――工場地帯の団地、そのひと部屋  
小学3年生、工藤宮子は、縛られていた。  
風邪で学校を休み、部屋で寝ていた。両親は働きにでている。  
昼ご飯を食べようと、リビングに入る。  
そこに、巨大なクモがいたのだ。  
そのクモに襲われ、抵抗するまもなく体中を糸でぐるぐる巻きにされた。  
口も、腕も。  
下半身だけは残して。  
そして宮子は床に転がされていた。  
今、クモは部屋をいっぱいに使って巨大な巣を作っている。  
「んんーーー! んーーー!」  
猿ぐつわのように閉じられた口は、正常な声を上げさせない。  
巣作りを終えたクモが、宮子のもとへ戻ってくる。  
「りぷぷぷぷぷぷ」  
「ん! んんんーーー!」  
体をくねらせ抵抗する宮子。それを軽々前足で持ち上げ、巣に貼り付ける。  
「んんん!? んーー!?」  
ばたつく足を開いた形で固定し、接着を完了させる。これでもう、逃げられない。  
「りぷぷぷぷ・・・・・・」  
ぴすっ!  
「んん!」  
クモの口から鋭く短い針が突き出て、宮子の左胸に刺さった。  
「りぷ、りぷぷぷぷ」  
そのまま口の大きな牙を使い下の服をちぎっていく。アニメのキャラクターがプリントされたショーツも、一裂き。  
「んん! んーーー!」  
邪魔なもののいっさいない、白い肌の丘。  
クモは、そこをじっと見つめる。  
そろそろのはずだ。  
「!? ん、んーーー!?」  
ばくん、ばくん!  
心臓が突如早鐘を打ち付ける。じっとりとイヤな汗が肌という肌から噴き出る。  
頭がくらくらする。朝の頭痛とは違う、もっと暴力的でもっと本能的な。  
「んんーーーー! ん!」  
この年齢だ、毒を注入してもすぐにイクと言うことはないだろう。  
だが、それでもかまわず挿入を始める。  
ぐりぐり、ず、ずぷぷ。  
まだ開いたことすらない穴に、肉棒を押し入れていく。きつく、入ることすら通常あり得ないだろう。  
それでも、むりやり。これでよい。  
「んんんーーーーー! ん、んんーーーーー!」  
入った部分から新たな毒が塗られていく。今度は、違うもの。  
肉を解けさせ、筋肉の緊張を弛緩させ、また当然淫楽を促進するもの。  
 
「んん・・・・・・、んんん・・・・・・!?」  
宮子の勝ち気な目は、とうに潤んで女を見せ始めている。ゆっくりと進行してくる肉棒がたまらない。  
ずず、ずずず・・・・・・。  
ついに終着にたどりつく。未発達の子宮、その入り口。  
クモはそれを悟ると、今度は抜き差しをする動きへと変わる。  
「んっ、んんんっ、んんっ」  
白い肌は赤く上気し、同い年の誰も知らぬであろう新たな感覚に心を奪われる。  
「っんっ、んんっ」  
クモの腹の剛毛が熟れてとがった小豆にあたるたび、電流が脳を灼く。  
「んんっ、ん、ん、んっ、んんっ」  
クモの陰茎が膣の最奥を突くたび、腰が震える。  
そして、快楽の高みへ。  
「んんっ、ん、んんんーーーーーー!!!」  
どぴゅ! どぴゅぴゅ!  
その体にとうてい収まらない量の精液が少女の体内ではじける。子宮にどっぷりとたまる。  
ずりゅ、ごぱぁ・・・・・・。  
「んっ・・・・・・」  
引き抜かれた肉棒に続いて、精液と愛液がはき出される。どろりと床に水たまりを作った。  
「りぷぷぷぷぷぷ」  
手に入れた魔力に喜びを示し、クモは16の目を輝かせる。  
2回戦。もう一度股間に自分を押しつける。  
背後を監視する目のふたつが、竜をみた。  
 
