日本には四季があり、その時々によって自然はガラリと様相を変える。特に山の変化は街や海に比べて激しい。  
山は夏の緑色から秋の紅色へ色を変え、今は12月で白色だ。あんなに聴こえた鳥の囀りも聴こえない。俺はそんな静かな冬山が好きだった。  
俺の名前は川崎忍、大学生だ。今はN県に登山をしに来ている。大手製菓メーカーの子会社に就職を決めた俺は残りの学生生活を趣味に使いまくっている。  
 
今日の天気予報は晴れだったが、冬山の天気はすぐに変わり、今俺は軽い吹雪に襲われて進退出来ない状態だ。  
幸い風を凌げる岩影を見つけられたし、一応食料も持ってる。しかし油断は出来ない、この吹雪はいつ止むかもわからないからな。視界が確保出来ない以上迂闊に動くのは危険だからしばらく障害物で風避けをしていた。  
「やっぱり寒いな……早く吹雪止んでくれないと困るな〜」  
 
そう予想外の吹雪にぼやいていると、遠くから何か大きな音が鳴りながらこっちに向かって来る。  
「ん?エンジン音?こんな山の中、しかも吹雪で?」  
けたたましい爆音を響かせながら走っている何かはスノーモービルだった。  
スノーモービルは俺が風をしのいでいる岩陰にくると操縦者が話し掛けてきた。  
「人?こんな山奥に珍しいね。」  
ゴーグルをして帽子を被っているから顔はわからないが、声からして女性のようだ。  
どうして岩陰にいる俺に気付いたのかと疑問に思っていると「ここにいると凍死するよ。小屋まで連れていってあげようか?」と聞いてきたので、渡りに船だと思い俺は「お願いします」と答えた。いつまでもここにいるわけにはいかないからな。  
 
そこから小屋に着くまでは一瞬だった。文明は凄いな。デカルチャー。  
スノーモービルの音でちょっと耳が痛いのは内緒だ。エンジンがうるさすぎる。  
 
小屋に入り、スノーモービルの女性にお礼を伝える。「すいません、ありがとうございます。助かりました。急な吹雪だったから困っちゃいまして。あ、俺は川崎忍っていいます」  
 
「たまたま通り掛かっただけだよ。遭難者が出て、山狩りになったら大変でしょ。」  
と、女性は答えながら手袋・帽子・ゴーグルと装備を解く。  
さっきはわからなかったが、もの凄く可愛い女性だ。年齢は17、8くらいで若そうだ。こうやって並んでみると随分小柄で、肌も白い。街中ですれ違ったら男は誰もが振り向くだろう。  
装備を解くだけでなく、「ふい〜、暑い暑い」と言いながら防寒ウェアを脱いでインナーだけになり、華奢な身体を見せ付けて来る。「暑いか?むしろ寒いくらいだ」と思うが、感覚は人それぞれだ。  
「あたしは雪花。この山の冬の管理人さね。管理人っていっても大したことしてないけどね。まあ、よろしく。」  
インナー姿は多少目のやり場に困るので目線を合わせないように話す。  
「管理人?地主さんの娘さんかな?」  
俺は小屋の囲炉裏を使ってお湯を沸かしながらそう質問する。  
 
「ああ〜、違う違う。あたし雪女なんだよね。だから冬の間はこの山を管理してるの。面倒臭がりだから歩かないでモービル使ってるけどね。」  
「へ〜、大変だね」と返しながら沸かしたお湯で香味焙煎を作り、一息つく。  
俺の友達にも自称火喰い鳥や自称がんがんトンネル魔人という妖怪や(ロジカル)モンスターがいる。こんな女性がいても不思議じゃあるまい。一応助けてもらったから邪険には扱えない。しかし相手にしてたらキリがない。  
「信じてないな〜。証拠見せれば信じる?」  
「そらまあ実際に目で見れば……」  
そう答えながら熱いコーヒーを啜ると、彼女が後ろから抱き着いてきた。  
柔らかい感触が背中に当たり一瞬ドキッとしたが、体温が異様に冷たい。まさか……起き上がりか!?  
「忍さんのコーヒー熱そうだからあたしがフーフーして冷ましてあげるよ」  
そういうと、彼女は後ろから俺のコーヒーに息を吹き掛ける。一瞬でホットコーヒーはアイスコーヒーならぬコーヒーアイスになってしまった。  
悪戯っぽい笑みを浮かべながら雪女は「ど、信じた?まだ信じられないなら更に凄いことしてあげるけど。」と言う。  
 
