けなかった。  
 覚悟は決めていた。  
 自分はこれから竹下に責められるのだろう。あの夜のように責め立てられ、  
官能に飲み込まれてしまうのだろうと──  
「恥ずかしいんだね……授業中も、すごく恥ずかしかったんでしょう?」  
 夏海はうつむいたままだ。  
「答案が出てこなくて困ったね……いや、もう気づいてるかな?」  
 あれはやはり竹下の仕込みだった──夏海の予想は間違っていなかった。  
「でも、本当は望んでいるんでしょう? エッチな気分になって、気持ちよく  
なりたいんでしょう?」  
 竹下の言うとおりだった。  
 ずっと燻り、一度は炎を上げてしまった疼きを、解き放ってほしい──そう  
思ってしまっているのだ。  
 だが──理性はまだ懸命に抗っていた。  
 こんな男の言いなりになってはいけない。欲望に屈してはいけない。自我を  
保ち、劣情を抑え込まねばいけないと──  
 
 準備室に現れた夏海は、まだ躊躇しているようだった。  
――いきなり積極的でも興覚めだしね……これぐらいがちょうどいい。  
 竹下は仮面を脱ぎ捨てていた。  
 今はもう誰にも見られやしない。教師の顔をしている必要はないのだ。  
 竹下は箸を置いて腰を浮かせ、そばにあった椅子を引き寄せた。  
「そんなとこにいないで、こっちにおいで」  
 犬や猫でも呼ぶかのように、椅子をぽんぽんと叩く。  
 夏海は動かない。  
 彼女は小さく震えていた。  
 夏海は、今から自分が受けるであろう羞恥と快楽に、怯えながらも期待して  
いるはずだ。  
 あのときのように、自分にもてあそばれ、達してしまいたいと思っているに  
違いない――  
「サンドウィッチがあるよ……食べるかい?」  
 夏海は首を横に振った。  
 竹下はやれやれという顔で立ち上がり、夏海のほうへと向けて歩きだす。  
「食べないと……大きくなれないよ?」  
 言いながら、彼女の大きすぎる膨らみに眼を向ける。  
 夏海は身を強張らせている。  
 ゆっくり近づいて、手を伸ばす──  
 夏海はびくっと身を竦めて一歩下がる。  
 彼女の背中がドアにぶつかって、がたんと音がした。  
「まぁ、夏海ちゃんは今でもじゅうぶん大きいけどね」  
 顔を背けて縮こまった夏海の、細い顎の下に指をそえた。  
 指に力を籠めると、彼女はわずかに抗ったが、観念したように顔を上げる。  
 可愛らしい顔が恥辱にゆがんでいた。  
――いい顔だ……。  
 竹下の嗜虐心がそそられ、口元がゆがむ。  
「夏海ちゃんは可愛いなぁ」  
 本当にそう思う。  
 あどけない顔は、これほどの膨らみを持つ少女とは思えない。  
 彼女の背丈は、長身というわけでもない竹下の、肩までしかない。  
 華奢な四肢は容易く折れてしまいそうで、繊細なガラス細工のようだ。  
 うっすらと日焼けした肌は朱に染まり、官能を浮かび上がらせている。  
 短くされたスカートの裾は、健康的な細い腿を半分も隠していない。  
 それらすべてが、竹下の劣情を刺激する麻薬のような魅力を備えていた。  
 彼の淫猥な部分には、すでに欲望の熱がとくとくと注ぎ込まれ、着衣の下で  
むくりと首をもたげていた。  
 竹下はにやりと笑う。  
「夏海ちゃんは……どうしてここへ来たのかな?」  
 夏海は竹下に怨みの篭った眼を向けた。  
「先生が……」  
 竹下は満足げに二、三度頷く。  
「僕が……呼んだから? それとも――」  
 顎にそえた指を、ゆっくりと頬へ滑らせる。  
 汗が浮いていているのは、気温のせいだけではない。彼女自身の身体が熱を  
発しているからだ。  
「僕が……いいことをしてくれると思ったからかな?」  
「――っ!」  
「僕はここで待ってたけど……夏海ちゃんが来なくても、何かしようだなんて  
思ってなかったんだけどなぁ。メールにも、何も書かなかったでしょう?」  
「──っ!?」  
 夏海は硬直していた。  
 竹下は、にたりと笑い、手を引いた。  
 最後に送ったメールには、待っていると書いただけだ。来なければどうなる  
というような言葉は、入れていなかったのだ。  
「そんなに期待されてたら……僕も応えてあげないとねぇ……」  
「やっ、だって……」  
 縋るような眼を向けてきた夏海に口をゆがめて笑うと、くるりと背を向けた。  
 
 竹下は夏海に背を向け、足早にもといたところへと戻っていった。  
 その隙に、逃げようと思えば逃げられただろう。  
 だが、夏海は脚が竦んでしまって動けなかった。  
──そうだよ……そんなこと、書いてなかった……。  
 またしても、自分の愚かさが怨めしかった。  
 竹下は隣の机に乗せられていたバッグに手を入れ、手のひらほどの大きさの  
銀色に光る四角い何かを取り出した。  
 ぴぴっという電子音がして、竹下がそれをこちらに向けた。  
──やだっ……!  
 竹下が手にしていたのは、小型のデジタルカメラだった。  
 夏海は全身から血の気が引くような──しかし同時に、身体中の血液が沸騰  
するような想いに駆られた。  
「夏海ちゃん……そのまま動かないで、こっちを向いて……」  
 彼は顔の前にそれを翳す。  
 小さなレンズが突き出していて、じじじ、とピントを合わせる音がした。  
 夏海は顔を背ける。  
「ほら……そんなんじゃ、可愛い顔がちゃんと写らないよ?」  
 言いながら、竹下はシャッターボタンを押す。  
 かしゃりという乾いた合成音が鳴った。  
──やだっ、やだぁ……。  
 夏海は動けない。  
 逃げ出してしまいたいのに身体がいうことを聞いてくれない。  
「夏海ちゃんの、エッチな姿を撮ってあげるからね」  
 続けざまにシャッターを切る音が鳴る。  
 窓には白いカーテンが引かれている。夏海がいる部屋の奥はやや薄暗いが、  
真夏の真昼の日差しは強烈で、撮影に支障が出ない程度の明るさはあった。  
 窓は全開になっているのに、カーテンはほとんど揺れていない。  
 よどんだ蒸し暑い空気が室内を満たし、竹下のそばに置かれた扇風機だけが、  
涼を取る唯一の手段だった。  
「こっちへおいでよ。そんなところじゃ風も届かないでしょう?」  
 首を振っている扇風機が、竹下の短い髪を揺らしている。  
 夏海のほうへもわずかに風を送るが、涼しさを感じられるほどではなかった。  
「身体が火照って暑いんでしょう?」  
 夏海は悔しさに顔をゆがめる。  
 自分の身体が熱いのは、気温の所為だけではないのだ。  
 竹下に指示されて、ブラジャーもショーツも身に着けていない。スカートを  
短くして、太腿を露出している。  
 クラスメイトたちの視線に激しい羞恥を覚え、消せない疼きが刺激された。  
 トイレで自慰をしてしまった。最後まで達しはしなかったが、学校でそんな  
ことをしてしまったのだ。  
 すべてが夏海の身体を昂ぶらせている。  
 シャッター音が耳に届くたびに、ますます昂ぶってゆく──  
 制服のブラウスは、華奢な身体に似合わぬ大きすぎる膨らみで盛り上がって  
いて、ソフトカップの当てられたキャミソールは、滲み出す汗で肌にべとりと  
張りついている。双丘の谷底を、汗が流れ落ちてゆく。  
 普段とは比べ物にならないほどに短いスカートが、わずかに揺らいでいる。  
 その下には何もない。一本の恥毛もない秘処が剥き出しにされている。  
 そしてそこは、朝からずっと続いていた羞恥に疼き、滴り落ちそうなほどに  
露をたたえてぐっしょりと濡れていた。  
「夏海ちゃん……あのとき、写真撮られて……どんな気分だった?」  
「──っ!」  
「恥ずかしいのに感じちゃったんだよね? おっぱいも、おまんこも撮られて、  
いっぱいエッチになっちゃったんでしょう?」  
 竹下が容赦ないセリフを突きつけてくる。  
「また、あんなふうに……エッチになりたいと思ってるんでしょう?」  
「やっ……うぅ……」  
──そんなこと……わたし……。  
 だが、否定できなかった。竹下の言うとおりだったのだ。  
 
