ーヨコハマシティーー
「本艦はこれよりヨコハマシティーで補給を行う。各員交代で休息を取れ」
久々に休息許可をもらったライア兵たちは、街に出て思い思いのことをしていた。
果穂も例外ではない。その日は丁度快晴だったので、郊外にあるフラワーパークへと
出かけていったのだった。
この日ばかりは果穂も軍服ではなく水色のワンピースというカジュアルな服装をしていた。
公園内に咲き誇る赤や黄色の花。
「地球の花はライアのとはやっぱり違うわね・・・」
何もかも初めて見る地球の花。吹き付けてくる海からの風。
花をじっと見ていると果穂の右肩の上にひよどりが止まっていた。
「可愛い・・・」
果穂はにっこりと微笑む。戦時中とは思えない平和な雰囲気。
果穂は自分がブロディアであることも忘れ、つかの間の平和を楽しんでいた。
「・・・!」
背後に殺気を感じて果穂が振り返る。そこには可奈がいた。
「また出会ったわね」
招かざる客に表情を変える果穂。ひよどりもどこかに飛んでいった。
「なぜあなたは地球の邪魔をするの?」
可奈が冷たい表情で語りかけてくる。
「貴方達のやっている事は人間がすることじゃない!」
果穂が強い調子で抗議する。以前までの自分なら考えられなかったことだ。
「ライアの奴らは地球側から食料を分けてもらっているという恩を忘れている。
恩を仇で返す・・・まさにお前らの事だ!贖罪してもらうしかない!」
「贖罪ならあなただけでやりなさい!何でライア星や人々を巻き込むのよ!
あなたはすさんだ心でライアの人たちをもてあそんだ。そう、おもちゃのように。
人の世は、あなたのようなのを絶対に許さない!」
仲の悪い可奈に対する不満と地球連合軍の所業に対する不満がドっと口から出る。
「人間じゃない?ふざけんじゃないわよ。アンタだってもう機械になってるでしょ?
機械の癖に人間に取りすまさないでよ」
可奈の表情がサッと変わる。
「杉原先輩に媚を売り、和美には姉貴みたいないい子ぶりやがって。ふざけんなよ。
おめーのような奴が一番ムカつくんだよ!」
可奈の姿が光に包まれたかと思うと、青い機体・・・レプトスに変貌を遂げていた。
「果穂!お前もわたしと同じ機械になれ!お前も同類なら同類らしく人間面出来ねーようにしてやる!」
戦いは避けられない。果穂も変身することを決心する。
「装着!」
光に包まれたちまちブロディアとなった果穂。レプトスと組み合いとなる。
「私のような機械になれ!そうしたら殺さないでやる!」
「心まで機械になった貴方と私は違う!」
ブロディアはレプトスを投げ飛ばす。ズズーン、と轟音が響き、土煙が上がる。
周囲では他の観光客が悲鳴を上げてこの場から次々と逃げ出していた。
レプトスが空中をフワフワしていたかと思うとブロディアにキックをかましてきた。
「あああああっ!」
まともに喰らったブロディアの機体が道路を転がる。
「ほらほらほらほら、もっと楽しいお客さんがやってきたわよ?」
転がるブロディアに対して、さらに追い打ちを掛けるレプトス。
(とんでもなく強い敵が・・・・来る?)
