私は大学のサークルで、温泉同好会に所属しています。
みんなで温泉に行ったりして、わいわい騒いでたりするだけなんですけどね。
私は、昔から温泉大好きなんで、サークルだけでは飽き足らず、一人でふらっと温泉に行ったりします。
今日も予定がなかったので、一人で温泉に。
そこは山の中の農村にあり、周りは田んぼに囲まれてて、温泉以外に何もない所です。
利用者も、観光客は少なく、周りに住んでるお年寄りが多いです。
前にみんなと来た時に、お湯が熱めで気持ち良かったので、私のお気に入りの一つとなった温泉です。
お金を払って脱衣場に入り、一気に服を脱いで浴場に入りました。
お客さんは私を入れて4人、私以外はお婆ちゃんばかりでした。
掛り湯をして浴槽へ…熱さが襲い掛かってきます。
でも、体が慣れてくると、気持ちが良いんですよ。
その後はサウナへ。
サウナも熱めなんで、玉のような汗が、身体中から噴き出してきます。
「もう少し頑張れば、体重落ちるかも…」と思って、長めに入ってしまいました。
サウナから出ると、少し体を冷ました後、髪や体を洗って、今度は露天風呂に入りました。
のどかな景色を堪能しながらの温泉は、体だけでなく、心もリフレッシュしてくれますね。
しかし、ここで問題が発生しました。
景色を堪能しすぎてのぼせてしまいました。
立ち上がると眩暈がしましたが、何とか脱衣場まで戻りました。
脱衣場に入ると、そのままへたりこんでしまいました。
この頃には、お客さんは誰もいなかったので、なりふり構わず、這ってロッカーまで行きました。
でも、立ち上がってロッカーからバスタオルを出す気力もなく、そのまま目の前の長椅子に仰向けになりました。
何分かそうして、楽になってきた時に、入り口から「大丈夫ですか」と声を掛けられました。
声質に違和感を感じて、頭を起こして確認すると、従業員のおじさんが…
私は固まってしまいました。
そういえば、前に来た時も、このおじさんがいました。
定期的に入ってきて、脱衣場の床を拭いたり、浴場内の散らかった椅子や桶を片付けたりしてるみたいです。
その時は、私達は服を着た後だったので「危なかったね」なんて言いながら帰ったのですが、今回はバッチリ見られました…
唯一の救いは、頭を入り口に向けていたので、大事な所だけは見られなかった事です。
普段なら「きゃー!?」とも叫んだり、タオルで体隠したり出来るんでしょうけど、余りの事に、呆然と見つめてました。
おじさんは私に
「のぼせちゃったの?」
と聞いてきました。
私が
「長湯しちゃって…」
と答えると
「冷たい水、持ってきますね」
と小走りで出て行き、すぐ戻ってきました。
私は起き上がると、その水をいただきました。
「うちのお湯は熱めだから、気を付けて下さいね」
おじさんは、にっこり笑って言いました。
「熱いお湯が好きで、気持ち良くてつい…」
私も、そんな風に返し、そのまま世間話みたいになりました。
話してる時、私を見下ろしてるおじさんの目線が下がったり上がったり…
私、隠してない…
迂濶でした…気が抜けすぎたのかもしれません。
でも、助けていただいたせいか、急いで隠すと何故か失礼な気がして、そのまま座ってました。
胸がドキドキしてきて、話の内容が頭に入ってきません。
その間も、おじさんの視線は舐めるように上下してます。
赤の他人のおじさんに、私、裸見られてる…
…私だけ裸…
そう思うと、違う意味でのぼせてきました。
私はこの後、自分でも信じられない事をしてしまいました。
「そういえば、ここってお肌にも良いですか?」
私は、おじさんに聞きました。
「いいですよ!今よりもすべすべになりますよ!」
「わ、私、皮膚の弱い場所が、荒れちゃう…んですよ…」
「へぇ…」
「こことか…」
私は二の腕の内側を見せました。
おじさんは二の腕を少し見ると、すぐ視線が胸へ…
み…見てる…
「あと、こことか…」
私は脚を少し広げて、太ももの内側を擦りました。
「ほう…」
おじさんはそう言っただけで、私の下半身に釘付けになってます。
私は毛が薄いので、全部見られてるはず…
意識が飛びそう…
そこで我に返りました。
「お、お仕事の邪魔してすいません!しかも汚いものまで見せちゃって!」
私がそう言うと
「いやいや、いいもの見させてもらいました」
と、私の顔を見てにっこり。
「お水、ありがとうございました」
「今度からは気を付けて下さいね」
そう言うと、おじさんは浴場に入って行きました。
私は急いで体を拭き、服を来て、逃げるように温泉を離れました。
帰ってから、おじさんに見られた事を思い出して、何度も自分を慰めました。
顔を憶えられたはずなんで、行きにくいと思う反面、私が行けば、また見に来てくれるかな…と思いました。