「制服のボタン……外せるね?」  
「うっ……」  
「夏海ちゃんはエッチだから……できるよね?」  
──わたし……エッチ……。  
 夏海はうつむいたまま、ちらりと竹下を見た。  
 彼はいやらしい笑みを浮かべながら、レンズをこちらへ向けていた。  
──また撮られちゃう……。  
 あのときように、恥ずかしい写真を撮られてしまう。  
 しかし、すでに何枚も撮られてしまっているのだ。いまさら抗ったところで、  
どんな意味があるというのだろう──  
──エッチだよぉ……わたし、やらしいよぉ……。  
「リボンは解かないで……ボタンだけ外して、前をはだけるんだよ」  
 竹下の声は夏海を優しく刺激する。  
「ちゃんとできたら、ご褒美をあげよう……素敵なご褒美をね」  
──ご褒美……? あのときみたく……気持ちよく……。  
 快楽に導いてくれるのだろうか。絶頂を味わわせてくれるのだろうか──  
 そんなふうに考えてしまう。  
 夏海は竹下に飲み込まれていた。  
 あれから一週間──夏海は何度も自慰をした。何度も絶頂を味わった。  
 だが、竹下から与えられた快楽には及ばなかった。  
 制服のボタンを外せば、あのときの恍惚に再び浸れるのかもしれない──  
 夏海は両腕を上げ、胸元に寄せた。  
 指先でボタンを抓み、ひとつずつ外してゆく。  
「いい子だ、夏海ちゃん……」  
 指が震えて思うように動かせない。  
 何度もボタンから指が滑ってしまう。  
「そう、ゆっくりでいいんだよ……」  
 言いながら竹下はシャッターを切る。  
 ボタンが外されるたび、大きな胸を覆っていたブラウスが自然に開いてゆき、  
パッドの入ったキャミソールが露になる。  
 豊かな谷間が晒されゆく。  
「大きいね……ほんとに大きなおっぱいだ……」  
 かしゃり、かしゃり、とシャッターの音が響く。  
──見られてる……先生に、わたしのおっぱい……撮られてる……。  
 ボタンをすべて外し終えた。  
 ブラウスがはだけ、白いキャミソールだけが夏海の肌を隠している。  
「次はどうすればいいか、判るかい?」  
──次は……キャミ……。  
 夏海は汗の染みたキャミソールの裾を掴む。  
──キャミを……捲っちゃう……。  
 夏海の腕が再び持ち上げられてゆく。  
「そうだよ、夏海ちゃん……いい子だ」  
 キャミソールの裾がスカートから引き出され、彼女の細い腰が露になった。  
 白い肌はほんのりと赤みを帯び、じっとりと汗ばんでいて、小学生のような  
腰つきに似合わぬ艶めかしさを感じさせる。  
 可愛らしく窪んだ臍が晒されている。  
──エッチだよぉ……。  
 シャッター音に鼓膜が震えると、それにすら夏海の官能は刺激される。  
 さらに腕を引き上げる──  
 大きな膨らみのすぐ下まで露になる。  
「夏海ちゃんはエッチだ……自分でおっぱいを見せちゃうんだね……」  
「あぅ……」  
 夏海はびくっと震えて手が止まる。  
「さぁ、見せて……夏海ちゃんのおっぱい……大きな、素敵なおっぱい、僕に  
見せてごらん」  
──先生に、見せちゃう……おっぱい……。  
 夏海は震えながら腕を持ち上げた。  
 中学一年生とは思えない──小学生のような華奢な身体からは想像できない  
膨らみが、ゆっくりと露になってゆく。  
 
