魔人ボロンゾシリーズ
「令嬢奉仕」
人がごった返す駅の構内
改札口の側の係員室は人で溢れかえっていた。
そこから少し離れたところに、一人の女性が立っていた。
年の頃は二十歳を少し過ぎたくらいだろうか。
清楚
その言葉が似合う女性は、美しく着飾り、駅にいる中では一際目立つ存在だった。
携帯電話を握り締め、駅の混雑を困惑したように見つめている。
そしてその女性を、駅の喫茶店の中から眺めていた男がいた。
赤いコートを羽織、真っ赤なシルクハットを被っている。
明らかに場違いな格好の男に、周囲は誰も気が付いていないようだった。
男はゆっくりと立ち上がると、清算もしないで喫茶店から出て行った。
しかし男に気をとめた人は、喫茶店内にはやはり誰もいなかった。
プルルルルルル・・
握り締めていた携帯電話が鳴り出した。
女性は携帯を開くと、着信ボタンを押した。
「あずさ?今どこなの?」
電話の相手はあずさの母親だった。
「今○○駅だよ〜、人身事故で電車とまってるんだよ。あと2時間くらいかかりそう」
あずさの目の前の係員室では、たくさんの人達が駅員に話を聞くために集まっている。
「ひかりに迎えにいかせようか?」
「あ……お願いできるかなあ?降ろしてなかったからタクシーも使えないんだよう」
あずさの財布の中にはたった千円しかなかった。
ここからタクシーで帰るには少なくてもその数倍は必要だ。
定期で帰れるからと使いすぎたのが失敗だった。
弟が車で迎えにきてくれるならありがたい。
「じゃあひかりに頼むから、そこで待ってなさいね」
「はーい、ついたら電話するように言ってね」
あずさはそう言って、携帯を切り、かばんにしまう。
(は〜……どうしようかなあ……喫茶店でも入ろうかなあ)
腕の時計を見ると時間は夜の10時。
高校時代の同窓会で、すっかり遅くなってしまったのだ。
弟のひかりが駅に来るまで。きっと40分くらいはかかるだろう。
ちらりと見てみた駅の側の喫茶店は、すでに満員状態だった。
(あれじゃあ落ち着けないし、ここで待つかなあ)
あずさは駅の柱によりかかり、「ふぅ」とため息をついた。
トントン
いきなりあずさの肩が叩かれた。
(なに?)
「はい?」
あずさが振り返ると、そこには一人の男性がいた。
(なに……この人…)
あずさはあっけにとられ、唖然とその男性を見た。
目元まで深々と赤いシルクハットをかぶり、真っ赤なトレンチコートを着ている。
白い口ひげが、それなりの年齢なのではないかと思わせた。
(あ…頭がおかしいんじゃ…)
あまりにもフシギな格好に、あずさは面をくらったかのように呆然とした。
「お嬢さん。今お暇ですか?」
男性は口元をにやりと動かし、白い歯を見せて笑う。
きっとこの格好で無ければ、ダンディと言ってもいいだろう。
「あ……いえ‥家に帰る途中です」
あずさは慌てて両手を振り、腰を引かせてじりじりと下がった。
(も…もしかしてナンパなの?‥この格好で?)
そう言うと、突然ガシッとあずさの両肩を掴み、目を覗き込んできた。
(ひぃっ!へ‥変質者だわ……助けを呼ばないと!)
