『なあ、おまえらって、どうやって繁殖するの?』
ほろ酔い加減で、俺が聞いたのは、既に夜更け
女エルフと組んで仕事をはじめて、四日目の晩であった
エルフの女はアルティと名乗っていたが、これは、通り名であることは、自己紹介の時に聞いていた
アルティも良い感じで酔っていたので、俺の質問に応える
『繁殖期を迎えたら、世界樹の脇に膝まで足を埋めてだなぁ…』
俺は、この話題をふった事に、若干後悔しながらも、先を促す
『太陽の光をいっぱいに受けるように、両手を広げて…』
ふむふむ…
『って、なんて事を聞くの!?花も恥じらう乙女にそんな質問するなんて、信じられないわっ!?』
そういうや否や、アルティは俺に向かって、飲みかけのエール酒をぶちまける
アルティの話に聴き入っていた俺は、避けるすべもなく、すべて顔面で受け止める
二割程度のエール酒が鼻から入り、一割程度の酒が口から気管に入る
しばらく俺がエール酒にむせる
アルティはちょっとやりすぎたかな?という顔をしながら、俺にぼろぬのを渡してくれた
いや、悪かった、悪かった
『160歳と聞いていたから、この辺の話題もオッケーかと思っていたし
あと、今の話のどこが恥ずかしがるのかすら、俺には判らなかったのだが…』
『エルフで160歳と言ったら、まだ乙女です!』
少しすねたようだ
『それに、腕を広げて太陽に…って、何回も言わせないでよ!』
そういって、アルティは再び注文したばかりのエール酒を俺にぶちまける
同じてつをふまないのは、冒険者の鉄則
避けたエール酒が、後ろの席のひげもじゃのおっさんに掛かってしまったのをみて、俺は荷物をまとめはじめた
そして、店主に
『おやじ、精算だ!それに、今、後ろのおっさんの酒をこぼしてしまったので、エール酒二杯、俺から出してやってくれ!』
後ろのおっさんは、俺のあまりの手際の良さに、文句をいうまえに、エール酒のジョッキを両手に持たされて、反撃すら出来ないでいた
『おっさん、すまなかったな』
そういって、おっさんのポケットに銀貨二枚をねじこむと、おっさんはにこやかに、俺を送り出してくれた
『さ、行くぞ、流石に、この宿にはとまれないからな』
『あ…ああ』
『それから、あんまり、無駄な出費はしたくないから、少しはおとなしく、頼むぜ?』
『あ…ああ』
さっきと、同じように、生返事で返す
二人は宿を出て、郊外に行く
人気も無い街道から少し外れた河原に等、人が居ようはずも無い
俺はエール酒を浴びてベトベトの身体を、河の水で洗い流す
ついでに、アルティを呼んでみた
すると、川辺で服を脱ぎはじめ、俺の脇にどぷんと飛び込んできた
『なあ、俺に裸を見られるのは、恥ずかしくないのか?』
『ん?言っている意味が判らないのだが?』
『いやいや、裸を見られても恥ずかしがるとかってのは、無いのかな…と』
『ああ、じろじろと舐めるように見られるのは、好きじゃ無いけど、恥ずかしくは無いな。それに、服を着たまんま、水浴びすると、あとあと、服を乾かすのが大変じゃないか』
ふむふむ、人間とエルフでは恥ずかしがり方が違うのか…
ならば
『俺に、その身体をもっと、見せてくれないか?』
『ああ、構わないぞ』
そういって、俺に近づき、両腕を開き、身体を開くのであった…
続かない