 きめ細かな瑞々しい張りに満ちた肌が、大きすぎる乳房を成形している。  
 こんもりと、御椀を伏せたような形に盛り上がった膨らみは、重力の影響を  
まったく受けていないかのようだ。  
 その天辺に座した淡い桜色の突起は、小豆ほどの大きさすらないというのに、  
きゅっと尖って彼女の緊張と官能を表している。  
 夏海が荒く息をするたび、双丘はふるふると揺れ、突端もぴくぴくと震えて  
いるようだった。  
──見せちゃった……おっぱい、出しちゃった……。  
 キャミソールを胸の上まで捲り上げ、夏海は自分で乳房を曝け出した。  
 あの日は竹下に強引にはだけられたが、今は自分で曝してしまったのだ。  
 自分はなんといやらしい子になってしまったのだろう──そうは思うのに、  
激しく昂ぶってしまい、もっと大きな官能を求めてしまっていた。  
「すごいよ、夏海ちゃん……やっぱり夏海ちゃんのおっぱいは最高だ……」  
 竹下が何度もシャッターを切る。  
 自分の眼で見ながら、液晶画面でも見ながら──竹下は夏海の乳房を網膜と  
デジタルカメラのメモリーに焼き付けた。  
「夏海ちゃん……こっちにおいで。そのまま、こっちに来なさい」  
「……」  
 夏海はうつむいたまま、ゆっくりと歩きだした。  
 一歩、二歩──準備室の中ほどまで進む。  
 ドアのそばよりも強い明るさに、脚が止まってしまった。  
──恥ずかしい……エッチだよぉ……。  
「夏海ちゃん、顔を上げて……可愛い顔を見せてごらん」  
 夏海は恐る恐る顔を上げた。  
 潤んだ眼で、上目遣いに竹下を見る。  
 竹下は口を大きくゆがめて笑っていた。  
 眼は夏海の身体中を舐め回すように動いている。よどんで暗く濁っている。  
──先生……。  
 かつての夏海なら、そんな眼を見たら逃げ出していただろう。悲鳴を上げた  
かもしれない。  
 だが、今の夏海は、竹下のそんな卑しい眼にすらも興奮を覚えてしまう。  
 剥き出しの秘処から、とくとくと蜜があふれてくる。  
 腿の内側にまで、滴っているのではないか──  
「この次は……どうしたらいいのかな?」  
 竹下が笑う──いや、彼はずっと笑っている。  
──次は……スカート……。  
 一番大切なところ、もっとも恥ずかしいところを曝せと言っている。  
「夏海ちゃんはいい子だ……判るね?」  
「はい……」  
「おっぱいはそのままだよ?」  
「うぅ……はい」  
 夏海は頷き、捲り上げたキャミソールを胸の上で左手で押さえると、右手を  
下ろした。  
 扇風機の風がスカートを揺らす。  
 スカートの裾を掴んだ。  
──こっちも……おまんこも、見せちゃう……。  
 誰にも見られたくないはずの、その部分を、自分で曝してしまうのだ。  
──わたし……エッチだもん……。  
 短くされたスカートを、ゆっくりと持ち上げてゆく。  
 半分以上が露になっていた細くしなやかな太腿が、さらに曝け出されてゆく。  
「そう、下も……見せてごらん」  
 竹下の声にびくりと震え、しかし、夏海は手を止めずに持ち上げてしまう。  
 腿の付け根までが曝されて──  
 夏海の、つるりとした子供のままの下腹部が露になった。  
 
 なだらかな丸みを帯びた下腹部には、股の間へと伸びる裂け目が覗える。  
 その始点には、薄い皮膚に覆われて、ぷくりとした小さな蕾が覗いている。  
 周りには、柔らかな産毛が並んでいるだけで、恥毛と呼べるほどのものは、  
ただの一本も見られない。  
 子供のようなその部分だが、秘裂の周囲はぬるりとした液体でしとどに濡れ、  
腿の付け根までもがぬめりを帯びて光っている。  
──見られちゃってるよぉ……。  
 竹下はそこに眼を向けている。  
 デジタルカメラの背面も見ながら、シャッターを何度か切っている。  
──恥ずかしい……撮られてる……。  
 自分の一番恥ずかしいところを、写真に収められている。  
 それが夏海をさらに刺激する──  
「いっぱい濡れてるね、夏海ちゃん……ぐしょぐしょだ」  
「うぅっ……」  
 そんなこと、夏海は判っている。言われるまでもない。  
 そう──竹下はもちろん解って言っているのだろう。  
 竹下はありとあらゆる手段で自分を責め立てるつもりなのだ。  
 そして、自分はそれを望んでいる──  
「少し脚を開こうか……」  
「あっ……うぅ」  
 竹下が腰を屈めて膝を突く。  
 夏海は彼のを意図を察して竦んでしまう。  
──やだっ……あそこ、おまんこ……写真に……。  
 あの夜──自分は何枚もの写真を撮られてしまった。携帯電話のLEDランプ  
程度では、きちんと撮れていなかっただろう。  
 しかし今、強い光の射す部屋で撮られれば──  
 触れられてもいないのに、身体がびくんと震えた。  
 竹下の視線と、カメラのレンズが向けられているだけなのだ。  
 それなのに、夏海の身体は快感を覚えてしまう。  
──やらしいよぉ……気持ちいい……。  
 幼い秘処がひくひくと蠢いているようだった。  
 蜜がとろとろとあふれだすのが判る。  
「ほら、できるよね?」  
 竹下が促す。  
 夏海は頷いて、右脚を少しだけ外に滑らせた。  
 続いて左脚も──ぴたりと閉ざされていた秘裂が、わずかに口を弛める。  
 と──  
「あぅっ……!」  
 ぽたっ、と足元から音がした。  
「うわぁ……すごいね、夏海ちゃん……」  
 その音は、夏海の耳にも届いていた。  
──垂れたっ……垂れちゃったぁ……!  
 あふれすぎた淫らな露が、ついに零れ落ちたのだ。  
「垂れちゃうほどに濡れてたんだ……エッチだなぁ」  
 竹下は膝を突き、滴り落ちた雫に濡れた床をカメラに収める。  
「ほら、また垂れた……」  
 夏海は眼を開けていられなかった。  
 身体中が燃え上がりそうなほどに熱い。  
 秘処がさらに蜜をあふれさせ、ぽたり、ぽたりと零れる音が続く。  
「なんてエッチなんだ……まるでおもらしだ……」  
「あぁぅ……」  
 竹下の言葉が夏海の羞恥をいっそう掻き立て、官能はますます昂ぶる。  
──わたし、やらしい……エッチで、こんなに……。  
 露になった大きな乳房がぷるぷると揺れる。  
 剥き出しの秘処が刺激を求めて蜜を滴らせる。  
「あっ、あぅっ!」  
 竹下のカメラが、夏海の大切なところに向けられた。  
「綺麗だよ、夏海ちゃん……」  
 夏海の未熟で穢れのない割れ目が電子データに変換され、メモリーに次々と  
保存されていった。  
 
「うぅ……ふぁっ……」  
 シャッターが切られるたびに、夏海は艶めかしく身をよじった。  
──気持ちいいよぉ……。  
 夏海の身体は、シャッター音にすら快楽を覚えてしまっている。  
 子供のものと見紛うほどのつるりとした秘処からは、淫らな露が驚くほどに  
あふれ、滴り落ちて床を濡らしている。  
 あの夜以上に、夏海はそこを濡らしていた。  
──きっと、ずっとわたし……エッチだったから……。  
 午前中、四時間以上にわたって受け続けた激しい羞恥と疼きが、夏海の身に  
異変を起こしていた。  
 あの夜以上に、夏海の幼い身体は刺激を求めていた。  
──いじってほしい……この前みたく、気持ちよくしてほしいよぉ……。  
 だが、自分からそんな言葉を口にはできない。  
 竹下の仕打ちに淫らに昂ぶりながらも、夏海はその言葉に躊躇いを覚える。  
──やだ……恥ずかしい、そんなの……。  
 身体を火照らせ、昂ぶらせていても、わずかな理性が歯止めをかけていた。  
 
