半刻前まで行われていた戦争はこの街のいたるところに悲劇を生み出した。
「オリヴィエ!
目を覚ましてよオリヴィエ!」
神父服を着た青年は膝をつき、
眼前で横たわる血に染まった聖職者の服を着た娘に向かい叫んでいた。
この地の教会で励んでいた神学者、
オリヴィエもまたそれの犠牲者であった。
彼が叫び続けてしばらくすると、
オリヴィエの周囲に不浄なる魔力が立ち込めてきた。
神父服の青年、カールは普段ならそれに気付いただろう。
だが恋心を抱いていたオリヴィエのことで錯乱している今は
それに気付くことはできなかった。
「うっ、私は一体……」
「オリヴィエ、オリヴィエ!
目を覚ましてくれたんだ、本当に良かった…」
カールは思わずオリヴィエの上半身を抱きかかえた。
「…くぅ、ううんカール、後ろを見て!」
苦しそうなオリヴィエが目配りしたガレキの影から
子供の姿をしたものが現れた。
「おねーさん目覚めてすぐよく気付いたね。
そこのおにーさんがずっと目を覚ましてって叫んでたから
思わず手を貸してあげたくなったんだ。」
自慢げな顔で子供の姿をしたものが答えた。
「でも、これだけ血を流した私が生きているはずがありません。
これは神に禁じられた死霊術……あなたは一体何者、ウッ…」
「ボクのことは後回し、もう見届けるだけだから。
あとはおにーさんとおねーさんがどうするか、だよ。」
それを言い残して子供の姿は消えた。
「ハァ、ハァッ…
カール、お願い私を浄化して。
このままだとアンデッドの本能に支配されて
神様の教えも忘れてしまって本当の化け物になっちゃう。」
「僕にはできない。
できないよオリヴィエ!
僕はオリヴィエのことがずっと好きだったんだから!」
「カール、私もなの。
ずっと、ずうっとカールのことが気になってた。
だからこそのお願い。
そうしないと神様から見放されちゃうよ。」
「そうじゃないんだオリヴィエ。
君が災いに巻き込まれたとき僕のほうが先に、
本能のままに神を見放してしまったんだ。
だから、一緒にいさせて。」
「カール……
ごめん、そんなこと言われたら私もう我慢できない!」
それを言うなりオリヴィエは人外の力でカールを押し倒し、またがり、
自らの血染めの服をめくりあげ、秘所をあらわにした。
「下のお口がカールを食べたいって言ってるの。」
「いや、ちょっと待っ…」
オリヴィエはカールのズボンを脱がした。
「身体は正直だよ?
じゃ、行くね。」
「……うん、オリヴィエの好きなようにして。
どこまででも一緒に行くよ。」
カールの承認を得ると、
オリヴィエは狂喜し自らの秘所でカールの一物を一気に根元まで飲み込んだ。
そして、何かが破れると同時に絶頂に達し、
大量の、人ではありえない量の冷たい愛液が不浄な魔力と共にあふれ出した。
そしてそれとほぼ同時にカールも絶頂を迎えた。
「きゃは、カールが中に入ってくるよう。」
「オリヴィエの中、気持ち、いい…」
ふたりの交わりは、カールが気絶するまで続いた。
カールが目覚めてしばらく、
不浄なる魔力と淫気がまだたちのぼる損壊した教会。
「ごめんなさい!
アンデッドの本能に完全に飲まれてしまいました……」
「アンデッドの本能は生前の思いがより強化されたもの。
つまり、それだけ僕を好きでいてくれて嬉しいよ。」
抱き合う二人。
「旅に出よう。」
カールが囁いた。
「うん、どこまでも一緒に行くよ。」
二人が一緒ならどんなところでも楽園だから。」
おわり