 
『貫殺天使リア』  
11.銀の鱗は金の光に包まれて。-side B-  
 
 
――工場地帯の団地、そのひと部屋  
クモ型デスパイアは、恐怖していた。  
あまりにも大きな存在、あまりにも大きな殺意。  
「りぷぷぷぷぷぷ!」  
振り返り、攻撃用の糸を口から放つ。先の尖った、鋭利な針。  
ガラスを突き抜け、竜の額に直撃する。  
した、はずだった。  
なのになぜか、針の先はバラバラに崩れていく。  
魔法障壁。その、完全版。  
この個体はまだ成体ではないものの、それを有していた。  
こうなれば、魔法を介さない攻撃など何一つ効かない。  
がしゃん!  
ガラスを翼の一降りで破壊し、室内へ侵入する。  
そして、咆哮。  
「ぎゃおおおおおおおおおおおおおおお!」  
叫び声が宮子の鼓膜を震わせる。火照った体さえ急速に冷え切っていく。  
「りぷぷぷぷ!」  
恐怖から血迷ったか、あるいは生存本能か。クモが跳躍し襲いかかる!  
しかし。  
「ぎゃおおおお!」  
また、腕を一降り。クモの巨体を床にたたきつける。  
「ぎゃお! ぎゃぎゃぎゃ!」  
そのままその牙で、魔力の詰まったクモの腹を破り始めた!  
「りぴぃ! りぷぷぴぃ!」  
「がつ! がつがつがつ!」  
体液を周囲にまき散らせ、その力を吸収していく。このようなデスパイアなど、敵ではなかった。  
「ぎゃるるるるるる・・・・・・」  
クモを平らげた竜が目にしたのは、都合よく身動きのとれない次の餌。  
少女の瞳に、竜牙の影が映る――  
 
「さ、せ、る、かぁ!」  
 
ドゴォ!  
「ぎゃおおおお!」  
メグミの背後からの横殴りの杖が、竜の首に命中、その体を吹き飛ばす!  
「だいじょうぶ!?」  
メグミが少女に駆け寄る。簡単に外せないと悟ったメグミは、忌竜に向き直った。  
「まずはあんたね・・・・・・」  
その身を起こしかけた竜に、追撃の突きを入れる!  
「魔力、全開!」  
はじけ飛んだ巨体が、ガラスのない窓を突き抜け外にはじき出される。  
「あとで、助けてあげるから。待ってて」  
そう言って、メグミは駆け出す――。  
 
 
――町の商店街、アーケード下  
「スラァァァァァシュ!」  
「ぎゃお! ぎゃおおおお!」  
3体が散り散りに分かれたのをみて、アタシはまずこいつを追いかけた。  
商店街のこの時間、食料となる人間が多すぎる。近くに来ればそれを理解して人を襲い出すだろう。  
結果としてそれは当たりで、アーケードにこいつが飛来した瞬間に攻撃することが出来た。  
「ッチ! かてぇ!」  
だが、想定外。生まれて1日程度だってのに、この体格にこのスピード、何より障壁!  
「ぎゃおおおおおおお!」  
滑空しながら襲いかかってくる! 避け――だめだ、後ろにまだ人がいる!  
「うぉぉぉぉ!」  
刃で突撃と対抗!  やば、とまんねぇ・・・・・・!  
「っだらぁ!」  
ばしん! ぎりぎりで上空に弾く!  
「ぎゃお! ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」  
アーケードに間抜けに頭をつっこみ、もがく忌竜。この間に・・・・・・。  
「お前ら! 早くこっから出ろ! 死にてぇのか!」  
『ひ、ひぃぃぃ!』  
『いやぁぁぁぁぁぁ!』  
呆然としていただけの一般人が、方々に逃げていく。これでいい。  
ずぼ! ひゅぅ、どすん!  
「ぎゃおおおおお!」  
「よーやく頭抜けたかぁ? こっからはアタシも全力だぜ?」  
魔力を、解放!  
「いくぜ、逃げんなよ」  
「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」  
刃と牙が、ぶつかり合う――!  
 
 
――リアの通った、町の中学校  
ばさり、ばさりと大きな翼竜が空を舞っている。  
少女を、抱えて。  
忌竜はタマゴを植え付けるとき、外敵のいない場所で産卵を行う。  
また、デスパイアといえど人間ひとりを持ったまま遠くへは飛べないし高くも昇れない。  
ならば、確実に第2校舎の屋上だ。2階までしかないし、ほどよく近い。  
「長距離狙撃モード、<ガーフィッシュ>・・・・・・」  
第1校舎屋上、階数にして4階にあたるそこに、わたしは体を寝そべらせている。  
竜種は、わたしがまともに戦える部類じゃない。その程度わかってる。  
息を殺し、待つ。  
「ぎゃぎゃあ! ぎゃぎゃあ!」  
来た。予想通り第2校舎だ。  
掴んだ少女を投げ捨てる。もっと、もうすこし。  
スコープの照準が、忌竜の頭とかぶる。  
「――っ!」  
引き金を、しぼった。  
 
 
 
