桃子のお尻は大きい。  
いきなりなにを言い出すのかと思うかもしれないけど、本当なんだから仕方が無い。  
もちろん、桃子は顔も可愛いと思うし、性格だっていい。  
お尻ばっかりみたいな言い方もどうかと思うんだけど  
実際に桃子のことを考えると、真っ先にお尻の事が思い浮かぶ。  
あと、お尻が大きいからって、太ってるわけじゃない。  
ぱっと見は普通の体形だし、胸も……まあ、普通だと思う。クラスのほかの女子と同じくらいじゃないかな。  
まあ、確かに太腿とかも、お尻に釣られて? 結構太いか。  
でも、なんかこう、わかるかな。膝の辺りできゅっと細くなってて、余計にお尻の大きさが強調される感じ。  
要するに全体的に見ると、むにっ、くっ、ぼぼーんって感じ。わかんない?   
 
あ、桃子っていうのは僕の幼馴染だ。  
よく覚えてないけど、幼稚園の頃からよく遊んでたらしい。  
同じ小学校、同じ中学校、高校まで同じ。  
小学校の頃は、よく冷やかされたりして、一時ちょっと疎遠になったりもしたけど、結局、今までずっと一緒。  
 
「ノリくーん、ちょっと休憩しようよー」  
 
で、今は夕方、放課後の校庭。  
今度の球技大会でやるバレーボールの練習をしようと、桃子が誘ってきた。  
グラウンドの真ん中あたりは運動部が占拠してるけど、端っこの方なら、二人でやるぐらいにはスペースがある。  
ノリ君ってのは当然僕のことだ。憲弘。だからノリ君。  
桃子がそんな風に呼ぶのが恥ずかしくて、やっぱり小学校の頃かな、止めろと言った記憶がある。  
でも、このとおり、ノリ君のまま。もういいけどね。  
 
「うーん、なかなか上手くならないね」  
「まあ、僕も運動苦手だし……」  
「私もー」  
 
桃子が手で汗を拭って、地面に置いたバレーボールに座った。  
その体重で、ボールがぎゅむっと潰される。  
その隣というか、やや後方にポジションを取り、僕も地べたに座る。  
 
どこかの運動部の掛け声に桃子が振り向くと、みつあみにした黒い髪が揺れた。  
桃子は、中学校の頃からかな、学校に来る日はいつもみつあみにしている。  
なんでも、その頃僕が「みつあみが似合う」と言ったらしい。覚えてないけど。  
 
「球技大会まであと1週間しかないのに、間に合うかなぁ」  
「さあ……そもそも、うちのクラス、みんなやる気ないからなぁ」  
 
学校から帰っていないので、僕も桃子も当然体操服。  
うちの学校の女子は、未だにブルマが指定体操服だ。  
別にブルマが特別好きなわけじゃないけど、まあ露出度が高いのは良いことだ。  
 
桃子のお尻に敷かれたボールは、楕円形にゆがんでいる。なんかかわいそうだ。  
桃子に体重のことを聞いたら、それはそれは怒るので、聞いたことは無い。  
けど、まあ、それなりにあるんじゃないかな。あのお尻だもの。  
今、ボールの上にでーんと乗っかってるお尻は、ボールの元のサイズより一回り  
いや二回りは大きい。そして丸い。  
そんなお尻を、ブルマがぱっつんぱっつんになりながら包んでいる。  
若干サイズが小さいような気もする。足の付け根の所じゃ、窮屈そうに肉に食い込んでいる。  
 