 
「どうしたの? そんな顔して……」  
「うぅ……先生……」  
 夏海の子供っぽい顔は、艶めかしく淫らにゆがんでいた。  
 竹下は、あのとき見ることのできなかったそこを、じっくりと堪能した。  
──想像以上だよ、夏海ちゃん……。  
 彼女の下腹部には、一本の恥毛もなかった。  
 あの夜、そこに触れて判っていたことだったが、視覚は人間の五感の八割を  
占めるといわれるだけあって、異常な興奮をもたらしてくれた。  
 ぴたりと閉ざされた下の唇も、ちょこんと顔を出した蕾も──  
 彼女が脚を開き、緩んだ唇から雫が滴り落ちたことも、竹下の興奮を激しく  
掻き立てた。  
「なんだい? 言いたいことがあるなら、はっきり言わないと……」  
「うっ……んぅ……」  
 竹下には、彼女が触れられたがっていることは解っていた。  
 カメラのシャッターボタンを押すたびに、夏海は身体をくねらせた。  
 ぎゅっと閉じられた眼には、涙があふれていた。  
 薄く開かれた小さな唇は、艶めかしい吐息をもらしている。  
 赤く染まった頬はひくひくと震えて、刺激を待ちわびているようだった。  
──まだだよ、夏海ちゃん……もっと焦らしてあげる……。  
 あの夜──竹下は劣情に駆り立てられ、欲望のおもむくまま彼女を責めた。  
 だが、今日は違う。  
 あの日のような、直接的な肉体への刺激は、最後まで取っておこうと思って  
いたのだ。  
 夏海を焦らし、彼女自身がその言葉を口にするまで、触れないつもりだった。  
──本当は僕だって、今すぐにでも触ってあげたいんだよ?  
 彼女の身体は、彼の理想そのものだ。  
 同級生たちと比べてとりわけあどけない顔立ち。幼い子供のような、小柄で  
華奢、女性らしさのほとんど表れていない、未成熟な身体つき。  
 それとは対照的に、大人の女性でも羨むような大きな乳房。  
 わずかな発毛も見られない、つるりとした恥丘。  
 たっぷりと蜜をたたえた未開花の秘唇──  
 どれもが彼の求めていたものだった。  
 身体だけではない──  
 彼の責めへの反応も、羞恥に昂ぶる性質も、すべて彼の望みどおりのものを  
備えた少女だった。  
 難があるとすれば、彼女とはまるで性質の異なる少女と親しいというぐらい  
だろうか。  
 今朝も夏海とともに登校していた、河合冬香という名の少女──  
 詳しく知っているわけではない。背が高く、大人っぽい雰囲気と、無邪気な  
子供のようなところを兼ね備えた少女だというぐらいだ。  
 頭も切れるようだし、悪い印象を持たれてはならない──  
 彼が以前、彼女の友人を助けしたのは、そんな思いも働いていたからだった。  
 
「うーん……ほんと、どこ行っちゃったんだ……?」  
 冬香は一組の教室に戻り、途方に暮れていた。  
 今まで座っていた席に、夏海のバッグは置かれたままだった。  
「あ、美和……どうだった?」  
「いないね。まだ学校の中みたい」  
「なっちん、どうしたのかなぁ?」  
 美和と千歳が心配そうな顔で現れた。  
 ふたりは、昇降口まで降りて彼女の靴があることを確認してきたのだ。  
「まだトイレってことはないよね?」  
「それはない。あたし、出てからずっと待ってて見てたもん」  
 冬香は用を足してから、ずっとトイレの中にいた。  
 すべてのドアから生徒が出て、別の生徒が入ってゆくのを見ている。  
 トイレにいる可能性はゼロだ。  
「隠れてたとか……」  
「なんのために?」  
 千歳のセリフに呆れた顔を返す。  
「他の子が入ってったんだよ? その人はなに、夏海がいるのにするわけ?」  
「そっかぁ……」  
 本当に、どこへ行ってしまったのだろう──  
 夏海はブラジャーを着けていない。ショーツまで着けていないことを冬香は  
知らなかったが、それでも、夏海の怯えたような恥じらいを見ていた彼女には、  
夏海があちこち歩き回っているとも考えられなかった。  
 メールを送ってみたが、携帯電話はバッグの中で震えていた。  
 先生に呼び出されたのか、別の誰かと一緒にいるのか──  
 だとしても、冬香たちにひとことあってもよさそうなものだ。  
 冬香たちは、夏海が竹下の前で肌を曝し、淫靡な昂ぶりに陶酔しているとは  
思いもしなかった。  
 
 
「夏海ちゃんの可愛いおまんこ……もっとよく見せてほしいよ」  
「あぅ……」  
──もっと、見られちゃう……。  
 自分でもしっかりと見たことのないその部分──鏡に写してみようと思った  
こともあったが、恥ずかしくてできなかった。  
 そこを、見られてしまっている──夏祭りの夜、未知の官能の世界へ自分を  
引きずり込んだ男に、すべてを見られてしまっている。  
 自分はもう彼の言いなりになってしまっている。彼にもっと刺激されたいと  
思ってしまっている。  
 あふれた雫が、腿を伝い落ちてゆく。  
 いったいどれほど濡れているのだろう──  
 そこが、こんなにも濡れてしまうものなのだと、夏海は知らなかった。  
「夏海ちゃんは、すっごく濡れやすいんだねぇ……これは、濡れやすいなんて  
もんじゃない……普通の子は、こんなにならないよ?」  
「あぁぅ……」  
「きっと、夏海ちゃんがすごくエッチだからだね……おまんこから、おもらし  
したみたいに愛液をあふれさせちゃう、とってもエッチな子なんだよ」  
 竹下の卑猥な言葉に、夏海の身体が反応する。  
 ぷるぷると震えて、とろとろと蜜をあふれさせてしまう。  
「ほら、また出てきたよ。すごいなぁ、夏海ちゃんのおまんこ……」  
 竹下がシャッターを切る。  
「エッチな子は、いっぱい濡れちゃうんだよ……夏海ちゃんがすごくエッチな  
女の子だっていう証拠だね」  
「うぅ、わたし……」  
──そうなんだ……わたし、そんなにエッチなんだ……。  
 夏海は竹下の言葉を、疑いも持たずに鵜呑みにしてしまう。  
 疑う余地などない。  
 あの夜も、今も──竹下の言葉どおりに淫らに昂ぶっていたのだから。  
 
