この世界にはヒーローはいない。  
都合よく助けは現れないし、敵だったものが味方になることもない。  
力が全てで、敗者には屈辱を与えるのみ。  
それが、真理。  
これは、本当ならあったはずの、If物語。  
 
 
『貫殺天使リア』  
20/偽.ヒトの生きる道  
 
 
――デスパイアの体内  
青く生臭い心臓に、リアは磔にされ陵辱を受けていた。  
口、膣、尻穴に3本の触手が収まっている。その中の1本、尻の触手が突然違う行動を始めた。  
ぼんやりと虚空に漂わせていたリアの碧眼が、不信の光を点す。  
太い触手が、解れているような気がする。  
リアは、自分に埋まる触手は全て同じものだと思っていた。しかし、実は違う。  
尻の触手は、排泄物の管理を兼ねていた。  
それは、少女を永遠の牢獄に閉じこめる為の装置。少女の排泄物さえデスパイアは奪っていく。  
直腸内でばらけた極細の触手たちが、リアの尻にたまった汚物を吸い上げる。  
「ん、んんーーー!? んんっ! んーーー!!」  
いやいやと首を振りこれまでにない感覚を拒絶しようとするリア。しかし、淫楽にとけた身体は吸引の感覚も悦楽として享受する。  
ずるるるるる・・・・・・  
全てを吸い取り、アヌスから抜け出る触手。尻にぽっかりとした喪失感を感じる。  
今度は、口だった。  
触手の先端が割れ、繊毛のような触手がいくつも顔を出す。  
それらがリアの舌へと絡みつく。優しく激しく、舐るように貪るように。  
「んん・・・・・・、じゅる、ん・・・・・・」  
とろんとした瞳で悦びを受け入れるリア。与えられる淫液は、全て残らず飲み下す。  
白い肉の壁は、今や完全にリアを包み込んでいた。喪失感を埋めるように尻にまた触手が入り込む。  
今度は、抵抗しなかった。  
膣に入った触手がピストン運動を再開する。牝の本能として悦びで受け入れる。  
子宮口へノックを繰り返す触手に、リアは自ら腰を振って答えた。  
彼女の子宮のその先、卵巣。  
かつて妖花によって改造された部分が、その快楽に反応した。  
卵子を排出し、受精に備える。  
一突き一突きに小さな波を味わい、リアの身体はその時に備える。  
触手が、太くなってきた。  
――ああ、出される――  
どうしようか、あらがうべきか。  
そんな迷いなど吹き飛ばすかのように、熱い子種が注ぎ込まれた。  
「――――っ!! んんん〜〜〜〜〜!!」  
腹が膨れるほど精を吐き出される。待ちわびた、絶頂。  
子宮の中、リアの揺りかごに向かって泳ぐ精子たち。目指すは、少女の卵子。  
卵子に、デスパイアの精子がたどり着いた。ヒトとデスパイアの垣根を越え、受精を果たす。  
リアの2度目の懐妊だった。  
ちょろろろろろ・・・・・・  
リアの秘所から小水が零れ、触手はそれすら糧とする。  
どろりと子宮に収まりきらない精液が、膣からあふれ出した。  
金の魔力は白に奪われ、リアは奴隷としての立場を存分に果たす。  
恋人とのキスを楽しむように、リアとデスパイアは舌を絡め合う。  
小さな手のひらで、触手の1本を掴んでみた。拙い動きで奉仕を始める。  
 