――町の商店街、アーケード下  
「ぎゃぎゃおおおお!」  
「スラァッシュ!」  
ぎぃん! 刀が障壁に阻まれる。けど、  
「お前の動き、もう見えてるぜ・・・・・・?」  
目が慣れた。動きも追える。これならば・・・・・・!  
「ぎゃおおおお!」  
「すー・・・・・・はー・・・・・・」  
呼吸を整える。集中、集中、集中!  
「ぎゃおおおおおおおおお!」  
「・・・・・・・・・・・・」  
魔力を、刀へ。動きを流れるように。  
刀身をあげて――  
「さよならだ」  
倒れるように、前へ――  
「・・・・・・『朽ち桜』」  
体ごと、進め、斬る!  
「スラァァァァァシュ!」  
・・・・・・べちゃり。  
障壁ごと切り裂く。これで終わりぃ!  
「よっし! さて残りは・・・・・・」  
リアちゃんが、心配だ。  
 
 
――工場地帯の団地、その公園  
「ぎゃおおおお!」  
障壁を展開、攻撃を弾く。同時に、長杖による一打ちを入れる!  
「ぎゃ! ぎゃおお!」  
「アキラにも教えてあげなきゃね・・・・・・。魔法の使い方」  
体をぴったりと覆う障壁、だけではない。  
今の私の周囲には、6層からなる魔法の壁が存在している。  
「ぎゃおおおお!」  
「まぁこれ、私が作ったのだからあの子達が使えるかはわからないけど・・・・・・」  
何度突撃されても、一枚たりとも破壊されることはなく忌竜を拒み続ける。  
この盾がある限り、私にふれることは許されない。忌竜の親玉ならわからなかったが、子供なら問題ない。  
「あの糸も取っちゃいたいし・・・・・・。そろそろ終わりね」  
充分痛めつけたし、そろそろいいだろう。  
懲りずに向かってきた竜の鼻っ柱に杖の先を打ち付け、  
魔力を、解放!  
「ぎゃがが!?」  
体を振り回し、突然暴れ始める忌竜。目からは血の涙を流している。  
「がぎゅあ・・・・・・」  
ばたり、と倒れる。近づいて杖を頭に押しつけ、  
「ふっ!」  
貫いた。これで、終わり。  
「ふぅ・・・・・・。残りは・・・・・・」  
リアちゃんが、心配だ。  
 
 
――リアの通った、町の中学校  
ばちぃん!  
「がぎゃあ!?」  
!? はじかれた!? あれはまさか、魔法障壁!  
「ぎゃおおおお!」  
まず、こっちにくる――  
がつっ!  
「あぅ!」  
突進。避けきれなかった。  
体が宙を舞い、向かいのフェンスに叩きつけられる。  
「ぅく・・・・・・っ、はぁっ!」  
肺を強く打った。呼吸がしづらい。  
「ぎゃおおおお!」  
やばい、やばい、やばい!  
がっ!  
「ぎゃる?」  
忌竜が振り向く。セーラーを着た少女が、吹奏楽器をもって立っている。  
「愛子を・・・・・・愛子を返せ!」  
がっがっがっ!  
コントラバスで何度も竜の体を叩く。それらは全て障壁に阻まれ届かない。  
「やめっ、やめなさい・・・・・・っ」  
「ぎゃるおぉ!」  
ばしぃ! 翼の一打ちが少女を襲う。「あぅ!」と声を上げ、彼女は床でうずくまった。  
「ぎゃるるるるる・・・・・・」  
のし、のしと少女に近づく忌竜。守らないと、  
――『お父さん! お父さん!』  
守らないと、  
――『智香! 智香しっかりして!』  
守らないと、  
――『いや、いや、いやぁぁぁぁぁぁ!』  
守らないと!  
「たすけてぇ!」  
少女が叫んだ瞬間、私も叫んでいた――。  
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・  
 
 
少女はみた。  
化け物がのしかかるその影に、金色の光を。  
「ぎゅるぉ!?」  
忌竜が振り返る。異常なまでの魔力に驚き。  
ふらふらと頼りなく立ち上がり、リアは叫ぶ。  
「うあ、うあああああああああああああああ!!!! 連射モード、<サーディン>!」  
ダガガガガガガガガガガガガ!  
放たれた銀の奔流は、竜の硬い障壁を貫通し片翼を吹き飛ばす!  
「ぎゃる・・・・・・ぎゃるぎゃるぎゃろおおおおおおお!」  
再び、突進。今度は命の危機を感じた、その勢いのままに。  
リアは、迎え撃つ。  
「カノンモード、<グレート・ホワイトシャーク>!」  
変形。両手用の拳銃。銃身が金色に包まれている。  
「あああああああああああああ!!!!」  
ゴォッ――――  
少女ははじめの破砕音だけは聞き取れた。それ以降は覚えていない。  
ただ、  
銀の輝きが怪物を消し飛ばしたのだけは、  
なぜかしっかりと覚えている。  
 
 
 
銀の鱗は金の光に包まれて。-side B-.end  
 
銀の鱗は金の光に包まれて。.end  
 
 
 

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