「にわかには信じられないけど、本当みたいだな……更に凄いことって、何が出来るんだ?雪女ってのは(倒置方)」  
少し興味が沸いて俺が聞くと。この雪女はじゃあ教えてあげると言って軽くキスをしてきた。  
「フフーフ、知ってる?雪女に魅力された人間は魂を抜かれて死んじゃうんだってさ。」  
「!?」なんだ、この流れ。ヤバい気がする。  
命の危険を感じて雪女から逃げようともがくが、上手く身体が動かない。  
「大人しくして、逃げようとしても無駄よ。キスしたときに魅力の呪いを掛けさしてもらったからね。」  
「な、なにをするだぁー!!」と叫ぼうと思ったが、雪女に口を塞がれた。  
二度目のキス。今回唇を重ね、舌を入れてきた。お互いのの唾液が口の中で混ざる。雪女の唾液は富士の雪解け水のように冷たい。本当に体温が無いようだ。  
 
命が吸われるような長い接吻が終わり、二人の唇が離れるときに唾液が糸を引いてから切れる。  
「ふふ、大人しくなったね、忍くん。でも忍くんのココは全然大人しくないよ。」  
そう言いながら俺のズボンを脱がし、下半身をあらわにする。そしてヘソまで反り返った俺様のピー(誇張表現)を見て雪女は驚く。  
「すごく……おおきいね……化け物みたい。あたしにこんなことされてそんなに嬉しいの?ん?」  
「う、うるさいぞ雪女、生理現象だ。」  
「やあねぇ、こんな状況なんだから雪女なんて他人行儀?で呼ばないで雪花って呼んでよ。」  
雪女はヘソまで反り返った(以下略)を一舐めして更に続ける。  
「それに、そんなに生意気な口を聞くんだったら本当に凍り漬けにしちゃうゾ。それが嫌なら口はこう使いなさい。」  
言い終えると雪花(凍り漬けは嫌だ)は俺を押し倒し、性器を俺の顔の前に持ってきた。俗に言うシックスナインの体勢だ。  
 
いくら身体の自由が利かなくても舐めたり腰動かしたりは出来る。一方的にやられるのは癪だからこのさい思いっ切り抵抗してやる。  
「ひゃん!ちょっと、嫌だ嫌だ言いながらもちゃんとやることやろうとしてるじゃない。」  
雪花の秘部を舐めたらそう言われたが、この際プライドは捨てることにする。  
「ん、ふぅ……」  
秘部を弄るたびに何かしらの反応がある。そんな雪花は一生懸命に俺のS&WM500マグナムを口で頬張る。まるで冷蔵庫でギンギンに冷やした海草由来のエキスで出来た潤滑液(ローション)でいじられてるみたいだ。たまらなく気持ちいい。  
こちらはもうイキそうなくらいに気持ちがいいので、雪花にもその気持ち良さをおすそ分けする。  
「ふわぁあああ!」  
ポツリと出てた小さな豆を激しく刺激すると、雪花の身体に電氣が流れたように痙攣した。どうやら果ててしまったようだ。今回は俺の勝ちだ。  
「あ、あうぅ…いきなりそんなに激しくするなんて反則よぉ…」  
肩で息をしながらそう呟いた。  
 
