『路種高校の体育教師で、女子バレーボール部顧問の福本大(ふくもとだい)容疑者が、今日逮捕されました。  
調べによると福本容疑者は、女子部員に対し、特訓と称して服を脱ぐように命令したり、猥褻な行為を繰り返していたとのことです』  
「……ねえ澄香、ひょっとして」  
「うん……」  
大学での友達の佐々木ちゃんの家で見ていたニュースの内容に、私は絶句してしまった。  
私は路種高校のバレーボール部出身で、福本先生が顧問だったからだ……。  
 
 
 
私、双葉澄香(ふたばすみか)はこう見えて、高校の頃はバリバリのバレーボール少女だった。  
女子バレーボール部の部員は毎年少なくて、卒業生や新入生などの部員の入れ替わりはあるものの、毎年ちょうど一チーム分の人数の6人しかいなかった。  
高校側からの扱いとしては弱小の部活扱いであり、予算もそこまでかけられていなかったはずだ。  
それでも、対外試合では決して弱くはなく、1年生のときはインターハイ出場まであと少しのところまで辿り着いていた。  
 
部活の顧問は福本先生。今どき珍しい、絵に描いた様な熱血タイプのスパルタコーチだった。  
本当に厳しい先生で、例えば私が疲れてへとへとになって倒れ込んでいたら、手にした竹刀でかなり強くお尻を叩かれたものだ。  
限界まで疲れ果てているときにお尻を強く叩かれるものだから、踏んだり蹴ったりで本当に泣きそうになるけれど(実際何度も泣いた)、  
お尻を叩かれることで身体が驚いて活性化するみたいで、何度も疲労の限界を越えて練習を続けてきた。  
そのおかげで、限界を乗り越える根性だけは身に付いた気がする。  
多分私は、バレーボールだけじゃなく、根性だけなら誰にも負けない。  
 
福本先生は普段は決して笑顔を見せなかった。インターハイに惜しくも落選したそのときだけ、「よく頑張った」と褒めてくれた。  
そのときに初めて、にっこりと微笑んでくれた。  
その後の年も対外試合の最終戦を終えたそのときだけ、福本先生は最高の笑顔で私たちを労ってくれた。  
厳しい先生だったけど、多分部員のみんなは福本先生を好きだったし、信頼していた。  
先生が必死だということ、私たちのために一生懸命に練習に付き合ってくれたことが、みんなわかっていたからだ。  
 
そんな福本先生が逮捕されてしまったのは、多分、福本先生があの「特訓」をまた行い、それに対して文句を言った人がいたからだろう。  
 
2年生のときの夏休み直前の日曜日、是欄高校との親善試合で惨敗してしまった後のことだった。  
是欄高校とは毎年親善試合をこの時期に行っていたが、はっきり言って私たち路種高女子バレー部の方が強かった。  
それがどういうわけか、この日はボロボロに負けてしまったのだ。  
 
自校の体育館に戻り、私たち部員は福本先生の前に横一列に整列した。  
「お前ら全員なっとらん!何だあの負け方は!」  
福本先生は激怒していた。私たちは1年生から3年生まで、6人全員がその怒声に身を竦めた。  
「今日のお前らからはやる気が全く感じられん!相手からのボールに飛びつく意欲も、相手に攻撃を叩き込む意欲もない!連携も最低だ!」  
恐い先生が怒っているということで、私たちは子犬のように怯えていた。  
 
福本先生は怒りながら、その日の一人一人の至らないポイントを指摘し始めた。  
「三輪、どうしてあそこでスパイクを決めなかった!?大チャンスだったじゃないか!」  
三輪芹奈(みわせりな)ちゃんーー私の一つ後輩で、このときはまだ入部したての1年生だった。  
芹奈ちゃんの動きが固いのは確かに私も気になっていた。  
「あ、あの……スパイクで手を上げたら、お腹が見えちゃうのが気になって……」  
おいおい……私は心の中でガクッとなった。  
芹奈ちゃんの体操服は、サイズを間違えたのか一回り小さくて、スパイクを撃つときはいつもおへそが丸見えになっている。  
福本先生以外はみんな女なんだし、そんなこと気にしていないと思っていたのに……。  
「集中力が足りないからだ!試合中に他のことに気を取られるな!例え服が脱げようともボールに食らいつけ!!」  
福本先生は、体操服越しに芹奈ちゃんのお腹に竹刀の先を軽く押し当て、ぐりぐりと押した。  
「双葉!お前はそのとき三輪の後ろにいたのに、何故ボールを拾えなかった!?ちゃんと援護しろ!連携がなってないぞ!」  
福本先生の竹刀が、今度は私の左肩にぐりぐりと押し当てられる。  
 