まあ、そのキツキツ感のおかげで、丸々としたお尻が、余計に強調されるような気がする。  
ブルマを考えた奴、偉い。  
 
「……ノリ君、またお尻見てる」  
 
さりげなく桃子の後ろに回りこんで、頭の潰れた逆さ雪だるまみたいな  
ボールとお尻の共演を観察していると、桃子がジトっとした目で言った。  
 
「え、いや、そんなことないって」  
「嘘だ」  
 
桃子のお尻が大きくなりだしたのは、というか僕がお尻に注目しだしたのは、中学生の頃だ。  
気がついたら、特に桃子の後ろを歩いてる時とか、自然と目線が下がって  
そのぷりぷりと動く膨らみに釘付けになっていた。  
お尻を見ていると、最初桃子にバレた時は、そりゃもう大変だった。  
桃子は顔真っ赤にして本気で怒るし、僕は僕で見てねーよと逆ギレ。  
結局1週間ぐらい口を聞かなかった。多分、今までで一番長く喧嘩してたんじゃないかな。  
まあ結局僕が謝った。見ていたことは認める。もうじろじろ見たりしないという約束で。  
僕が土下座(……なんかなんでしちゃったんだろう)したとき  
桃子は物凄く恥ずかしそうな顔をしてたけど、許してくれた。  
 
で、その約束が守られたかと言うと、そんなわけはない。  
いや、だって……ねぇ? 無理だろ、そんなの。  
登下校も一緒、休み時間も一緒の可愛い女の子が、上半身は普通で  
腰から下だけぼーんとしてて、制服のスカートの上からでも  
なんとなく形が分かるようなお尻してたら、そりゃ見るでしょ。男として。  
え、わかんない? いや、別にいいんだけど。  
 
そんなこんなで、それからもついつい見ちゃって。最初は桃子も怒って、  
僕も見て無いって言い張ってたんだけど、あんまり何回もあるもんだから、そのうちお互い慣れちゃって。  
桃子も別になにも言わなくなったし、僕も次第に露骨に見るようになった。  
それでも、僕の視線に気付くと、桃子はちょっと恥ずかしそうだ。  
 
「ノリ君、昔からだよね。お尻好きなの」  
「いやまあ、好きなことは否定しないけど」  
「幼稚園の頃から、お尻触ってきたもん」  
「え、ちょ、ま、待って。なにそれ、覚えてないんだけど」  
「え? そうなの? よく触ってたよ。ノリ君」  
「いやいやいや、そんなはずは」  
「へぇ、覚えてないんだ……」  
 
マジか? 幼稚園で女の子のお尻触るって、なんて問題児だ。  
つーか、幼稚園児のお尻なんて、男も女も変わんないだろうに。って、そういう問題じゃないか。  
 
と、いうか、なんかこれじゃ僕が根っからの尻フェチみたいじゃないか。  
僕は、特にお尻が好きなわけじゃないぞ。説得力無いかもしれないけど。  
ただ、桃子が、こう、いいお尻だから、自然とそこに注目しちゃうだけだよ。  
ほら、巨乳の女の子だったら、胸見るだろ。それと同じ。  
それに、他の女の子のお尻はそんなに見たりしないぞ。  
まあ、ぶっちゃけ桃子以上に見てて楽しいお尻の女の子はいないからだけど。  
……なんか僕凄い恥ずかしいこと言ってないか。  
 
クラスの奴らはみんなして僕らを夫婦扱いだ。まあ、そりゃもうずっと一緒にいるんだから、仕方ないんだけど。  
それにもう慣れっこだ。小学校から言われ続けてるんだから。  
クラスが違った学年でも、休み時間には6割の確率で桃子の方から遊びに来る。2割は僕が行く。  
いや、もちろんお互い同性の友達はいるよ。  
でも、なんて言うかな。桃子と一緒にいると、疲れないんだよね。  
自分を一切偽らなくっていいっていうか、なんの遠慮もしなくていいっていうか。  
まあ、だからこそ遠慮なくお尻見てるんだけど。  
 
桃子のことを、女の子として好きかどうかは、正直言ってよくわからない。  
今更になって、告白して一緒にデートとか行ったりとか、とても想像できない。  
でも、他の女の子と付き合うってのはもっと想像できない。ま、単にモテないんだけど。  
桃子も……多分、そんな風に思ってくれてると思う。  
桃子がだれか他の奴と付き合ってたり、誰かが好きだってことも、聞いたことはない。  
それに、まあそれなりに好きじゃなかったら、お尻見させてくれないんじゃないかな。多分。  
 
