「みんな来たよ」  
 小さく身震いする。いよいよなんだ。胸の鼓動がいよいよ激しさを増していく。  
「じゃあ、いいね?」  
 優しい声だった。心配そうな顔。そう、もし彼女が今嫌だと言えば、彼はおそらくすべてを中止してくれるだろう。  
 それはわかっていた。そして、彼女の心の中には、ここから逃げ出してしまいたいという気持ちがあることも事実だった。  
 目を閉じて、深く息を吐く。  
 いまさら、何を考えているのか。これは、何もかも彼女の、自分自身の思いを遂げるために用意されたことなのだというのに。  
 顔を上げる。ドアの隙間からこちらを見ている彼に向かって、小さく頷いてみせる。自然と、その頬に柔らかな笑みが浮かんでいた。  
 山西は、彼女のその微笑みを見て、安心したように小さく息をつくと、ドアの向こうに姿を消した。  
 そして、ドアはすぐにまた開かれた。何かを囁きあう声がドアの向こうから聞こえてくる。たしか、全部で六人のはず。  
 最初に入ってきたのは、倉田だった。部屋に入ると、落ち着かない風に中を見回し、こっちを見て、小さく会釈をする。そして、ドアの脇に立つと、廊下に声をかけた。  
「おい、じゃあ、入れ」  
 祐子はグッと息を呑んだ。  
 
「失礼しまぁす」  
 小声でそう言いながら、みんなが入ってくる。緊張した面持ちで、倉田と同じように部屋の中を見回して、祐子の姿を見ると、会釈をし、そのまま壁際に整列するように並んで立っていく。  
祐子はサングラスの奥の瞳を凝らして、彼らの顔を盗み見た。全員野球部の一、二年生のはずだ。何度か祐子も学校であったことのある子もいるはず。名前までは知らないが、確かに見知った顔がある。ということは、向こうも祐子のことを知っている可能性があった。  
 大丈夫。祐子は自分にそう言い聞かせる。これだけ完璧に変装しているのだ。山西だって、全然わからないと言っていたではないか。  
 倉田を入れて六人が部屋の中に入ると、最後に山西が入ってきて、ドアを閉じた。  
 山西は、そっと祐子に目配せをすると、勇気づけるように頷いてみせる。  
「おい、倉田」  
 山西が声をかけると、倉田が、ほかの五人に声をかけ、場所を移動させる。元はこのレストランのミーティングルームだったらしい狭い部屋の中央に、コの字型に並べられた長机を取り囲むように、並んで立たせていく。  
「じゃあ、これでいいか」  
 倉田は、そう呟くと、部屋の隅でパイプ椅子に座っている祐子の方を見た。  
「あの、じゃ、始めて……」  
 気軽に言った風を装っていたが、声には緊張が滲んでいた。祐子は小さく身体を震わせると、山西の方を見る。入ってきたときのままでドアの脇で腕組みをして立っている山西が、小さく頷いた。  
「はぁ……」  
 いつの間にか止めていた息を吐いて、祐子は靴を脱いだ。ストッキングは着けていない。裸足の指先を床に下ろす。床の冷たさが変に心地よく、高ぶった祐子の気持ちを少し落ち着かせてくれた。  
 そして、彼女はゆっくりと立ち上がった。前方に机に沿って並んだみんながいる。コの字に並んだ長机は、祐子の側が開いている。その開いた側から祐子は裸足のままゆっくりと机の中に入っていく。  
 