「お前達には集中力と連携が足らんことがわかった、今から特訓だ!」  
この日は体育館には他の運動部の部員も誰も入ってこないことになっていた。  
そこで福本先生が提案した特訓内容はーー  
 
「お前達、今からここで服を脱げ」  
 
「えっ?」  
もちろん私たちみんな、福本先生のその命令を聞き返した。  
「裸でも気にならないくらい集中できれば、試合でも少々服が捲れたって気にならんよなあ?」  
「で、でも……」  
「お前ら全員の団結を高める意味もある。あと、俺の指示に絶対服従させる意味もな」  
「服を脱ぐって、どこまで……ですか?」  
「全部だ!上半身も下半身も、下着も全部だ!シューズとソックス以外は全て脱いで、裸になれ!」  
「そんな……は、はだかなんて……」  
 
バアーン!!  
 
福本先生が近くの鉄戸を竹刀で思い切り叩いた。耳鳴りがするくらいに大きな音が響いた。  
「早くやれ!お前らに恥ずかしがっている暇などない!」  
 
私は隣の芹奈ちゃんと、もう片方の隣にいた斎川先輩とそれぞれ、顔を見合わせた。  
先生の命令は絶対だ。そして、私たちは福本先生の怒りに怯えきっていた。  
私は体操服の裾に手をかけ、恐る恐る捲り上げた。ブラジャーが完全に見えた。  
他のみんなも、ゆっくりと体操服を脱ごうとしている。  
最初に体操服を首から抜いて脱いだのは斎川先輩だった。私もそれに倣う。  
芹奈ちゃんも恐る恐る、顔を真っ赤にしながら体操服を脱いでいく。恥ずかしがっていたおへそどころか、ブラジャーが丸見えだ。  
みんな一様に、上半身ブラジャーだけの姿になった。私がそこで福本先生の顔色を窺おうとすると、  
「さっさと続けろ!裸になれと言ってるんだ!」  
また鋭く睨まれてしまった。  
福本先生に下着を見られるのは恥ずかしいけれど、ここまでは女子更衣室と変わらない。この時点では恥ずかしさよりも、どちらかというと恐怖と屈辱の方が強かった。  
次は穿いていたブルマに手をかける。  
みんなほとんど同じ様な動きで、そろそろと脱いでいく。私も名残惜しそうにブルマを足首から抜く。  
 
……ブラジャー。  
福本先生は微動だにせず、私たち6人を睨みつけている。早く脱げと目線で急かしている。  
福本先生の目線は全く嫌らしいものではなかった。だから、この裸の特訓も私たちの練習のためにやってくれているのは多分信じていい。だけど……。  
やっぱり胸を丸見えにさせてしまうことの恥ずかしさは拭えない。  
……後ろのホックに手をかける。手が震える。  
これを取ってしまえば、胸が丸出しになってしまう……腕をブラから抜き取り、私たちは上半身完全に裸になった。  
脱いだブラはゆっくりと丁寧に折り畳み、脱いだ体操服の上に重ねた。そして、それまで見えていた胸を、みんなすぐさま両腕で隠した。  
パンツ一枚だけの姿で、私たちは福本先生の前に整列していた。  
「……っく、ひっく、……」  
芹奈ちゃんが泣いている。私だって、恥ずかしくて屈辱で、泣きたかった。  
 
「続けろ!」  
福本先生が怒鳴った。  
とうとう、パンツだ……。全裸なんて友達にも滅多に見せないし、この部員にだってまだ見せたことはなかった。  
「……うぅっ」  
胸を露にし、パンツに指をかける。するすると脱ぐ。毛が、見えちゃった……。  
隣の芹奈ちゃんは涙を流しながら、腰を落としてパンツを脱いでいる。  
パンツを脱いでいる他のみんなの格好は、そのまま私の格好でもあるんだ……。  
私たちはパンツを脱いでいる。私たちは、……全裸になった。  
 