「あ……ああぁ」
恐怖に悲鳴をあげようとしたが、声がだせなかった。
(な!なんでぇえぇ!だ…誰か助けてよぇ)
首を動かして、周りを見ようとするが、首どころか指一本動かす事はできなかった。
「一緒にいいところへ行きましょう」
男性の目を見た瞬間、あずさの意識に靄がかかっていく。
妖しい光を放つ目に、心を吸い取られてしまったようだった。
あずさは力なくうなずくと、そのまま意識を失った。
次にあずさが意識を取り戻した場所は、薄暗い部屋の中だった。
どこかのホテルの一室だろうか。
あずさは一糸まとわぬ姿で、ベットの縁に腰をかけていた。
慌ててベットにかけてあったシーツを引っ張り、体に巻きつける。
(どこだろう…ここ‥)
おろおろと部屋を見渡していると、
「ははは!お気づきになられましたね」
突然背後から声を掛けられ、あずさは声の方向へと振り向いた。
そこにはあのシルクハットを被った怪しい男性がいた。
男性は窓際でワイングラス片手に、怪しげなポーズをつけている。
「ああ‥あああ…あぁ……」
あずさは何を言っていいのか思い当たらないのか、ただ口をパクパクと開閉させていた。
そんなあずさを気にも留めることなく、男性は机にワイングラスを置き、あずさの前に立つ。
真っ赤なシルクハットを被り、見事な程真っ赤なスーツを着て立っている姿に、あずさは唖然とした。
「外で見かけて、お嬢さんのことが気に入ってしまったのですよ。
お近づきになりたいと思いまして。
ああ、申し遅れました。
私、ボロンゾと申します」
ボロンゾと名乗った男性は、一方的に喋り終えるとシルクハットを手に、サッと礼をした。
ボロンゾの頭は見事にはげ上がり、思わずあずさは噴出しそうになった。
なんとか吹き出すのをこらえたあずさは、
「あ‥あの私、家に帰らなくちゃいけないので……帰ります!」
そう言って慌てて立ち上がろうとする。
(あれ……動けない!)
立ち上がろうとしたあずさの足は、根が生えたかのように離れなかった。
ボロンゾは、アワアワと慌てふためくあずさを、微笑みながら見つめる。
視線が触れ合った瞬間、あずさは全身に電気が走ったかのような感覚を覚え、バタッと背後に倒れこんだ。
「あああ!…ああぁっ…」
あずさはベットに横たわり、体をびくびくと痙攣させる。
(今の…なに……)
「はははっ!なかなか敏感なお嬢さんだ。目があっただけでイッてしまうなんて」
ボロンゾはあずさの横に寝転がり、優しく下腹部あたりを撫でまわし始めた。
(イク?いったいなんなの?)
ボロンゾが言ってる事が理解できず、あずさはただ小刻みに体を震わせるだけだった。
「ん〜、実に美しい。この毛並み、体のハリ具合、癖一つない黒髪
どれをとっても一級品。
まさに私にふさわしい」
ボロンゾは陶酔するような表情を浮かべ、あずさの柔肌を堪能するようになで回す。
徐々に手は上へ上へと上がり、胸の膨らみへと到達した。
「素晴らしい胸ですね。これほどの胸は最近ではとんとお目にかかってませんよ」
豊かな2つの膨らみを、餅をこねるように優しく撫でまわす。
背筋にゾクゾクするような刺激が走り、あずさは思わず体をこわばらせた。
「はははっ……本当に敏感なお嬢さんだ。ますます気に入りました。」
そう言って、優しくそっと頬に口づける。
頬に赤みが射し、あずさの呼吸がうわずってくるのが感じられた。
「ではいろいろ教えてもらいましょうかね」
そう言って、ボロンゾはベットの縁に座ると、どこから取り出したのか
アンケート用紙のような物を手に持ち、ペンを走らせ始めた。
「ではお名前は?」
「来生あずさ…」
(えぇえぇっ…なんで勝手に喋るのぉ…)
あずさの意志とは無関係に、口が勝手に動き、ボロンゾの質問に答えてしまう。
「年は?」
「22歳です」
「家族構成は?」
「父と母、弟が一人です。田舎に祖父と祖母がいます‥」
次々と質問が矢継ぎ早やに行われ、あずさは正直に答えていった。
「男性との体験はあるかね?」
「ありません」
「では自慰は?」
「‥ありません」
(まってぇ〜〜、そんな事聞かないで‥‥答えないでぇ‥)
「ほんとに?」
「はい」
あずさの頭の中の狼狽をよそに、ボロンゾの質問に答えを返していく。
「ふむぅ、素晴らしい。
実に素晴らしいですよ、あずさ
あなたならいいモノになるでしょう。」
ボロンゾは満足したような笑みを浮かべ、優しくあずさの頭を撫でた。
「な‥なんでこんな事を‥‥」
ようやくあずさの口が自由に動き、意志どおりに話すことができた。