ブロディアが起きあがると、遠くの方から人々の叫び声、そして破壊音が聞こえてくる。
雲一つ無い青空に暗雲が現れたように見えたが、正体はAEXというにはあまりにも巨大な黒い機動兵器だ。
「あのガルディンさえ量産できれば、ライア星どころか全宇宙の征服さえ可能よ」
(何とかしないと・・・)
そう思っても今のブロディアはレプトスの対処で精一杯だ。
「敵、敵はどこ?みんな、みんな壊してやるー!」
(あの声は・・・玉井さん・・・玉井さんまで・・・)
玉井瞳は背の低い可愛い女の子だった。彼女はちょっとしたことですぐに体調を
崩してしまうことが多い。果穂はよく睦美の家にお見舞いに行っていたことを思い出した。
こういうこともあって、果穂は周囲から「面倒見のいい人」と思われている。
戦争はこんな無邪気な娘まで巻き込んでしまうのか。果穂は悲しみに涙を流したくなった。
「みんな、みんな燃えちゃえ!」
ビルよりもずっと高く、大きいガルディンが胸部から拡散ビーム砲を発射し、周囲に浮遊した
ビットからビームを乱射するたびに、そびえ立つビル群が次々と煙を上げて崩壊していく。
逃げ遅れて焼け死んだりビルの下敷きになっていく人々・・・まさに地獄絵図だ。
「貴方は何をしているか分かってるの!人が、人が沢山死んだのよ!」
「その強気もいつまで続くかしらね」
ブロディアがビームライフルをレプトスに向かって撃つ。
「遅い!」
レプトスが余裕を持ってよける。
「喰らいな!」
自分が押されていることが信じられないブロディア。そこに、レプトスが威圧感に押されているブロディアを
1度、2度、と斬りつけ、最後は胸部装甲を縦まっぷたつに振り下ろした。
「ううっ・・・お願い、持ちこたえて!」
なお立ち上がるブロディア。
「これでもう終わり。ほら、もう1機来たわよ」
ブロディアのレーダーが右方向から新たな敵がやってきたことを察知する。
遠くから飛来したのは味方ではなく、黒いブロディア・・・Xだった。
VA形態から放たれるビームライフルをよける余裕はもはや残っていなかった。
腹部をビームライフルが貫通すると、ブロディアはガクっと膝を折り、前へと崩れ落ちてしまった。
「そんなんじゃ、このガルディンは壊れないよ」
近づいたライア軍AEX隊をまとめて2、3機蹴り飛ばすガルディン。
「な、なんだコイツのパワーは?」
「パ、パワーが違いすぎる・・・・」
ガルディンの撃墜に投入されたライア軍のAEX隊も次々と撃墜されていく。
「ブロディア!ブロディア!聞こえる!戻って!限界よ!」
通信は聞こえたが、徐々にバイザーから見える視界が悪くなっていく・・・・
(私・・・こんな所で死んじゃうのかな・・・)
「この機体はアタシが自らの手で潰す!)
レプトスは動けないブロディアの左脚を掴むと、
メキメキメキ!バキン!
バチバチッ、という音がして左脚のパーツが完全に胴体から離れてしまった。
「次は右だ!」
右脚も同じようにレプトスの力によってちぎり取られてしまった。
(ここまで私はよく戦った・・・でも、もういいよね・・・疲れちゃったから・・・休みたい・・・)
パーツをちぎり取られるブロディアに痛みや恐怖はなかった。どうしようもない実力差に諦めがついていた。
「ダルマ状態ってのも一興だねぇ」
レプトスがブロディアの右腕をあり得ない方向にひねり上げ、強く引っ張るとこれも胴体と離れてしまった。
「左腕はこうしてやる!」
レプトスがブロディアの左腕を思いっきり踏みつけた。グシャ!という大きな音がして
左腕のパーツがバラバラに飛び散る。
ブロディアがやられる様子を見ていたX・・・和美に変化が生まれた。
(あの機体の中の人の声・・・聞き覚えがある)
「かず・・みちゃん・・ごめ・・ん」
力を振り絞って声を出すブロディア。その声が、Xの中に残っていた和美の意識を呼び覚ました。
「最期に何か言うことはあるか?オラ!」
ダルマ状態になったブロディアの頭部をひっつかんで持ち上げたレプトスが、ブロディアの頭部を
握り潰してしまおうとギリギリと力を込める。
果穂が最期に見たものがレプトスのアップになろうとした時・・・・
「果穂ちゃんをいじめるなー!」
レプトスに向かってXのライフルが放たれたのだった。
「お前も裏切り者か!」
直撃をものともせずにレプトスがXに向かう。
「甘いっ!」
XはVA形態に変形して逃げる。低空飛行でXの周囲を飛び回り、
「そこよっ!」
レプトスにビームライフルをまた当てる。
「死んじまえー!」
レプトスがビーム砲を撃ってくるのを察知し、
「Xの機動性を生かせば、当たりはしない!」
すかさずAEX形態に変更し、ビームサーベルを当てる!