膣を埋めていた触手が抜かれた。中の精液がこぼれないよう膣を締め付ける。それでも重力に従ってぼたぼたと流れ出てしまう。  
「んちゅ・・・・・・、ぁ、せーえきでちゃやだぁ・・・・・・」  
どろどろと濁った眼で栓を懇願する。胎動から精が流れ落ちる感覚は、酷く虚無感を味あわせた。  
ずる、と音をたてて口腔の繊毛たちも出て行ってしまう。舌で追いかけても、それは届かない。  
「あぁ、やだ・・・・・・、足りない、足りないよう・・・・・・」  
尻にも口にも、膣にもなにも埋め込まれていない。乳首とクリトリスに張り付いたヒトデは吸飲をやめている。  
刺激が与えられない。足りない。精臭が満ちるこの部屋で、それはリアにとっての拷問であった。  
「あ、あぁ・・・・・・、ぺろ、ちゅぱ・・・・・・」  
かろうじて掴んだままだった触手の1本に口づける。あのときふたりの天使が見せたそれを、何とか再現しようとする。  
今、リアにはその触手を自分で自分のクレバスに導くという思考はない。  
自分は奴隷だ、という自覚があった。快感は、主が与えるものでなければならない。  
勝手なことは、できない。  
「じゅる・・・・・・、んちゅ、じゅる、じゅる・・・・・・」  
ためらいなくそれを口に含む。小さな口いっぱいに亀頭を頬張り、必死にストロークを繰り返す。  
「んちゅ、じゅる、じゅる・・・・・・」  
何度もそれを繰り返していると、だんだんと触手が太くなってきたのを感じた。  
「ん、じゅるる・・・・・・、だ、出して・・・・・・、口に、出してください・・・・・・。飲ませて、下さい・・・・・・」  
媚びた眼で触手に訴えかける。そのリアの願いは、叶えられることとなった。  
「ん、んじゅる・・・・・・んん!」  
どぷん!と多量の粘つく精液が出される。口中に据えたにおいが広がり、脳は高ぶりを加速させる。  
「くちゅ、くちゅ・・・・・・、ん、ごくん」  
たっぷりと口の中でかき混ぜ、その味を確かめた後、それを飲み下す。喉に引っかかる悪臭が、たまらなく愛おしい。  
ゆらり、と別の触手が目の前に現れた。鎌首をもたげ、じっとリアをみつめる。  
リアは、なにをすればよいのか瞬時に悟る。  
決意など捨て、矜持などなくし、ただの牝となることの宣言。  
「リアを・・・・・・、リアを使ってください。リアはご主人様の奴隷です。  
 どんなエッチなこともします。ここで一生飼われます。口も、おっぱいも、お尻もアソコも、捧げます。  
 何でもします。魔力も全部奪ってください。だから・・・・・・」  
こくん、と唾と精液をのむ。期待と性愛に淀んで燃える瞳が、最後の言葉を言わせた。  
「だから、わたしに、わたしにたくさんエッチをしてください!」  
性への知識があまりに足りない、無垢な少女の奴隷宣言。それをデスパイアは承諾する。  
「ぁ、あぁ・・・・・・、きた、きたぁ・・・・・・」  
触手が膣にねじ込まれる。至福の笑顔で感謝を述べる。  
「ありがとうございます、がんばって奉仕します・・・・・・。んちゅ・・・・・・」  
傍らの触手に接吻を交わす。尻にも触手が入り込み、新たな快楽を生みだした。  
「んちゅ、んちゅる・・・・・・。あぁんっ、はぁっ! あ、あぁぁ!」  
恥も外聞もなく少女はもだえる。腰を振って快楽に身を任せる。  
ここに、天使はいない。  
ここにいるのは、ただの牝だけ。  
 