「あなたのような美しい女性が欲しいのですよ
私の為だけのね」
口元をいやらしく歪め、ニコニコとあずさに笑いかける。
「いっ…いやぁっ…」
あずさは真っ青な顔で、ふるふると左右に振った。
「ああっ…泣かないでお嬢さん。私は美しい女性の涙に弱いのですよ」
ボロンゾは困ったような顔を浮かべ、考え込むような仕草をする。
「ではこうしましょう。
あなたがもし、私を満足させる事ができたなら帰してさしあげましょう
でも……もし満足させる事ができなかったら……」
そこでボロンゾは言葉をとめた。
(ど…どうなるの……)
あずさはビクビクと震えながら、次の言葉を待った。
「私の奴隷になってもらいます」
「ひいぃっ…」
あずさは思わず卒倒しそうになった。
「奴隷にする」そう言ったときのボロンゾは、赤く目を光らせ、恐ろしげに口を開けたからだ。
すぐにまた元の紳士な表情に戻ったが、あずさの体の震えは止まらなかった。
「どうしますか?」
あずさの答えは、一つしか用意されていなかった。
「や…やります…」
あずさは消え入りそうな声で、そう言った。
きっとボロンゾも、そう答えると思ってたのだろう。
にやりと口元に笑みを浮かべて、また優しくあずさの頭をなでた。
「では楽しませていただきましょう」
ボロンゾはそう言うと、ベットに仰向けに横になった。
「まずは乾杯といきましょう」
サイドテーブルにおいてあるワイン瓶を指差した。
(あっ…動ける)
今まで動けなかったのが不思議なくらいに、あずさの体は自由に動いた。
あずさは慌ててワインの瓶を手に取ると、側においてあったグラスを持った。
「おやおや。駄目ですよ」
あずさがグラスを手に取ると、ボロンゾさんはやれやれといった表情を浮かべた。
あずさは意味が分からず、手に持ったワインとグラスを交互に見比べる。
「部屋に男女がいるのに、グラスなんて使うのは無粋な事
そう思いませんか?」
ボロンゾはそう言うと、人差し指で2度自分の唇を叩いた。
(えっ……えぇぇぇっ!)
あずさはその仕草に、自分が何をしなくてはいけないかに気づき、顔を真っ赤に染めた。
「では早く飲みましょう」
にやにやと笑みを浮かべながら、ベットの上でボロンゾは手招きをする。
「は…はい…」
あずさは意を決して、グラスを置くと、ワイン瓶を持ってボロンゾの横に座る。
見た事もないラベルの貼られたワイン瓶は、不思議な程ずっしりと重たい。
ラベルには英語でキャロルとしか書かれていなかった。
(どこのワインなんだろう?……みたことない…)
「んんっ!」
ワイン瓶に直接口をつけ、あずさは口内にワインを含んでいった。
(なに…このワイン……すごいおいしい…)
口に含んだワインは、今まであずさが飲んだ事があるワインとは格段に違う。
「んっ……んぐっ…」
含むつもりだったはずのワインを、あずさはゴクッと思わず飲み込んでしまった。
「おやおや。自分だけ飲んでしまうつもりですか?」
あずさは慌てて口に含みなおすと、ボロンゾに顔を寄せて、そっとその唇に重ね合わせた。
お互いの口が触れ合い、差し出される舌を絡めあってワインの味を堪能する。
(おいしいぃっ…もっと飲みたい……)
あずさは口内のワインが無くなったのを確認すると、唇を離し再びワイン瓶に口をつけた。
溢れない程度に含むと、またボロンゾに唇を重ね、一緒に飲み干していく。
何度も何度もワインを口に含み、お互いの舌を絡めながら、ワインの味を堪能した。
不思議な事に、何度飲んでも、ワイン瓶の重さは変わらず、尽きることなく飲み続ける事ができる。
あずさは目を潤ませ、頬を染めて、夢中で唇を重ね、吸いあい、絡めあった。
「ふはぁ……」
「そろそろワインはいいでしょう」
ボロンゾはあずさの体を離すと、ワイン瓶を手に取り、机においた。
「では私も準備をしますかな」
そう言った瞬間。ほんの瞬きの間に、スーツ姿から素っ裸へと変わった。
中年太りのでっぷりとしたお腹が哀愁を誘う。
(やだやだ…こんな…でも)
普段のあずさであれば、きっと逃げ出したに違いない。
しかしボロンゾの笑顔の裏にある威圧感に、逃げるという選択肢は出てこなかった。
ボロンゾの股間には、クタッとしたペニスがあった。
私はどうしていいかわからず、ただおろおろと頬を染めてペニスを見つめた。
「触ってみてください」
言われておずおずとあずさは手を伸ばし、ペニスに触れてみた。
グニャッと力なくふらふらと揺れてしまう。
(これが……おとこの人のもの?)