「身体を隠すな!気をつけ!」  
私たちは全裸で福本先生の前に整列している。  
「一度見せてしまえばどうってことはないだろう。お前達はこの『特訓』の間は、裸で練習に集中するんだ!」  
胸も、乳首も、股間も、何も隠すことができず、私たちは立っていた。  
着ているのは、シューズとソックスだけ。  
 
「練習開始!3・3に分かれろ!」  
それぞれのコートに向かって、駆け足でパタパタ走っていく。  
胸がぷるぷる揺れる……。6人全員の揺れる胸が、福本先生に見られている……とても屈辱的で恥ずかしい。  
ピッ!  
先生が笛を吹く。斎川先輩のサーブから練習が始まった。  
そのサーブはネットにぶつかって落ちた。斎川先輩の顔は半泣きで、とても今の全裸での練習に集中できないみたいだ。  
「斎川ぁっ!!」  
野太い怒鳴り声が響き渡った。斎川先輩は続けざまに二打目を放った。今度はネットを越えた。  
 
その球を私が、……ダメだ、走れない!  
いちいち揺れる胸が気になる!無防備なあそこが気になる!  
こんな広い体育館の中で全裸でバレーボールの練習するなんて、そんな恥ずかしいことできるわけない!!  
みんな、私を見ないで……福本先生、お願い見ないで!!  
「双葉ぁ!!気合入れろぉ!」  
ダメだ、ミスをすると福本先生がこっち向いちゃう……私の身体を見ちゃう。  
 
今度は、私のサーブ。  
腰を落として……ダメだ、あそこが見えちゃう!集中できない!  
みんなやっぱり集中できてない……何度かサーブやレシーブが繰り返されても、球はへろへろだ。  
「恥を捨てろ!集中しろ!球だけ見つめろ!!」  
今度の球は、私めがけていい位置に飛んで来た。  
もし普通に服を着ていたら強烈なスパイクを叩き込んでいるところなのに、  
……やっぱりダメだ、こんな格好では跳べない、腕を真っすぐ伸ばせない!!  
「双葉!胸ばかり気にするな!!気合い入れろ!」  
そんなの、無茶だよ!!  
 
「……双葉、こっち来い!」  
私は裸のままで、恐る恐る先生に近づいていく。  
先生は私にコートの方を向くように言い、先生は私の横に立った。  
先生は竹刀の先端を、……私の乳房の下に潜り込ませた。  
「ひぃっ、福本先生!」  
その竹刀は、私の胸を持ち上げては下ろし、何度も上下に揺さぶった。  
「ちょ、や、やめて……」  
先生は私の胸を、他のみんなにこれ見よがしに見せつけようとしている。  
私の胸が、みんなが注目する前で揺すられている。  
みんなの同情するような目が、かえって私の恥じらいを煽る……。  
「胸が気になるのか?これ以上胸が気になるようなら、もっと恥ずかしいことになるぞ!」  
竹刀の先端が私の乳首をこすった。そのくすぐったいような気持ちいいような強烈な刺激に、私は大きく身震いした。  
喉が締め付けられる。私も半泣きになっていた。  
 
 
時計が午後7時を回り、ようやく『特訓』が終わった。  
「今日はここまで!2日後にはさっそく合宿だが、合宿の5日間の練習は今の格好でやるからな!!」  
すっぽんぽんのままの私たちは思うように動けず、練習直後だというのに身震いするほど寒かった。  
みんなすすり泣いていた。もちろん私もーー。  
 
こんなことをされたというのに、どうして誰も根を上げなかったのかはわからない。  
あまりに過酷だったから、あまりに異常だったから、この特訓を乗り越えればきっと強くなれる、そう思い込むことにしていたのかもしれない。  
もしくは、福本先生がただひたすら恐くて、逆らえなかったからかもしれない。  
福本先生は私たちを女として見て楽しむためにあんなことをしたんじゃない。それだけは間違いない。  
だから、ここで投げ出したら、その1日の恥ずかしい思いも全て無駄になってしまうーー。  
 