大きく横になぎ払った2振り目でレプトスが後ろに吹き飛んだ。
「ハ、ハルカ様にこの事は報告するわよ!覚悟しときなさい!」
レプトスはVA形態になって逃げてしまった。
「後は!」
レプトスはガルディンの方に向き直る。
「あれ、もうビットがなくなっちゃったから帰るね。バイバイ」
ズシン、ズシンと音を立ててガルディンは火の海となったヨコハマシティを後にしていった。
(今の武器ではあのデカブツを落とすのは不可能・・・もっと出力の高い武器が欲しい!)
「敵機発見!」
Xを見つけたライア軍AEX隊がマシンガンやビームライフルを構える。
「私はブロディアX。これよりあなた達の援護に入る!」
「援護?」
ライア兵たちがドヨドヨし始める。
「ブロディアの機体を回収して!」
とまどいながらもAEX隊があちこちに転がっているブロディアの部品を拾い上げていく。
敵意は感じられないとしても、ライア兵のXに対する疑いの目は消えなかった。
胴体だけになったブロディア本体はXが自ら拾い上げた。
もう、周囲に敵はいない。敵はガルディンの脅威を味合わせただけで十分と考えたのだろう。
(果穂ちゃん、絶対に助けて見せるから、待ってて!)
「あの黒い機体・・・ブロディアXか!」
「艦長、こっちに向かってきますが、どうします?」
ハルカは決断に迷った。撃ってしまえばブロディアや味方もろとも消し飛ばしてしまうだろう。
「こちらブロディアX!ライアに投降したい!ブロディアを回収したので着艦許可を求める!」
「・・・分かった!これより艦を下げる!」
ハルカの命によって、戦艦がゆっくりと高度を下げていた。
破壊されたヨコハマシティはまだ火柱と煙を激しく噴き上げていた。
艦内デッキでは整備兵や技官があわただしく動いていた。
「おい、オーラコンバーターはそっちに置いておけ!」
「予備部品はこっちだ!」
デッキの片隅で、ブロディアにそっくりな黒い機体から、
「装甲解除」
という声が発せられると、まばゆい光が走った。
バイザーの表示が消え、普通の人間の視界が戻ってくる。
やっと人間に戻れた。そう思って和美は自分の身体を見下ろした。
そして、まるでルビーのように顔を紅潮させた。
「キャーーーー!」
和美は一糸纏わぬ全裸になっていたのだ。
(そっか、わたしって、改造されたからずっとXのままだったんだ)
「誰か、誰か羽織るモノを持って来てー!」
「紺田和美さん・・・何故まだその名前を名乗るの?」
ライア星の軍服に着替えた和美はハルカに謁見していた。
和美は肩のあたりまである黒髪、ぱっちりとした黒水晶のような瞳をした美少女だ。
果穂とは専門学校入学以来、無二の親友の関係だ。
「わたしは、ブロディアXである以前に紺田和美という一人の人間です。
ブロディアXが私に変身してるんじゃなく、あくまでも私がブロディアX
に変身している。そう考えています」
ハルカは微笑した。
「貴方も果穂さんと同じね。親友だとは聞いていたけど。ところで、
こっちで調べさせてもらったけど、貴方の機体にはオーラコンバーターが
導入されてるようね」
「はい。わたしの装甲だけでなく、あの巨大AEX、ガルディンにも使われています。
周囲で何か浮遊している物体からビームが発射されていたと思いますが、あれこそが
ビットです」
「破壊されたブロディアにオーラコンバーターを組み込んだ上で、ビットを自在に操れる
ようにもして改修したAEXを作ろうと思うんだけど、何か良い知恵は無いかしら」
「わたしで良ければ・・・ガルディンの設計に携わりましたから」
「それじゃあ、協力をお願いするわ。工廠はこっちよ」
(果穂ちゃん・・・生きて!)