──わたし、どうなっちゃうの……?  
 あの夜撮られた写真と、今撮られている写真──  
 夏海の恥ずかしい姿が何枚もの画像データとして竹下の手にあるのだ。  
 これから先、自分はずっと彼の言うまま、恥ずかしいことをさせられ続ける  
のだろうか。  
 そして、そのたびに昂ぶり、淫らな露をあふれさせてしまうのだろうか──  
「そうだ……そこに腰掛けてもらおうかな」  
 竹下が壁際の机を指差した。  
「机に座って、脚を大きく開くんだよ……できるね?」  
「えっ……」  
──脚を……広げちゃう……。  
 そんなことをすれば、自分の一番恥ずかしいところが丸見えになってしまう。  
 そんな格好など──  
──見られたい……おまんこ、エッチな格好……。  
 かすかな理性が、ダメだと叫んでいる。流されてはいけないと。  
 だが、夏海にはその声が届いていなかった。  
 届いていたのならば、自らキャミソールとスカートを捲り上げ、恥ずかしい  
姿を撮影されるままになどしていなかっただろう。  
 夏海はふらふらと机へと歩み寄った。  
──揺れてる……おっぱい……。  
 夏海が歩くと、剥き出しの乳房が大きく揺れた。  
 肌は上気し、汗が滲んでいる。  
 キャミソールから手を離す──大きな乳房のおかげで、手を離してもそれは  
ずり落ちることはなかった。  
 机に手を突いて、ゆっくりと身体を回す。  
 尻を乗せるが、力が入らない。片手では身体が持ち上がらなかった。  
「両手を使いなさい」  
 竹下に眼を向けると、彼は頷いて言った。  
 もう片方の手をスカートから離す。  
 露になっていた下腹部が隠されるが、それも一時だけのことだ。  
 両手に力を籠めて身体を持ち上げ、机に尻を乗せる。  
──スカート、濡れちゃう……。  
 そのまま腰掛ければ、スカートが尻の下になり、あふれた蜜で濡れてしまう  
だろう。  
 夏海が上目遣いに眼を向けると、竹下はそれを察したのか、くすりと笑った。  
「夏海ちゃんのしたいようにすればいいんだよ?」  
 夏海は逡巡したが、スカートの後ろを持ち上げた。  
 尻を丸出しにして、机に腰掛けた。  
「いい子だ、夏海ちゃん……」  
──汚しちゃった……エッチなのが、机に……。  
 机の天板と、尻が触れ合っている。  
 ぐっしょりと濡れた股の付け根から、淫らな露が零れて机を汚す。  
「もっと深く座りなさい」  
「……はい」  
 身体をひねりながら尻を奥にすべらせてゆく。  
 蜜が机に付着し、てらてらとした跡を残す。  
「もっと奥に……壁にもたれて……」  
 さらに深く座ると、膝が机の端に引っかかる。  
「膝を立てて……体育座りをするんだ」  
 竹下が指示を出す。夏海は頷いて従う──  
 彼女の白い膝が持ち上がってゆく。  
 股の間に垂れたスカートが、そこを隠している。  
 竹下は何度もシャッターを切っている。自分が現れてから、いったい何枚の  
写真を彼は撮ったのだろう。もう何十枚も撮られているはずだ。  
 背中が壁に触れた。  
 夏海は体育座りの姿勢になる。両手は腰の横に突いたままで、大きな乳房が  
膝に触れそうになっていた。  
「さぁ……膝を開いて……脚を広げようね」  
 夏海の両脚が、ゆっくりと広げられてゆく。  
 シャッターが押されるたびに、抑えきれない衝動が夏海を襲う。  
 
 足先が肩幅にまで広げられた。  
──もっと……だよね……。  
 夏海は、あの夜よりも昂ぶっていた。  
 あの時とは違い、その場には夏海と竹下しかいない。  
 だが、今の夏海は、自分で肌を曝け出しているのだ。  
 大きな乳房を剥き出しにしたまま、股を広げようとしている。  
 触れていないのに、乳房と乳首からじわじわと快感が湧き立ってくる。  
 一度は曝してしまった秘処からも、じくじくと官能が広がってくる。  
「もっと広げて……そう、いっぱいにね」  
 竹下が見ている。写真を撮っている。  
──やらしいよぉ……。  
 夏海は荒く息を吐きながら、さらに股を広げてしまう。  
 膝を立てたまま大きく広げられた脚が、Mの字を描いている。  
 学校で、数学準備室で、机の上で、教師の前で、そんなはしたない姿をして  
いる自分は、なんていやらしい少女なのだろう──そう思うと、官能はさらに  
刺激され、秘処からとろとろと蜜をあふれさせてしまう。  
──開いてる……あそこ……。  
 秘裂がぱくりと口を開けているのが自分でも判る。  
 粗相をしてしまったかのように、びっしょりと濡れているのも判る。  
「スカート……どうすればいいのかな?」  
「あっ、うっ……スカート……」  
──スカート……捲って……見せちゃう……。  
 そんなところを見られてしまったら、何を言われても言い返せない。  
 いや──もうとっくに、言い訳も、口答えも通じるわけがないのだ。  
 夏海の細い指が、スカートにかかる。  
 震えながら引き上げてゆく。  
「見せて……夏海ちゃんの、エッチなおまんこ……」  
「あぅ……はい……」  
 そこに被さっていた紺色のプリーツスカートが捲り上げられた。  
 つるりとした子供のような恥丘に、ぷくりと膨れた蕾が顔を出している。  
 未熟な秘裂はあられもなく開かれ、たっぷり蜜をたたえたピンク色の粘膜を  
覗かせてしまっていた。  
 菊の花のような可憐なすぼまりまでもが露になり、零れた蜜に濡れている。  
 雫は机にも滴って、てらてらと光っていた。  
「夏海ちゃん……いやらしい格好だ……とってもエッチだよ」  
「あぁぅ……」  
「自分でおっぱい見せて、お尻の穴まで見せちゃって……」  
──お尻も……やだぁっ!  
 竹下の言葉に責め立てられ、それでも、夏海はそこを隠そうとしない。  
「夏海ちゃんはすごくエッチな女の子だ……いやらしい、変態中学生だね」  
──わたし、変態……エッチで、やらしい、変態中学生……。  
 中学生になって四ヶ月あまり──まだ十二歳の自分は、なんと淫らなことを  
しているのだろう。  
 ふと、冬香の顔が浮かぶ。  
──冬香ちゃん……ごめんね……わたし、変態なの……。  
 大切な友人をほっぽりだして、自分は官能に酔い痴れている──  
「変態中学生の夏海ちゃん……ほら、言ってごらん? わたしは変態中学生の  
佐伯夏海です……ってね」  
「やっ、そんな……」  
 卑しく笑いながら写真を撮り続ける竹下のセリフに、夏海は抗いようのない  
気持ちを覚えてしまう。  
「夏海ちゃんはエッチだから……言えるよね?」  
──そんな、恥ずかしいこと……。  
 言えるわけがない。口にすることなどできるわけがない──  
「ちゃんと言えたら、ご褒美をあげるよ……素敵なご褒美をね……」  
「ごほうび……?」  
「そう、ご褒美だ……夏海ちゃんがしてほしいこと、してあげる」  
──わたしの、してほしいこと……。  
 気持ちよくしてほしい──  
 あの夜のように、頭が真っ白になるほどの刺激を与えてほしかった。  
 