合宿当日、女子部員全員が無事集合した。  
 
 
合宿は山奥の自然学校のはなれのペンションで行われた。  
ここの体育館と宿泊部屋だけが、この5日間で私たちが利用する部屋だ。  
 
私たちは、ここに来るまで着ていた制服のままで先生の前に整列した。  
「『特訓』開始だ。服を脱げ!今から下山するまで、お前達はずっと裸だ!」  
 
全員の脱衣が終わった。  
改めて、全裸で先生の前に気をつけの姿勢で整列する。  
 
まずは準備体操。  
腕を上に伸ばし、前に伸ばす。腕を伸ばすと無防備になる胸がやっぱり気になる。  
屈伸運動。膝を曲げ、ーー伸ばす。屈んだらもちろん、あそこが無防備に晒される。  
私は踏ん切りをつけるかのように、屈んだ姿勢のまま思い切り膝を伸ばした。  
跳躍。胸が揺れる。ぷるるん、ぷるるん、とみんなの胸が揺れる。  
……もちろん、みんなの表情が強張っていた。全ての動作が恥ずかしかった。  
 
次は二人一組での柔軟体操。私は後輩の芹奈ちゃんと組んだ。  
脚を閉じて座り、身体を前に倒す。芹奈ちゃんが背中から私の身体を押してくれる。  
次は、開脚。  
福本先生に向かって、大きく脚を広げて、あそこを丸見えにしていく……。  
「……っ、いやぁ……」  
ここに来て大きな羞恥心が湧き起こり、みんなゆっくりと脚を開いていく。  
私たちは、福本先生に向かってあそこを見せた。  
背中からまた、芹奈ちゃんが押してくれる。  
顔を上げるとすぐ顔のそばに芹奈ちゃんのあそこが見えた。  
次は私が芹奈ちゃんの背中を押した。芹奈ちゃんも至近距離で私のあそこを見たと思う。  
 
この酷く恥ずかしい準備体操も、ほとんど無事に終わりそうだった。  
ただ、馬跳びの馬になるのはどうしても恥ずかしかった。  
福本先生にお尻を向けて前屈みになるから、福本先生にあそこも、お尻の穴まで、全てを丸見えにしないといけない。  
ここで私と芹奈ちゃんは少しためらってしまった。  
 
「双葉!三輪!」  
福本先生の怒鳴り声が響いた。私たちは反射的に身体を縮こまらせる。  
「なにが恥ずかしいんだ!?あそこか?尻の穴か!?」  
ダメだ、恐くて、答えることもできない……。  
 
「二人とも、ここに膝をついて、四つん這いになれ!」  
「……いやぁっ!」  
そういいながらも、私たちはゆっくりと膝をついて、手をついた。  
 
お尻の穴に空気の感触。あそこが何にも覆われていない感触。  
ああ、私はとうとう、何もかもをみんなに見られてしまった……。  
今の私は、何も隠していない……。  
 
 
「次はランニングだ!体育館10周!!」  
最高学年の斎川先輩を先頭に、私たちは全裸のままで走った。  
 
不思議なもので、この頃には裸で運動することの違和感が殆ど消えていた。  
もちろんずっと恥ずかしいのだけど、裸でいることが自然になってきていた。  
 
「レシーブ練習開始!最初は斎川がスパイク台に上れ!残りはコートで受けろ!」  
ネットの横の高台に上り、斎川先輩がボールを構える。  
台の下からだったら、斎川先輩のあそこが丸見えになっている。  
この合宿で、部員全員のあそこを見ることになるんだろうなあ。そして、私も他の全員に見られちゃうんだ……。  
 
台の上から、斎川先輩がスパイクを放つ。  
強烈に叩き付けられる球。大きく揺れる斎川先輩の胸。  
私も思い切って球に飛びつく。  
 
 
だんだんとみんな、服を着ているときと同じ様な動きになってきた。徐々に息が上がってきた。  
全裸であることに、全裸でいることに、みんな慣れてきたのだ。  
 
次は私がスパイク台に上った。肩幅ほどに脚を開く。  
下のみんなから、もちろん福本先生からも、あそこが丸見えになっているーー。  
 
次の瞬間、私はもう少し脚を開いていた。下のみんなに、もっと良く見えるように。  
本当に不思議だった。このとき私は、みんなに私の恥ずかしい部分を、もっと見てほしくなっていたのだ。  
大切なチームメイトと、熱心に指導してくださるコーチに、全てを曝け出したいと思っていた。  
端から聞けばきっと異様だけど、この「身体の恥ずかしいところまで全てを見た、見られた」ということが、私たちの何よりの絆にだと感じるようになっていた。  
 
