(まさかっ……あんなことになる、なんて)  
私は昨夜の夕兄との出来事を思い返しては打ち消し、思い返しては打ち消しをしていた。  
(は、初めてなのに、まさかあんな風にえっちするなんて)  
夕兄との出来事は、強姦されたのか? といえばそうでもなく。  
だからといって、同意の上かといわれれば……それもちょっと違う。  
(夕兄は、私の事、どう思ってるのかな? アレは、ただの祭のノリのヤリ捨て……って言うのかな)  
でも、恥ずかしくて、夕兄に会いたくない。  
 
行為の最中に散々強要された卑猥な言葉。  
それは、今まで知識とは知っていても、口に出した事はなくて。それを、夕兄に言ってしまった。  
今までエッチな漫画とか小説を読んだときに、ちょっとムラムラしてしまって、自分で胸を触り、じりじりと太ももをすり合わせるのとは違う。  
他人に触られる恥ずかしさと、そして起こるそれ以上の快感を、夕兄は私に与えた。  
だから、最後までやっちゃったら、どんなに気持ちいいことなんだろう。  
でもこんな事、気軽にやっちゃダメ。  
そんな理性と欲望の板ばさみで、ぐちゃぐちゃになった私を、夕兄は散々弄った。  
私の理性は頑張ったけど、夕兄にもどかしく触られるたびに、理性を脱がされていく。  
多分、心の奥で私が夕兄の事……好きだったから。  
こんな状態に陥って、少し幻滅したけれど。でもそれ以上に好きだったから……だから、いっか。って単純な理由で、私はついに落ちた。  
 
「わ、私に夕君をぉ……くださいっ……!!」  
 
そんな正気では言えない、台詞を言わせるほど、夕君は私をおかしくさせる。  
でもそんな台詞でも夕兄は、満足できなかったみたいで。  
「オレの何を? どこに? どうやって? ちゃんと言ってくれなきゃ分からないな」  
「っ……! あっ……イヤっ」  
夕兄の意地悪! と涙目で見つめても、やっぱり容赦してくれない。  
いやいやながら初めて、口で発音する言葉に、恥ずかしさで震えながら、でもどこか興奮する。  
「わ、私の下のお口にっ……夕兄の……その……オ、○○○ンを入れてくださいっ……」  
「ん、いいよ? ここかな?」  
やっとのことで言ったのに。ニヤリと笑う夕兄は熱く滾るものを……冷酷にもぐちょぐちょになった陰部……の下の穴にこすり付ける。  
「やっ……! そ、そこはっ……そんなとこ触っちゃヤぁ」  
私は想定外のそこに感触を感じて、びくりと震えると、拒否した。  
 
「じゃあ、ちゃんと言って?」  
「っ……イジワル!」  
「言わないと分からない」  
「っ……。わ、私のぐちょぐちょの。お、お○○こに夕兄のっ入れてくださいっ……」  
「……仕方ないな」  
ため息交じりの夕兄はイジワルだけど、とってもセクシーで。  
そして初めての経験は聞いていたより痛くなくて。  
それどころか……す、すごく気持ちよかっただなんて思ってる。  
夕兄を中に感じながら「やんっ! もっと……もっとぉ……」としがみついていたような気がするほど、記憶があやふやだ。  
ムリヤリに始まった行為なのに、最後は自分から求めてた。  
私って、こんな……えっちな子だった?  
言えない言えない、今あんな事、絶対言えない!!  
 
どうやら夕兄によると、「祭」は三日三晩行われるようだった。  
(外出、しなきゃいい、よね)  
こんな時代錯誤な「祭」どうして知られてないんだろう。  
夕兄に助けてもらえなかったら……って助けてもらったといえるのか分からないけど……知らない男の人とやっちゃわないといけなかったんだよね。  
それって、どう考えても犯罪。すごいニュースになってもおかしくないのに。  
両親も両親だ、こんな重要なこと言ってくれればいいのに! と私は考えて、そういえば夜は外に出るなと言っていたような事を思い出した。  
でもそれは、フツーの口うるさい親の忠告だと思って、私は蛍を見たいという軽い気持ちで、夜外に出たのだ。  
親には……いえないよ。いや、親じゃなくても誰にも言えない。  
 
そう考えていると、私の携帯が鳴った。  
友達からのメールかな? と、何の気もなしに取ってみると、夕兄からのメール。  
でも、夕兄とメルアド交換なんかしてない。  
なんだか嫌な予感と、よく分からない胸の高鳴りが混じる。  
[今日の夜は?]  
その文字だけで、昨日の夜の事を思い出して体が疼く。でも今は普通にあんな事ダメだって理性が働く。  
[今日は、出ないよ]  
色んなことを聞きたかったけど、そっけないメールになってしまった。  
夕兄と会話をするのが怖い。あったらまた、ヤっちゃうのかな、という期待とこのまま流されちゃダメだという怖さがある。  
そして、すぐに夕兄から返信がやってくる。  
本文はない、けど。そこに添付されていたのは、寝ている私の写メ。  
でもその姿は、胸は丸出し。たくし上げられたスカートから伸びる足は開脚し、夕兄の精液と愛液塗れの恥部が丸見えだった。下半身から見上げるアングルで、顔もばっちり解像度も高く映っている。  
 
「な、な……んで?」  
 
私は目の前が暗くなると、がくがくと震える。  
現実を突きつけられたショックで、足元が崩れ去ったようだった。  
 
 
 

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