小学校からずっと大学までずっと女子制だったあずさは、実際の男性器を見たことはなかった。
父親のも見たことはなく、実際にいままで想像した事もなかったくらいだ。
学校の授業でイラストで見たことがあるくらいだが、やはり実際に見てみるとその異様さに戸惑いを隠せない。
それが今こうして目の前に存在し、自分の手の中にあった。
「あっ…」
あずさの手の中でペニスはグングンと力強く脈動し、天を仰いだ。
(す……すごい…こんな風になっちゃうんだ…)
胸がドキドキと高鳴り、あずさは呼吸が速くなるのを感じた。
亀の頭のように張り出したくびれ、その胴にはどす黒い血管が浮き出し、その先端は鈴のように割れている。
根元付近は縮れた毛に覆われ、その下に2つの玉のようなモノがついている。
手の中で灼けそうな程の熱を持ち、ぺニスはドクドクと脈動していた。
「あずさに興奮したのですよ」
ボロンゾの言葉に、あずさは顔から火が出そうなほどの羞恥を感じた。
「ではその口でして頂きましょうか」
ボロンゾが言った言葉に、あずさは目を丸めて硬直した。
(こ‥これを口で?)
目の前に突き出されたペニスを、あずさはまじまじと見つめた。
男性経験も無く、そういった雑誌なども読んだ事がなかったため、
ソレを口で、と言われても何をすればいいのかわからない。
「あっ‥あのどうすれば?」
あずさはおずおずとボロンゾさんに尋ねた。
「舐めて見て下さい」
(こ…これを舐めるの…)
凶悪なほどそそりたったペニスは、ビクビクと震え、先端からは透明のしずくをこぼしている。
こんなものに口をつけるなんて、あずさには信じられなかった。
「どうしました?やらないのですか?」
あずさはボロンゾの言葉の続きに、”これが最後ですよ”と続くような気がした。
「あっ…や…やります…やらせてください…」
恐る恐る口を近づけると、桜色の唇を胴体に触れさせた。
(あ…熱い……)
唇から伝わる熱と、脈動にあずさの鼓動が速くなる。
ゆっくりと唇をつけながら、先端へと移動していく。
そして先端に到達すると、にじみ出た雫が口内に入ってきた。
(に…苦い……なにこれ……)
思わず唇を離してしまいそうになるが、なんとか思いとどまる
「あのこれでいいですか?」
あずさはちろちろと舌を突き出し、先端をソフトクリームを舐めるような感じで刺激する。
「ちゃんと咥えてください」
もう抵抗する事もなく、素直にあずさはペニスをくわえ込んだ。
小さな口がめいいっぱい拡げられ、口内を占拠される。
喉がふさがれ、呼吸もままならず、あずさは目から涙が溢れてくるのを止められなかった。
それでも口から吐き出そうとはせず、必死で舌を突き出し、考え付くままにペニスを舐めた。
「いいですよ……」
ゆっくりと動く頭の上に、ボロンゾの大きな手が置かれる。
優しく優しく髪が撫でられ、恥ずかしいようなくすぐったいような気持ちが湧き上がる。
撫でられていると不思議に、気持ちが落ち着き、体の奥底でなにかがズンッと響いたような気がした。
「そろそろ出しますよ…飲んでください」
(でる?なにがでるの?……こわい…)
戸惑うあずさの口の中に、熱い体液が注がれてきた。
苦い味が口内に広がり、思わずペニスを吐き出してしまう。
飲みきれなかった体液が、鼻頭や頬に飛び散り、強烈な匂いを放った。
しかし涙ぐむ視線の先に、ボロンゾの顔が見え、慌てて両手で口を覆った。