 
食事は先生が運んでくれる。食堂は無い。  
備え付けの椅子とテーブルを並べて、6人みんなで顔を合わせながら食べる。先生は食事のときは席を外した。  
この異様な『特訓』にみんなだいぶ慣れてきたとは言え、まだまだ緊張している。  
 
「この『特訓』で、私たちほんとに強くなるのかなあ……」  
同じ2年生の三船(みふね)ちゃんが口を開いた。  
「……福本先生を信じるしか、ないよ。けど、チームワークは良くなる気がする……」  
これが、この時点での私の感想だった。  
 
合宿はその後、練習→夕食→練習→入浴→就寝、と続いた。裸のままお風呂に入り、裸のまま布団に入った。  
2日目以降も、起床して朝食をとったら、ひたすら練習に打ち込んだ。  
 
もうみんな、全裸のまま運動することに何の抵抗も示さなくなっていた。  
全力で動き回るから、私ももう汗だくで、すっかり疲れ果ててしまう。  
「ダメ、もうダメ、動けない……」  
私は床に膝をつき、手をついた。四つん這いの姿勢で息を切らしていた。  
みんなにあそこを丸見えにさせているのに、もうそんなことは全然気にも留らなくなっていた。  
頭を下げているから、スパイク台の上にいる芹奈ちゃんの陰毛やあそこも、三船ちゃんの引き締まったお尻とそこから覗くあそこも、みんな丸見えだーー。  
 
「双葉あ!バテるにはまだ早いぞ!!」  
福本先生の竹刀が、ぴしゃりと私のお尻を叩く。  
でも、もうほんとに動けない……  
「ひゃぁああ!!」  
福本先生が、竹刀を私のあそこにこすりつけていた。  
「まだ動けないというのか!?」  
最後に竹刀がクリトリスをかすった。  
私はびっくりして飛び起きてしまった。息も切れ切れだったけれど、私は力の入らない脚を何とか立たせた。  
こうして私は、さらに限界を越えて頑張ることができるようになったーー。  
 
部員全員が裸になって、信頼している福本先生にも裸を見られながら、  
恥ずかしさに耐えて、  
ひたすら練習に打ち込んだこの合宿。  
 
福本先生の『特訓』が功を奏したのかはわからないけれど、私たちは「チームワークと思い切り」にかけては抜群のチームとなっていた。  
そして2年生の秋には、念願のインターハイ出場が決まった。  
そのとき、先生は滅多に見せない笑顔で、私たちを労ってくれたのだった。  
「お前達は大きく成長した、本当によく頑張った!」と。  
 
 
 
 
「ーーねえ、澄香。澄香ってば」  
「……あ、ごめんごめん、ぼーっとしてた」  
福本先生が逮捕されたというニュースは、私たちの努力や思い出までも否定されたようで、とても悲しかった。  
 
佐々木ちゃんが私に話しかける。  
「澄香、もしかしてまさか、あんたもその福本先生に……」  
「えっ!?」  
 
今でも、福本先生の『特訓』が本当に正しい方法だったのかわからない。  
今思い出したって、あんなに堂々と全裸でいたこと、あそこをずーっと見せっぱなしにしていたことは恥ずかしいんだ。  
それでも、この恥ずかしさや練習の苦しさに耐えて、それが楽しかったということだって変わりはない。  
 
「澄香も、裸にされちゃってたとか……?」  
「……うん、されたよ」  
「ええーーっ!?」  
 
佐々木ちゃんは驚いて大声を出した。無理も無い、っていうか当たり前だ。  
それでも、  
 
「裸にされたけど、それは本当に『特訓』だったし、私たちは強くなったんだよ」  
「で、でもでもでも!!」  
「それに、」  
 
 
ーー私は裸にされても、とっても楽しかったんだよ。   
 
 
 
 
 
終わり  
 

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