「さっ、練習しようぜ」  
 
割と自分に都合のいいことを考えながら、僕は地べたから立ち上がる。  
地べたに座ると、目線がお尻の高さに近くなって、なんていうか、いい感じだった。  
 
「……」  
「ん、どしたの?」  
 
でも、僕が立ち上がっても、桃子はボールを押しつぶしたまま、立とうとしない。  
なんだか目を伏せ気味にして、頬が赤くなってる。のは夕日のせいか。  
 
「……ノリ君」  
 
それから視線だけを動かして、僕を見上げながら、小さな声で桃子は言った。  
 
「触って……みる?」  
 
「……へ?」  
 
桃子の言った事の意味がわからなくて、我ながら間抜けな声がでた。  
 
「だって、いつも見てるばっかりだし……幼稚園の頃とは、多分違うよ」  
「……ほえ?」  
 
ま、待て。落ち着けノリ。憲弘。ここはクールに落ち着いて整理してみよう。  
触ってみる、うん。つまり触ってみるかってことだ。  
で、何をかって所が問題なのだ。話の展開、桃子の表情、そしていつも見てるばっかり、これらをまとめると……  
 
「え、うぇえええええ!?」  
「ちょ、おっきい声出さないでよ」  
 
校庭で絶叫。青春だ。  
僕の声に、運動部の奴らが振り返る。中には僕のクラスの奴もいる。にやにやすんな。練習しろ。  
 
「さ、触るって……?」  
 
慌てて声を潜めて、重要事項の確認を行う。重要だ。これは重要だ。  
 
「ん。だから……」  
 
桃子はもじもじと恥ずかしそうに、目をまた伏せた。  
くっ、可愛い。神様、こんな僕にこんな幼馴染をくれてありがとう!  
 
「お尻……触りたいんなら、触ってもいいよ」  
 
桃子の顔は真っ赤だ。夕日のせいじゃない。  
人間、ガッツポーズを抑える作業がどれだけ難しいか、この時初めて知った。  
 
「え、いや、やばいだろ、それ」  
とか何とか言いながら、心の中ではメダルを取ったオリンピック選手みたいに、高々と両手を大空に突き上げている。  
 
「……嫌なら、べつにいいけど」  
「い、嫌なわけじゃあ、まあ、ないっていうか。いや、触りたいとか、そんなんじゃなくて、その  
えっと、好意は受け取らなきゃだし、ほら、せっかくだし」  
 
こんなとき、紳士的にそんなことを言っちゃダメだよお嬢さん、そういうことはもっと大切にしなさい  
とか言えればカッコいいんだろうけど、僕はジェントルメンには到底慣れそうも無い。  
 
いや、待てよ。ここで断ったら、逆に失礼か……?  
どういうつもりで桃子がそんなことを言ったんだろう、と考えると、そりゃあ僕が腰抜けの  
ヘタレ野郎だから、ええいもう実力行使だ、ということだろうか。  
 
なるほど、つまり、桃子は僕にお尻を触るような仲でもOKということか。なるほどなるほど。  
イコール、桃子は僕を好き。幼馴染としてじゃなくて、男として。  
で、桃子は僕がお尻好きなことは知っている。その好きなものを絡ませてのアプローチ。  
くっ、泣かせる……そんなことしなくても、僕はいつでもウェルカムだったのに……  
そうさ、それが僕の本心! 好きだ! 桃子!  
 
と、なると女の子に恥をかかせるわけにはいかないな。  
ここは一発、バシッとキメるしかない!  
 
「え、で、あの、僕も……」  
「……触りたいの?」  
「……触りたいです」  
 
あれ、なんか凄い馬鹿っぽくないか、僕。  
 
放課後、に体育館の裏、で女の子、と二人きり。  
こんなベタなシチュエーションが本当に存在するとは、信じられない。  
うちの学校の体育館には、運動部室棟が隣り合ってて、その間が狭い通路みたいになっている。  
しかも都合のいいことに、部室棟の体育館側にほとんど窓が無い。  
どこか人目の無いところ、でたどり着いた。体育館の影になって、もう随分と薄暗い。  
 
「ここなら、大丈夫かな?」  
「う、うん。だだだだっだ、大丈夫じゃね」  
 
僕とした事が、なんだこのテンパりっぷりは。  
いや、仕方ない。これは仕方ない。  
なにしろ、あの桃子が、僕にお尻を触らせてくれるって、こんなアヤシゲな所に来たんだから。  
十うん年ずっと見るだけだった、あのお尻を……うっひょう!  
 