ー地球連合軍・ラサ基地ー
「もう貴方たちには愛想が尽きたわ。大分データも集まったみたいだし、その頭脳を私がもらおうかしら」
それを聞かされた可奈と紗也香の顔色が変わる。
「エ、エリナ様、今しばらくの猶予を!」
「私が負けたのはXが裏切ったからに過ぎません!」
その哀願をエリナは一蹴する。
「お黙りなさい。今結果を出そうとしない者は将来いつになっても結果を出すことは出来ません。
三人寄れば文殊の知恵、という言葉もあることですし・・・」
「エリナ様っ!」
「心配しなくてもよろしい。代わりにもっと素晴らしい頭脳をあなた達にはあげます。そう、必ず
ライア軍に勝てるようにしてあげる」
「本当ですか?」
可奈の顔がパッと輝く。
「妙なしがらみに捕らわれていると戦争には勝てないわよ。人間の本当に悪い癖だけどね」
果穂は上下も、左右もない空間をさまよっていた。
果穂は全裸だった。服はどこかに行ってしまったようだった。
(私・・・死んじゃったの・・・?)
羊水の中に浮かんでいるような不思議な感覚。
ゴポッ・・・
(音が聞こえる。ここは、私の中なの?)
向こう側に二人の女性が見える。
(杉原先輩に、河合さん・・・)
(やっぱり、これはみんなが人間だった時の記憶だ・・・夢なんだ・・・)
二人がこちらに何か語り掛ける・・・
優しい微笑みを浮かべながら。
「私達・・・もうすぐ完全に人間じゃなくなるんだ」
「人間じゃなくなるって、どうなることなのか、ちょっと分からないけどね」
「橘さん、絶対にマネしちゃダメよ。失うものが大きすぎるから・・・」
「そう、貴方は何も知らずにクラスメイトを殺してきたのよ!」
「仲間を殺す時なんか本当に楽しそうに殺してたじゃない。ねぇ、橘さん」
(違う!私は・・・まだ・・・・人間・・・)
(やめて!と叫びたいけど叫べない・・・)
(何か・・・変な・・・夢だなぁ・・・)
(なぜ私は生きてるの・・・?)
(まだ、答えが見つからない・・・)
(後、何人殺したら私は人間になれるの・・・?)
そして、果穂の意識が混濁する・・・
「オーラコンバーターは頭部に・・・」
「ビットは・・・従来のは使い捨て式らしいけどこの分なら背部ポッドに
戻して充電して繰り返し使えそうね」
工廠で果穂・・・ブロディアの再改造が着々と進んでいた。
「さすが、紺田さん。この分だと次戦までには間に合いそうね」
ハルカが和美の肩をポンと叩いた。
「・・・ライアのみんなが終わらせるしかないんですよ、この戦いは」
「Xを遙かに超える機動性、ビットをさらに改良したマルチビット・・・
勿論ビームライフルやビームソードも大幅にパワーアップ。完成した
暁には名付けは貴方に任せるわ」
「それはその時考えますよ」
地球上でも連合軍のやり方に反発する勢力が現れ、ライア軍への
支持は日増しに高まっていった。
「ライアのために!」
「勝利を信じて!」
「くたばれ連合軍!」
各地で地球連合軍は敗退し、拠点らしい拠点はチベットのラサ基地のみとなっていた。
それを知らぬエリナではなかった。
(このガルディンが我が軍にある限り・・・何も起こらないわ)
(それにね、あっちの主力をこっちは沢山つくったから)
・・・果穂の身体が浮き上がっていく。
身体が何か暖かいモノに守られながらどこまでも浮いていく感覚。
(えっ、何、何!?)
