冬の季節。  
正月が明け、3が日。  
町にも活気が戻って、人々の往来も盛んになった。  
誰もが、あの聖夜を忘れかけている。  
それはきっと、いいことなのだろう。  
 
 
『貫殺天使リア』  
22.強くなるため  
 
 
――グローデン家、リビング  
年が明けた。あのデスパイアの襲来から、もう10日たっている。  
もう10日。たったの10日。  
わたしたち天使は媚薬効果への耐性が強い。7日間の入院で充分回復することができた。  
病院には、まだ被害者がたくさんいる。それこそあふれそうなくらい。  
テレビの中では芸人たちがコントをしている。どうにも笑う気がせず、チャンネルを変える。  
ニュース番組。キャスターがニュースを読み上げている。  
『――町に巨大生物が現れ・・・・・・』  
わたしたちの町だ。壊れたビル群が映し出されている。  
あのとき、わたしたち天使は全員敗北を喫した。まったく、勝てなかった。  
メグミさんは言いたがらなかったが、たぶんあの黒いデスパイアに助けられたのだろう。  
わたしにだってそのくらい、現場に残った残留魔力で判断できる。  
メグミさんを問いつめたところ、約束だからと逃げられてしまった。  
お礼を言うべきなのだろうか。彼は、真っ先にわたしを助けようとしてくれた。  
「・・・・・・」  
わからない。全然、わからない。  
わたしを好きだと言った彼。わたしを守ると言った彼。  
そういえば、ウチの制服だったな・・・・・・。  
また、会えるだろうか。  
 
 
――メグミのアパート  
おかゆを作り上げ、アキラの布団に運ぶ。  
昨日、遅くまで外に出ていたせいで、彼女は風邪を引いていた。  
「おー、ありがとさん・・・・・・」  
「まったく、早くなおしなさい」  
あの敗北がそれほど堪えたのか、アキラは毎晩遅くまで稽古を続けている。  
なにかを振り払うかのように、なにかから逃げるように。  
それは、とても脆くて。ともすれば切れてしまうような糸のようで。  
「それじゃ、リビングにいるから。おとなしく寝てなさい」  
彼女のそばを離れようとする。  
きゅっと、か細い力で服を掴まれた。細い、戦士には見えないような細い指。  
「・・・・・・ごめん。もうちょっとだけ、ここにいてくれ」  
「・・・・・・いいよ。いてあげる」  
今にも泣きそうな顔。こんな顔を見るのは初めてだった。  
「・・・・・・」  
「・・・・・・」  
かちこちと時計の音だけが響く。アパートの外で遊んでいるのか、子供のはしゃぎ声が聞こえてきた。  
「・・・・・・アタシ、さ」  
「・・・・・・?」  
ぽつり、とアキラが呟く。告白するように。独白するように。  
「アタシ、感じてたんだ。あのデスパイアに犯されて。普通の女みたいによがっちゃってさ」  
「それは・・・・・・」  
それは、私も同じだ。いや、奴に関わった女性全員がそうだろう。  
「それは、みんな同じよ。あなたが気に病むことじゃない」  
「違うんだ。ちがうんだよ・・・・・・」  
張りつめていたものが切れたように、ぽろぽろと涙を流して彼女は言う。それがあたかも罪のように。  
「あれは、あれはアタシから産まれたんだ。アレが生まれたのはアタシのせいなんだ。  
 ソレに、アタシはあのとき悦んでた。子供に犯されて、悦んでたんだ・・・・・・」  
「・・・・・・」  
ただの少女のように彼女は懺悔する。それは罪ではないのに。自分が悪いと責め立てる。  
あぁ、だから。だからあんなに無茶な修行をしていたのか。あれは、自分への罰だったのか。  
「どうしよう、メグミぃ。アタシ、アタシ・・・・・・」  
「・・・・・・」  
しまいにはぐすぐすと泣き出してしまう。普段からは想像できない、アキラの女の子の面。  
私は、知ってたよ。  
「アキラ、よく聞いて。あなたがどんなに自分を責めても、わたしたち天使がどんなに自傷しても、  
 失ったものは元に戻らないわ。どうしようも、ないの」  
「うぅ、ひっく、えぐっ・・・・・・」  
しゃっくりあげるアキラの髪を撫でてやる。細くて柔らかい髪。震える肩。  
私だけが知ってる、アキラの姿。  
「でも、諦めないで。デスパイアを止められるのは、天使だけなのだから」  
「・・・・・・でも、アタシはなんの役にも立たなかった」  
赤く腫れた瞳で私を見つめる。アタシにできるのか、と問うてるようだった。  
前髪をくしゃり、と撫でてあげる。アキラが、無性にかわいく思えた。  
「メグミ・・・・・・? んちゅっ!?」  
思わず、その唇を奪ってしまう。身体が酷く熱い。戸惑うアキラの舌に私の舌を馴染ませていく。  
 