「わ、わたしは……」  
 夏海は口を開いた。  
「わたし……へんたい……変態、中学生……佐伯、夏海です……」  
──言っちゃった……言っちゃったぁっ!  
 それだけで、達してしまいそうな快楽が全身を駆け巡った。  
 直接触れて刺激されているのではないのに、夏海の身体はびくびくと震えて  
快楽を露にしてしまっていた。  
「よく言えました……いい子だね、夏海ちゃん」  
「ふぁ、あぁっ……」  
 艶めかしい声がもれてしまう。  
──やらしいよぉ……ご褒美……ほしいよぉ……。  
 悦楽の炎が身体中を燃え上がらせる。  
 身をよじって快楽に震える夏海を満足そうに見据えて、竹下が近づく。  
「もう一度、言ってごらん?」  
「やっ、あぅっ……」  
「もっと、気持ちよくなれるよ?」  
──もっと……気持ちよくなりたい……。  
 夏海は縋るような眼で竹下を見つめる。  
「わたしは……変態中学生……変態中学生の、佐伯夏海です……んぁっ!」  
 夏海の身体がびくんと弾けた。  
──やだっ、ほんとに……気持ちいいよぉ……!  
 夏海は暗示にかかったように快感を覚えていた。  
 どこにも触れていない。どこにも触れられていない。  
 それなのに、敏感なところはひくひくと疼いて快感を湧き起こすのだ。  
 触れられたら──いったいどれほどの快感になるのか想像もつかない。  
「いい子だ……ご褒美をあげなくちゃね……でも、その前に──」  
 竹下はカメラを操作し、撮影モードを変更した。  
「もう一度、言ってごらん?」  
「はい……」  
 静止画モードから、動画撮影モードへと切り替えられたカメラの液晶画面に、  
録画マークが表示された。  
「ちゃんと写してあげる……しっかり、撮ってあげるからね」  
「あ、あぅっ……!」  
 夏海にも、それが理解できた。  
 動画を撮られてしまうのだ。自分が、淫らな格好をして、いやらしい言葉を  
言うところを──  
「わ、わたし……わたしは……」  
 夏海は光を反射したレンズから眼が逸らせなかった。  
「変態です……変態、中学生……佐伯、夏海……です……」  
──言っちゃった……撮られちゃった……。  
 羞恥にゆがんだ顔も、華奢な身体に不釣合いな大きすぎる乳房も、しとどに  
濡れた未熟な秘処も、いやらしい言葉も──すべて動画に収められてしまった。  
「さぁ……見てみようか、夏海ちゃん」  
「えっ……?」  
 竹下は暗く笑いながら、カメラを裏返して液晶画面を夏海に向けた。  
 動画が再生される──  
『わ、わたし……わたしは……変態です……変態、中学生……佐伯、夏海……  
です……』  
「あぁっ、あぁぅっ……!」  
 乳房を剥き出しにし、股を広げて秘処を露にしたあられもない姿で、自分は  
淫らな言葉を口にしていた。  
──わたし……ほんとに変態だよぉっ……!  
 身体の震えが止まらなかった。  
 全身の火照りも、昂ぶりも、どうすることもできなかった。  
 すべてが限界だった──  
「先生……」  
「なんだい?」  
 夏海は潤んだ瞳で竹下に訴える──  
「ご褒美……ください……気持ちいいこと、してくださいっ……!」  
 竹下は満足そうに口を大きくゆがめて頷いた。  
 
「ひぁあっ! ひゃぅっ!」  
 ほんのわずかに竹下が触れただけで、夏海は弾けるように身をよじった。  
 一番敏感な小さな蕾──小指の先ほどしかないクリトリスは、夏海の全身に、  
突き上げるような快感をもたらした。  
──すごいっ、すごいよぉっ!  
 ずっと焦らされていた疼きが、やっと開放されたのだ。  
 二時間目のあと、夏海はトイレで自慰をしてしまった。  
 しかし、あのときは最後まで達することができなかった。  
──冬香ちゃん、ごめんね……ごめんなさいっ……!  
 友人が止めてくれたのだ。  
 自分では抑えられない欲望を、冬香が止めてくれたのに──  
「夏海ちゃんの写真……動画も、大切にするからね……」  
「あっ、んっ、ひぅ……!」  
「ずっとここ……いじってほしかったんでしょう? それとも……もう自分で  
いじっちゃったのかな?」  
「あぅっ! うっ……」  
──自分で……わたし、いじっちゃった……。  
 夏海の顔が大きくゆがむ。  
 竹下はそれを見逃さなかった。  
「ん〜? どうやら、図星みたいだねぇ」  
「あっ、あぁっ! ひぁッっ!」  
 にたにたと笑う竹下が、夏海の敏感な蕾に爪を立てた。  
「夏海ちゃんは、学校でオナニーしちゃったんだ……ほんとに変態だ……」  
「ひぅっ! 少し、だけ、ですっ……」  
「ふぅん……でも、少しだけでも、学校でオナニーなんて……ねぇ?」  
「ふぁッ、んっ……やっ、はぁぅっ!」  
──わたし、学校で……オナニーしちゃう……変態だよぉ……!  
 竹下の指と言葉が、夏海の身体をびくびくと弾ませる。  
 大きすぎるほどの乳房が、ぷるんぷるんと激しく揺れている。  
 淫らな蜜がとめどなくあふれて、机に滴り落ちている。  
 くちゅくちゅと、艶めかしい水音が響く。  
「ひゃぅっ、んっ、あっ、ひぅんッ!」  
 官能に侵され、理性を飛ばされて、夏海は艶めかしい喘ぎをあげ続ける。  
 窓は全開だ。四階とはいえ、こんなにも淫らな声をあげたら──  
「んッ、あっ……ひぃッ、んぅっ!」  
──もう、どうだっていい……気持ちいいもんっ……もう、すぐ……!  
 夏海は達してしまいそうだった。  
 責めている竹下にも、それは判っていた。  
「イっちゃいそうなんだね、夏海ちゃん?」  
「ふあぁっ、あッ、はいっ……イきそっ、ですぅっ!」  
 夏海は素直に答えてしまう。  
 抗う理性も、悔やむ気持ちも、欠片も残っていなかった。  
 ただただ、快楽に浸って、喘ぐだけだった。  
「イっていいよ、夏海ちゃん……イっちゃいなさい」  
「あっ、あぁッ! ひぅ、ふぁっ! ひんッ、んぅっ!」  
 竹下の指の動きが早まった。  
 夏海の秘肉を押さえつけ、小刻みに指先を震わせて刺激し続ける。  
──気持ちいいっ、すごいよぉ……イっちゃうよぉっ……!  
 身体の芯からとめどない快感が押し寄せてくる。  
 上体が反り返り、腰が浮いて、がくがくと震える。  
「ひぅっ、んッ、あぁッ!」  
 突き上げるような快感が、いくつも夏海を撃ち抜く。  
──もうダメっ、イっちゃうぅっ!  
 下腹部が痙攣するような感覚に襲われる。  
「イっちゃえ……変態中学生の、佐伯夏海……!」  
 快感が一気に膨れ上がり──  
「イっ、ひッ、イくッ、あぁぁっ──ッ!」  
 頭が真っ白になって──  
 夏海は絶頂とともに、意識を失った。  
 
