病院の検査は全て必然性のあるもので、私が上半身裸にさせられたことだって必要なことなんだ。  
まして、私の身体に万一の病気があったなら、それが手遅れにならないうちに発見できるなら、本当に感謝しないといけない。  
でも、でも、……でも!  
 
裸のまま運動させられて!  
胸を丸出しにさせられて、隠すこともできなくて!  
胸だって……はしたないくらい揺れて……////!  
せめて医者だったら気にしないでくれたらいいのに、研修医のみんなも、担当の光田先生だって、……男の目をして「愉しんで」いた!  
 
目尻に涙が溜まるのを感じた。喉が締まる。  
ああ、私「泣きかけ」なんだ……。  
気を緩めたら、この人たちの前で、泣いてしまう……。  
 
運動の検査を終えた私は、そのままベッドに寝転ぶように指示された。  
まだまだ息が上がっている私は、そのまま何とか落ち着こうとしていた。  
身体的な疲労と、精神的な緊張を癒したかった。  
まだまだ、胸は隠せない……。  
 
光田「心拍数の回復が早いですね。心臓自体はなかなか強い方ですね」  
裸の背中からの汗がじんわりと、ベッドのシーツに染み込んでいく。額の汗もまだ止まらない。  
研修医の人たちは、じーっと私の方を見ている。だから心電図の波形の方を見ろっつーの!  
 
光田「お疲れさまでした。しばらくこの検査室でお待ちください」  
そういうと、担当医の光田先生も、たくさんいた研修医の人たちも、みんな外に出て行った。  
これで検査室に残っているのは、仁藤さんだっけ……検査機器メーカーの技術者さんだけが残った。  
 
仁藤さん……病院関係者ですらないのに、私はこの男の人に裸を見られた。  
どうして、病院関係者ですらない人を検査に立ち会わせてしまうのか、この病院の無配慮が恨めしかった。  
 
私は、仁藤さんの隣の検査室の丸椅子に腰掛けた。  
スーツをびしっと着た仁藤さんと、上半身裸のまま待たされている私は、隣り合って同じ方向を向いて座っていた。  
 
特に話すこともないし、二人とも黙って前を向いている。……何かきまずいので、仁藤さんの方を見てみた。  
仁藤さんは、ずっと目が泳いでいた。私の方を、私の胸を、ちらちらと見ては目を上に逸らせていた。  
そりゃあ、医者でもないんだし、女の裸を見慣れていなくても当然だよね。言っちゃあ悪いけど仁藤さん、あんまり女慣れしてなさそうだし……。  
仁藤さんを覗いてみる。目を逸らした。  
凄くウブな反応……。私の方が年下なのに、こんな反応をされてしまうと仁藤さんが可愛らしく思えてしまう。  
女の裸なんか見慣れたお医者さんや、私の裸にただただ興味本位な視線を向けていた研修医たちとは違う、ある意味ごく普通な反応だった。  
よくよく考えたら、私だけが上半身裸で男の人と二人きりだなんてとても危険な状況なのに、心が無理矢理余裕を持とうとしているみたいだった。  
 
「あの……」  
私は、仁藤さんに話しかけた。散々見られてきた胸は、隠さないままだ。  
「は、はい……!」  
仁藤さんは畏まった返事をした。  
そんなに動揺しなくてもいいのに、私の裸くらいで……(相手に恐縮されると私の方がつい遠慮してしまう)。  
「仁藤さんは、検査機器メーカーにお勤めなんですか?」  
「あ、はい……」  
あ、今生唾飲んだ。仁藤さんの方が緊張してる……。  
あはっ、何か可愛いなあ。  
「何っていう会社ですか?」  
「え、えーっと、◯◯医機です」  
「へえー、……何かかっこいいですね」  
私は裸のままで、次々に仁藤さんに会話を持ちかける。仁藤さんは話しかけられている手前、私の方に顔を向けないわけにはいかない。  
わあー、男の人ってほんとに胸が気になるんだなあ……。  
……また乳首立っちゃいそうだよ。  
「あ、よ、よろしければ、名刺さしあげましょうか?」  
「あ、ありがとうございます」  
 
