「……またこの人か」
診療時間ぎりぎりの、夏の日長も完全に暮れようとしている頃。
看護士が用意したカルテに記載された、藤野仁衣奈(ふじのにいな)の名前を見て、俺は呟いた。
今日、最後の患者だ。
「こ、こんにちは、西先生……」
恐らくは熱が原因ではない赤らんだ顔で、藤野さんは俺に微笑みかけた。
「藤野さん、今日はどうされました?」
「え、えーっと、風邪ひいたみたいで、熱っぽいんです……」
藤野仁衣奈、19歳女。
以前の診察で一人暮らしをしていると言っていたことから、恐らく近くのO大学の学生だと思われる。
藤野さんは、俺と向き合いながらそわそわしている。
今日の藤野さんの服装は、とても可愛らしい淡色のノンスリーブのワンピース。
夏場の彼女はワンピース派のようで、端麗な顔立ちとスラッと伸びた細い身体によく映えている。
そのワンピースの膝辺りを掴みながら、俺の一言を待ちながら、もじもじしている。
……いつものことだ。
俺はまず、傍に居たナースの濁川(にごりかわ)さんに外してもらうよう告げた。
基本的には女性の診察にはナースを立ち会わせることが義務づけられているのだが、
患者本人の希望とあらばそれに従うしかない。
以前の診察の時にも藤野さんは、立ち会いのナースがいる方が恥ずかしいので外してほしいと言っていた。
女性の診察にナースの立ち会いが義務づけられているのは、
診療行為に託つけた男性医師による女性患者への性的虐待(ドクターハラスメント)を防止するためである。
しかし、一応言っておくと、患者の裸で欲情する医師など稀である。
立場上、老若男女問わず何人もの裸を見てきているため、男性医師が例え魅力的な肢体の女性の乳房を目にしても、
それも『患部』あるいは『診察部位』としか思えなくなる。
寧ろ、それゆえの医師の女性患者への無配慮が諍いを生み、あらぬ問題の引き金となってしまうことの方が多い
(病院における女性の苦情は、医師のスケベ心よりも医師の無神経さに由る場合の方が多いのだ)。
ナースを診察時に携えるのは、その諍いを生まぬための予防線に過ぎない。
それなのに、そのナースを外すよう、女性である藤野さん自身が要望したのは、二回前の藤野さんの診察からである。
私はそのときに一応、口頭ではあるが、診療行為に対して性的な嫌疑を持たない様に約束してもらった。
俺は内科を専門にしている以上、女性患者の胸を見せてもらわなければいけない場合もある。
必要に応じて、上半身は完全に裸になってもらうときもあるし、ごく稀には、下半身も含めて全裸になってもらうときもある。
女性にとって、裸のまま男性医師と診察室に二人きりになるのは、俺の想像以上に心細いものらしい。
女性の本能的な、異性への不安感ゆえに、それはやむないことだろう。
さて、濁川さんには外してもらい、可愛らしいワンピースを着た藤野さんと診察室で二人きりになった。
ワンピースの裾を掴み、今か今かとうずうずしている藤野さんに、俺は告げた。
「……では、お願いします」
言うが早いか、藤野さんは俺の前で立ち上がり。
裾に手を掛け、シャツを捲り上げる様にそのままするすると裾を持ち上げていった。
医師である俺も、生憎ながら男だ。
そして、藤野さんは細身で可憐な、とても綺麗な美少女である。
その藤野さんの、俺の目の前での、下俗な言い方をするならばストリップショーである。
例え患者が女性だろうと若かろうと、普段は大して何も感じないはずなのに……