机を挟んで六人の男の子たちに取り囲まれるような状態になったところで、祐子は立ち止まった。  
 ブラインドを少し開いてはいるものの、それでも室内は薄暗かった。しかし、サングラス越しでも祐子は周りに立つ少年たちの顔をはっきりと見ることができた。祐子は落ち着きなく彼らの顔をちらちらと盗み見ると、視線を床に落とした。  
 踏ん切りがつかない。やるべき事はわかっていても、身体が動かなかった。  
 誰も何も喋らなかった。十秒、二十秒、そして一分。祐子の周りに立ったままの少年たちがお互いの顔を見合わせ始める。  
「あの、サワさん、そろそろ……」  
 小さく咳払いをして、倉田が口を開いた。祐子の身体が小さく揺れる。  
「はい……」  
 消え入るような小さな声で答えると、無意識のうちに手が動き始めていた。ブラウスの胸元のボタンに指がかかると、すぐ脇に立っている少年がゴクッと喉を鳴らすのがわかった。  
 ボタンを外す。ひとつ。ふたつ。ブラウスの胸元が開き、白い肌がちらちらと覗き始める。  
 みっつ。ブラの一部が見えた。誰かが小さく息を吐いた。  
 よっつ。いつつ。スカートの下に入っていたブラウスの裾を引き出す。  
 むっつ。そして……ななつ。ブラウスのボタンがすべて外れた。祐子は視線を床に向けたまま一度深呼吸をする。深く息を吐き出すと同時に、左右に割れたブラウスの前を大きく開いて、両肩からそれを滑り落としていく。  
 片腕でブラの上から胸を押さえたまま、残った手で脱いだブラウスを横の机の上に置いた。そのすぐ脇に立っていた丸刈りで眼鏡の少年が、その脱ぎ捨てられたブラウスと目の前の半裸の祐子の姿とを目を丸くして交互に見ている。  
 ブラを腕で隠して俯いたまま、祐子はそっと視線を周囲に送った。六人の野球部員たちの視線が今間違いなく自分に注がれていることを確認する。  
 
「はぁ……」  
 もう一度、深く息を吐いて、祐子は片手を腰に当てた。スカートの脇のファスナーを探り当て、それを下ろす。昼下がりの廃レストランの一室に、ファスナーが開いていく小さな音が響いていく。  
 息が苦しくなってくる。祐子はもう一度今度は顔を上げて周りを見る。  
 みんな真剣な表情でこっちを見ている。その顔を見ながらブラの上から腕を下ろしていく。ブラに包まれた意外に大きな祐子の胸の膨らみを目にして、何人かの男子が目を見開くのがわかった。  
 さらに、祐子の手がスカートのホックを外して、それを足下に落としていくと、彼らの瞳が輝きを増していくのも。  
 脱いだスカートを床から拾い上げ、ブラウスの上に置くと、祐子はもう一度片腕で胸を隠して残った手を両脚の付け根に宛がう。視線は落ち着かなく、周囲に彷徨う。  
 皆が見ていた。ブラとショーツだけの祐子の姿を。  
 そのまま、祐子は視線を泳がす。ここにいるみんなが自分の姿とその動きに注目しているのがわかる。そして、彼らが何を望んでいるのかも。  
 こくっ……。祐子の喉が鳴る。剥き出しの肩に、背中に、そして、太股や、お腹に優しく空気が触れている。  
 見られている。  
 ほこりっぽいこの廃屋の部屋の空気以外に、鋭い視線が祐子の肌をちくちくと刺してくる。  
 部屋の中にぴりぴりとした緊張感が満ちていく。祐子は肩越しにちらりと振り返った。  
 山西がジッとこちらを見ていた。真剣なまなざし。  
(山西君……)  
 心の中で小さく彼の名を呼び、祐子は目を閉じた。  
 
 両手をゆるゆるとあげて背中に伸ばす。晒されたブラとショーツに周囲の注目が集まってくるのを感じながら、小さく震える指先がブラのホックを捉えた。  
 音はしない。ただ乳房を抑えたその圧力が不意に失われるがわかった。  
「あぁ……」  
 吐息とともに、片手で緩んだブラを押さえつけた。片方の肩紐がするりと肩から滑り落ちた。周囲の男子の誰かが身動きし、机が音を立てて小さく動く。  
 息が苦しくなってくる。  
 片手を支えを失ったブラの内側に忍び込ませて両方の膨らみを覆う。腕に押さえつけられた膨らみの上で、乳首がもう硬くなっているのが感じられた。  
 しっかりと乳房を抑えたままで、祐子はブラを身体から除いた。白いブラは、机に乗ったブラウスとスカートの上にそっと投げ出される。  
 息が苦しい。ギュッと胸を押し抱く腕は、激しさを増していく心臓の鼓動を感じ取っている。  
 目は閉じたまま。だが、周りの視線がどこに向いているのかはわかっていた。  
 息が苦しい。呼吸が今にも止まりそうな気がする。  
 祐子は、自分から息をするのを止めた。全身が緊張に硬くなる。  
 