(に…にがいぃ…の…飲まなくちゃいけないの?…んんっ)
「んんぅぅっ…」
眉をひそめ、喉にひっかかる体液を幾度にかわけて、嚥下していく。
「はぁぁぁぁっ……」
あずさはゆっくりと目を開け、大きく息を吐き出した。
自分の吐いた息の精臭に、思わず「うっ」とうめき声をあげる。
口を手でおさえ、唾を口内に溜めて、何度も何度も飲み干した。
「はふぅっ……」
ようやく口内の精液を全て飲み下し、あずさは一息をついた。
「ちゃんと飲みましたね」
ボロンゾは満足そうな笑みを浮かべ、優しくあずさの頭を撫でた。
ゾクッ
撫でられた瞬間、あずさは全身に電撃が走ったような寒気を感じた。
圧倒的な強者への、潜在的な恐怖心
心臓をわしづかみされたような感覚が、頭の中にこびりつく。
体は火照っているのに、心の中ではボロンゾへの恐怖と服従心が膨れ上がっていた。
「私の前にきなさい」
ベットに寝転がったボロンゾは、硬直している私を手招いた。
ふらふらと言われるままに四つんばいで近寄り、ボロンゾの隣に座り込む。
「あずさ、あなたのモノを私に見せなさい、さあ前へ」
(前へ??……えぇぇぇっ)
おずおずと腰をあげ、そっとボロンゾの顔をまたぐと、あずさはあまりの羞恥に顔を覆ってしまった。
ボロンゾはそっと親指を震える秘唇に当てて、くつろげた
「ほぉ、実に美しい……」
桜色の襞が割り拡げられた瞬間、小さな穴が口を開き、ヌルッと蜜を吐き出した。
あずさは蜜が垂れていく感触に、紅く染まっていた頬をさらに真っ赤に染める。
見ず知らずの男性にあそこを見せつけ、あまつさえはしたなく濡らしてしまう。
その事実にあずさは、今にも失神しそうになってしまった。
「あひぃっ…な…なめちゃ汚い……ひぃっ」
震える秘唇にボロンゾは口をつけ、舌を伸ばして舐めはじめた。
「いえいえ……実に綺麗なモノですよ。
素晴らしい出来です。
実に素晴らしい」
ボロンゾの舌は、溢れ出てくる蜜を一滴も逃すまいと、縦横無尽に暴れまわる。
「あひぃぃっ!あぁっ!あぁぁぁ!」
ボロンゾの舌が胎内で弾ける度に、まぶたの裏に閃光が走った。
いつしか無意識のうちに、ボロンゾの顔に股間を押し付けるようにして快感を貪っていた。
腰をガクガクと震わせ、こらえきれない嬌声をあげて、唇を震わせる。
「あっ………」
体の奥で膨れ上がり、爆発しそうになっていた快感が急に止んだ。
閉じていた目を開け、下を見てみるとボロンゾが笑顔であずさを見ている。
「そろそろ入れてもらいましょうかね」
ボロンゾは変わらない笑顔でそう言った。
笑顔のはずなのに、背筋にゾクゾクとするような寒気が走る。
(こ‥怖いよ‥‥なんで……)
「ど…どうすれば…」
体を震わせながら、あずさは寝そべって待っているボロンゾに聞いた。
「そうですね…上になってもらいましょう。どうぞ」
手で下半身を指し、笑顔を浮かべる。
「はっ…はいっ…」
あずさはのたのたと体を後ろに移動させた。
そして体を起こし、腰を下半身付近へと載せる。
「あぁっ…」
熱いペニスがあずさの太腿に張り付き、その脈動に心臓が高鳴った。
「い…入れさせて頂きますね」
あずさはボロンゾに馬乗りになり、腰を上げて、ゆっくりと降ろしていった。
しかし中々思うように胎内に導けず、先端はニュルニュルと穴を外していった。
(入らないよう・・どうすればいいの…)