「え、えっと。とっ」  
「……ん」  
 
僕がそりゃもう壮絶に目を泳がせまくっていると、桃子がもじもじとしながら、僕に背を向けた。  
マジかっ。マジかっ!  
 
ここでがっつかないのがジェントルメンへの第一歩だ。  
深く深呼吸して、震える手を押さえる。  
目の前には、ふわふわとした丸いお尻。ついでに白いうなじ。  
さらに体操服を透けてブラジャーの紐。パーフェクトだ。完全制覇だ。  
 
「じゃ、じゃあ、し、失礼しまままっす」  
 
万感の思いを込めて、ゆっくりと右手を伸ばす。  
さりげなく、いやらしくないよう、エレガントに……!  
 
「お、ぉぉおおおお……」  
 
喉の底から沸きあがるような声を出してしまった。  
これは……凄いぞ!  
お尻の肉が、指と指の間を埋めるように、手の平にふにっと吸い付く。  
それでいて、そのとろけるような柔らかさと矛盾せずに、確かな弾力で手の平全体を押し返してくる。  
ブルマのさらっとした生地と、中身の柔らかさが見事に融合して  
そう、それはまるでジューシーな高級マスクメロンのよう……ってメロン固いな。  
ええっと、そうそれはまるで……生麩!  
……女の子のお尻触っといて、生麩ってどうなんだ。  
いや、でも、とにかく、想像以上になんだ、アレだ。ステキだ。  
 
「や、やわらか……」  
「……」  
 
全く無意識にもう一方の手も伸ばす。  
両方の手の平でも、とても抱えきれない尻肉……って言い方もなんだけど  
とにかく、巨大なマシュマロを持ったように、至福の感触だ。  
 
「んっ……ん……」  
「ほ、ほぅ……」  
 
思わず、ため息が漏れる。天国だ。  
 
「ノリ君……なんか、触り方がいやらしいよ」  
「ふぅむ……えっ、あっ、えぁ!?」  
 
我を忘れて堪能していると、桃子が顔だけこっちに向けて、小さく抗議した。  
え、いやらしい? そ、そうかな?  
と、思ったんだけど、そういえば気付くと、両手でがっと鷲掴みにし、お尻全体を  
腰ぐらいから太腿の付け根までをそれはそれはすべすべと撫で回し  
さらにむにむにむにむに揉んで揉みたおしている。  
 
い、いや、これは不可抗力だ。手が、手が勝手に!  
しかも、多分桃子には気付かれてないけど、僕の……その、なんだ、高射砲が  
完全に臨戦態勢というか、なんというか。  
しょ、しょうがないっすよ、流石にこれは。男の子だもん!  
 
「ご、ごめん」  
 
だけど、そんなことを言われて、なおも触り続ける度胸など、あるはずも無く、飛びのくように桃子から離れた。  
時間にして、1分ぐらいだろうか。短い天国だった……。  
 
「えっと……ど、どう?」  
 
桃子が、自分のお尻を両手で押さえながら、面白いくらいに顔を真っ赤にしてる。可愛い。神様ありがとう!  
 
