「駄目よ、こんなこと神様がお赦しにならないわ」
「ずっと、ずっと…初めてあなたに会った頃から好きだった」
俺は未亡人になった彼女と二人っきりになると押し倒した。
彼女の夫の次に信頼されている俺にはそれは容易なことで、彼女はカウチに組みふされながら信じられないというような目をしている。
彼女に初めて俺が出会った日。
彼女はすでに今では亡くなった男のもので。
彼女の旦那より早く出会っていればと、何度思ったことか。
初めて"女"として触れる彼女はたまらなく魅力的だった。
彼女は優しく、今まで人を叩いたことも怒鳴ったこともない人間で。俺の行為を嫌がりながらも抵抗らしい抵抗は出来ない。
俺の愛撫に反応する体は、亡くなったあの男が引き出したもの。それに嫉妬と…愉悦という矛盾した感情が浮かぶ。
「こんな事は、やめて……。あなたは、とてもいい子なのに……」
説き伏せるように、悲しみをにじませ彼女は言うが、長年の思いを一気に溢れさせていた俺には届かない。
否でも、女ざかりの彼女の体は俺に翻弄されていた。声に艶が出て、反対にまるで誘われているように聞こえる。
「いやだよ、母さん」
彼女は俺の父の正妻だった。
父が彼女と結婚する前に、関係をもった女に生ませた子供が、俺。
俺と彼女は血のつながりはないが、書類上では紛れもない、親子。
あの男が死んだおかげで、俺を縛っていた箍は外れた。
あんたさえ死ななければ最後まで彼女の"いい息子"を演じて上げられたのに。
本当にアンタは最初から最後まで最悪だったよ父さん。