飛蝗
☆盗賊蝗/(ガラード・ナービフ)☆
成虫になると大型犬ほどの大きさになる、一種の飛びバッタである。通常時は臆病な
性質をしているが、乾季が長引いたり一か所に数が増え過ぎたりして餌が不足すると
ライトグリーンの体色が黒褐色へと変わり、獰猛な性質の「群生態」へと変化する。
「群生態」になると、まず羽が長く発達し、長距離の移動に適した姿になる。
更に食性も変わり、完全な草食性から雑食へ変化して、有機物なら大抵の物は摂取できる。
そして、もっとも顕著なのは、その繁殖への欲望である。
そもそも危機の元凶は数が増え過ぎた事にあり、それを打開するための働きとして
「群生態」の群れにおいて雌の数は少なく抑えられている。
「群生態」の雄は、この逆境において自らの劣情を満たすため、近い大きさの生き物の雌に見境なく襲いかかるのである。
とはいっても、犯された所で所詮孕まされるわけではないのだが、問題は雄のペニスから汗のように分泌されるフェロモン液にある。
本来は同種の雌の排卵を誘発する為の物なのだが、これは人間や亜人と言った
ヒューマノイドに対し、強力な崔淫効果があるのだ。
その強力さたるや、男を怖がるほどの奥手な娘ですら、一夜にして傾国の妖女となすとも、性交の事しか頭にない狂女と成すとも言われる。
皮肉にも、同種の雌の少なさがこの生物の被害者を増やしているわけだが、雌には雌で
雄同様、他種を標的とする恐ろしい性質が存在する。
◇
今回この生物に襲撃されたのは、砂漠のオアシスに設けられたマーケットであった。
「群生態」の群れはここにたどり着くやいなや、草木の葉から商人に見捨てられた家畜に
至るまで、ありとあらゆる有機物を貪り食って行った。
だがそこは砂漠の民の事、ここに露店や商品を広げていた商人たちは、物見が地平の端に
西に向かって流れる黒い雲の様な物を見つけるや否や、速やかに取る物も取らずに逃げ出したのである。
よって、この一件で人的被害は出なかった…はずであったのだが、実のところ、このマーケットには、まだ奴隷商人が仕入れた「商品」が残っていたのであった。
それらが商品価値を見出しやすい若い娘ばかりであった事も、却って悲劇を助長したとも言えるかもしれない。
◇
ゴースト・タウンさながらに荒れ果てた市場の中で、あらゆる人種の娘たちが雄蝗に
組み敷かれていた。その反応も様々ではあったが、一様に共通しているのは一糸纏わぬ
全裸である事、そして自らを犯す存在を、少なくとも体では受け入れてしまっている
事であった。
「はあ…んあぁっ?……あぁああっつつ!!」
おそらく東洋の国から連れてこられたと思わしき黒い髪の娘は、無理やり組み敷かれてから四半時も持たず、自ら蟲の腹にしがみついてまで蟲の肉色のペニスを咥え込むまでに
未知の快楽の虜となり果てた。よほど性的に潔癖に育てられたのか、まるで自慰を覚えた
ばかりの猿のように、何度達しても満たされるという事がない。
「あっ、あん、あううっつ!お母様ぁ……申し訳ございまうぁぁぁぁつ!!
もう!私にはこれしか無い、これしか要らないのぉぉぉぉお!!」
そう言いながら娘は、若鮎を思わせる白い腹や、そこからなだらかに、しかししっかりと
隆起して自己主張する小ぶりな胸を蝗の死人の色をした腹に擦りつけ、抱えあげられた
両足を支点に円を描くように腰を振りながら、膣でしゃぶる様に肉棒を味わう。
肉棒が出入りするたび、膣口がまるで飴をしゃぶる小児の口腔の様に水音を立てながら
涎のようにだらしなく、精液と愛液のまじりあった淫汁を垂らした。
ここからほど近い南の方から連れてこられた褐色の娘たちは、この蟲の存在を知っていた。捕まった娘はこの蟲に関するおぞましい迷信に怯えながら犯され、やがて正気を失った。
「いっ、いやあぁぁ!!蟲ちんちんいやぁっ!