仁藤さんがスーツの内ポケットからプラスチックの名刺入れを取り出し、動揺で震える指で名刺を一枚取り出そうとしていた。  
そのとき、名刺入れが落下し、名刺が床に散らばった。  
「あ、す、すみません……」  
「い、いえ、お気になさらず……」  
私は咄嗟に立ち上がり、床に散らばる名刺を拾った。  
スパッツを穿いたお尻を突き出し、胸を下に垂れさせ、一枚一枚名刺を拾っていった。  
「はい、……」  
私は、座ったままの仁藤さんの正面に立ち、拾った名刺を渡した。  
裸の私の身体を、しっかりと仁藤さんに向けた。  
まるで私の裸を見せつけるかのように。もっとじっくりと見てもらいたいかのように。  
 
もう散々見られた身体だ、今更隠す理由もない。  
私の身体は、仁藤さんが手を伸ばせば届くくらいに近い。  
仁藤さんの正面に立ったまま、私は会話を続けた。  
「……今日はほんと疲れましたよ」  
「あ、ああ、お疲れさまだったね……」  
「最後、すごく早くベルトコンベアが回転するから、ほとんど走ってましたよ私」  
そう言いながら、腕を振ってオーバーアクション気味に走る動作をする。  
同時に、また軽く胸が揺れる。  
「そ、そうだったね……」  
仁藤さんは、顔をこっちに向けたまま目を逸らしている。  
もう〜、こっち向いてくださいよ。  
「まあ私走るの好きだから、ちょっと楽しかったですけど」  
「う、運動とかするの?」  
「え?あ、はい!ジョギングと腹筋をしてます」  
「ふ、腹筋……」  
仁藤さんは、視線を私のお腹に向けた。相変わらず、胸を見ようとは決してしてくれない。  
目線はやや下、私のおへその当たりに注目している。  
「腹筋はちゃんと鍛えてますから、ちょっとは堅いんですよ」  
「あ、そ、そうなんだ……」  
「……触ってみます?」  
今私、もの凄く大胆なことを言ってしまった。  
上半身裸のまま、男の人にお腹を触らせようとするなんて……。  
「え、あ、うん。じゃあ、……」  
仁藤さんの手が、私のお腹に近づいてくる。仁藤さんの表情が生き生きしている。  
ああ、この表情だ……。私の身体でこんな表情をしてくれるのが見たかったんだ。  
 
ぺたっ  
 
ひゃあ、凄くあったかい手……温度を感じたお腹に、少しだけ指先からの圧力がかかる。  
「あっ……」  
私の吐息が漏れた。  
仁藤さんの表情が、欲しかったおもちゃを手に取って眺める子供みたいだ。すごく、嬉しそう……。  
仁藤さんは、片手で私のお腹の色んな場所を触って、撫でている。  
「……ほ、ほんとだね。ちゃんと鍛えてるんだね」  
「油断するとすぐ体型変わっちゃいますからね〜」  
「偉いなあ、僕なんかメタボ一直線ですよ」  
「え〜、仁藤さん全然メタボに見えないですよ〜」  
「けど、いやほんと、引き締まってきれいだね……」  
仁藤さんの掌が、徐々に遠慮なく、私のお腹を撫で回していた。  
なんか、くすぐったい……お腹触られるだけで、なんか変な感じ……  
いやあ、おへそ触られたぁ!おへそはくすぐったいよぉ、  
ってか私おへそよわいんだから……つ、突っつくなあ……!  
 