俺の方はというと、雪花を先にイカしたことでどうやら魅力の呪いとやらも解けたようだ。これからは俺のターン。  
「人を襲うような狂暴な妖怪はやはり退治しないとな」  
「え?」  
どうやら呪いが解けている事に気がついていなかったようだ。  
先程とは逆に、今度は俺がこのマヌケな雪女を押し倒す。そして雪女の体液でびしょ濡れの冷蔵庫に俺のボロニアソーセージを収納する。  
「は、はうぅぅん!くぅ…ふ、太いぃ…」  
「ちゃんと、はぁ、中も冷たいんだな。」  
俺は腰を揺らしながら雪女の中を楽しむ。少し楽しくなってきたぞ。  
「ん…はぁ…あ、あたし、雪女だって…言った…じゃ、ない…ひぅ……。」  
「ああ、本物だ。雪花の中、冷たくて気持ちがいい。それに可愛いよ。」  
そういいながら、雪花の首筋にキスをする。するとより一層膣が締まる。  
「あ、ダメだ。俺もう出そう。」  
さっき射精出来なかった俺のスカイツリーは既に限界に差し掛かっていた。  
「忍、中は駄目よ。ちゃんと外に出してね。って、あっ!こら中で出したな!」  
そう、出そうと言った時点で既に出ていたのだ。決して早撃ちマックではない。  
 
「あ…熱いぃ……お腹の中が焼けちゃう…」  
実際焼けるなんて事は無いのだろうが、命の重さは雪花にはそう感じるのだろう。  
「……スマン、あまりにも具合が良かったから我慢出来なくて。」  
「う〜、自己管理も出来ないなんて社会人として最低よ。」  
妙に現実的な事を言う奴だ。  
「ははは!雪女さんに社会人を語られちゃったな。」  
「それはそうと、途中で止めちゃったからアタシまだイッてないんだけど、どうしてくれるの?忍くん。」  
そういうと雪花は俺の首に手を回して唇を奪ってきた。第2ラウンドの開始だ……  
 
 
結局そのあと次の日の朝までお互いの身体を楽しみあった。当然とっくに吹雪も止んでいたし、雲一つ無い快晴になっていた。  
雪花曰く命を奪うと言うのは冗談だったらしい。中には本当に奪う雪女もいるらしいが、雪花はそんなことはしない自称・良い雪女らしかった。  
その後、スノーモービルで山の麓まで送ってもらい再開を約束した。  
 
 
「じゃあ俺はもう帰るよ。」  
「ねぇ…近いうちにまたあたしに会いに来てよ。」  
そういい、雪花はまた俺の唇を奪った。  
「ああ、いいよ。また来るさ。」  
と俺が答える。嘘だ。俺は社員研修が始まるから今回が最後の旅行。社会人になったらなかなか山になんか来られなくなる。雪花を悲しませないための言い訳。俺だってまた会いたいさ。  
そんな事も知らず、雪花は軽く手を振り、微笑んでからスノーモービルのエンジンを吹かして、また山に消えて行った。  
雪花がいなくなった後、嘘をついてしまったことを後悔したが、もうどすることも出来ない。  
社会人として落ち着いたらまた来よう。そう自分に言い聞かせて帰路についた。  
 
 
 
  後日談?  
 
俺は今、新入社員研修で就職先の研修センターにいる。今日から研修だ。子会社とはいえ流石は大手、俺と同じ新入社員が沢山いるな。  
研修を始めるにあたって、これから社長の挨拶がある。だが俺は今だに雪花についた嘘を引きずっていた。  
「え〜、これからあなた達新入……」  
社長の話すら頭に残らない。  
「専務の私の前フリが長くなりましたが、社長からのご挨拶があります」  
俺はこんなんで社会人としてやっていけるのだろうか?雪花の「自己管理もできないようじゃ社会人として最低」という言葉が響く。  
雪女に魅力された人は死ぬというのもあながち嘘じゃないかもな。これじゃあ死んでるも同然か。  
「新入社員の皆さん初めまして、社長の雪花といいます。これからは社会人として責任持って行動してください。ましてや性交為だけして逃げるような真似は許しません。」  
回りからは「社長面白いね」だの「社長若くて綺麗」だの聞こえるが、あまりにも驚き過ぎて俺は倒れて医務室に運ばれてしまった。  
俺は騙されたのだろうか……まったくをもって散々な研修になりそうだ。  
 
 
 
 

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