あずさは泣きそうな顔で、何度も何度も腰を上げては、降ろしていく。
「手を添えてみればよいのですよ…ほら」
ボロンゾはあずさの手を掴むと、下半身へと引き寄せた。
あずさの手に熱い肉棒が触れ、思わず手を引っ込めてしまう。
「駄目ですよ。ほら、手を添えて」
もう一度手を下半身に引き寄せられ、肉棒へと添えられる。
あずさの手の中で、熱く硬い肉棒がドクドクと脈動していた。
「んんっ……」
あずさは意を決して、肉棒を掴むと腰を降ろしていく。
ヌプッと胎内に先端が入り、引き裂かれるような感覚が走った。
しかし‥
(あ‥痛くない‥‥なんで‥)
拡げられていく感覚はあっても、なぜか痛みを感じなかった。
肉棒は奥へ奥へと侵入し、なにかにひっかかっる。
「んんっ、くぅっ‥」
「さあ!奥まで入れるのですよ!」
あずさは一息入れて、そのまま腰を降ろした。
「くぅぅっ!」
なにかが破れるような、そんな衝撃が胎内に響き、ペニスが奥まで到達した。
(すごい…なかでビクンビクンしてる。熱いよぉっ…)
あずさは喉を反らせ、胎内で脈動するペニスの感触に衝撃を受けた。
奥深くまで入ったペニスは、熱く、硬く、じわじわと胎内でその存在感を増していく。
あずさはその感覚に悩ましげに、腰をくねらせた。
ボロンゾの胸に手を置き、ゆっくりと腰を前後に動かしてみた。
「あぁ…んっんんっ…」
最初はおずおずと小幅に動いていた腰は、徐々に大胆に前後に揺れ始める。
(あぁぁっ!すごい…中で暴れてるよぉ…)
ボロンゾの腰がゆっくりと突き上げられ、あずさの視界が上下に揺れる。
胸が大きく弾み、自然と押さえるようにあてた手で揉みしだいていた。
甘い吐息を吐きながら、あずさは突き上げに合わせるように腰を揺らしていく。
貞淑だった時からでは考えられないような、女としての本能的な動きだ。
「ああぁぁっ!なに!すごっ…すごぃぃっ!いいっ!」
「すばらしい!すばらしいですよ!」
もしあずさの背後に目があれば、気づいたかもしれない。
あずさの背中には、飲まされたのと同じような、ワイン瓶が張り付いていた事に。
ワイン瓶は底の部分を背中に張り付かせ、激しい揺れにもビクともせず、淡い光を放っている。
しかしあずさはそんな事に気づく事無く、腰を前後に振りたてて、快感を貪っていた。
ボロンゾへの奉仕もすでに頭に無く、ただ自分の欲望に忠実に体が動いていく。
「あぁあっ!なにか!なにかくるぅっ!」
あずさは急に体を痙攣させ、体を仰け反らせた。
「いけませんねぇ、一人だけでイッてしまうなんて。お仕置きですよ」
蕩けた眼で小刻みに体を震わせていたあずさは、急に下から激しく突き上げられた。
「あひっ!ひぃぃ!ま……まって……から…からだがぁっ!」
顔を左右に振り乱し、胎内で再び膨れ上がる快感に翻弄されていく。
「ひぃっ!ひぃぃぃっ!」
ゴールに達した瞬間に、すぐに目の前にまた道が広がり、休むことなく次のゴール地点へと走らされる。
そんな永久に続くと思われるマラソンをやらされているようだった。
あずさの消え入りそうな嬌声と、リズム感のある粘着質な音が部屋に響いていく。
次第にボロンゾの動きが激しくなった。
今まで大きなストロークで突き上げていたが、徐々に浅く小刻みに体の奥を突いてくる。
「中にだしますよ!」
ボロンゾが言い出した言葉を聞き、あずさは顔を真っ青にした。
(や…子供できちゃう!だめっ!)