蟲になっちゃう、蟲にされちゃうよぉぉぉ! 」
何人かが走り出して逃げる中、一人の娘が腰が抜けたのか四つ這いでなんとかその場を
離れようとした。それを一匹の雄が目ざとく見つけて後ろからおぶさる。激しく暴れて抵抗する抵抗する娘に、蟲はわずかに体重をかけ動きを封じた。
「いゃ―――――っ!!誰か、誰か助けてェ――――っ!!」
哀願する娘の悲鳴などお構いなしに、蟲は交尾の態勢に入る。
まず最初に腹を折り曲げ、末端にある嘴状の部分の先をわずかに娘のぴっちりと閉じた
割れ目へと差し込んだ。
「ひっ!」
直接見えない角度から初めて感じる異物感に小さな悲鳴が上がるが、蟲は気にする事も
無くそのまま嘴を上下に開く。割れ目が押し広げられ、周りの褐色の肌が嘘くさく
見える程鮮やかな、サーモンピンクの初々しい肉が露わになった。
「あ、ぁ、あ、入っ、ちゃったぁ……?」
性的な経験が無いのか、その感触だけで犯されたと思った娘の抵抗が、
絶望から一瞬弱まる。それを逃さず、蟲はより深く腹部を押し付け、嘴の間から
ケミカルチックな匂いを纏った肉色の生殖器を少しずつ伸ばし、少女の神聖な場所へと
侵入を開始した。
「うあ、な、に、コレぇ、生あったかいっ。それに、入ってきた所が、むずむずする…
ひゃぁっ!!」
性器の頭までが侵入を果たした所で、不意に蟲が腹部に力を込め、一気に子宮口まで
を貫く。膣壁がまんべんなくペニスを包み擦れ合うと、それに反応して性器全体から
溢れる様にどっと悪魔の蜜がにじみ出し、破瓜の血と共に秘口から漏れ出してくる。
その液は少女の下腹部に未知の、それでいて原始的な感覚を醸し出した。
「あぁぁ…いやぁ、私の体、変に、なってくる…
蟲の、お母さんに、なっちゃう…よう…」
蟲への嫌悪感は維持したまま、それを上回る強さでまだ本人すら経験した事のない
セックスへの渇望が脳と脊髄を荒れ狂っている。逃げる気や抵抗する気が
そこから動きたくないという倦怠感にとって代わられ、火照った子宮は何度も入り口を
小突きまわし、そこに子種を注ぎ込んでくれる雄を待ち焦がれた。
その後、蟲は何度も何度も狂ったように少女の秘所に淫毒付きのペニスを突き込み、
少女は年齢の割に育った乳房を揺らしながら、犬の態勢でそれを受け入れた。
一度の射精で少女の小さな性器は溢れかえり、そしてそれを何十回も繰り返した。
少女がその正気を失ったのは、その内のほんの3回目での出来事であった。
数少ない雌の餌食になったのは、白い肌とブロンドの髪をした、年の離れた姉妹であった
雄の魔の手から逃げ回っていた二人は、折悪く一回り大きい雌と遭遇し、退路を断たれてしまった。姉は健気にも妹を逃がすため雌に立ち向かい、そして結局妹の目の前で凌辱されることとなった。
雌は後ろ足以外の足を器用に使って姉を仰向けに転がして両足を抱えあげ、真上を向くようにした秘裂を、雄の性器程の太さの、鼈甲色の産卵管でリズミカルに貫く。
妹は運よく近くに転がっていた水瓶の中に隠れる事が出来たが、その場から動く事も出来ず、逃げる事も目をそらす事すらできずに、ただ声を殺して姉の痴態を目の前で見せつけられていた。
「う、ぐぅ…おなかの奥…ギュウギュウに…詰まって…うああ、熱ぅい………
やだ…まだ入って……はあぁぁぁぁん…」
