最近近所で、コートを開いて全裸を晒す「痴女」が出没するらしい。
本当かよ遭遇した奴マジ羨ましー、などと悪友共とそんな話題で盛り上がったその帰り道。
「わ、わたしを見ろ!」
頭を覆う帽子にサングラス、大きなマスクを着けたコートの女が、俺の目の前でコートを広げていた。
身長は150pくらい。染み一つ無い白い肌に、小振りだが形の整った胸には乳首を隠す絆創膏を張り、茂みの無い秘部を前張りで隠している。
うわ噂はマジだったのか、とか見せるんなら隠してんじゃねーよ、とか半ばパニックに陥っていた俺の目に、信じられないものが飛び込んで来た。
キュッと締まったウエスト、その臍の向かって右側に見える、小さな黒子。俺の脳裏に、風呂場でそれをからかったせいで泣きじゃくる、小さな少女の姿が映る。
「…………愛美……か?」
「…………え? 嘘……慎……吾?」
木枯らしの吹く住宅街の片隅で。俺とコートから全裸を晒した幼馴染みは、まるでお見合いで初めて会った男女のようにいつまでも向かい合っていた。