残念ながら、このとき俺は興奮してしまった。
ワンピースの裾が持ち上がる。
綺麗な脚が、太股が、どんどん露になっていく。
露になるのは脚に留まらず、とうとう純白の布、すなわちショーツが登場する。
俺の目の前に立っている藤野さんのショーツが、ちょうど俺の目の高さにやってくる。
目を凝らせば、その薄布の向こう側まで透けそうだ。
白いショーツは藤野さんの白い肌と共に目映く輝いているように見える。
ショーツが完全に露になったなら、次は理想的にくびれたお腹が現れる。
余分な贅肉がなく、つい腕で抱えたくなるくらいに細いウエストに、
つい指で触ってみたくなるような小さく可愛いおへそ。
さらに裾は捲り上がり、とうとう胸元に届く。
ショーツとお揃いのブラが顔を出し、そしてブラに隠された膨らみも登場する。
藤野さんの細身な体格に似合わぬ、とても立派な膨らみ。
そして、ワンピースから腕を抜き取り、きちんと処理された腋を見せながら、首から引き抜く。
ブラとショーツだけを身につけた、藤野さんの美しい身体のお目見えだ。
そして、俺が促そうが促すまいが関係なく。
藤野さんはさらに、上半身の着衣に手をかける。
俺の前で立ったまま、手を後ろに回し、ブラのホックを外した。
慣れた手つきで、ためらいも無く、……しかし顔は赤らめながら、そのブラを腕から引き抜いた。
白い……白くてみずみずしい、美少女の乳房の膨らみだ。
ショーツ一枚を残して脱衣を終えた藤野さんは、再び俺の前の丸椅子に腰掛けた。
座るというたったそれだけの動作で、拘束から外れた乳房はぷるぷると弾み、同時にその先端も上下に弧を描いた。
白く大きな理想的な膨らみの中央は、うってかわって濃い(しかし黒くはない)茶色が一際目立っている。
膨らみの先端、すなわち乳頭は、丸くぷっくりと隆起している。
ショーツ一枚だけを着けた、乳房も丸出しの裸の女子大生の美少女と、俺は向き合って座っている。
本音を言えば、理性の箍(たが)を外して、すぐにでもこのたわわな膨らみに手を伸ばし、その先っぽに唇を当てて吸い付いてやりたい。
患者の裸を見慣れた医師の俺ですらも蠱惑(こわく)されそうになる、強烈に魅力的な裸だった。
そしてこの場には、ナースの濁川さんもいない。
残りの、待たせている患者もいない。
完全に二人きり。
この魅力的な裸を、あくまで診療行為という信頼関係が継続する範囲で、思う存分に見て触って楽しめてしまう……!
業務中だが、業務中なのに、心が躍る……!
藤野さんは、……乳房を隠さず、しっかりと俺と向き合い、そして微笑みを浮かべている。
俺は普段この子がどのように人と接しているか、その日常や人となりについては与り知らない。が、
にこにこと可愛らしく微笑みを浮かべる彼女からは、その気だての良さや健気さといった、魅力的なパーソナリティが窺える。
この子は、誰に対しても笑顔を向けるタイプの女の子なんだろう。笑顔が目映い。
彼女は裸になっていて、その魅力的な身体を惜しげもなく晒しているというのに、
あたかもそんなことを意に介していないかのように、胸を張って、毅然とした笑顔を俺に向けていた。
そして、その笑顔は。
彼女は、今自分が裸でありとても恥ずかしい格好をしているということを、決して意に介していないわけではなく、
寧ろその逆で、自分が裸であることを大いに恥じらってか、目は泳ぎ、顔が赤らんでいる。
藤野さんは、慌てている。恥じらっている。