「んちゅ、ちゅ・・・・・・、ぴちゃ、んっ、ぷはっ、め、メグミ?」  
「アキラが、アキラがかわいいのが悪いのよ・・・・・・」  
布団を剥いで、パジャマのボタンを外し始める。なぜか、抵抗はされなかった。  
「メグミ・・・・・・指、舐めさせて・・・・・・」  
人差し指と中指を与えてやると、アキラは男に奉仕するようにそれを舐め始めた。ちゅるちゅると、美味しそうに。  
「アキラ、私たちにはまだ毒が残ってるみたい。だから、仕方ないの・・・・・・」  
アキラのたおやかな指を私の園へつれていく。恐る恐る、彼女は茂みをかき分けてたどり着く。  
「ん・・・・・・。メグミ、もう濡れてる・・・・・・」  
「アキラもじゃない・・・・・・」  
私たちのクレバスは既に涎でべとべとだった。ぬるぬるとした感触を直に味わいたくて、貝あわせの体勢をとってみる。  
「んっ、メグミ・・・・・・。おっぱい、すっていい?」  
「いいよ・・・・・・。でも、でちゃうかも」  
デスパイアに犯され孕まされ、私の双乳からは母乳が吹き出すようになっていた。吸われれば、まだでるはずだ。  
「ん、じゅる・・・・・・。ちゅく、ちゅう・・・・・・」  
赤子のように私のおっぱいを吸うアキラ。その背中に両手を回し、淫核を擦りつけあう。  
「ん・・・・・・あは、甘いのでてきたぁ・・・・・・。ちゅる、じゅるる・・・・・・」  
「ぁ、アキラ・・・・・・。ああっ」  
授乳にもこんなに快感があったなんて、知らなかった。母乳を通してアキラとひとつになっている気がする。  
「アキラ・・・・・・、お尻も、入れるね・・・・・・」  
愛液で濡らした指でお尻を攻めてみた。ゆっくりと菊をほぐしてから、挿入。  
すぐに2本の指が入っていく。アキラの中は温かく、熱かった。  
「んっ、めぐ、メグミぃ、だめだよ、おっぱいすえないよ・・・・・・」  
甘えた声で訴えられる。膣側に指を折ってやると、そこがいちばん反応する場所だとわかった。  
「んっ、んぁっ、めぐ、メグミぃっ! あぁっ」  
指の根本まで入れると、ふるりと震えた。ここら辺がいいのかもしれない。  
「んっ、んんっ、めぐみっ、メグミぃっ!」  
「なぁに?」  
「だ、だめ、いっちゃう、メグミより先にイっちゃう・・・・・・っ」  
きゅん、と胸の奥が高鳴る。健気に耐えるアキラの唇にもう一度キスをする。  
「・・・・・・アキラ、それじゃあ、これでいっしょにしましょう」  
「・・・・・・? それ、なぁに?」  
普段開けないタンスの底から双頭のバイブを持ち出してみる。アキラはこれがなにか知らないようだ。  
なら、直接教えてあげよう。  
「ひゃっ、あぅ・・・・・・メグミ・・・・・・」  
ぐちゅ、と片方を差し込む。もう片方は、私の中へ。  
「アキラ・・・・・・、ちゅっ・・・・・・」  
「ん・・・・・・んん!?」  
キスをしたまま弱のスイッチを入れる。ぶぶぶ、と弱い振動が膣壁を震わせる。  
「メグミ、これ、これいいよぉ! メグミぃ!」  
「アキラ、いくわよ・・・・・・。キス、してて」  
ふたり抱き合い、接吻を交わしたまま最強にスイッチをあげる。強烈な振動で脳が灼けた。  
「メグミ、、メグミっ、あ、あぁーーーーっ!」  
「アキラ、アキラぁ! あぁ、あぁぁぁぁぁぁっっ!」  
肌に爪を食い込ませ、私たちは同時に絶頂を迎えた・・・・・・。  
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・  
 
 
行為を終えて、裸で抱き合って布団に潜り込む。ふたりの汗が心地よかった。  
「メグミ、あのさ・・・・・・」  
「わかってる。わかってるわ。今日だけ、よ」  
デスパイアの毒が残った、今日だけ。それを心に刻み込む。  
弱いままは、今日だけ。  
「強く、なりましょう。負けないくらいに」  
「ああ、強く、なろう。強くなるんだ」  
こんな気分は、今日だけ。明日からは強い自分に戻らなきゃ。  
だから、今日だけは。  
今日だけはこの熱い劣情を、冷ましあおう――。  
 
 
 
――夜の公園  
変身はせず、いつものセーラー服で佇む。  
先日のデスパイア。わたしを一晩中犯し、捨てていったオウムガイ。  
淫液のせいにして、身も心も許して喘いだ。触手のせいにして、快感に抗わなかった。  
弱い自分。認めたくなかった弱い自分。  
あのときのわたしは、悲しみを紛らわすために触手を求めていた。  
悦楽に浸る間は、なにもかも忘れられるから。  
けど、そんな弱い自分は否定しない。  
否定はせず、乗り越える。  
デスパイアが現れた。あの日犯した獲物だと知り、疑いもせず悠々と向かってくる。  
「・・・・・・」  
一瞬、心臓が疼いた。あの切ない満足感を思い出す。  
それを振り払い、変身をする。天使と気づき逃げ出すデスパイアの背に、銃口を向けた。  
「オーシャンオルカ、<サーディン>!」  
銀の群れが貝を押し流す。ひとつ、なにかを乗り越えた気がした。  
振り返れば、フリーダのお墓。  
綺麗な花が咲いていた。  
今日は、綺麗な月夜。  
 
 
弱さは否定しない。弱さから逃げない。  
わたしたちはひとつずつ、乗り越えて強くなる。  
 
 
 
 
強くなるため.end  
 
 
 

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