最近ジョギングを始めました。平日の午前、川沿いのジョギングロードに人は殆どいない。  
休憩ポイントで水を飲み、わざとそこに座った。  
やさしそうな老夫婦の目の前にだ。夫婦はシートを敷いてお茶をしてる。  
私は息を切らして座り込み、タオルで顔を拭く。  
 
「暑いですねぇ」  
「ええ、もう夏の陽気ですね、ハァハァ」  
「もうずいぶん走って来たのかい?」  
「丁度向こうの橋から、ハァ」  
「ええ!そりゃあ大変だ」  
 
たわいもない挨拶をする。  
 
「学生さんかい?」  
「はい。陸上部なんですよ」  
「へえ大したもんだ」  
 
足の裏を合わせ、膝を押して前かがみになるストレッチをする。  
胸元の開いたウェア、際どいジョギングパンツ。  
大股を開き膝を立て、両手を後方に、首を反り胸を張る。  
首筋から胸元へV字に広がるシャツの汗が乳房を形作る。乳首が突き出し浮かび上がる。  
首を戻しふぅっと一息し、ちらっと二人を見た。明らかに気付かない振りをしていた。  
おじいさんの視線が股間に落ちた。おばあさんもそれに気付いた。  
と言うか、おじいさんがそれに気付いたことに気付いたらしい。  
 
「お嬢さん、ちょっと足は閉じたほうがいいんじゃないかしら」  
「えっ?」  
「ほら、女の子だから…、ねえおじいさん」  
「あ、ああ…」  
「えっ?」  
「…ほらだって…」  
 
そう言ったおばあさんのあの目の感じ…。  
 
「きゃぁ」  
 
私はわざとらしく股間を押さえて隠した。  
 
「あたし…」  
「…」  
 
おばあさんの表情がこわばる。私はおじいさんを見つめ問いかけた。  
 
「おじいさんは…、見た?」  
「あ、いや、私は見ていないよ」  
「ハァハァ…、な、何を…?ハァハァ」  
「何をって…」  
「ハァハァ、こ、これだよ…」  
 
ジョギングパンツをずらして性器を晒す。  
 
「ほら、おまんこおまんこ!お、おっぱいも!ハァハァ」  
 
シャツをめくり胸を見せると、二人は言葉を失った。  
 
陸上部でも学生でも大してジョギングが好きでもない私は、立ち上がり走り去った。  
 
終  
 

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