しかし……女性はその感情を顔同様に如実に表現する身体部位がある。
この裸の美少女の乳首は、外気と俺からの視線に晒され、刺激され、痛々しいくらいに固くなっている。
その存在を存分に主張している乳首を、診察とは無関係に、触って捏ね回してやりたいと強く思った。
同時に、彼女のためにもその乳首を、触って、あたかも凝りを解すかのように摘んで捻って、気持ちよくさせてあげたいと思った。
彼女と俺が向き合う。
『ほら、早く触ってください!』と言わんばかりに膨らんだ乳首と、そのいじらしい乳首に魅せられた俺。
そこにいるのは、発情した男と女二人だった……。
彼女を診察し、彼女の魅力的な裸を見ることになるのは、これで何度目かになる。
彼女の診察を繰り返すことで、気付いたことがある。
藤野仁衣奈さんは、露出趣味のある女性なのだ。
診察を受けるという名目のもとに、裸になって乳房を晒すことで、(羞恥もあるだろうが)快感を得ていた。
幾度か診察を重ねることで、俺はそう確信した。
一応、藤野さんの名誉のためにもう少し話しておくと、
藤野さんは、最初から俺相手に露出することを目的にここにきたわけではなかった。
それがいつしか、俺相手に、「もっと私の裸を見てほしい……」というシグナルを発信するようになってきていた。
彼女の通院頻度。初診が今年の1月だったが、それから8月の今日で9回目だ。
定期的に通院する必要があるわけでもない、ごく通常の健康体の彼女が、そんなに病院に通い詰める必要はない。
それなのに、わざわざ診療終了の遅い時間を予約して、俺の元に現れる。
症状は、仮病でもしているかのようなごく他愛ないものだ。
そして、4月の彼女の診察。
一応心音を聞かせてもらわないといけないので、胸を見せてもらうのだが、
そのとき彼女は、わざわざ自ら上半身全てを脱いで、俺に裸を晒したのだ。
普段は心音を聞かせてもらう際に、俺はどうにか頑張って、ブラを着用してもらったままで済ませている
(当然、ブラは完全に外してもらった方が聞きやすい)。
だから、聴診の際は「裾を少し空けてください」とだけ伝える。
その女性の、へそが少し露になるだけ。そこに手を入れ、手探りで心音を聞く。
この診察のやり方を、彼女自身が拒んだのだ。
俺はこのとき、「胸の音を聴かせてください」と言っただけだ。
それなのに、その一言を受けて彼女は、何か意を決したような表情を浮かべたすぐ後に、眼と唇を固く結び、
……上半身裸になった。
しっかりと俺に裸を見せ、恥じらいながらの微笑みを浮かべて、胸を張って俺を見つめていた。
彼女はワンピースを好んで着用するから、常にショーツ一枚の姿になる。
そもそも病院に通う女性は、ほぼ間違いなくパンツスタイルをとる筈なのだ(ショーツまでは見られずに済むから)。
彼女が毎回ワンピースを着用していることも、彼女の露出願望のシグナルだった。
ぺたぺたと、その形の良い魅力的な乳房に聴診器の先端を沈ませる。
彼女の乳房は大きめなので、聴診器をその膨らみに押し付けないとうまく聞こえない。
彼女の乳房が、俺の聴診器によって形を変える。聴診器を離せばふるふると弾み、少しの間その振動を保つ。
乳房を揺すられる刺激のためか、乳頭がにょきにょきと膨らみ、形を整える。
そして、掠れた吐息を漏らす。
単なる社交辞令ではない微笑みの表情と、その吐息の高いトーンから、その吐息が『喜悦』ゆえに漏らされたものだと悟る。