 みんなが見ている。  
 みんなに見られている。  
 胸を押さえた腕に力がこもる。その腕を内側から突いている乳首の硬さが増していく。  
 手をどけないと。  
 わかっているけれど、動かせない。  
 手をどけろ。  
 みんながそう思っている。  
 わかっているのに、腕をどけられない。  
「サワさん」  
 後ろから声がかかった。山西の声。祐子は目を開いた。山西が用意してくれたレジャーシートの敷かれた床、そしてそれを踏みしめる自分のつま先が目に入る。  
 そうだ。私は……。  
「はぁぁ……」  
 止めていた息を吐き出すと、身体の硬直が溶けていく。腕が動く。静かだった室内に響めきが起こった。  
 両腕が力なく身体の脇に垂れた。俯いた祐子の視線に、白い膨らみが入っている。  
(これ……私の……おっぱい……)  
 周りの男子の様子が明らかにさっきまでと変わっているのが、そちらを見なくてもわかった。  
 見られている。  
 不意に、突き上げるような羞恥心が祐子の胸の奥に渦巻いてきた。剥き出しになった己の乳房。まろやかな膨らみ、淡いピンクの乳暈、そして、キュッと勃った乳首。そのすべてを今周りから六人の男の子たちに、手も届くくらいの近い距離から見られているのだ。  
 
「サワさん」  
 もう一度、山西が声をかけてきた。そうだ。まだ途中。祐子はちらりと彼の方を振り返った。その優しい瞳に勇気づけられて、祐子の手が再び力を取り戻す。  
 指が、腰のショーツの縁にかかる。両側から、腰骨の下までそれをずらしていく。机の向こうで少年たちが身じろぎする。あるものは腕組みをし、あるものは眼鏡を抑え、あるものは両手を目の前の机の上について身を乗り出していた。  
 ここで躊躇うと、もう続けることはできなくなりそうな気がして、祐子はゆっくりとではあるが手の動きを止めなかった。白いショーツが、まるで薄皮のようにヒップから剥がされていく。そして、昨日バスルームで丹念に手入れをした淡い柔毛が外気に揺れていく。  
「は、はぁ……はぁっ……」  
 息が苦しい。剥き出しになったヒップの肌が敏感に空気の流れを感じ取っている。  
 ショーツの底の部分が、身体から離れていくのがわかった。両脚の狭間を空気がすり抜けていく。  
 上体を倒してショーツをさらに引き下げていく。太股を滑り抜け、膝、そして、ふくらはぎ、くるぶし……ショーツがゆっくりと祐子の足を撫でながら抜け落ちていく。  
 足先から小さく丸まった最後の下着を取り除くと、祐子はそれを片方の手のひらに隠すようにしっかりと握りしめたまま、身体を起こした。  
 ともすれば胸と股間を隠しそうになる両腕を、しっかりと身体の脇に付けて、祐子は瞳をそっと閉じた。  
「はっ、ハァ……はっ……」  
 狭い室内には祐子の息づかいと、少年たちの喉を鳴らす音だけが聞こえた。  
 