いくらあずさが性の知識に疎くても、子供のつくり方くらいは知っている。
「だっ!だめっ!それだけはあぁ…」
朦朧とする意識の中で、あずさは思わず拒否してしまった。
「ほう?出しては駄目なのですか?」
ボロンゾは笑顔を絶やす事無く、快楽で朦朧とするあずさに聞き返す。
「ああっ……あぁぁ…だ……出してくださぃ…」
赤く光るボロンゾの目と目が合い、あずさは自分の立場を思い出した。
そして消え入りそうな声で哀願する。
「いいのですか?ほんとうに?」
羞恥でいまにも倒れそうなあずさの頬を両手で掴み、ボロンゾはもう一度聞き返した。
「あぁ!出して!お願い、いっぱいいっぱい注ぎ込んで………私の中にだしてぇっ!」
あずさは今まで生きてきた中で、もっとも大きな声で淫猥な言葉を叫んだ。
ボロンゾはその言葉を聞くと、あずさの腰をしっかりと掴み、ドスッと強烈な一撃を子宮に見舞う。
子宮口のくぼみに、しっかりとはまり込んだ先端から、大量の熱い精液が吹き出した。
括約筋が収縮し力いっぱいにペニスを食い締め、あずさは体を激しく痙攣させる。
「あひいいっ!でてるうぅっ!はうぅぅっ!」
胎内で弾ける熱い体液の迸りに、愉悦の表情を浮かべ快感の波に身を委ねる。
そして結合部ではビュッとなにかの液体が迸り、ジワッとした感触が股間に広がっていく。
「あぁぁぁぁああぁぁ………」
あずさは言葉にならないうめき声をあげながら、前のめりにボロンゾの胸元に倒れこんだ。
「はぁはぁ」と荒い息を吐き、あまりの快感に徐々に意識が薄れていく。
「ふむぅ‥実に素晴らしいモノができましたねぇ‥‥満足しましたよ、あずさ……」
薄れゆくあずさの意識に、そんなボロンゾの呟きが聞こえたような気がした。
「姉貴!姉貴!」
「えっ」
強く肩を叩かれ、あずさは相手を見た。
そこには、ムッとしたような表情をした弟のひかりが立っていた。
「さっきから何度も呼んでるのに無視するなよ!」
かなり怒っているらしく、眉をあげて、強い口調であずさは攻め立てられた。
「あっ…ごめん。ここは……?」
あずさはおろおろと周囲を見回した。
「なにいってるんだよ!駅だよ!駅!飲みすぎ?」
そこはあのボロンゾに肩を叩かれた、柱の側だった。
慌ててあずさは自分の姿を見たが、同窓会に行ったときと同じ洋服のままだった。
(あれは…夢?なの…?)
呆然とさっきまで行われてたはずの、淫らな宴を思い出してしまう。
怖いほどリアルに思い出され、あずさの背筋がゾクゾクと震えた。
「ほらっ!はやく帰るよ。見たいTVあるんだよ……」
ひかりはかなり急いでるのか、あずさの腕を引いて、駅の外へと歩き出した。
引かれるままに、あずさはふらふらと歩き出した。
そしてふと駅の喫茶店が目に止まった。
「あっ……」
ガラスの向こう側のカウンターには、あの赤いシルクハットを被ったボロンゾが座っていた。
ワイングラスをそっとあずさに向けて上げると、グッと飲み干し、ニヤリと笑った。
(ゆ……夢じゃなかったんだ…)
あずさは真っ青な顔で家路につく事になった。
数日後、あずさの預金口座に大金が振り込まれていた。
受け取れないと、返そうと駅に何度か立っていたが、結局その後ボロンゾとは二度と会う事はなかった
おわり