そう、彼女は、診察の過程で裸を見られて触られることに、悦びを感じていた。
「露出症」という精神病の名前を聞いたことがある。
つまりは、所謂露出狂の変質者だ。
一般的に露出狂というと、全裸の上に外套を羽織り、夜道を通りすがった女性の前に現れて、
その外套の中身すなわち陰茎を露出する男性をイメージするものだ。
しかし、露出狂は何も男性に限らず、女性の露出狂も存在するのだ。
そして、露出狂のように社会生活に適合できなくなるほどには重篤ではないにせよ、
潜在的に、裸を見せたい・服を脱ぎたいという内なる願望を秘める人は男女問わずいるらしいのだ。
合法的な範囲内であること、社会性を損なわないこと。
その規制の中で、おおっぴらに裸になってしまえる場所。
彼女にとって、それが病院だったのだ。
そして、彼女はとうとう、ナースの濁川さんにも外してもらい、裸のまま男医師である俺と二人きりになることを希望した。
彼女は至って健康であり、診察など望んではいなかった。
あくまで「医者の診察を受ける」という体裁のもと、そしてその体裁に託つく範囲であるならば、
いかに恥ずかしくて屈辱的な『診察』であろうと、それを信用し、受け入れるということを。
裸の美少女・藤野仁衣奈さんは、望んでいた。
当然これは、本人の意志を言葉で確認したわけではない(無論、できるわけがない)。
だから、彼女が裸になりたがっていたり、身体を触られたがっているということも、確証が得られたわけではないのだ。
しかし、ここまでの情報を総合して、そう考えるしかなかったのだ。
そして、今後も彼女は仮病の状態で、俺の元にやってくるだろう。
もし、この仮病少女の顔や身体が魅力的でなかったならば、俺は彼女の通院を疎ましく思っただろう。
もちろん、わざわざ危険を冒してまで、彼女の『真意』を探ろうなどとは考えなかった筈だ。
しかし、それを乗り越えてでも、俺は彼女の『真意』を探りたかったのだ。
理由はもちろん、彼女の顔と身体があまりに魅力的すぎたから。
その身体を、仕事を度外視して好き勝手に見て触れられるのならば、それはあまりに嬉しいことだから。
だから、今回は『賭け』に出たのだ。
ショーツ一枚のまま、彼女は真っすぐ俺を見つめている。
胸元を隠さない腕を後ろに軽く組んで、少し胸を張るような姿勢になっている。
普通なら、手持ち無沙汰な腕が軽く前方に曲げられていたりするのに。
彼女の両眼を診て、次に喉の腫れを確認する(彼女の開けた口と唇にまた劣情を催したが)。
耳の下に触れ、リンパ腺の腫れを確認。
そして、聴診。
もはや遠慮しない。
ぷっくりと立った乳首をじっくりと凝視しながら、胸の周りに聴診器を当てていく。
心音を聞くのに邪魔な膨らみを片手で押し上げ、その隙間に聴診器を当てる。
その箇所を聴き終えたら、乳房を押し上げている手を急に離す。
支えを失った乳房が、ぷる〜んと弾む。
柔らかく、瑞々しい、弾力。
診察に託つけた、乳房への性的悪戯。
普通なら、これをやられた女性は驚きの表情を浮かべるか、或いは屈辱で眦に涙を浮かべるだろう。
そして俺は、犯罪者として訴えられてもおかしくない立場になる。
……しかし、彼女は顔を赤らめ、歯を食いしばりながらも、笑みを浮かべている。
乳房を玩具のように弄ばれ、観察されたことは、きっと彼女にとっても、屈辱は屈辱なのだろう。
しかし、その屈辱が楽しいのだろう。
……やっぱり、彼女は性倒錯者だ。
……きっと、いける!
