お兄ちゃんと私。  
夏になると、日が落ちた頃に2人で近所の河原沿いをジョギングするのを、  
私が小1の頃からだからもう7年続けていることになる。  
お兄ちゃんが先頭。後ろからついていく私。  
 
今の季節は夏。  
お兄ちゃんは暑いとすぐ裸になる。  
男だから、外で裸になっても誰もあんまり気にしない。  
小4までは、私もお兄ちゃんの真似をして裸になっていた。  
暗いから、あんまり誰にも見つからなかった。  
 
小5になって、私の胸が膨らみ始めた。  
友達の中でもかなり早い方だ。ブラジャーをしないといけなくなった。  
だから、裸でジョギングするお兄ちゃんの後ろを、もう裸でついていくことができなくなった。  
私はそれが寂しかった。  
お兄ちゃんの真似ができないこと、裸で走るのに慣れていたから服が気持ち悪いこと、色々と不満だった。   
 
別に、裸を見られたいわけじゃない。  
外で裸になって運動する解放感を味わいたいだけだ。   
 
いつものように、裸の背中を向けて走るお兄ちゃんに、私は言った。  
「お兄ちゃん、今日は私も裸で走っていいかな?」  
お兄ちゃんの返事は待たなかった。もう私はシャツを脱いで、ブラジャーを外した。  
お兄ちゃんは自分のシャツは河原沿いの木の枝に掛ける。  
私のシャツも重ねて掛けた。ブラジャーは自分のシャツの中に入れて隠した。  
 
私はお兄ちゃんの後ろを走った。  
風を全身に直接感じる、風が気持ちいい。  
久しぶりの解放感。裸でいることの解放感。  
裸って、なんて気持ちいいんだろう……!  
 
 
結局、次の日からお兄ちゃんに止められたから、裸にはなれなかった。  
確かに、それはそうだろうとは思う。走っているときも、胸がゆさゆさ揺れて鬱陶しかった。  
やっぱり胸が膨らんでしまったら、女としての過ごし方をするべきなんだろう。   
 
でも、一年一回くらいは、裸で走ってもいいよね、お兄ちゃん?  
 

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