 
――デスパイアの体表面、鎧のない肉の露出した場所  
デスパイアの腰にあたる部分、触手の網に囚われていたメグミは、アキラといっしょに犯されていた。  
ふたり抱き合い、胸と胸、クレバスとクレバスをあわせた格好で。  
「ひゃぅ! あぁっ、いい、いいよぉ! メグミっ、これいいよぉ!」  
尻と膣にそれぞれ触手が出入りしている。その上、あわせたクレバスの間に1本触手が蠢いていた。  
2穴差しで、クリトリスまで攻められて。アキラの快楽はとっくに限界値を超えていた。  
「んっ、んぁ・・・・・・。あ、アキラ・・・・・・、だめ、流されちゃ・・・・・・あぁん!」  
子宮を小突かれ、身体が跳ね上がる。無意識にアキラを抱きしめ、その快楽を堪能する。  
「め、メグミぃ・・・・・・口、寂しいよぉ」  
「アキラ・・・・・・、んちゅっ、ちゅ、じゅる・・・・・・」  
色気のある唇に吸い寄せられ、メグミはアキラに貪りつく。アキラも応えて深いキスを交わしあう。  
「んちゅ、ん・・・・・・、あぁんっ! あ、だめぇ! メグミ、イク! またイっちゃうよぉ!」  
忘れるなと言わんばかりにアキラの触手がうねる。膣壁を擦られ、アキラは絶頂を受け入れる。  
「あ、あぁっ! めぐみっ、くる! くるよぉ! あ、あぁぁぁぁぁ!!」  
びくんと双乳を震わせて達する。平均的な胸の上に居座った乳首は、赤く太く腫れ上がっていた。  
「ぁ、アキラ・・・・・・、あぁっ!?」  
ぱしん、と背中を打たれる。それに快感を覚えて、メグミはぐったりとしたアキラにしがみつく。  
「め、メグミ・・・・・・? いたく、ないの?」  
「あ、あぁ・・・・・・見ないで、見ないでぇ・・・・・・」  
ぱしんぱしんと音を立てるたび、小刻みにメグミも波を味わう。白い背中は赤い筋で埋まっていた。  
「ひゃん! あぁ、痛いのいいの・・・・・・、あぁんっ!」  
尻を叩かれ、子宮を突かれ、メグミも絶頂に導かれていく。  
「あっ、あっ、あっ、あ・・・・・・あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!」  
ぷしゃあ、と潮を吹いて絶頂に達する。押しつけられたメグミの豊かな胸が、アキラの胸と重なりつぶれる。  
「はぁ、はぁ・・・・・・ぁ、アキラぁ・・・・・・ちゅ・・・・・・」  
どちらともなく、口づけを交わす。抱きしめあった肌からお互いの体温を感じる。  
また、触手が動き始める。突き上がる性感がたまらなく心地よい。  
「んっ、メグミ、いっしょに、いっしょにイこ? あっ、あぁっ」  
「あきら、あぁんっ! アキラぁ!いっしょに、いっしょにぃ!」  
抱きしめあうふたりは、あたかも相手の絶頂を感じ取ったかのように頼み込む。  
股を擦りあわせ、胸を重ね、背中に回した腕を強く絞め、  
「あんっ、あぁっ、あぁぁ! イクっ、いくぅぅぅぅぅ!」  
「あっ、あぁん! アキラ、アキラぁっ! あ、あぁぁぁぁぁっっ!!」  
ふたり同時に、絶頂を駆け上る。精液が放たれ、ふたりの子宮と腸内を汚す。  
ぼたぼたと、頭上で犯されている少女の膣から精液が降りかかってきた。ふたりの顔が白く染まる。  
「メグミ・・・・・・。ぺろっ。んっ、おいし・・・・・・」  
「アキラ・・・・・・ぺろ・・・・・・ちゅる・・・・・・」  
お互いに舐めあって精液を飲み込んでいく。そこに嫌悪の感情はもはやなかった。  
ここに、天使はいない。  
いるのは、ただの牝だけ。  
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・  
 
 
それから2週間後の夜。デスパイアは日本を横断して、太平洋にたどり着いていた。  
その間に通った街は、全て陵辱にまみれている。  
生存者をその身に纏うため、自衛隊も攻撃できず、その行進を許していた。  
そして今、千葉の海。  
浅いところに、デスパイアは居座っていた。  
海。自らが生まれた場所。  
捕らえた牝共は、全員孕んでいた。その腹には、デスパイアの卵がある。  
ここには、産卵の為にやってきたのだ。  
触手が牝たちを海に下ろす。腰が水につかるよう、その身を支える。  
その中に、アキラの姿もあった。  
ぽっこりと膨らんだ腹に苦しげな顔を見せる。  
「う・・・・・・んあっ、うま、産まれる・・・・・・」  
必死に力んで、胎道から卵を排出する。ひとつ、その女陰から半透明の卵がみえた。  
ぼこん、とひとつめ。中に人間の胎児が入ったそれを、海へ送る。  
「はぁ、はぁ・・・・・・、つ、次・・・・・・」  
無事に卵を産むことが、自分の使命と確信していた。それは、ここにいる牝全員がわかっていることだろう。  
ふたつ、みっつと卵をひりだす。青い海に、それらは旅立っていく。  
がんばれよ、とそのひとつずつに激励を送りながら、彼女は産み終える。  
周りを見やれば、たくさんの卵が海中に浮かんでいた。  
幻想的な風景。アキラはそれに生命の凄みを感じてみとれる。  
幾千もの卵たちが、海へと沈んでいく――。  
 