──すごいよ、夏海ちゃん……。  
 夏海を指で刺激しはじめてからも撮り続けていたが、予想通り画像は激しく  
ぶれてしまっていた。  
 手ぶれ補正があっても追いつかないほどだったのだろう。  
「ふぅ……おつかれさま、夏海ちゃん……」  
 弾けるように背を反らした夏海は、机の上で壁にもたれてぐったりしていた。  
 だらしなく股を開き、呼吸に合わせて大きな乳房が揺れている。  
──失神しちゃうとはね……。  
 自分の与えた羞恥と刺激が、彼女の意識を飛ばすほどだったのだ。  
 それほどに気持ちよかったのかと、竹下は大いに満足する。  
 少女を責め立て、快楽に溺れさせることに大きな達成感を覚える彼の嗜好は、  
じゅうぶんに満たされた。  
 あとは、自分の滾りをどう治めるか──  
 竹下の股間ははちきれそうなほどに屹立している。  
 夏海をイかせたあと、彼女に手でしごかせるつもりでいたのだが、どうやら  
それは望めそうにない。  
 自らしごいて、意識のない彼女の乳房に精液をぶちまけようか──  
 眼を覚ました彼女は、きっと激しい羞恥に見舞われるだろう。  
──それはいいな……。  
 だが、夏海の今の体勢では、そこまで届かせるのも難しい。  
 竹下はカメラを置いて、夏海の身体に手を伸ばした。  
 華奢な身体に似合わぬ、大きな乳房に触れる。  
「んっ……」  
 夏海はうめきをもらしたが、眼は閉じたままだ。  
「ほんとに大きいねぇ……」  
 柔らかで、張りに満ちた乳房を揉む。  
 重量感にあふれ、汗で濡れた膨らみは、竹下の欲望を刺激する。  
 夏海は意識を取り戻さぬまま、ぴくぴくと震えた。  
 片手で乳房を揉みながら、もう片方の手を背に回し、細い身体を抱えて机に  
横たわらせた。  
「これでよし……さぁ、夏海ちゃん……僕のザーメンをかけてあげる……」  
 竹下はスラックスのジッパーを下ろし、下着の窓から、そそり立ったモノを  
取り出した。  
 ひくひくと脈打つそれを握り、しごきはじめる。  
「夏海ちゃん……エッチな夏海ちゃん……変態中学生の夏海ちゃん……」  
 うわ言のように呟きながら、竹下は自信を刺激し続けた。  
 夏海を責めながら自らも昂ぶっていた竹下は、すぐに限界に到達する。  
「あぁッ……出るよっ、夏海ちゃん……夏海ちゃん──ッ!」  
 下腹部に凝縮した快感が、炸裂した。  
 
 
「んっ……ふぁ……」  
 夏海はうめき、吐息をもらして眼を明けた。  
 部屋が九十度傾いていた──いや、自分が机に横たわっているのだ。  
 すぐ眼の前に、竹下が立っていた。  
 竹下は、腰の辺りで激しく手を動かしていた。  
 何をしているんだろうと思った瞬間──  
 竹下の赤黒い肉棒から、どろりとした白濁が勢いよく噴き出し、横たわった  
夏海の乳房に降り注いだ。  
「んぅ……」  
 夏海は呆けたようにそれを見つめていた。  
 剥き出しのままの大きな双丘に、べっとりとした粘液が浴びせられた。  
 それが、あの夜自分の腰と、左手に叩きつけられた男性の欲望の証なのだと  
夏海が気づいたのは、竹下が満足そうに大きく息をついてからだった。  
「あっ……あぅっ!?」  
「眼が覚めたみたいだね……変態中学生の、夏海ちゃん」  
 竹下の言葉がまだ朦朧としていた夏海の意識に浸透してゆく。  
「あぅ、うぅっ……!」  
 気を失うほどの快楽の余韻が、身体のあちこちで燻っていた。  
 剥き出しの秘処と乳房を手で隠す。どちらも、ねっとりと濡れていた。  
 