 これは、現実なのだろうか。自ら創り出した暗闇の中で不意に祐子は思う。全裸で、男の子たちに囲まれて立っているなんて。  
 自分が今、何も身に付けていないことは、素肌を無遠慮に撫でてくる小さな空気のそよぎから間違いなかった。でも、ここは、もしかしたら、シャトーの中なんかじゃなく、自分の部屋の中なんじゃないだろうか。  
 いや、そうではない。目を閉じたままでも、祐子はその事をはっきりと知ることができた。  
 周囲から聞こえる物音。自分のではない昂ぶった息づかい。何よりも、祐子の全身が嘗め回すような、突き刺さるような容赦のない視線をはっきりと知覚していた。  
 剥き出しの二の腕。  
 ヒクヒクと小さく動くお腹。  
 白い肌から呼吸にあわせてうっすらと浮き出す肋骨。  
 小刻みに震える膝。  
 身体の動きに合わせて微かに揺れる乳房。  
 なんの刺激も受けていないのにキュッと見えない指に摘み上げられているように勃起していく乳首。  
 股間を盛り上げた恥丘を彩る細くウエーブのかかった柔毛の淡い茂み。  
 綺麗に手入れされ、恥丘の上以外産毛一本も残っていない両脚の付け根に、くっきりと刻み込まれた一筋の亀裂。  
 そのすべての上に、強い眼差しが注がれているのを、間違いなく感じ取ることができた。  
 
 少年たちは、ただ呆然と、目の前に現れた美しい裸身を見つめていた。倉田もまた、本来の自分の役目を忘れ、祐子の浄妙な裸体に見とれてしまっていたが、我を取り戻すと、すぐに視線をドアの傍に立ったままの山西に向けた。  
 合図を送ると、山西が深く頷いた。それを確認して、倉田を口を開いた。  
「あ、えっ、では、あの、それでは、あー……サワさん。ここで、ポーズをお願いします。あの、え、M字を……」  
 掠れ裏返った倉田の声を聞いて、祐子の身体がビクリと震えた。もちろんそれは打ち合わせていたとおりの台詞だった。だが、祐子はまるで助けを求めるかのような表情で、ほぼ真正面の机の向こうに立っている倉田の顔を見ていた。  
「えっ……えっと、あの……」  
 祐子に見つめられ、倉田が狼狽えた。何か段取りを間違えたのかと、目で問いかけてくる。それがわかって、祐子は小さく首を振った。  
 そうだ。すべて、彼女のため。倉田は、愚かな火遊びの代償として堕胎費用を必要としているサワという女子大生を助けるために、  
そして、山西は、他の誰にも相談することも打ち明けることすらできない祐子の願望を達成させるために、親友の倉田を騙してまでこうして協力してくれているのだ。  
 祐子は、そっと下を見た。彼女のために用意されたレジャーシート。これは、その上でこうして立っているために準備されたわけではなかった。  
「ごめんなさい……」  
 小声で呟くと、祐子はそっと両脚を折っていった。シートの上にしゃがみ込むと、ヒップをそこに着けた。床の冷たさがシートを通してヒップに伝わってくる。  
 両脚を流し、シートの上に横座りの姿勢になると、祐子は上目遣いで周囲を見る。男の子たちが位置を変えている。みんな祐子の足先の方へ、肩をつきあわせるようにして集まっていた。  
 
 くっ……。唾を呑む。両手を後ろについて上体を起こす。乳房が小さく震える。膨らみの頂点で乳首はもう痛いくらいに勃起しきっていた。  
 両脚をそろえたまま、膝を正面に立てる。男の子たちが身を乗り出す。  
「はあぁ……」  
 熱く深い吐息を吐きながら、祐子は両膝を動かし始めた。ぴったりと閉じ合わせられていた膝が、ゆっくりと左右に開いていく。  
 ガタン!男の子たちの圧力で机が動く。彼らの真剣な表情、見開かれた目の奥に見え隠れする雄の欲望を感じ取り、祐子は僅かな怯えを覚えて思わず顔を背けていた。  
 祐子の脚が開いていく。それまで隠されていた太股の奥の部分が、外気に晒されていく。いつの間にかじっとりと汗ばんでいた内股に、冷たい空気が触れていく。  
「あぁ……」  
 祐子が動きを止めたとき、両膝はもう大きく割り裂かれ、そのしなやかな脚は美しいMの文字を描いていた。  
 