「え、あ、その、あ、な、ナイスボリューム!」  
 
おい                          おい  
 
「……どうせ、おっきいもん」  
「い、いやいやいや! す、すっげぇ気持ちよかったよ! もう、最高! おっきいのいいよ! おっきいの!」  
 
分かってる。分かってるさ。最悪だよ、この台詞。  
でも、しょうがないだろぉおお。あんな体験をして、しかも前かがみなんですよ今僕は。  
まともなコメントできるわけ無いって。  
 
「……ふん」  
 
桃子は、頬をぷうっと膨らませて、そっぽを向いてしまった。可愛い。  
センキューゴッドアイラブユー! じゃなくて。  
 
「あ、あの、ご、ごめん」  
 
今をチャンスと、愚息のポジションを素早く適切にチェンジして、手を合わせて謝る。  
 
「えと、その、あ、ありがとう。さ、触らせてくれて」  
 
いや、これもどうかとおもう。触らせてくれてありがとうって。  
でも、本心に違いない。本当ならそりゃもう、一生分の感謝を捧げなければならない所だ。  
しばらく桃子は膨らんだままだったが、やがて振り向いて  
 
「もう、帰ろ」  
と言った。  
 
 
帰り道、桃子は僕を置いていくように早足で、半ば走っていたが、どうせ通学路は同じ方向だ。  
すぐに追いついて、日もほとんど暮れかけた道を  
体操服の上に桃子はセーラー服、僕は学ランを着て、並んで歩く。  
太陽そのものはもう建物の影に入って見えないが、西の空がべったりとした赤色に染まっている。  
 
「……」  
「……」  
 
かなり歩いても、どちらから何を言うでもなかった。  
と、いうか言えるわけが無い。気まずいったらありゃしない。  
桃子はずっと下を向いて、目を合わそうともしない。  
僕は僕で、手にはっきりと残った感触を忘れまいと、あのパラダイスタイムを必死に思い起こそうとしている。  
が、それを思い出すとどうもマイサンが張り切りだそうとするので、この加減が難しい。  
 
お礼はもう10回くらい言った。で、その2倍ぐらい謝った。  
向こうから触るかと言ってくれたのに、謝る必要も無いと思うんだけど、謝らずにはいられなかった。  
まあ、全部無視されたけど。  
とにかく、黙って、歩く。  
桃子と僕の足音だけが夕暮れの街に響く……いや、車の音とか烏の鳴き声とか  
遊んでる子供の声とかもするけど気にしない。  
 
桃子との登下校は、もう、10年以上続けてきたことだけど、なんだか普段と違う。  
桃子が、町の様子が、いつもと変わって見える。  
そうか、これが童貞を捨てた男の見る風景! ……捨ててないけど。  
 
思い切って手を繋いでみようかと思ったけど、恥ずかしいのと、さっきまでお尻触ってた手で  
繋ぐのもどうかと思って、結局出来ずじまいだった。  
 
無言のまま、別れ道の交差点まで来た。  
僕はここからもう5分もしないで家だ。桃子は逆方向に曲がって、10分くらいかな。  
 
「あ、じゃ、じゃあ、また明日」  
 
僕の言葉も聞いていないように、振り返りもしないで桃子は自分の帰り道を歩いていく。  
わけがわからない。なんで? なんでそんな黙っちゃうの?  
女心と秋の空と言うが、やっぱりあれか、触り方がマズかったか。  
桃子、そういう系のこと苦手そうだもんな……いやでも、向こうから誘ってくれたんだし……  
しかし柔らかかったなぁ……あんな柔らかいものがこの世にあるなんて  
しかも人の身体に……女の子っていいなぁ……  
 
手には痺れるようなあの感触が確かに残っている。  
……言っとくけど、僕はお尻見てるからって、その、ソロプレイで桃子のことを想像したことはないぞ。  
そりゃそうだろ。僕の大切な幼馴染だ。そんなことに使えるはずが無い。  
でも……この手の感触は……思い出しちゃうだろうな……今晩……  
 
「ノリくーん!」  
 
うつむいて自分の(恥ずかしい)世界に浸ってると、桃子の声が聞こえた。  
慌てて声の方を見ると、こっちに振り返った桃子が手を振っている。  
 
「他の女の子のお尻見ちゃだめだよ! もちろん、触るのもー!」  
 
そう言って、桃子は走って行った。  
その足を踏み出すごとに大きく揺れるお尻が見えなくなるまで、僕はその場に立ち尽くしていた。  
 

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