 
――デスパイアの体内、白い部屋  
リアの胸は、あの夏休みと同じように膨らんでいた。  
当然、母乳もでている。  
それを吸うのは、デスパイアの子供たち。リアの金の魔力とデスパイアの白の魔力を持つ、特別な子供。  
ちゅるちゅると、上質な魔力を吸い上げる子供。姿形は人の幼児と変わらない、その子供。  
「ん・・・・・・、アダム・・・・・・、元気に育って・・・・・・」  
母の瞳でリアは語りかける。卵から産まれたその子供は、確かにリアの遺伝子を受け継いでいた。  
母と同じ金色の髪を持つアダムは、ただ夢中で母乳を吸う。たった1日で幼稚園生ほどに成長していた。  
その髪を撫でながら、リアは思いをはせる。  
この子が、世界に旅立つ日を。  
それはきっと寂しくて、けれど喜ばしい。  
――あれ、なにか忘れてるような・・・・・・。  
  まぁ、いいよね――  
「たくさん恋人をつくって、たくさん子供産ませてあげてね。女の子の幸せは、それなんだから・・・・・・」  
我が子を愛おしみ、授乳を続ける。  
自分が天使であることなど忘れて。  
ここに、天使はいない。  
いるのは、ひとりの母親だけ。  
 
 
――1年後、日本のどこか  
世界中がデスパイアに蹂躙されていた。テレビで見た、アメリカの光景が忘れられない。  
カナエは、小さな小屋に逃げ込んでいた。家のあった町は、デスパイアの襲撃を受けて滅んでいる。  
「るーあちゃん、リアちゃん、カレンちゃん・・・・・・」  
みんな、いなくなった。ここに行け、後で必ず迎えに行くと言った幼なじみの少女も、いっこうにあらわれない。  
震える手で携帯を開く。既に残りがひとつとなった電池パックで電力を補強する。  
携帯が起動して、まずはネットを確認してみる。きっと進展があるはずだ。  
iモードのホーム画面は、3日前から更新がなかった。  
遅れて、メールが届く。急いで送り主をみると、それは彼女の待つ親友からだった。  
ぱっと表情を輝かせ、いそいそと内容を確認する。  
 
from:るーあちゃん  
sub:待たせちゃってごめんね  
――――――――  
いまいくよ  
みんないっしょだよ  
 
 
「みんな・・・?」  
まだ生き残りがいる。そうわかった瞬間、カナエの瞳に希望が戻る。  
また、メールが来た。うれしさのまま、それをあける。同じく瑠美亞からだった。  
 
from:るーあちゃん  
sub:待たせちゃってごめんね  
――――――――  
もうつくよ  
しょくしゅもいっしょだよ  
かなえもきもちよくなろ  
 
 
「え・・・・・・?」  
添付画像が自動再生される。クラスのみんなが、白いなにかに貫かれていた。  
みんな、嬉しそう。  
どすん、と小屋の前で重い足音がした。  
ゆっくり振り返ると、窓の外に錫色のなにかと白いなにかが見えた。  
 
 
 
この日、世界の女性は、絶滅した。  
残ったのは、人の尊厳を捨てた牝だけ。  
 
 
 
世界は正しい道をとる。人が滅び、ヒトとデスパイアは混じり合う。  
これは、本当ならあったはずの、If物語。  
 
 
 
 
ヒトの生きる道.end  
『貫殺天使リア』/true end  
 
 

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