姉の下腹部には異様な膨らみが現れていた、雌は乾燥から守り、更に餌や水の豊富な場所に運んでもらうため、他の生物の子宮の中に卵を生みつけるのである。
更に卵と一緒に、受精した際に体に注がれた雄十数匹分の発情ホルモンを、圧縮して一緒に排出したのであった。それは、無垢な身体をただの盛った雌へ変えるのに十分すぎる物であった。
姉の矜持か妹への思慮か、初めは破瓜の激痛すら声を殺して耐えていた姉も、雌が
たびたび産卵管のピストン運動を止め、胎内に新たな卵を産みつける度に次第に
嬌声を漏らし始め、しまいには妹の目も憚らず、自ら淫核を擦り上げ、膣口を押し広げ
ながら乱れ始めた。
「はぁ…んあぁぁぁん、ふぁああああぁっ!一人でするより、ずっといいのぉ……
おねがぁぃ…もっと突いてぇ…わたしのお胎(なか)、卵でいっぱいにしてぇ……」
成す術もなく犯され、異形のセックスの虜となってゆく姉を、妹はただただ水瓶の中から
見ている事しか出来ない。だがその幼い好奇心は、目の前で起こっている事に対する
今までとは違った感情を、心の中に芽吹かせていた。
(あんなに嫌がってたのに…おねえちゃん、おねだりなんかしちゃってる…
みんなも気持ちよさそうだし…女の子のあそこに…わたしのにも入れたら、
気持ちいいのかな…)
そんな事を考えながら、妹はそっと自らの裂け目に指を伸ばし、蜜を湛え潤いだした
秘所に指を差し込んで、いつも人目を忍んでやっているように頬を床に押し付け、
膝をついて尻を突き上げた形でクチュクチュと弄び…始めようとした。
次の瞬間、妹が隠れていた水瓶が外からの力で揺れ、水瓶の口から雄のペニスが
勢いよく突き込まれた。自慰のために水瓶の中で体位を変えた際、不自然な動き方をした
それを、雄が雌だと勘違いし挑みかかったのである。
運よく挿入こそされなかったが、蟲のペニスは突き上げられた尻の谷間を通り抜け、
じゅくじゅくと淫毒を滴らせるそれの幹が、アヌスや尾?骨までを擦り上げていた。
それで挿れたと思ったのか、水瓶にしがみついた雄が勢いよく腰を使い始める。
「ひゃあぁぁあん!そ、そんなトコ、擦っちゃダメぇぇえ!」
後ろから変則的な素股で嬲られる事になった妹、だが蟲が恐ろしくて動く事が出来ない。
そして、既に自涜行為を始めていた指先もまた、そのまま留めておくことなど
出来なかった。
蟲は淫毒を妹の腰から下全てに垂れ流しながら、幾度となく大量の白濁液を妹の背中から後頭部にかけてぶちまけた。
妹は今まででこれ以上無いくらいに自慰にのめり込み、揮発したフェロモンの充満した
小さな瓶の中で、同じ淫毒にまみれた指先で激しく自らを蹂躙した。
最後にはポールダンスのようにペニスにしがみ付き、裂け目で咥え込むようにして腰を
使う、それでも未成熟な性欲は留まる所を知らなかった。
盗賊蝗の一団は一通り情欲を満たすと、また別の土地へと餌を求めて去って行った。
犯された娘たちの行方は遥として知れない。
一説には蟲を孕んだ娘が、救出した冒険者たちに「珍味」として地方の豪商に売り飛ばされたとか(古典には、孵化したばかりの盗賊蝗の幼虫を宮廷料理のメニューとしていた、と
記されている物がある)、あるいは誰かに捕まるという事も無く、女のみの盗賊団を作り
自分たちをかかる破目に陥れた者達に復讐したともいわれる。
いずれも風聞、蜚語の類であり、十全たる信頼は出来ない。