「はぁ……はぁ……」  
息が上がってきてしまった。感じてしまったんだ。  
胸の先の剥き出しの性感帯が……乳首が、また固くなった。  
自分ででもこっそり乳首を触って、少しでも物足りなさを沈めたかった。……早い話が、触ってほしくなっていた。  
「……私、心臓が悪かったらどうしよう」  
私は、自分の手を自分の胸に当てた。自分の心臓の鼓動を手に感じた。  
「……まあ、悪くないことを祈るしかないよね。先生が今解析してくれてるだろうし」  
「……大丈夫ですよね?……仁藤さん、触ってみてください」  
「えっ!?」  
自分でも、えっ!?だ。どうして私は、男の人に身体を触らせたくなっているんだろう。  
しかも、今度は胸だ。  
仁藤さんの手が、私の乳房の間に伸びてきた。  
今度はしっかりと、視線が私の胸を捉えてくれている……!乳首、ばれちゃったな……。  
ふにっ  
仁藤さんの掌が私の胸に置かれた。乳房の膨らみ始めの当たりにも指が添えられた。  
 
ドクン、ドクン、  
 
「……仁藤さん」  
私は、まだまだおっかなびっくりな表情が消えない仁藤さんに話しかけ始めた。  
「……私、今日の検査、すごく恥ずかしかったんです」  
不穏な気配を感じたのか、仁藤さんの表情が強張った。  
仁藤さんは、私の胸に置いていた手を引っ込めた。  
「……裸にならないといけないし、胸も隠せないし、そんな状態で走らないといけないし、……胸は揺れるし、  
……そんな情けない私の姿を、色んな男の人に面白そうに見られるし……!」  
私の口調は、すこしずつ語気を強めていた。  
仁藤さんの表情が、お説教されている子供のように怯えていた。  
「なのに……!なのに……」  
私はそこで一旦口を噤んだ。飲み込んだ言葉は、「もっと見てほしいんです……!」だ。  
 
はっきり言ってしまうと、私は自分の身体に自信がある。  
胸はまあまあ大きいのに全然垂れていないし、ちゃんと鍛えているからくびれだってきれいだ。  
昔の話になるけれど、高校生のとき、友達と一緒に行った海で初めてビキニを着た日は、夏の解放感も相まってとても爽快だった。  
この身体を、引き締まったお腹を、形の良い胸を、堂々と見せてしまえることがとても気持ちよかったのだ。  
私の水着姿に、男の人の視線が集まってきた。すれ違う人の半分以上が、私の方を見るんだ。  
視線が集まることがこんなに気持ちいいなんて知らなかった。  
 
今日の検査も、裸にさせられたことはもちろん本当に恥ずかしいし今でも惨めな気持ちでいっぱいだけど、  
男の人たちが私の身体に視線を集めて、……私の身体で楽しんでくれたことは、それはそれで心地が良かったのだ。  
こういうのを、露出趣味っていうんだろうな……。まさか私にそんな趣味があったなんて……。  
初めてビキニを着たあの日の感覚が、こんな形で蘇ってしまった。  
 
私は、自分の身体を見せつけるように、仁藤さんの正面に裸で立っている。  
裸になるように要求されたから、必然性があっての裸なんだ。  
どうかな?私、結構いい身体ですよね?  
 
そして今私は、男の人に裸を見せつけたり、あまつさえ身体を触らせたりと、どれだけ自分を「いじめて」いることだろう。  
裸にさせられて、裸をじろじろ見られることの、屈辱と、快感。  
裸を見られるなんて本当に嫌なのに、今だって……本当に惨めで恥ずかしくて、地獄みたいに苦しいのに、  
その羞恥の不快感が、私に倒錯した愉悦をもたらしているみたいだ。  
嫌なのに、気持ちいい……。  
もっと辱められたい……もっと惨めになりたい……!  
単純に身体を触られたり、……もしも胸を揉んでもらったり、乳首を触ってもらったりしたら、それは純粋に性的な快感をもたらしてくれるだろう。  
快楽の虜になりたい……もっと惨めに、もっと淫らに、今の私の裸の状況を楽しみたい……!  
 
 
私は、発情した。  
 
 

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