 夏海は、竹下が差し出したサンドウィッチを頬張っている。  
 冷房の利いた職員室にあったからだろうか、冷蔵庫に入れていたのだろうか、  
具のハムとレタスは、まだ少しひんやりとしていて、美味しかった。  
 ペットボトルの緑茶も、ぬるまってはいたが、渇いた喉を潤してくれた。  
 竹下が汚れた身体をタオルで拭いてくれた。  
 夏海はもう、きちんと制服を着ていた。  
 スカート丈は、いつもと同じぐらい──膝より少し上だった。  
 ブラウスには、キャミソールだけでなく、ブラジャーのラインも透けている。  
 夏海は今、ブラジャーを着け、ショーツも穿いていた。  
 それは竹下が用意していたもので、サイズはほぼぴったりだった。  
 あのときに、だいたいの予想はついたからね──と、彼は言った。  
 確かに彼は、今まで何人もの少女との経験のおかげで、ある程度のサイズを  
見極められるだけの知識があった──もちろん夏海はそれを知らない。  
──どうやって、買ったんだろう……。  
 通信販売だろうか。それとも、店で買ったのだろうか。  
 どちらにしても、夏海は竹下からの意外な贈り物だった。  
 父親が買ってきてくれたものとは違い、驚くほどに着け心地がよかった。  
──わたし……どうなっちゃうのかな……。  
 夏海がこの部屋に来てから、三十分ほどが経過していた。  
 竹下からとんでもない仕打ちを受けていながら、自分はこうして彼と昼食を  
摂り、下着まで受け取ってしまった。  
 サンドウィッチの最後のひと欠片を、緑茶で流し込む。  
 横目で竹下を覗うと、彼も最後のひと口を箸で運んだところだった。  
「ん……ごちそうさま」  
 竹下は行儀よく、箸を置いて手を合わせる。  
 ついさっきまでの卑しい男とは違う、教師の顔をしているように思えた。  
「夏海ちゃんも……ほら」  
「……ごちそうさまでした」  
 竹下に促され、夏海も手を合わせた。  
 竹下は満ち足りた顔をして、夏海のぶんのゴミもまとめて袋に入れた。  
「お茶は全部あげるよ。喉、渇いてるでしょう?」  
「……ありがとうございます」  
 ペットボトルをあおり、もう一度喉を潤した。  
「もう落ち着いたかい?」  
 落ち着かなかった。  
 淫らな気持ちは鎮まっていたが、親しくない者とふたりきりでいることに、  
夏海は慣れていない。しかも、竹下は自分をもてあそんだ男なのだ。  
「お友達が心配してるんじゃないかな?」  
「あっ……」  
 冬香たちはどうしているだろう──  
 冬香なら、自分を待っているかもしれない。探しているかもしれない。  
「うまく誤魔化してあげようか」  
 竹下は先ほどまでとはまるで違う、ごく自然な笑みを浮かべた。  
「ブラも着けてるし……困るでしょう?」  
 言われてみればそのとおりだ。このまま教室に戻っては、不自然だった。  
「夏海ちゃんには……そうだね、駐車場で待っててもらおうか」  
「駐車場、ですか」  
「うん。家まで車で送ってあげるよ」  
 竹下はバッグを手に立ち上がった。  
 夏海のあられもない姿を収めたカメラもその中にある。  
「じゃあ、行くよ」  
 彼はまだ何か考えているのではないかと夏海は不審に思う。  
 きっとこの男は、自分では見抜けないほどに、表面を装う能力があるに違い  
ない。今もまた、何か企んでいるのかもしれない。  
 迂闊に言いなりになっては、何をされるか解ったものではない。  
「だいじょうぶだよ、夏海ちゃん」  
「──っ!」  
 竹下の瞳が、暗く揺れた。  
 夏海は全身が硬直した。  
「今日はもうおしまい……続きはまた今度、ね?」  
 
 夏海が駐車場で待っていると、ほどなくして竹下が現れた──  
 彼は夏海のバッグを持っていた。  
 夏海が思ったとおり、冬香たちは教室で夏海の帰りを待っていたそうだ。  
 彼女らには、夏海は具合が悪くて保健室で横になっていたから、自分が車で  
送ると伝えたらしい。  
「暑いね……クーラー利くまで時間かかるけど、我慢してね」  
 車内は外気温より十度以上も暑いのではないかというほどの高温だった。  
 竹下がエンジンをかけてエアコンのスイッチを入れると、ダッシュボードの  
送風口から、熱風が吹き出してきた。  
 夏海はシートベルトを締めて膝に乗せたバッグを抱える。  
「さて……夏海ちゃん?」  
「──っ!」  
 こちらを向いた竹下は、破廉恥な男の顔をしていた。  
──やだっ、やっぱり……!?  
 小さな加速度がかかり、車が走り出す。  
「今日はどうだった? 失神しちゃうぐらい感じちゃったみたいだねぇ……」  
「あ、うっ……」  
 今ならまだ、逃げられる。駐車場を出る前に飛び降りれば──  
「ははは、冗談だよ……言ったでしょう? 今日はおしまいだって」  
 竹下はまた、仮面を被った。教師の仮面だ。  
──この人……怖い……。  
 誰でも、仮面を被っている──それはまだ中学生の夏海にも解る。  
 父親も、家では優しくも厳しい父親の仮面を被り、会社の人の前では家では  
見せたことのない仮面を被る。古い友人の前では、また別の仮面だった。  
 だが、これほどまで簡単に仮面を着け替えられる人間を、夏海は今まで見た  
ことがなかった。  
 一瞬で仮面が替わり、いつ牙を剥くか解らない──そんな恐怖を覚える。  
 夏海はバッグをぎゅっと抱き締めて震えそうな身体を慰めた。  
 車が駐車場を出て狭い車道に入る。  
 じょじょにエアコンが冷風を吐き出すようになるが、車内はまだ暑い。  
 本当にこのまま家に帰してもらえるか不安だったが、自宅が近づいてきた。  
 徒歩十分の距離は、車ではあっという間だった。  
「さぁ、着いたよ。確かこの奥だったよね」  
 今朝、夏海が近所の主婦と学生に出会ったところで、竹下は車を停めた。  
「それとも、これから僕とドライブでもするかい?」  
「あっ、あの……ありがとう、ございました……」  
 夏海は竹下の言葉を拒絶するように、うつむいたまま礼を述べる。  
「そのありがとうは……送ってあげたから? それとも……ご褒美のこと?」  
「──っ!」  
「冗談だよ……夏海ちゃんは本当に可愛いなぁ……」  
 愉快そうに笑う竹下の眼を、夏海は見ることができなかった。  
 触れたドアがひんやりとしていて、車内が涼しくなっていたことに気づく。  
 夏海はシートベルトを外し、バッグを抱えて車を降りた。  
「先生、ありがとうございました……」  
 もう一度礼をする。  
「それじゃあ、また明日ね」  
 夏海は走り去る車を見送った。  
 やっと、開放された──夏海は安堵でその場にへたり込みそうだった。  
──先生と……また、エッチなこと……。  
 学校で教師にもてあそばれ、達してしまった。  
 あの夜とは違い、自らそれを望んでしまった。  
 けれど、羞恥に疼いた身体が開放されたとき──竹下の指に秘処を責められ、  
とてつもない充足感を覚えたのも事実だった。  
──わたし、エッチだぁ……変態中学生だよぉ……。  
 きっとまた、竹下は自分に淫らなことをさせるのだろう。  
 今日のように、恥ずかしい格好をさせ、いやらしい言葉を言わせるのだろう。  
 もうひとりの男──あの夜、自分の写真を撮った人物は誰なのだろう。  
 その男にも、自分は──  
 ふらふらとしたおぼつかない足取りで、夏海は自宅へ向かった。  
 恥ずかしいところを包んでいる下着に、少しだけ心地よさを覚えていた。  
 

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