 全身が小刻みに震えていた。一体今、自分はどこまで見られているのだろうか。顔を背けたまま、とても今の自分の姿を己の目で確認することはできなかった。ただ、敏感な肌に触れる空気の動きが、直接目で見る以上に、祐子に今晒されている部分を教えてくれる。  
 少年たちは息を呑んで眼前で開帳されている美しくも淫らな光景に見入っていた。  
 彼らの半数以上にとっては、これが始めて見る大人の女性の秘部だった。  
 小さく盛り上がった恥丘の上以外、少しのむだ毛も残されてないそこは、深いクレヴァスがはっきりと刻まれているのが見て取れ、  
その狭間が両脚を大きく開いているため、ほんのりと口を開きかけ、内側の淡い朱色を覗かせ、そして、そのクレヴァス全体が、ねっとりと滑光らせている。  
 祐子は、全身が内側から炎を点されたように熱く火照っていくのを感じていた。白い肌がピンクに染まり、濃いメイクを施していても、その顔が紅潮しているのがはっきりとわかった。  
「あぁぁ……」  
 恥ずかしい。乳首が勃ってる。  
 恥ずかしい。あそこが濡れてる。  
 恥ずかしい。みんな、見られてる。  
 恥ずかしい。私、見られて……気持ちよくなってる……。  
 全身に抑えようのない昂ぶりが満ちていく。高まる興奮は、祐子の制御できる範囲を超えて、とどめよう無く広がっていく。  
 恥ずかしい。見ないで……み、み、見……て……。  
 両膝がまた少し大きく開いた。胸の鼓動が激しさを増す。  
 冷たい空気が、ヒップの奥の恥ずかしい場所を撫でていく。  
 恥ずかしい。もし、もう少し腰を浮かせたら、そこまで見られてしまう。秘められた排泄のための場所まで。  
「いやっ……」  
 小声で呟くと、祐子は腰の位置をずらして、軽くヒップを持ち上げた。  
 
 恥ずかしい。そんなところ、絶対に他人に見られたくはない。  
 恥ずかしい。だから見ないでほしい。見ないで……。  
 膝がまた少し開き、腰が浮く。  
「あぁ……もう……」  
 呟きが漏れる。全身が震える。そのとき、  
「あ、じゃ、じゃあ、そろそろ……かな」  
 倉田の声がした。その声が祐子に残されていた僅かな理性を引き戻した。反射的に、開かれていた両脚がすっと閉ざされる。  
「もう、このくらいで……おまえらもいいよな」  
 倉田の有無を言わせぬような勢いの問いかけに反対する声は起こらなかった。祐子は、立てた膝を抱え込むようにして座ったままその声を聞いていた。  
「まあ、なんていうか、スゴかったです。こいつらもいいもん見れたって満足してるみたいだし。なあ、おまえら?こんな美人の見せてもらえるなんて、ホントついてるぜ、おまえら」  
 倉田はそう言うと、後輩たちを呼び寄せた。  
「それじゃ、おつかれさま。あの、身体大事にね」  
 祐子にそう声をかけ、倉田はドアに向かう。少年たちは、まだシートの上にしゃがみ込んだままの祐子の方を名残惜しそうに振り返りながらその後を追う。  
 終わった。祐子は小さく息をつく。終わったのだ。これで。まだ、乱れた鼓動は収まっていない。身体も熱く火照ったままだ。でも、終わった。  
 終わり。終わり?  
 祐子はそっと振り返った。倉田がドアの脇に立つ山西に小さく手を挙げて何かを囁いている。後ろに並んだ彼の後輩たちの何人かはまだ祐子の背中をジッと見つめたままだった。  
 終わり。これで終わりなの?  
 祐子は山西を見た。山西は、ずっと祐子の方を睨むように見つめていた。  
(山西君……)  
 心の中で、祐子は彼の名を呼んだ。救いを求めるように。  
「じゃあな」  
 倉田がドアのノブを握る。その手を、山西が押さえた。  
「待てよ」  
 低い声が、部屋に響いた……  
 

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