(身体の奥が・・・熱い!)
(く、くるっ!何かが来ちゃうっ!)
「よし、作動開始!」
(あっ、ああぁーーーーーっ!)
果穂が心の中でそう叫んだとき、目の前に新たな視界が広がった。
「ひとまず完成ね!」
拍手、歓声が響き渡った。
「これがあればこの戦争にも勝てる!」
「地球連合も年貢の納めどきが来たな!」
そう喜ぶ技官たちをハルカが制す。
「まだ喜ぶのは早いわ。動作チェックが残ってるわ。そうだ、名前をつけなきゃね。どう、紺田さん」
「そうね・・・ダブルエックスというのはどうでしょうか」
「月並みね。でも貴方のエックスといいコンビになりそうね」
またひときわ大きな歓声が上がった。
果穂は自分の身体に驚いていた。
初めて身につけたはずの装甲なのに、もう10年以上これで戦ってきたような感覚を覚えたからだ。
体中から沸き上がってくる強さ。自信。
(このダブルエックスなら、どんな敵にも負けないような気がする!)
「最強のブロディア」の完成、そして新型コンビの結成に湧くライア側。
裏ではXXの動作確認も進んでいた。
艦内射撃場での演習場で無人機相手に射撃武器の確認を行うXX。
「例によって敵はきっちり実弾装備だから気をつけてね」
「分かってるわよ!」
(すごく身体が軽い。ダブルエックスって凄いなぁ)
無人機が機関砲を撃ってくる。その砲撃はXXから見ればスローモーションにしか見えなかった。
「遅いっ!」
すかさずビームライフルを取り出して撃つ。一撃で吹き飛ばされる無人機。
「次はマルチビットをテストしてみるわ」
XXの背中のポッドから次々と筒のようなものが出現し、フヨフヨと周囲に漂う。
「ターゲットはあれね!マルチビット、オール発射!」
(このビットを曲げて、これはあそこから・・・)
8個のビットから発射されたビームがあちこちの方向から無人機を貫く。
「凄い!まるでビットが意志をもっているみたい!」
その様子を見ていた和美は、頼もしさを覚えるともに、寂しさを感じていた。
「果穂ちゃんが・・・どんどん人間じゃなくなっていく・・・お願い、人間でいて」
ハルカはXXの訓練報告を受けると満足に微笑んだ。
「これで後はラサ基地に向かうだけね」
「艦長!通信です!連合軍のエリナからの模様です!」
「今すぐキャッチしなさい!」
艦内の大型モニターにエリナの顔が映し出される。
「いつもいつもブロディアで痛めつけてくれてありがとう・・・と言いたいところだが、あなた達には消えてもらいます」
「あなた達が今まで戦っていたAEXの正体は改造された地球人ということは既に分かっているでしょうけどね」
「あなた達は本能の赴くままに同胞を殺して来たのよ」
「しかしそれは、私の筋書きどうり・・・あとはあなた達を始末すれば私の計画は完成するわ」
「これからは私の最強の特別戦闘部隊をもってあなた達を抹殺するのでよ・・ろ・・し・・く」
不敵に笑うエリナの顔が何秒か映った後、通信は切れた。XXも、和美も、そしてライア戦艦クルー全員も、
ライア軍打倒の思いは変わることはなかった。
「もし基地を放棄することになっても私には切り札があるわ。ねぇ、レプトス」
「既に基地からプラントを模したレーザー発射装置が打ち上げられました」
レプトスと呼ばれたAEXが機械的な声を出す。既に河合可奈の部分は死んでいる。
完全に脳を改造され、心もレプトスにされたのだ。
「まだライア側はこれが兵器と気づいていません。いざとなれば直接ライアに落とす方策もありますが」
フォーディが応える。これもまた完全に100%機械に改造されていた。
「あれで我々と対等のつもりだなんて、笑わせるわね」
エリナはそう言いつつもラサ基地に向かうライア軍戦艦の現在位置を確かめていた。
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