(きっとこのときの俺も、もはや抑制が利かなくなっていたのだろう)
さっき外したはずの片手を、もう一度、まだほんの少しだけ振動している乳房に添える。
彼女の左乳房を、俺の左手に乗せる。
左手の4本の指を使って、下から弾ませる。
乳房が波打つ。俺の指が動くままに、彼女の乳房が形を変えた。
興奮で浮かぶ笑みを極力抑えながら、意地悪く彼女の顔を下から覗き込む。
……真っ赤な顔と、一文字に結ばれた唇。彼女の顔の全面に浮かぶ、痛々しいほどの恥ずかしさ。
もはや診察ではない。これこそ、医師の風上にも置けぬ「診察行為に託つけたドクターハラスメント」だ。
俺は、それをあえてやっている。
今俺がやっていることは「診察行為に託つけたドクターハラスメント」なのだと、彼女が気付くようにシグナルを送ったのだ。
……それでも彼女は、俺の意するままに従ってくれていた。
次に、(仮病であったが)腹痛を訴えていたため、ベッドに仰向けになってもらった。
診察から継続してなので、ショーツ一枚の裸のままだ。
ショーツ一枚の姿のまま、彼女に横になってもらう。
そして俺は、掌を彼女のお腹の上に置いた。
ぐにぐにと、広い範囲でお腹を押していく。
真っ平らなお腹。ごく薄く敷かれた腹筋の感触が心地良い。指圧する指先に生きた体温を感じる。
……俺はとっくに興奮していた。
藤野さんは目を潤ませ、マッサージでもされているかのように心地良さそうな笑みを浮かべていた。
魅力的なお腹の中心の可愛らしいおへそに、そっと指を入れる。
ほんの少しだけ驚いたように「あ……」と小さく息を漏らし、また心地良さそうな笑みを浮かべた。
『間違いない……』俺は確信した。腹診時にわざわざへそを押す必要はないからだ。
彼女のおへそに入れた指をくにくにと軽く指圧し、くりくりと擦るように撫でた。
藤野さんは、相変わらず強張った溜息を漏らすだけだ。
これが、最後の確認。そして、最大の賭け……。
俺は、仰向けでもなおたわわな彼女の乳房に手を置いた。
そもそも、俺が彼女にベッドに寝てもらったのは、お腹を診察するためである。
それを、診察の目的も何も告げずに、俺はいきなり胸に触れた。先程の聴診とは異なり、乳房に触れる理由が全くない。
通常、こんなことは許されない。
通常の女性患者にこんなことをすれば、たちまち俺は訴訟され、医師免許を剥奪されかねない。
もしも。
もしも……。
もしも、俺が彼女の胸に触れることで、彼女が我に返ったように真顔になって、俺に詰め寄ったら。
途中までは『診察行為に託つけた触撫』によって性感を高めていた彼女が、現実に還ってきたなら。
俺の人生は終了する……。
俺にいきなり乳房を触れられた彼女は、真顔になるどころか。
興奮の混じった喜色満面の笑みを、俺に向けた。
俺は大いに安堵した。賭けに大勝利したのだ。
それでも、恐る恐る、俺は彼女の乳房に少しずつ指を食い入らせていった。
彼女の身体がより一層強張る。両の拳が握られる。
彼女の乳房に置いた指を少しずつ食い入らせ、少しずつその柔らかい弾力の中にめり込ませる。
俺は、藤野さんのおっぱいを鷲掴みにしていた。
安物のアダルトビデオならば、聴診を終えた内科医役の男優が『はい〜、乳がんの検査しますからね〜』などと言って、
胸を露にさせた女優のその乳房を、触診に託つけて揉みしだいたりする。
たったこれだけのシーンに、ダウトが2箇所ある。
まず乳がん検査のための触診は内科の担当ではない(乳腺外科の所管だ)ことと、触診は『揉む』のではなく『圧し撫でる』動作であることだ。
事情を知る者が見れば、何とも現実味に欠ける三文脚本でしかないのだ(ヌけるからいいけど)。
……その二つのダウトを、今、俺がやっている。
もみもみ、もみもみ、もみもみもみ……
診察ではない。
診察ではないことは明らかだ。
そしてそれは、彼女にも伝わっている。
今の俺は、『診察として胸を触っているのではない』ということを。
彼女が身を捩(よじ)り始めた。
あくまで真っすぐに横たえた身体が、打ち寄せる快感に堪えながら、それでも手足や顔がむずむずと震えている。
ぷにゅぷにゅ、ぷるぷる、……
悔しいだろう?惨めだろう?
俺が医者だっていうただそれだけの理由で、この綺麗な身体を晒し、おっぱいに悪戯されないといけない自分の立場が。
今の君は、ショーツ一枚の丸裸で俺と二人きりなんだ。逃げられないんだ。
おっぱいを触りたい放題にできる立場にあるという制圧感。
おっぱいを触られ放題にされてしまっている女の子の、可愛らしく凛々しい顔。
俺は、生きながらにして天国に居た。
彼女の固くなった乳首を、指先で捏(こ)ね回す。
くりくり、くにくに、……
彼女の身の捩れが、どんどん隠せないくらいに大袈裟になってくる。むずむずしている。
何より……。
彼女のショーツが、はっきりと湿っていた……。
彼女も俺もこのままでは収まらないほどに興奮していた。
願わくは、いつまででもそのおっぱいを揉みしだいて、乳首を捏ね回していたい。
しかし、今日のところは、『診察という最低限の体裁』を繕うためにも、どこかで打ち切らないといけない(今更な危惧かも知れないが)。
何より、もうかれこれだいぶ長い時間を藤野さんの診察にかけていた。
……今日はこの辺でやめておこう。
きっと、彼女はまたやって来る。次に訴える症状は、頭痛か、咽痛か、……。
俺は藤野さんに、起き上がるよう伝えた。
彼女は身を起こし、裸のまま患者用の椅子に腰掛けた。
……愛液が、ショーツ越しに内股を伝っていた。
「夏バテによる夏風邪だと思いますので、解熱剤と整腸剤だけ出しときますので、栄養をしっかり摂ってゆっくり休養してください」
「はい」
「じゃあ、今日はこれで終わりです。お大事に」
「ありがとうございまいた」
彼女は裸のまま、にっこりとお辞儀した。
俺は彼女の裸から眼を離し、カルテの記入を始めた。
「あ、あの……」
彼女に呼ばれ、俺は彼女に目を遣ると……
そこに、全裸になった藤野さんが立っていた。
俺は驚いた。もう診察は終えた筈だった。
さっきまで穿いていた、濡れたショーツも脱いでいた。
彼女自身の愛液で湿り、てらてらと光り輝くヘアが目映い。
素っ裸だ。正真正銘の、すっぽんぽんだ!
美少女女子大生の、誰もが認めるエロティックな、オールすっぽんぽんだ!!
彼女は、両手を後ろに組み、胸を張り、その身体を一切隠そうとしていなかった。
「……下着が濡れちゃったので、替えの下着を貸してもらえませんか?」
なるほど。それが脱ぐための口実か。
いじらしい。何ともいじらしい……。
(彼氏が居るかどうかはいざ知らず、)俺だけに裸を見せてくれるこの子が、ただひたすら愛しい……!
何より、「自分からすすんで」素っ裸になったことが、何より俺を興奮させる。
『私の裸、どうですか……?』と言わんばかりの、芸術性すら帯びた美しい裸体。
人間の、女性の、原始的な美しさがそこにあった。
腰は丸みを帯びて膨らみ、男を魅惑するとともに安堵させる矛盾に満ちたフォルムを呈している。
その中心は、あくまで少女のものではない黒い茂みが、彼女の白い肌とコントラストを採るように黒く生い茂っている。
彼女は、全てを曝け出した。
俺は彼女の全裸を、上へ下へと忙しく眺めた。
彼女はモデルがポーズをとるように、胸と股間を軽く前方に張り出し、俺の視線を待っていた。
彼女は、苦痛そうな笑顔に顔を赤らめていた。
彼女は今日、とうとう初めて俺に全裸を見せた。
俺は、一人の女の子を完全に裸にさせた。
彼女の全てを、露出させた。
彼女は俺から替えのショーツを受け取り、そのまま帰った。
しかし、また暫く時期を空けたら彼女は、また俺の元に裸を見せにやってくるだろう。
次はもう、遠慮も警戒も要らない。
彼女はもはや、自らの意志で俺に『全裸』を見せるほどに、露出行為に耽溺してしまっている。
次はどんな風に彼女の裸を見て、どんな辱めを与えてやろう……
俺は、それだけを考えていた。